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HIV/AIDS関連情報

エイズに関する国内外の情報のほか、タイの情報などもお届けしています

                     

2008年10月6日(月)

米国のHIV感染者が増加、5人に1人は気づかず


 CDC(米国疾病管理センター)は、10月2日、米国内のHIV陽性者について発表をおこないました。(報道は10月3日の共同通信)

 2006年末時点で米国内のHIV感染者は約110万人で、そのうち5人に1人は感染していることを知らないそうです。

 この数字は2003年末と比べると、3年間で約11万2千人が増加していることになります。この理由として、新規感染の増加と治療薬が普及して長期間生存できるようになったことが考えられます。また、検査が普及し早期発見ができるようになったことも理由のひとつと考えられています。

 感染者の4分の3は男性で、全感染者のほぼ半数は男性と性行為をする男性。全人口の12%にすぎない黒人が全感染者の46%を占めています。また、米国勢調査局によりますと、米国の最新の人口は約3億530万人で、UNAIDSの報告によりますと、2007年末時点の世界のHIV感染者は3320万人です。


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 仮に日本も感染者の5人に1人が気づいていないとすると、判っている日本のHIV陽性者は約1万5千人ですから、この1万5千人以外に約3,750人の自身の感染に気づいていない人がいるということになります。気になる方は一度検査を検討されてはいかがでしょうか・・・

(谷口恭)



2008年10月6日(月)

HIVの起源は1908年?


 アフリカで最初のHIVが動物から人間に感染したのは1908年ではないか・・・

 米国アリゾナ大学などの国際研究チームがウイルスの遺伝子解析でこのような結果を導き出し、10月2日付けの科学誌「Nature」に発表しました。(報道は10月2日の共同通信)

 これまでは、HIVの起源は1930年ごろとされていましたからそれをくつがえす研究となります。

 世界初のエイズ患者が米国で報告されたのが1981年ですから、1908年説が正しいとすると、70年以上も人類に潜伏していたことになります。

 研究チームによりますと、最も古い感染例として知られる、ザイール(現在のコンゴ)の男性から1959年に採取血液から検出されたHIVと、同じくザイールの女性から1960年に採取したリンパ節から新たに検出されたHIVの遺伝子の配列を比較すると、予想外に変異が大きいことが判りました。

 他の100種類以上のHIVの遺伝子とあわせて、時間とともに変異した経過を系統樹にしたところ、前後20年程度の誤差はあるものの、1908年ごろに共通のウイルスから分岐したことが明らかとなりました。

 研究チームは「チンパンジーから最初に人に感染して20世紀初頭はあまり広がらなかったが、ザイール(コンゴ)周辺の都市化とともに一気に拡大したのだろう」と指摘しています。

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 上に紹介した研究チームのコメント以外にも、「遺伝子の変異によりエイズを発症する期間が短くなったこと」が考えられます。アフリカのような寿命の短い国では、エイズを発症するまでの期間が長ければ、エイズを発症するまでに他の病気で死亡することが考えられます。

 もうひとつは、「遺伝子の変異により感染力が強くなったこと」が考えられると思います。HIVは1本鎖のRNA型ウイルスで、同じウイルスでも2本鎖のDNA型のウイルスと比べると遺伝子の複製が”不安定”で容易に変異を起こします。

 ということは、今後10~20年くらいの間に、今よりももっと感染力の強いウイルスに変異することも予想されるというわけです。

(谷口恭)



2008年8月25日(月)

日米でHIV感染が増加


 8月19日に厚生労働省が発表したデータによりますと、2008年3月31日~6月29日の3ヶ月間に報告されたHIVの新規感染は276人で、これは1985年の統計開始以来、前々回(2007年10月1日~12月30日)の277人についで過去2位の人数となります。

 一方、同日(8月19日)に、米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国内のHIV感染状況が予想をはるかに上回り、2006年には5万6,300人が新規に感染したうえ、HIV陽性者は累計123万人に達していると公表しました。

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 HIVの新規感染が多いのはアジアやアフリカだけではありません(これらの地域では減少傾向にあります)。今回の報道が示すように日本とアメリカでは感染者は増えていますし、ドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国など他の先進諸国でも増加傾向にあります。

 数年前に言われた「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」というのはとっくに過去の言葉になっています。

(谷口恭)



2008年8月25日(月)

先進国で増え続けるHIV新規感染


 2008年7月29日にUNAIDS(国連合同エイズ計画)が発表した2007年の年次報告によりますと、世界全体の2007年のエイズによる死者は約200万人と推定され、これは2005年の約220万人から20万人減少したことになります。

 UNAIDSによりますと、2007年にHIV陽性者は世界全体で約3,300万人で、サハラ以南諸国が全感染者の67%、死者の72%を占めます。サハラ以南諸国以外では、薬物使用者、同性愛者、セックスワーカーなどの間で感染が蔓延しているとされています。

 エイズの治療を受けている人数は、2003年の約30万人から2007年の約300万人と10倍も増えています。

 一方、新たな懸念としては、新規感染は世界全体では数年前の500万人から2007年の270万人と減少傾向にありますが、一部の国で感染者が増加しており、中国、ドイツ、インドネシア、ロシア、イギリスなどでの増加が重要視されています。

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 HIVの新規感染が増えているのは上で述べられている国以外にも、日本、韓国、オーストラリアなどがあります。タイは横ばいですが、若年者と主婦に広がっています。

 先進国でのHIV新規感染増加について新たな対策が必要になるでしょう。

(谷口恭))


2008年8月11日(月)

日本、大麻検挙が過去最悪


 2008年7月号の「GINAと共に」で、タイではドラッグが以前のように大量に流通しているという話をしましたが(「ドラッグ天国に舞い戻ったタイ」)、日本でも同じような問題が起こっています。

 まずは、大麻の検挙が過去最悪になったというニュースがあります。

 日本経済新聞8月7日夕刊によりますと、今年(2008年)1~6月に大麻に絡んで全国の警察が検挙した事件が前年同期比9.1%増の1,686件と、上半期としては過去最悪になったことが、8月7日の警察庁の発表で明らかとなりました。

 大麻での検挙人数も前年同期比12.3%増の1,202人と増加しており、特に若年層で目立っています。

 年代別にみると、20代が全体の56.2%となり20代以下で全体の6割以上を占めています。(20歳未満は8.8%、30代23.8%、40代8.2%、50歳以上3%)

 薬物事件全体の検挙人数は前年同期比8.9%増の7,648人で、このうち全体の半数近い3,627人が暴力団構成員となっています。

 乾燥大麻の押収量は前年同期比150.5%増の94.7キログラムと大きく増加しています。大麻密輸の検挙も108.3%増の50件、63.3%増の49人と増えています。大麻栽培では、検挙数が24.7%増の91件、人数では46.0%増の73人です。

 覚醒剤検挙率は8.8%増の6,216人と増加していますが、押収量は55.4%減の42.1キロと減少しています。

 また、8月8日の日本経済新聞によりますと、いわゆる合成麻薬の「TFMPP」と「BZP」を所持していたとして、警視庁城東署がニュージーランド国籍の男性を逮捕しています。調べによりますと、この男性は、東京都江東区の路上で、TFMPPとBZPを混ぜ合わせた麻薬14カプセルを所持していました。尚、これら合成麻薬は2003年10月に麻薬取締法の対象薬物に指定されましたが、指定後初の摘発だそうです。

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 日本は「世界有数のドラッグ天国」と呼ばれることもあり、違法薬物の流通量が多いことは間違いありませんが、検挙数と実際の使用者数には乖離がある可能性もあります。

 つまり、検挙数が増えたからといって使用者が増えているとは限りません。これは、警察が対策に力を入れればそれだけ検挙数が上がるからです。

 しかしながら、いずれにしても日本人の多くが、特に若い世代の多くが、容易に違法薬物に手を出しているということは紛れも無い事実です。

 薬物に手を出すのがよくないのは自明ですが、ここでは、(大麻や合成麻薬といった)軽い違法薬物→(MDMAなどを経由)→覚醒剤(最初は吸入)→覚醒剤の静脈注射(最初は針を使い捨て→そのうち複数回の使用→ついに他人との使いまわし)→肝炎やHIVの感染、といった「悪魔の方程式」が存在することを確認しておきたいと思います。

(谷口恭)


2008年7月20日(日)

献血のHIVが止まらない勢い


 今年(2008年)に入り、献血でHIVが見つかるケースが増加しているというニュースを以前お伝えしましたが(2008年6月1日「大阪が3分の1、献血のHIV」)、その勢いが止まりません。

 日赤の速報値によりますと、2008年1月から6月の間に献血した人のうち、HIV抗体が陽性であった人が58人に上ります。(報道は7月16日の共同通信)

 10万人当たりのHIV陽性者をみてみると、過去最多だった昨年平均の2.065人を上回る2.316人となります。(1月から3月の集計では2.259人でしたからさらに増加していることになります)

 都道府県別のデータでは、最多が大阪の16人、2位が東京の9人、3位が千葉の5人です。

 厚生労働省血液事業部会運営委員会からは、「大阪の保健所の検査態勢を整える必要がある」との意見がだされ、厚生労働省は大阪府に「早急に検査態勢を確立するよう」通知しています。

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 現在日赤では献血を輸血に使う前には、HIVの抗体だけでなく抗原も検査しています。しかし、それでも感染して数日間は検査を「すり抜ける」ことがあります。

 少しでも感染の可能性のある人は献血の前に検査にいきましょう。

(谷口恭)


2008年7月16日(水)

HIV陽性者の入国制限がようやく撤廃に


 HIV陽性であれば特定のビザを取得できない国があります。アメリカとロシアが有名ですが、アジアでは韓国やシンガポールでも一部のビザ取得のために「HIV陰性」であることを証明することが必要です。

 しかし、このような規則は明らかな「患者差別」であり、以前からUNAIDS(国連合同エイズ計画)が規則の廃止を求めていました。国連の潘基文事務総長も今年6月に「差別を擁護する法制度の変更を求める」と発言するなどし、こういった規則の撤廃を求める声が強まっていました。

 これらを受けてなのか、北海道洞爺湖サミットで、HIV陽性者に対する入国制限措置の撤廃に向けた動きを支持する方向で合意することが決まり、国際保健に関する行動指針「洞爺湖行動枠組み」に盛り込まれました。

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 日本は、HIV陽性者に対する入国制限を以前から設けていませんでしたが、何らかの形でHIV陽性者の入国を規制している国は70カ国以上もあると言われています。

 なぜHIVだけがこのような差別を受けなければならないのでしょうか。

 洞爺湖サミットで合意された入国制限の撤廃は当然のことであるというよりも、遅すぎた決定というべきでしょう。

(谷口恭)


2008年6月15日(日)

タイで覚醒剤が氾濫


 タクシン政権崩壊後、タイでは違法薬物が次第に氾濫するようになってきています。最近、覚醒剤に関する2つのニュースが入ってきたのでここでお伝えしておきます。

 バンコクのクロンプレム刑務所で2,200錠のメタンフェタミンが押収されました。ある受刑者に差し入れられた食べ物(注1)のなかに隠されていた錠剤が発見されたようです。(詳細は6月10日のThe Nation)

 覚醒剤は55個のポリ袋に小分けされた食べ物の中に隠されており、この受刑者は親戚が差し入れの際に忍ばせたことを認めています。

 同刑務所によりますと、別の受刑者が所持していたお菓子の袋のなかからはアンフェタミン(注2)の錠剤が発見されています。

 同刑務所では覚醒剤は1錠500バーツで売買されているそうです。

 もうひとつのニュースは、サムットプラカン県(注3)で27人の男女が一斉検挙されたという事件です。(詳細は6月10日のThe Nation)

 6月10日未明、事前に情報を仕入れていた警察は、覚醒剤パーティをやっているレンタルルームを捜査し合計27人の若者を逮捕しました。逮捕されたのは16歳から24歳の男女で、逮捕者全員の尿からメタンフェタミンが検出されました。

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 タクシン政権が強引な薬物一掃政策をおこなっていた頃は、「タイでは薬物入手が相当困難になった」と言われていましたが、わずか数年でそれ以前の「ドラッグ天国」に舞い戻ってしまいました。(その逆に、日本では北朝鮮ルートが減少したことから最近は覚醒剤が入手困難になってきているそうです)



注1 訳を一応「食べ物」としましたが、原文(英語)は「clams」です。貝がらの中にメタンフェタミンの錠剤が入れられていたのでしょうか。

注2 タイでは以前(90年代から2002年頃)は、アンフェタミンの錠剤が広く流通していましたが(これをタイ人はヤーバー(バカの薬)と呼んでいました)、現在はメタンフェタミンが押収されたという情報の方が多くなっています。

注3 サムットプラカン県とはバンコクに隣接する小さな県で、スワンナプーム空港のある県です。

(谷口恭)


2008年6月1日(日)

5歳未満の死因、エイズは18%


 ユニセフ(国連児童基金)は、5月28日、横浜市で開かれたアフリカ開発会議(TICAD)で、「アフリカ子供白書2008」を発表しました。(報道は5月29日の共同通信)

 白書によりますと、世界中で毎年、約1,000万人の子供が5歳の誕生日前に亡くなっており、そのうち半分の約500万人はアフリカの子供たちです。

 サハラ砂漠以南のアフリカの5歳未満児死亡率は1970年から2006年の36年間で約3分の1に減少しています。しかし、予防可能な病気での死亡がいまだに多く、死因の40%は下痢や肺炎です。

 マラリアとエイズはそれぞれ18%を占めています。

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 日本ではエイズとは成人の病気というイメージが強いですが、アフリカでは5歳未満の死因の18%を占めているということには注目すべきでしょう。

 もちろん、これはアフリカだけの事象ではなく、GINAが支援しているタイの子供たちにもHIV陽性の子供がいます。

(谷口恭)


2008年6月1日(日)

大阪が3分の1、献血のHIV


 2008年1月から3月に献血した人からHIVが発見されたケースが28人にも上り、過去最悪だった去年のペースを上回るペースで推移していることがあきらかとなりました。(報道は5月28日の医療タイムス)

 都道府県別では大阪が9人と、全国の約3分の1を占めています。

 1月から3月に献血をおこなった人は約124万人で、そのうちHIV陽性であることが分かったのは28人です。10万人あたりの陽性者は2.259人で、過去最悪だった昨年1年間の2.065人を上回っています。

 1位の大阪に続くのは、東京で4人、以下、3位が千葉の3人、4位が福岡の2人となっています。

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 当たり前のことですが、HIV感染の可能性がある人は献血の前に検査を受けるようにしましょう。

(谷口恭)


2008年5月26日(月)

クリニックで注射針の使いまわし


 島根県内のクリニックで、糖尿病患者に対する注射針の使いまわしが37人におこなわれていたがことが発覚し、5月21日に島根県が発表しました。(報道は5月22日、23日の共同通信)

 注射針を使いまわしされた37人のうち、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスを保有している人がそれぞれ1人ずつ見つかっています。

 このクリニックで使い回しをしていた器具には「複数患者使用不可」のシールが張られていましたが、院長も2人の看護師も「自動的に針が切り替わると思い込み、複数に使っても大丈夫と思っていた」と話しています。

 さらにこのクリニックでは、患者ごとに取替えなければならない別の注射器具でも使いまわしをしていたことが新たに発覚しています。(何人の患者に使われたかは不明)

 島根県は当初クリニックの名称を公開していませんでしたが、院長が記者会見をおこない、使いまわしの経緯を説明しました。

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 医療機関を受診する患者さんのなかには、院内での針の使いまわしを危惧されるような方もいますが、我々医療従事者からすると、針の使いまわしなど「あってはならないこと」というよりも、「考えられないこと」です。

 しかし、実際にこのような事件が報道されるのですから、患者さんが使いまわしを心配するのも無理もないことなのでしょう。

参考:GINAと共に 第21回 「院内感染のリスク」(2008年3月)


2008年5月25日(日)
福田首相、3大感染症に582億円を拠出


 5月23日に東京で開かれた国際シンポジウムで、福田康夫首相は、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に今後数年間で5億6千万ドル(約582億円)を拠出することを表明しました。(報道は5月23日の毎日新聞)

 福田首相は、挨拶で、「3大感染症は世界全体で毎年500万人の命を奪っている。地球規模での取り組みが不可欠だ」と述べました。これは、5月28日に横浜市で開催される「第4回アフリカ開発会議(TICAD4)」を前に、主催国として感染症の問題に率先して取り組むことを強調する狙いがあると見られています。

「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」は、2000年の九州・沖縄サミットで感染症が議題になったのを契機に設立されたという背景があります。日本の拠出金の合計は、今回の分を含めて14億1千万ドルとなり、米・仏に次いで世界3位となります。

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 世界第3位の拠出金を出していても、年々HIV感染が増えている国・・・。それが現在の日本です。

(谷口恭)


2008年5月25日(日)
日本、HIV感染が過去最多を更新


 厚生労働省のエイズ動向委員会は5月20日、2007年の新規HIV感染者が1,082人、新規エイズ患者(HIV感染がわかった時点でエイズを発症していた人)が418人で、ともに年間過去最多を更新したことを発表しました。

 感染者と患者の合計は1,500人になり、前年比142人の増加となります。2月発表の速報値では1,448人でしたから、これより52人が増えたことになります。

 1日当たりの発生数は4.1人で、初めて4人台になっています。

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 まったく珍しくなくなったHIV・・・。気になる方は早めに受診しましょう。

(谷口恭)


2008年5月6日(火)
バンコク、少年2人がレイプされ抗HIV薬を投与


 4月25日のBangkok Postによりますと、今月初め、少年2人が17歳の同性愛者の青年にレイプされるという事件が起こりました。

 襲われたのは7歳と8歳の少年です。犯人の青年はバンコク都内プラナコン区のインターネットカフェのトイレで8歳の少年をレイプしました。さらに数日後、今度は同区内の寺院のトイレで7歳の少年をレイプしました。これを目撃した人々が犯人を取り押させ警察に通報しました。

 被害者の少年2人を診察した医師によれば、2人の少年には肛門性交の痕跡があり、犯人がHIV陽性の可能性のあることから、抗HIV薬の投与がおこなわれました。

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 抗HIV薬は、HIV陽性者だけでなく、レイプや医療従事者の針刺し事故などで「HIVに感染したかもしれない」症例に投与されます。

 報道されないケースも含めると、レイプは決して少なくありません。これは日本でも同様です。現在の日本では、レイプが発生すると、妊娠の有無や性感染症のチェックはおこないますが、抗HIV薬の予防的投与はおこなわれないのが通常です。

 今後はこの事件のように、日本でも抗HIV薬の処方がおこなわれるようになるかもしれません。

(谷口恭)



2008年4月3日(日)
タイ赤十字、ゲイの献血を拒否

 日本赤十字と同様、タイでもタイ赤十字が献血を集めています。そのタイ赤十字が「今後ゲイ(男性同性愛者)からの献血は受け付けない」、という新しい規約を発表しこれが物議をかもしています。

 タイ赤十字によると、献血として採取した血液のなかにHIVが混入しているケースの多くがゲイによる献血であり、このため献血時の問診で、献血者が男性であれば、同性愛者でないかを確認しています。(女性の場合は、性交渉の相手が外国人でないかを確認するようです)

 タイ赤十字の関係者は、「タイ赤十字はWHO(世界保健機構)のガイドラインに基づいて今回の規約を決めた」、と発表しています。

 今回の発表に対し、タイの人権団体(National Human Rights Commission)は反対の意思を表明しています。憲法裁判所に持ち込むことも検討しているようです。

 この人権団体の委員長は、「タイ赤十字がしていることは性差別に等しい」、とコメントしています。

 しかしながら、タイの政治的な力も持つゲイの団体のある幹部は、ゲイの間でHIV感染が多いことを認め、タイ赤十字が決定したルールに従うことを表明しました。

 この幹部は、最近おこなわれた調査でバンコクの同性愛者の28%がHIV陽性であることを引き合いに出しています。

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 なかなかむつかしい問題だと思われます。

 ゲイのすべてがハイリスクであるわけではもちろんありませんが、全体としてみたときにはゲイの間でのHIV陽性率が高いのも事実です。

 この傾向は日本でも同じです。現時点では、日本赤十字は献血の際、協力者に「異性愛者か同性愛者か」などの質問はしていませんが、日本の献血された血液のなかにもHIV陽性のものが発見されていますから、いずれ同じ議論がおこなわれるようになるかもしれません。

(谷口恭)


2008年3月23日(日)
タイ、若年者のHIV感染が急増

 少なくとも1日40人が新たにHIVに感染している・・・

 タイのエイズ予防委員会がこのような発表をおこないました。(報道は3月20日のBangkok Post)

 同委員会は、新規感染者の大半が15歳から19歳の若年者であることを発表し、コンドームを使わずに複数のパートナーを持つ者が多いことを指摘しました。

 コンドームの使用に関するある調査では、大学生の13%、若いビジネスパーソンの9%しかコンドームを使っていないという結果がでています。

 

 かつては「100%コンドームキャンペーン」が成功しHIV感染を減少させたとされているタイでは、ここ数年、コンドームの使用率が急激に低下していることが問題になっています。

「100%コンドームキャンペーン」を立案し実施した「Mr.コンドーム」の異名をもつミーチャイ氏は、現在エイズ予防委員会の議長を務めており、「コンドームキャンペーンをやり直さなければ、タイの医療は崩壊するだろう」とコメントしています。

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 コンドームの使用ももちろん最優先課題ですが、タイの若年層では、複数のパートナー(タイ語で”ギグ”といいます)をもつことが一般的になってきています。もともと貞操観念の強いこの国でカジュアルセックスが普遍化していることも大きな問題だと思うのですが、なぜかそれを言う人は多くありません。

(谷口恭)



2008年3月23日(日)
意外に少ないマカオのHIV

 船上カジノに高級売春婦・・・

 マカオに対してこのようなイメージを持っている人は少なくないでしょう。

 最近は経済も活発で好景気のマカオには、アジア諸国から多くの売春婦が集まってきています。当然、HIV感染も増えていることが予想されますが、実際はそうでもないようです。

 3月11日のCHINA Dailyによりますと、2007年のマカオでのHIV新規感染は21人でした。これは、2006年と比較すると25%の減少となります。人口52万人のこの島で1986年以来のHIV感染者は391人となっています。感染経路はほとんどが異性間性交渉とみられています。

 マカオのHIV感染が少ないのとは対照的に、お隣の香港では感染者が増加しています。2006年と比較して2007年は11%新規感染者が増えています。

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 香港では新規感染が増えて、マカオでは減っている・・・

 この事象をうまく説明できる理由が私には見当たりません。

 尚、参考までにUNAIDSの最新データでは、2007年のアジア全域でのHIV陽性者は約490万人、そのうち約44万人が2007年に感染した人、エイズで死亡したのは約30万人、感染経路の大半は薬物の静脈注射とコンドームを用いない性交渉です。

(谷口恭)



2008年3月23日(日)
米国、梅毒が7年連続で増加

 3月13日のReuterによりますと、アメリカでは7年連続で梅毒の感染が増加していることが明らかとなりました。

 感染者のなかでゲイ(男性同性愛者)と黒人の占める割合が増加していることも注目されています。

 アメリカでは新たに梅毒に感染した人が2007年の一年間で11,181人となっています。このなかでおよそ6割がゲイです。1999年は、梅毒感染者のなかでゲイの占める割合が5%でしたから急激にゲイの間での感染が広がっていることになります。

 全体の感染者数をみると、2006年から2007年で約12%の増加、2007年は人口10万人あたり3.7人となります。2000年には人口10万人あたり2.1人でしたから、2000年から2007年では76%の増加となります。

 黒人だけでみてみると、男性では人口10万人あたり22人で25%の増加、女性では人口10万人あたり5人で12%の増加となっています。

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 たしかに梅毒の感染者は日本でもゲイに多いような印象がありますが、ここ数ヶ月は、少なくとも関西では、女性とストレートの男性にも広がってきています。

 梅毒の感染力は極めて強くコンドームを用いていても完全に防ぐことはできません。けれども早期発見であれば簡単に治すことができます。

 気になる人は早めに受診しましょう。

(谷口恭)



2008年3月2日(日)
ミャンマーとベネズエラが世界最悪のドラッグ元

 米国の国際麻薬管理戦略会議(International Narcotics Control Strategy Report for Congress)が、世界で最も違法薬物の供給元となっている国としてミャンマーとベネズエラを名指ししました。(報道は3月1日のBangkok Post)

 報告では、ベネズエラがヨーロッパと米国への薬物供給の最大の窓口となっていることを指摘しています。

 また、ミャンマーはアジア諸国への最大の供給国であり、なかでもメタンフェタミン(覚醒剤)の最大の産生国であることが指摘されています。

 ミャンマーでは近年ケシの栽培が減っているのは事実ですが、その代替品として(覚醒剤などの)合成薬物の製造が急増していることも報告されています。

 ベネズエラとミャンマー以外で、薬物の製造もしくは販売国として名指しされたのは、アフガニスタン、バハマ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エクアドル、ガテマラ、ハイチ、インド、ジャマイカ、ラオス、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、パナマ、パラグアイ、ペルーです。

 

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 今回の報告では北朝鮮が挙げられていませんが実際はどうなのでしょう。少し前までは日本に流通しているメタンフェタミンの大半が北朝鮮製だと言われていました。

 最近の覚醒剤は価格が上がって質が落ちているとの噂がありますが、これは質のいい北朝鮮製が入りにくくなってきて、ミャンマー製の高品質でないものが入ってきているからなのでしょうか。

 いずれにしても、産生国での取締りと同時に、港や空港での管理も徹底してもらいたいものです。

(谷口恭)


2008年2月29日(金)
中国でHIV新規感染が急増

 2月22日のReuterによりますと、中国での2007年のHIV新規感染が前年に比べて45%も増加しています。これで2007年の中国のHIV陽性者総数は約70万人となります。

 また、梅毒は前年に比べて24%の増加だそうです。

 中国のHIV陽性者総数については、国連は次のような試算をしています。(報道は2月23日のThe Independent)

「もしも中国政府が抜本的な対策をとらなければ、中国でのHIV陽性者は2010年までに1千万人になるだろう」

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 中国では、これまで「HIVは外国人のもの」と誤った認識が世論に浸透していました。また、「HIVは箸の共用で感染する」「握手をすればHIVに感染する」などといったことを信じている人が少なくありません。

 現在の中国でのHIV感染ルートで最も多いのが、異性間の性交渉です。地方から建築業などで出稼ぎにきているおよそ2億人の男性がハイリスクグループとされていますが、これはコンドームを用いない性交渉(unprotected sex)が減らないからです。

 同時に地方から売春婦として出稼ぎにきている女性たちももちろんハイリスクグループです。

 HIVだけではありません。報告にもよりますが、中国のB型肝炎ウイルス陽性者は最大で1億2千万人になるとの試算もありますし、C型肝炎ウイルスに関してはデータそのものが存在しません(私はみたことがありません)。

 一方、日本人男性をみてみると、中国に出張し容易に現地女性と性交渉をもつ男性が急増している印象があります。

 今後、「中国で仕事をする日本人」がハイリスクグループと呼ばれるようになるかもしれません。

(谷口恭)

 

2008年2月29日(金)
HIVで汚染された注射器を使った強盗

 21歳の女性が、HIVで汚染された注射器で脅されて金銭を奪われたという事件が、2月3日、イギリスのエディンバラで起こりました。(報道は2月5日のBBC NEWS)

 報道によりますと、20代前半と思われるブロンドの長い髪の女が、被害者の女性に近づき、針がついた注射器をつきつけ、HIVに感染させると言って脅しました。被害者の女性が現金を渡すと女は逃げていったそうです。

 警察は現在容疑者の行方を追っています。

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 世界ではときどきこのようなニュースが報道されています。注射器さえあればこのような強盗は誰にでもできる可能性があり今後も増えていくかもしれません。

 警察にはなんとしてでも犯人を逮捕してもらいたいと願います。

(谷口恭)

 

2008年2月29日(金)
タイの薬物対策が加速する見込み

 2月24日のBangkok Postによりますと、サマック首相は、薬物対策を徹底して実施することを繰り返し主張し、タイ政府は密売人を厳しく検挙する方針をとることを発表しました。

 密売人を検挙する方法のひとつとして、「裁判外の死刑(extrajudicial killing)」も辞さないとしています。これは、つまるところ、密売人を見つければ逮捕状をとらなくてもその場で死刑にすることができるという意味です。

 Bangkok Postはサマック首相の次のコメントを報道しています。

「政府の薬物対策を徹底するためには、裁判外の死刑が不可欠であり、この死刑に対しては警察が責任をとり合法であることを世論に理解してもらいたい」

 サマック首相はさらに続けます。

「裁判外の死刑で、事実関係を争うために警官が裁判所に出廷しなければならなかったのはわずか59件しかない」

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 我々日本人の感覚からすると少し理解に苦しみます。

 実際、タイは前政権(タクシン政権)の薬物対策で多くの冤罪を生み出していると言われており、冤罪者の人数は2,500人から5,000人になるとの指摘もあります。

 なかには宝くじで高額を手にした若い夫婦が、薬物売買で不当な金を手に入れたと警察に誤解されその場で射殺されたという事件も報道されています。

 現在、タイではありとあらゆる違法薬物が大量に流通しており、徹底した対策を取らなければならないのは事実ですが、「裁判外の死刑(extrajudicial killing)」と言われると、違和感を覚えます。

(谷口恭)

 

2008年2月19日(日)
タイ、10万錠の覚醒剤が押収

 2月16日のBangkok Postによりますと、この日、タイ鉄道警察は、チェンマイ発バンコク行きの電車の中で10万錠のメタンフェタミン(覚醒剤、”スピード”)を押収しました。尚、逮捕者は出ていません。

 垂れ込みを受けて、鉄道警察はナコンサワン県で乗客シートの上に置かれていたカバンを押収し、その中に覚醒剤が見つかりました。カバンの持ち主は特定できていませんが、残された指紋から容疑者を割り出すことが可能であると、鉄道警察はコメントしています。

 警察によりますと、この覚醒剤はミャンマーの少数民族が製造した可能性が高く、末端価格はおよそ3千万バーツ(約9千万円)だそうです。

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 GINAではしばらく、この手のニュースを報告していませんでしたが、クーデター以降違法薬物の流通が大幅に増えています。最近は、大学生や若い会社員の間にも浸透しており、かつての”ドラッグ天国”に舞い戻ってしまったように思われます。

(谷口恭)

 

2008年2月17日(日)
日本のHIV陽性者、またもや最多記録を更新

 厚生労働省のエイズ動向委員会が、2月12日、2007年に新たに報告されたHIV感染者及びエイズ発症者の数を発表しました。

 発表によりますと、2007年に新規にHIV感染がわかった人が1,048人、すでにエイズを発症していた人が400人で、合計1,448人となります。これは過去最多であり、感染者・発症者の合計報告数は2003年以降、5年連続で最多を更新し続けています。

 1,448人の内訳は、男性が1,336人、女性が112人。感染経路は同性間の性的接触が849人、異性間の性的接触が367人、薬物の乱用によるものは6人です。年代は、30代が568人と最多で、20代348人、40代292人と続いています。

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 報告から分かることは、日本のHIVの傾向として、男性同性愛者に多いことと、薬物の乱用が極端に少ないということです。

 しかし、ハイリスクの人すべてが検査を受けているわけではありません。特に薬物乱用がわずか6人というのは少なすぎるように思われます。

 いろんなところで指摘しましたが、日本は世界有数の”ドラッグ天国”です。また、私の印象で言えば、同性愛者に比べて異性愛者は性感染症に対する意識が低いように思えます。

「男性同性愛者に多い」「薬物乱用者が少ない」ということを裏からみれば、「(リスクのある性行為をしている)異性愛者」と「薬物乱用者」の意識が低いという言い方ができるのではないでしょうか・・・。

(谷口恭)

 

2008年2月7日(木)
2人の少女にHIVを感染させた男が有罪に

 自らがHIV陽性であることを知りながら、2人の未成年の少女と性交渉をもち、HIVを感染させた男性が懲役14年の判決を受けました。(報道は2月2日のBBCニュース)

 判決を受けた加害者は32歳のイギリス人男性で、幼少時にスウェーデンに移住しており、逮捕され有罪を受けたのはスウェーデン内です。

 この男性はインターネットを通じて知り合った複数の女性と性交渉をもち、すでに16人の女性に合計213,000ポンド(約4千5百万円)の補償金を支払うことが命じられています。

 16人のうち2人は未成年で、不幸なことにこの2人ともHIVに感染していることが判明しています。(尚、スウェーデンでの「未成年」とは15歳未満です)

 スウェーデン当局は、他にもHIVに感染したかもしれない女性が少なくとも130人いるとみており、インターネットのチャットルームを通じて被害者を探しています。

 この男性が逮捕されるきっかけとなったのは、この男性のアパートの管理人が偶然、男性の部屋で抗HIV薬と若い女性と性交渉をもっている写真を見つけたことによります。

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 海外、特にヨーロッパやオーストラリアではこの類の報道がときどきおこなわれていますが、いずれ日本でも問題になるかもしれません。

 今のところ、日本にはHIV陽性であることを隠して性交渉をもった場合に罪が適用される法律はないようです。感染させた場合は傷害罪の適用が議論されることになるようですが、早い段階での法整備が必要になるかもしれません。

(谷口恭)

 

2008年2月5日(火)
マハラシュトラで婚前HIV検査が義務化?

 1月31日のBBCニュースによりますと、インド中西部の都市マハラシュトラで、結婚する前に全員がHIVの検査を受けることを義務づける法案が州議会を通過する可能性がでてきました。

 もしもこの法案が制定されれば、インド初の婚前HIV検査義務化ということになります。2006年には、インド南部のアンドラプラデシで同じような法案が審議されましたが、そのときは反対意見が多く法案は見送られました。

 この法案をめぐって、賛成意見と反対意見があります。

 賛成する人々は、HIVに対する意識の低さとこの州の感染率の高さを理由にあげています。

 これに対し、反対の意思を表明している人権派の法律家たちは、「あらゆる検査は強制的であってはならない」としこの法案に不快感を示しています。

 インドの国民エイズ管理組織(National AIDS control organization)が定めるガイドラインには、「誰であってもHIVの検査を強制されてはならない」と定められています。

 一般の人々はどうでしょうか。

 BBCニュースは、夫からHIVに感染したひとりの女性の声を報道しています。この女性はBBCの取材に対し、次のようにコメントしています。

「私の夫はHIV陽性であることを隠して私と結婚したの。そしてエイズで死んだわ。夫はエイズを発症して初めて自分がHIVに感染していることを私に話したの。私の結果はHIV陽性。私はだまされ、私をだました男は死んだってわけよ」

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 HIV検査を強制、というのは無理があるように思われます。しかしながら、この地域のHIVに対する低い関心と高い感染率があるのも事実なようです。

 ならば、別の方法でHIV検査を促す方法を考えられないものでしょうか・・・。


(谷口恭)


2008年2月1日(金)
DAYS JAPAN 2月号 寄稿

 DAYS JAPAN 2月号にGINA代表 谷口の記事「アジアに蔓延するHIV」が掲載されました。とても興味深い内容です。是非お買い求めください。お問合せは株式会社デイズジャパン

2008年2月1日(金)
月間同和教育 であい 寄稿

 月刊同和教育 であい ・人権文化を拓くに、ちょふの「今日の世界における最悪の病」が掲載されました。お問合せは全国同和教育研究協議会


 

2008年1月31日(木)
タブーに挑戦するネパールのラジオ番組

 ネパールは、人口およそ2千6百万人の山に囲まれた国で、国民の大半がヒンズー教徒です。

 ヒンズー教の影響だけではないかもしれませんが、ネパールは東南アジアの国々でも最も保守的な国のひとつです。


 この保守的な国では、セックスやHIVの話をオープンにしづらい環境があります。そのせいで正しい知識が普及しておらず、結果としてHIVが蔓延しているという現実があります。

 そのネパールで、”Chatting with my best friend”というタイトルのラジオ番組が現在注目されています。

 1月9日のロイター通信によりますと、この番組のリスナーが増加しており、毎月1,500通以上の手紙が番組に寄せられるそうです。なかには、HIV陽性者からの質問などもあり、番組のパーソナリティが質問に答えることもあるそうです。

 ロイターの取材に答えたリスナーのひとりは次のようにコメントしています。

「はじめはこの番組を家族で聞くことに恥ずかしさがあった。けど今は問題ないよ。だって、この番組が取り上げている問題のいくつかは僕らが直面していることだからね」

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 現在ネパールには、約7万人のHIV陽性者がいると言われています。

 また、同性愛に対しても非常に保守的な国で、同性愛というだけで最長1年間の懲役刑が課せられます。

 反対意見も多いでしょうが、そのネパールでこのような番組ができたことは評価されるべきでしょう。

(谷口恭)

 

2008年1月31日(木)
豪の男性セックスワーカーが逮捕

 1月30日のNEWS.COM.AUによりますと、41歳の男性セックスワーカーが今月初旬に逮捕され、現在ACT(オーストラリア首都特別地域)の裁判所で審議がおこなわれています。

 証言した医師によりますと、この男性は遅くとも1999年にはHIVに感染していることが分かっており、少なくとも250人の顧客と性交渉をもっているようです。

 当局は、実際には250人ではなく、それ以上の顧客がいるという可能性も考えています。また、コンドームを用いない性交渉をしているケースも多数あるとみています。

 この男性は、キャンベラの新聞などに個人売春の広告を載せていましたが、当局へのセックスワーカーの届出はおこなっていませんでした。

 現在、当局は、この男性と性交渉をもった顧客に対し、HIVの検査とカウンセリングを受けるように呼びかけています。

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 ”個人売春の広告”、”セックスワーカーの届出”というのは、さすが先進国だなぁ・・・と関心してしまいます。それが、男性のセックスワーカー(ウリセン)というのですからさらに驚きます。

 それに、この男性セックスワーカーと性交渉をもった人全員に、無料のHIV検査とカウンセリングをおこなうというのですから、行政の柔軟さと迅速さに感動してしまいます。

 日本とは大違いですね・・・

(谷口恭)


 

2008年1月31日(木)
ドバイでレイプされた14歳の仏少年

 HIV陽性者がHIVを隠して性交渉をおこなったニュースを過去に何度かお伝えしてきましたが、それがレイプであれば問題は大きくなります。そして、それが同性愛者による同性愛者のレイプであれば・・・。さらにそのレイプがイスラム圏であったとすれば・・・。

 1月18日のCNNによりますと、昨年7月、ドバイを旅行中のフランスの14歳の少年が男性同性愛者に誘拐されレイプされるという事件がおこり、評決が下されました。

 この少年の母親はフランスのジャーナリストであり、メディアの前でこれまでの経緯を報告しています。

 逮捕されたふたりの男性(年齢・名前は公表されていません)のうちひとりがHIV陽性であることが分かっています。レイプにより少年にHIVが感染したかどうかが注目されていましたが、結果は”陰性”、少年にHIVは感染していませんでした。

 母親は、少年には精神的な治療が必要としながらも、この結果には喜びを表明し、「息子は人生を前向きに歩んでいけるだろう」とコメントしています。

 しかしながら、ジャーナリストでもあるこの母親はドバイの裁判に対して問題点を指摘しています。

 裁判の最初に証人として法廷で証言をおこなった医師が、少年が同性愛者であることを述べています。

 イスラム圏であるドバイでは、同性愛は罪であり、起訴されれば最長1年の懲役が課せられます。(フランス国籍のこの少年が有罪となるかどうかは報道されていません)

 母親は、被害者の少年が同性愛者であるということが評決に影響を与えている可能性があることを指摘し、懲役15年という判決は適切でないとコメントしています。

 ただ、この評決を受けて、ドバイ政府はレイプ被害者のためのクリニックを設立することを決めて、これは「この母親の小さな勝利である」と現地メディアは報じているようです。

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 なぜ同性愛が罪になるのでしょう・・・。世界中に12億から15億人もの信者がいると言われているイスラム教が同性愛を禁じているということが、非常に奇異に感じられるのは私だけでしょうか・・・。

(谷口恭)


2007年12月6日(木)
ピアエデュケーションプログラムVOl.1開催 @大阪市内中学校

 大阪市内の中学校にGINAサイトでおなじみ陽性遍歴のちょふが出向き、中学生3年生にHIV/AIDSについて話をしてきました。 海外ではよく耳にするこのピア・エデュケーション。新規感染者数が増加し続けているこの日本にも必要と考えるGINAは今後も陽性者のちょふをあちこちに派遣して行く予定です。今回の中学生を対象としたプログラムは、12月7日付毎日新聞の朝刊の一面に掲載されました。

 

2007年11月28/29/30日(水~金)
第21回日本エイズ学会学術集会・総会 参加

 広島で行われた第21回日本エイズ学会学術集会・総会にGINAとして参加、ブースの展示を行ってきました。また会期中、GINA代表の谷口もタイのセックスワーカーについての発表を行いました。
GINAブースです。とても目立ってましたよ!

 

2007年9月25日(火)
タイの子宮けい癌のキャンペーン

 タイではHIVと並んで子宮けい癌が深刻な状況となっています。

 毎年6千人以上の女性が子宮けい癌と診断され、約3千人がこの癌によって死亡しています。タイでは45歳から50歳が好発年齢となっています。

 子宮けい癌はPAPと呼ばれる簡単な方法(子宮の入り口を綿棒で軽くこするだけ)で検査をすることができます。そして、35歳以上の女性は5年ごとにこの検査を受けることが推奨されています。(日本では一般的に年に一度は受けるよう推奨されています。しかし、実際に検査を受けている人はタイと同様それほど多くなく、日本でもこの癌に罹患する女性は年々増えているというデータもあります)

 タイ保健省は75県で、このPAP検査を促すようなキャンペーンを考案しており、80万人の女性に検査を受けてもらうことを目標としています。昨年は、目標にはほど遠く、実際に検査を受けたのは、435,995人と全体の54%に過ぎませんでした。

 昨年検査を受けた女性のうち、6,276人が子宮けい部に異常細胞が見つかり、5,892人が癌の早期の段階で(この状態までに見つかれば子宮を摘出することなく治せます)、384人が進行癌の状態でした。

 タイでは2004年に子宮けい癌対策が開始され、5年後にこの癌の罹患者を半分にするという目標が掲げられています。

 タイでは、子宮けい癌の原因が世間一般に認知されておらず、またPAP検査を不快に感じている女性が多いと言われています。

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 子宮けい癌の原因は、もちろんヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染ですから、コンドーム使用によってある程度の減少は見込めるはずです。

 PAPについては、内診台で腟内に腟鏡を入れられることにたしかに抵抗があるでしょうが、慣れてしまえばそれほど恐れることはありません。

 タイでは今年からHPVのワクチンが認可されましたが、価格が高いために広く浸透するまでに何年もの時間がかかるでしょう。

 一方、日本では、そのワクチンは認可すらされていない状態です。(他のワクチンと同様、日本はワクチン後進国なのです)

 であるなら、タイでも日本でも定期的なPAPが最も有効であることがもっと認知されなければならないでしょう。

2007年9月25日(火)
タイ、来月から大規模エイズキャンペーン

 9月24日のThe Nation(タイの英字新聞)によりますと、タイでは来月から大規模のエイズキャンペーンが展開されるようです。このキャンペーンは、"Mr.コンドーム"として有名なミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai Veravaidya)氏が中心になっておこなわれます。(ミーチャイ氏は、90年代初頭にコンドームの無料配布をおこないHIV感染の上昇を阻止したことで有名です)

 ミーチャイ氏は、The Nationの取材に以下のようにコメントしています。

 「タイ健康促進基金(Thai Health Promotion Foundation)は、3千万バーツ(約1億円)の予算で予防啓発をおこなうことに同意した。さらに、来年は4億7千万バーツの予算が割り当てられることになっている。キャンペーンでは単にパンフレットをつくるだけでなく、テレビやラジオを通しての啓蒙もおこなっていくつもりだ」

 ミーチャイ氏は、これまでも同基金が予算の計上に同意していたのにもかかわらず、政府が有効な対策をとってこなかったことを指摘しています。

 氏は続けます。

 「政府のせいで、最近のタイのHIV新規感染率は上昇している。我々は以前、コンドームを無料で配布することで感染の拡大を阻止できた。けれども今、若者たちはコンドームを買わなくてはならない。多くの若者は、コンビニや薬局の棚からコンドームを取ることに恥ずかしさを感じている。それが結果としてコンドームを用いないセックスをおこなうことにつながっている」

 ミーチャイ氏は、若者や地方の行政に働きかけることによって、今後、タイでのHIV新規感染が劇的に減少することを確信しているといいます。

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 パンフレット、テレビのCM、などと言われると、「ありきたりだな・・・」と思ってしまいますが、実績のあるミーチャイ氏が言えば説得力があります。

 以前タイのテレビで、ミーチャイ氏が小学生と一緒に風船のようにコンドームを膨らませている姿を見たことがあります。

 いったん、減少しかけたHIV感染者が(特に若い世代で)再び増加に転じているタイを正しい方向に導くのはミーチャイ氏を置いて他にはいないのかもしれません。

2007年9月25日(火)
大麻ユーザーも精神疾患になりやすい!

 覚醒剤や麻薬をやりすぎると、精神的に異常をきたすのは明らかですが、大麻(マリファナ、ハシシ、ガンジャなど)は、これまで安全ではないかと言われてきました。

 大麻には依存性もなく、タバコやアルコールの方がよほど有害なのではないかとも言われてきました。

 オランダでは大麻が完全に合法であることはよく知られていますし、日本も含めて大麻が遺法な国でも、覚醒剤や麻薬に比べると大麻使用の罪は格段に軽いと言えます。インドでも一部の州では合法ですし(外国人が使用すると一応は遺法ですが実際は野放しの地域も少なくありません)、カンボジアでは伝統料理に大麻が使われています。尚、カンボジアの一部の地域では、タバコを買えない貧民が大麻を吸う地域もかつてはあったそうです。

 しかし、「大麻の使用が身体に有害で、精神疾患になりやすい」という報告がついに発表されました。

 科学誌「Lancet」の2007年7月28日号によりますと、大麻使用と精神疾患リスク上昇の間に有意な関係が見出されました。

 研究者は、大麻の使用と精神疾患の関係を評価していた35件の文献を選出し、それらをメタ分析しました。(メタ分析とは、わかりやすく言えば、各々の研究を総合的に再評価する方法です)

 この分析によりますと、程度にかかわらず大麻使用歴があると、あらゆる精神疾患のリスクが上昇していることがわかりました。精神疾患とは、具体的には、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、精神性障害、感情性精神病、悲感情性精神病、特定不能の精神病、妄想、幻覚、思考障害、感情障害、気分障害、双極性障害、特定不能の感情障害、うつ病、自殺念慮または自殺企図、不安、神経症、躁病などです。

 また、大麻の使用回数が多い人ほどリスクが高いという結果がでています。

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 使用回数が多いほどリスクが高いというのは感覚的に理解できることですが、「程度にかかわらず使用歴があるとリスクが上昇する」、というところが興味深いと言えるでしょう。

 大麻は、日本国内にいても比較的簡単に入手することができますし、一部の地域では自然に生えているところもあります。また、自宅での栽培もやろうと思えばできないこともありません。(ときどき警察に摘発されています)

 この研究が、興味本位で大麻に手を出す若者への警告となることを期待します。

2007年8月23日(木)
タイの主婦層のHIV感染を国連が危惧

 現在、第8回ICCAP(アジア・パシフィック国際エイズ学会)がスリランカのコロンボでおこなわれています。そのオープニングで、UNAIDS(国連エイズ合同企画)の副委員長であるデボラ・ランディ(Deborah Landey)氏が、現在のタイのエイズ事情について警告を発しました。(報道は8月21日のバンコクポスト)

 「現在のタイでは主婦層の間でHIV新規感染が急速に広まっている。直ちにこの問題に対する介入がおこなわなければならない」

 ここ数年、タイでは年間およそ18,000人が新たにHIVに感染しており、その4割は主婦です。従来ハイリスクグループと呼ばれてきた男性同性愛者が28%、売春婦が10%ですから、いかに主婦層での感染が多いかが分かります。

 ほとんどの主婦は、女グセの悪い旦那(promiscuous husbands)から感染させられています。

 この事態に対し、タイのモンコル保健相は、「ファミリー・コンドーム・キャンペーン」なるものを計画しています。これは夫婦間にもコンドームを使うよう促すものです。

 UNAIDSのランディ氏は、主婦層の感染がタイだけではないことも述べています。HIVに新たに感染したパプアニューギニア人の約半数、カンボジア人の少なくとも46%は主婦だそうです。

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 タイの主婦層に感染が増えているというのはGINAの活動を通しても実感できるのですが、「ファミリー・コンドーム・キャンペーン」が解決策となるかどうかは疑問です。

 はたして、主婦が夫に、「あなたのことが信用できなからコンドームを使ってね」などと言えるでしょうか。

 もうひとつ気になる点は、新たにHIVに感染した主婦は、本当に夫から感染したのかということです。GINAが昨年おこなったフリーの売春婦(independent sex workers)に対する調査では、売春婦の3人に1人は主婦でした。

 家庭内の対策だけでなく、主婦の売春という問題にも目を向けるべきではないかと思われます。つまり、貧困から売春をせざるを得ないという社会背景にも注意を払わなければならないということです。

参考:タイの主婦へのHIV対策(2006年9月11日)

2007年8月22日(水)
堺市の倉庫で大量の薬物押収   谷口 恭

 すでに各マスコミが報道しているように、8月13日、大阪府堺市の倉庫で大量の覚醒剤や大麻などが押収されました。大阪府警薬物対策課は、この事件を中国やカナダにまたがる国際的な密輸組織の犯行の疑いがあるとみているようです。

 逮捕された中国人4人は中国本土からの指示で、大阪港で陸揚げされた積荷を受け取り、倉庫に移すだけの「運び役」だったようです。府警は日本の暴力団も関与しているとみています。

 この事件で驚くのは押収された薬物の量です。覚醒剤が約155キロ(末端価格約93億円)、乾燥大麻約280キロ(同約11億円)、MDMAの錠剤68万錠(同約27億円)で、いずれも昨年1年間の国内押収量を上回っています。

 昨年の国内の薬物押収量は、覚醒剤140キロ、大麻196キロ、MDMA115,000錠です。1999年には覚醒剤だけで1,450キロが押収されていましたから、北朝鮮ルートが減少したせいで薬物の輸入は減っているとみられていました。

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 需要があるから供給があるという考え方もありますが、違法薬物の場合、供給があるから需要があるという側面も無視できません。ひとときだけとはいえ、恍惚感、高揚感などを簡単に手に入れることのできる薬物は、かなりの強い意志をもつ人でさえもその甘い誘惑に負けてしまうことがあります。

 私個人としては、薬物対策にもっと多額の資金を導入し、国内対策だけでなく、他国と協力し世界規模で薬物シンジケートの撲滅に力を入れてもらいたいと考えています。

2007年7月30日(月)
リビアのHIV院内感染、真実の行方は(第6報)   谷口 恭

 HIVを故意に感染させたとして、リビアで死刑宣告を受け拘留されていた6人の医療従事者についての事件を過去5回に渡ってお伝えしてきましたが、ようやく終焉を迎え、世界中のメディアが一斉に報道しています。(なぜか日本のメディアはあまりとりあげませんが・・・)

 7月24日のロイター通信によりますと、拘留されていた1人のパレスチナ人の医師と5人のブルガリア人の看護師が8年ぶりに解放されました。そして、これにより、長い間うまくいっていなかったリビアと西洋諸国との国際関係が好転するのではないかと見られています。

 ここにきて交渉がうまく進んだのは、今年の1月、ブルガリアがEUに加わり、EUとリビアが何度も交渉を重ねたからです。

 EUの提示した条件は、院内感染した400人以上の子供たちをヨーロッパ内の病院で生涯にわたりケアをし、さらに問題の院内感染がおこったベンガジ(Benghazi)にリハビリ機能の備わったふたつの病院を建設するというものです。

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 今回の取り決めでは、EU側は感染した子供たちの生涯にわたるケアと病院の建設で巨額な費用を捻出することになりましたが、リビアが要求を最後まで撤回しなかった家族への慰謝料約4億6千万ドル(約555億円)は支払わないこととなりました。

 拘留され死刑判決を受けた6人の医療者が問題の病院に勤務する前から子供たちにHIVが感染していたのは科学的に明らかだったわけですから、慰謝料の支払いというのはスジが通らなかったのです。

 一方、リビア側も感染した子供たちのケアはEUにまかせられることとなり、近代的な病院も建ててもらえることとなり、さらに西洋諸国との関係が改善される運びとなりましたから双方にとって利益のある取り決めになったといえるでしょう。

 それにしても、無茶苦茶な理由で死刑宣告までされた6人が自由の身になり本当によかったと思います。今後は、院内感染がおこらないようリビア政府に徹底してもらいたいものです。
 
参考:
リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(第5報)」2007年1月31日
リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(第4報)」2007年1月22日
リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(第3報)」2006年10月30日
リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・(続編)」2006年9月22日
リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・」 2006年8月10日

2007年7月30日(月)
HIVをうつされた女性が「死ぬまで彼を愛します」   谷口 恭

 自らのHIV感染を知りながら、それを恋人に伝えず、危険な性行為を繰り返して感染させてしまった38歳の男性が逮捕され、現在オーストラリアのヴィクトリア州で裁判がおこなわれています。

 この男性は、2000年の11月にひとりの女性と知り合い、2004年のバレンタイン・デイに自らの手紙で別れを告げるまで交際を続けていました。その間、自身がHIV陽性であることを告げずに、危険な性行為(unprotected sex)をおこない、その女性に感染させたのです。(女性の名前、年齢などは公表されていません)

 HIVを感染させられたその被害者の女性が法廷で証言をおこない、これを7月10日のnews.com.auが取り上げています。女性は被告の男性からHIVに感染させられたことを認めたうえで、次のようにコメントしています。

 「私は死ぬまで彼を愛します・・・。彼が私にしたことは忘れない・・・。けど、私は彼を許します・・・」

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 「死ぬまで彼を愛します」の原文は、I will take my love for him to the grave.です。この女性の真の気持ちが、純粋な愛情なのか、憎悪の裏返しなのか、また、現在の精神状態が安定しているのかそうでないのか、などについては報道からは分かりません。

 オーストラリアやヨーロッパのメディアではこの手の記事を頻繁に見かけます。近い将来、日本でも同じようなニュースが増えてくるでしょう。

2007年7月17日(火)
中年男性のHIV陽性者が売春女子大生に”復讐”   谷口 恭

 遺跡で有名なタイのアユタヤ県といえば、17世紀には日本人街があったこともあり、現在も日本人に人気のある観光地ですが、このアユタヤ県の警察のホームページに書き込まれたひとつの情報が物議を醸しています。

 7月15日のバンコク週報によりますと、アユタヤ県警のホームページに、「アユタヤ県在住のHIV陽性の50歳の男性が、穴のあいたコンドームを使って売春女子大生に”復讐”をしている」との書き込みがあったそうです。書き込みにはこの男性の名前も入っており、その男性は実在する人物だそうです。

 アユタヤ県警はこれを重要事件ととらえ、この書き込みをおこなった人物に対する事情聴取を検討しているそうです。

 一方、この男性の医療記録が存在するアユタヤ県の保健所は、「個人データを公表することはできない」として、マスコミの取材を拒否しているようです。

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 この事件の詳細を探ろうと、Bangkok PostとThe Nationの双方をくまなく調べましたが見つかりませんでした。おそらくタイ・ラットあたりの大衆紙が出所だと思いますが、こういう”復讐”はまんざらあり得ない話でもないと思われます。

 コンドームは自分で用意する・・・

 これがとりあえずの対処法でしょう。

2007年7月17日(火)
オーストラリアのコメディアンがC型肝炎について失言   谷口 恭

 オーストラリアには「Rove」というタイトルのコメディ番組があります。(私は見たことがありませんが・・・)

 その「Rove」に出演しているピーター・ヘリアー(Peter Helliar)というコメディアンが、C型肝炎ウイルスに関する失言をして正式に謝罪をおこなったようです(報道は7月3日のNEWS.COM.AU)

 このコメディアンは、番組のなかで、ゲストとして参加していたアメリカの女優パメラ・アンダーソンに対して、「40回目の誕生日プレゼントに何がほしい?」と尋ねた次に、「去年はC型肝炎ウイルスをもらったんだよね・・・」というジョークを言いました。

 これに対し、肝炎の患者会がこのコメディアンに対して抗議をおこない、これを受けたコメディアンが謝罪をしたというわけです。

 肝炎の患者会の代表者は次のようにコメントしています。

 「C型肝炎ウイルス保有者は日頃からいわれのない差別を受けています。今回のコメディアンの失言に大変傷つけられました」

 オーストラリアには、現在約26万人のC型肝炎ウイルス陽性者がいます。毎年およそ1万人が新たにこのウイルスに感染しています。

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 肝炎の患者会は、次のようにもコメントしています。

 「これがHIVであっても同じようなジョークとなるのかしら・・・」

 このコメントの真意は、世間はHIVについては敏感になっているけれどもC型肝炎ウイルス陽性者も同じような社会の偏見にさらされている、というものでしょう。
 
 たしかに、HIVとC型肝炎ウイルスは感染経路も同じですし(性感染と血液感染)、ときに治療が困難である点も共通しています。HIVにはすぐれた薬がありますが、C型肝炎ウイルスは特効薬として使われているインターフェロンも無効例が多く、HIVとC型肝炎ウイルスに重複感染した例では、エイズの発症は防げたけれどもC型肝炎が進行して命を落とすようなケースも少なくありません。

 参考までに、日本のC型肝炎ウイルスの保有者は最大で200万人と言われています。

2007年7月17日(火)
インドのHIV陽性者は本当は少ない?   谷口 恭

 インドのHIV陽性者は2005年末に570万人に達し世界一位になった・・・

 これが昨年5月30日のUNAIDS(国連合同エイズ計画)の報告です。

 ところが、UNAIDSはこれをくつがえす報告を7月6日におこない議論を呼んでいます。

 新しい報告では、インドのHIV陽性者は247万人で、昨年の発表の半分以下の数字となっています。これにより、南アフリカとナイジェリアに次ぐ世界第3位となります。

 また、成人の感染率は、昨年の報告では1.1%でしたが、新しい試算では0.36%となります。

 なぜこれほどの違いが生じているか、と疑問が出てきますが、これは調査方法が異なることによるものです。

 前回の国連が採用していた調査方法は、妊婦及びドラッグ・ユーザーや売春婦などのハイリスクグループの陽性率から算定するというものです。今回の調査では、102,000人の一般人の血液検査から試算しています。

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 今回の新たな数字の方に信憑性があると見られているようですが、つい最近、インドの財務大臣は570万人という数字が「過少報告」されていると発言したばかりです。

 いずれにしても、今回の発表でエイズ対策の予算が削られないとの報道に一安心です。

参考:2007年6月4日「過少報告されているインドの感染者数

2007年7月17日(火)
ノボテルがレディボーイに謝罪   谷口 恭

 ノボテルと言えば、世界中で事業を展開しているフランスに本社を置くAccor社の所有する高級ホテルです。貧乏な私は、利用することを考えたことすらありませんが、タイに観光やビジネスに来るお金持ちにとっては、サイアムスクエアにあるノボテル・バンコクはかなり有名なホテルです。

 そのノボテル・バンコクに「CM2」という名のナイトクラブがあるのですが、事件はそのクラブで起こりました。

 7月5日のバンコクポストによりますと、6月22日、ひとりのレディボーイ(transvestite、タイ語ではカトゥーイ、日本風に言えばニューハーフ)がCM2への入店を拒否されたことが問題となり、いくつかの団体がノボテル・バンコクに抗議をおこないました。

 さらに、抗議運動は世界中に広まり、100以上の同性愛関連の団体が世界中のノボテルやAccor社の所有する施設の利用をボイコットするに至りました。

 これらの抗議に対し、ノボテル・バンコクは記者会見をおこない、正式に入店を断られたこのレディボーイに謝罪をおこないました。

 被害者のレディボーイのスチラット(Suttirat)さんは、同ホテルの謝罪を受け入れ、ボイコット運動をおこなっている世界中の団体に対して抗議を中止するよう求めています。彼女は次のようにコメントしています。

 「あたしは謝罪を受け入れることにしたの。過去は過去だもの。そのうちノボテルに遊びにいくわよ・・・」

 タイは同性愛者に世界一寛容だと言われており、実際、最近改正された憲法では、「3番目の性」として新しい章がもうけられています。これにより、同性愛者たちは憲法で人権が保障されたことになります。

 Bangkok Rainbow Organizationという同性愛者擁護団体があり、この団体もノボテル・バンコクの事件に対して、ウエブサイトを使って同ホテルのボイコット運動を展開していました。この団体の代表者のナットエー(Natee)さんはバンコクポストの取材に対し、次のように答えています。

 「明日、私は100人の同性愛者の友達をつれて憲法改正委員会に伺う予定なの。プレゼントの花束も準備しているのよ」

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 同性愛者の差別に対して社会運動が起こり、ホテル側は2週間後に謝罪をおこない、憲法では同性愛者の人権がしっかりと規定されている・・・。

 こう考えると、タイとはなんと進んだ魅力的な国なのでしょう。ストレートの私でさえ拍手喝采を贈りたくなってきます。

 しかし、その世界一進んだタイでさえも、現実にはまだまだ差別が存在することは忘れてはいけません。

参考:GINAと共に 2007年6月号「レディボーイの苦悩

2007年7月7日(土)
タイ、HIV新規感染の4割が主婦   谷口 恭

 夫からHIVを感染させられるケースが増加していることは深刻な問題である・・・

 タイ国内で開催された第11回エイズ学会で、モンコル保健大臣がこのような発言をおこないました。(報道は7月5日のバンコクポスト)

 タイでは、過去2年間で、若い夫婦の間で夫から妻にHIVが感染するケースが増加しています。実際、HIVに新たに感染した人の約4割が主婦です。夫たちが、他の女性と気軽に性関係を持つことが原因であるとみられています。

 他のハイリスクグループをみてみると、MSM(男性同性愛者)が28%、売春婦が10%ですから、タイでは主婦が最たるハイリスクグループということになります。

 この事態に対し、モンコル保健大臣は、ファミリー・コンドーム・キャンペーンを展開することを検討しています。これは夫婦間でもコンドームの使用を促すもので、同時に、浮気をしないよう(一夫一妻制を守るよう)奨励していくようです。

 「コンドームの使用は互いに相手を尊重する行為であり、夫婦間のHIV感染を予防することができる」、モンコル保健大臣はこのようにコメントしています。

 また、エイズ国民委員会は、ホテルの客室にコンドームの常備を義務付ける計画を立てています。これは、Mr.コンドームとして有名なミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai Veravaidya)氏の意向によるものだそうです。ミーチャイ氏は、90年代初頭にコンドームの使用を訴えた「100%コンドーム・キャンペーン」を実施したことで有名です。

 最近のタイのエイズ関連の話題は、強制実施権(compulsory licenses)の発動(特許に従わず安価な抗HIV薬を製造・販売すること)についてのものが多いのですが、これに対して、ミーチャイ氏は次のようにコメントしています。

 「強制実施権の発動はエイズの根本的な解決方法ではない。強制実施権の発動は国のHIV予防対策が上手くいかなかったことを反映していると考えるべきである」

 タイでは、18歳から19歳の約6千人を対象とした最近の調査で、「コンドームを用いない」と答えた割合が67%にもなるとの結果が出ています。

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 夫が他の女性と性関係をもつことが原因でHIVに感染し、さらに自身の妻に感染させるということはたしかに大きな問題です。今後は日本でも同じことがおこると考えるべきでしょう。

 しかしながら、夫婦間の間でのコンドームの使用というのは限界があるのではないでしょうか。

 モンコル保健大臣は「コンドームの使用は相手を尊重する行為」と言いますが、本当に相手を尊重する行為は、絶対的な忠誠を誓うことであるはずです。これは現実的には理想論であったとしても、忘れてはならないことだと私は思います。

参考:GINAニュース2006年9月11日 タイの主婦へのHIV対策

2007年7月2日(月)
中国でクラブ・ドラッグが氾濫   谷口 恭

 中国で伝統的な違法薬物と言えば阿片やヘロインなどですが、急速に西洋化した影響を受けてか、現在中国の都心部ではいわゆるクラブ・ドラッグが氾濫しているようです。

 6月27日のCHINA.Dailyによりますと、「ニュータイプ・ドラッグ」、「クラブ・ドラッグ」などと呼ばれる、諸外国の若者の間で広く流通している薬物が中国のクラブ・フリークを中心に蔓延しています。

 なかでも、広く出回っているのが、マリファナ、MDMA(エクスタシー)、ケタミンなどです。

 北京当局の統計によりますと、これらクラブ・ドラッグの中毒者は過去5年で15%も上昇しています。クラブ・ドラッグのユーザーは、ヘロインユーザーなどとは異なり、より若い世代、ホワイトカラー、スポーツ選手、芸能関係者などだそうです。CHINA Dailyは、大学生の間にも広く普及していることを指摘しています。

 一般的に、クラブ・ドラッグはヘロインなどに比べると身体依存性が低いとされていますが、中国当局のある関係者は次のように述べています。

 「クラブ・ドラッグのユーザーは深刻な身体問題を起こしているということが科学的な検証で明らかとなった。彼(女)らは、危険性を認識しないまま長期間ドラッグを摂取している。これが記憶力や認識力の低下につながり、脳にダメージを与えている。彼(女)らの一部は、パラノイア(偏執症/妄想症)、幻覚、抑うつ、人格の変化などをきたしている」

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 今回の報道にはありませんが、中国も日本と同様、クラブ・ドラッグのひとつとして覚醒剤が広く出回っているものと思われます。

 こういったクラブ・ドラッグ・ユーザーたちは日本にも大勢いますが、彼(女)らが自己を正当化するために決まって言うセリフがあります。

 「シャブやヘロインを注射するヤツらはバカだけど、自分たちはアブったり内服したりしているだけだから依存性が少ないし、汚染された針からHIVなどに感染する危険性もない・・・」

 果たして本当にそうでしょうか。

 彼(女)らがHIVや肝炎に感染する可能性は少なくとも2つあります。

 ひとつは、初めはアブリ(吸入)や内服で楽しめても、そのうち薬物に対する耐性ができてきて注射に走る者が少なくないこと。もうひとつは、クラブ・ドラッグには催淫効果があり(特にMDMA)、危険な性行為(unprotected sex)をおこなう者が多いことです。

2007年6月25日(月)
HIV陽性であることを告知せずに逮捕   谷口 恭

 6月7日のnews.com.auによりますと、オーストラリアのアデレード在住の男性(年齢は報道されていません)が、自身がHIV陽性であることを隠したまま、出会い系サイトなどでセックスのパートナーを募集し、性行為をおこなったことで逮捕されました。

 検察は、合計で何人の被害者がいるのかは公表していませんが、少なくとも7人との情事を事件ととらえ起訴しています。これら7つは異なる事件とされ別々に審議がおこなわれるようです。

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 最近、オーストラリアでは似たような事件が毎週のように報道されています。報道をみていると、オーストラリアではこの類の事件では7年程度の懲役刑が課せられていますから、今回の事件ではおよそ50年間の刑期が命じられることになりそうです。

 たしかにこのような事件は犯罪ではあるのですが、この男性と性交渉をもった”被害者”にはまったく責任がないのでしょうか。

 初めて出会う相手はHIVだけでなくいろんな感染症のリスクがあるわけですから、事前にそのような話をして性行為をおこなう前に必要であればふたりで検査を受ける、というのが理想だと思うのですが、この私の考えは現実的ではないのでしょうか・・・

2007年6月25日(月)
北京の大学生の4分の1がHIV陽性者を受け入れず   谷口 恭

 北京の大学に通う大学生の4人に1人はHIV陽性のクラスメイトを受けれいない・・・

 こんな調査結果がChina Youth University政治学部の調査で明らかとなりました。(報道は6月6日のCHINA Daily)

 この調査は、清華大学(中国で最高峰とされる大学のひとつ)を含む北京にある12の大学に通う1089人の大学生を対象としたもので、32.9%が「HIV陽性者を受け入れる」と回答し、23%が「絶対に受け入れられない」と答えています。

 また、回答者の7%は、「HIV陽性者に大学入学の許可を与えるべきでない」、と回答し、31%は「”制限つき”で入学を認めてもよい」、と答えています。

 就職に関する調査では、4%が「HIV陽性者には仕事を与えるべきでない」、と回答し、43%は「就職にはなんらかの制限を設けるべきだ」、と答えています。

 しかしながら、回答者の4分の3は、自発的にエイズの予防や正しい知識の普及活動をおこなってみたい、と答えています。

 この調査の研究者であるZhou Xiaochun氏は次にようにコメントしています。

 「大学院生は大学生よりもHIV陽性者に対して寛容で、正しい知識を持ち合わせている。しかしながら、恐怖感や差別意識が存在するのも明らかである」

 Zhou氏は、恐怖感や差別意識はエイズをモラルの崩壊と関連付けて考えているからであろう、と述べています。

 この調査によって大学生の知識のなさも明らかとなりました。3分の1がエイズとHIV陽性の違いが分かっていなかったそうです。

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 日本でのこのような調査はみたことがありませんが、この結果よりはまともなものが得られるでしょうか・・・。

 まさか、HIV陽性者に大学入学の許可を与えるべきでない、と答える日本人はいないでしょうが、残念ながら、HIV感染を理由に退職を勧告されたという被害者は日本にも少なくありません・・・。

2007年6月19日(火)
チベットでもHIV感染が増加   谷口 恭

 チベットというと、その大自然と歴史にロマンを感じる人も少なくないと思われますが、この地域にも着実にHIV感染が蔓延してきているようです。

 新華社通信(中国の国営通信社)の発表によりますと、チベットでのHIV陽性者(含エイズ発症者)は昨年が30人だったのに対し、今年は41人まで増加しています。(報道は6月16日のCHINA Daily)

 チベット当局によりますと、チベットでのHIV感染は都心部にも地方にもみられ、男女比では男性の方が多いそうです。現在、当局では、無料のHIV検査や治療の導入を検討しているようです。

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 UNAIDSのデータでは、中国での感染源は、薬物が44.3%、輸血が10.7%、性感染が43.6%となっています。諸外国と比べると男女間での性感染が多いのが特徴です。

 違法薬物や同性間での性交渉に比べると、男女間の性交渉をもつ人はずっと多いでしょう。相当思い切った政策をとらない限り、HIV感染は今後も広がり続けることとなるでしょう。

2007年6月19日(火)
中国では女性の間でHIV感染が急増   谷口 恭

 中国では女性の間でHIV新規感染が増えています。新華社通信(中国の国営通信社)が6月4日に発表した報告では、2000年の時点ではHIV陽性者(含エイズ発症者)のなかで女性の占める割合は19.4%だったのが、2006年には27.8%まで上昇しています。(報道は6月4日のロイター通信)

 また、新規感染でみると、1990年代には男性と女性の割合がおよそ5:1でしたが、それが最近ではほぼ2:1、と女性の新規感染が大きく増加していることがわかります。

 中国の副保健大臣Wang Longde氏の発表では、2007年4月までのHIV陽性者は203,527人で、これは2006年秋の183,733人から上昇しています。2007年4月の時点でエイズを発症しているのは52,480人だそうです。

 しかしUNAIDSは、現在の中国のHIV陽性者は65万人としていますし、実際はこれの数倍になるとみている専門家は少なくありません。

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 中国全体での感染者の総数は議論が別れるところでしょうが、新規感染の女性の占める割合が急増していることは誰もが危惧していることでしょう。

 これはHIVが一般社会に急速に浸透していることを示唆しています。

2007年6月19日(火)
10代の飲酒が性感染症を増加   谷口 恭

 未成年のアルコールや薬物乱用、性感染症の増加というのは、どこの国でも問題になっていますが、イギリスのタブロイド紙のThe Independentがおこなった国内の調査で、飲酒と性感染症が関連しているという結果が報告されました。(報道は6月15日のThe Independent)

 報告によりますと、13歳から14歳の少年少女の10人に4人が初めて性交渉をもつときに飲酒をしていたことがわかりました。

 イギリスでは20年前までは、女性は男性と同じような飲酒習慣はなかったそうです。しかし、2002年までに飲酒の習慣が男性と同じになった、とこの報告では述べられています。

 また、ユニセフの調査では15歳未満の飲酒率がイギリスは世界で最も高いそうです。ユニセフは、イギリスの少年少女の飲酒が増加していることに加え、大麻の消費量が世界で3番目に多いことも指摘しています。

 性感染症については、過去12年間で、クラミジアとHIVが300%の増加、淋病は200%、梅毒は2,000%も増加しています。

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 このイギリスの調査結果は、そのまま日本にも当てはまると考えるべきでしょう。イギリスと同様、日本でも違法薬物が氾濫し、アルコールについては罪の意識すらもたない未成年があまりにも多いように思われます。

 この報告では未成年の飲酒を問題にしていますが、違法薬物の使用や性感染症の増加はなにも未成年に限ったことではなく、日本では20代はもちろん、中年男性や女性の間でも大きくなるばかりのように思われます。

2007年6月19日(火)
少女にHIVを感染させた男性が逮捕   谷口 恭

 HIV陽性のスウェーデン在住の32歳の男が、チャットルームで知り合った130人もの少女と性関係をもち、このうち少なくとも2人の少女がHIVに感染していたことが分かりました。

 この男はスウェーデン警察に逮捕され、現在ストックホルムの裁判所で審議がおこなわれています。(報道は6月9日のBBC NEWS)

 この男が住むアパートの管理人が、未成年の少女と性行為をおこなっているこの男の写真を発見し、さらに抗HIV薬が部屋の中に置かれていたことから逮捕へとつながったようです。

 スウェーデン警察は、この男と関係をもった130人の少女の行方を追い、HIVの検査をすすめています。尚、男は2003年から2006年の4年にわたり犯行を繰り返していたようです。

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 スウェーデンという遠い国の話ですが、日本でも、「出会い系サイトで知り合った相手から性感染症をうつされた」、と言ってクリニックを受診する人は少なくありません。また、性感染症以外にもレイプの被害者もいます。

 いつか同じような事件が日本でも報道されるようになるのでしょうか・・・

2007年6月4日(月)
注射針を刺されたノッティンガムの少女   谷口 恭

 イギリスのノッティンガムで16歳の女子が見知らぬ女子に突然注射針を刺され、現在HIV感染が懸念されています。(報道は5月29日のBBC NEWS)

 この少女は、5月30日に友達とマーケットに出かけていました。その日は人気DJによるイベントも開催されていたようです。そのイベントで、風変わりな(erratic注1)踊り方をしている見知らぬ女性が彼女に近づいてきて、突然彼女の右の太ももに注射針を刺しそのまま逃亡したようです。

 この少女はその後すぐに病院に運ばれ、B型肝炎とC型肝炎の予防処置がおこなわれました(注2)。

 現在、HIVの結果を待っているところだそうです。

 尚、彼女に注射針を刺した容疑者は、14-15歳の黒人少女で体格や髪型の特徴が公開され捜索がおこなわれていますが、現時点では見つかっていないようです。

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 すてらめいとクリニックにも、ときどきこのような患者さんが来られます。「突然見知らぬ男性に使用済みと思われる注射針を刺された」、「車から注射針を投げつけられ足に刺さった」、などと言われます。

 このようなことでもHIV感染の可能性はありますから、クリニックを受診することにはもちろん意味があるのですが、彼(女)らの多くは受診を決心するまでにかなりの時間がかかっています。

 もしも危険性が少なくないなら、できるだけ早急に受診するのが懸命だと言えます。

注1: 原文にerraticとありますが、この単語から推測して、犯人は薬物を使用していた可能性があります。だとすると、やはり危険性は小さくないのかもしれません。

注:BBC NEWSの原文には、「B型肝炎とC型肝炎の予防処置」とあります。B型肝炎に対しては処置方法がありますが、C型肝炎に対してはこの場合何もできることがないために「C型肝炎の予防処置」というのは誤りだと思われます。B型肝炎とHIVに対しては薬の投与で危険性を減らすことができますが、C型肝炎についてはなす術がないというわけです。日本で同様の事件が起こった場合、頻度と感染力を考えたときに、C型肝炎のリスクが最も高いと言えるでしょう。このような事件は予防するにも限界があり、今後社会の問題となるかもしれません。

2007年6月4日(月)
メルク社がタイの子供たちに抗HIV薬をオファー   谷口 恭

 アメリカに拠点を置く製薬会社のメルク社が、タイのHIV陽性の子供2,500人分の抗HIV薬を支給するという提案をタイ保健省におこない、同省はこれを受けいれました。(報道は6月2日のバンコクポスト)。

 この抗HIV薬はエファビレンツ(Efavirenz)という名前で、今回支給が決まったのは小児用のシロップタイプです。

 現在タイは、複数の抗HIV薬に対して強制実施権を行使しており、特許を無視した廉価な薬剤の製造や輸入を検討しています。メルク社のエファビレンツもそのひとつです。

 メルク社が販売しているエファビレンツは、現在タイではひとりの患者さんにつき、一月762バーツ(約2,300円)で供給されています。メルク社は以前から、この価格の値下げをタイ政府から要求されており、この申し入れを受けない代わりとして、今回の小児用エファビレンツの無償供与を提案したというわけです。

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 収拾がつかなくなっていた強制実施権の行使でしたが、このメルク社の申し入れは双方に有益なものであるように思われます。メルク社と同様、アメリカに拠点を置き、強制実施権の対象薬品(カレトラ)を販売しているアボット社の今後の動きに注目したいところです。

2007年6月4日(月)
オランダ、乱交パーティでHIVを注射   谷口 恭

 オランダのフローニンゲンで恐ろしい事件が起こりました。(報道は6月1日のNEWS.COM.AU)

 3人のHIV陽性のゲイが乱交パーティを主催し、パーティの参加者に薬物を使い、レイプをおこない、さらに自分たちのHIV陽性の血液を薬物で記憶をなくした被害者に注射していたそうです。

 容疑者たちはインターネットで乱交パーティの参加者を募り、やって来た参加者に複数の薬物を使っています。使われた薬剤は、通常のエクスタシー(MDMA)に加え、日本ではかつて合法ドラッグであったGHB(注)も使われています。

 そして、薬物で意識が朦朧とした参加者に対し、自分たちのHIVが混入した血液を注射したのです。

 逮捕された3人の容疑者のひとりは(男性)看護師だそうです。

 被害にあったパーティの参加者は、現在わかっているのが25歳から50歳の4人ですが、地元警察は少なくともさらに8人の被害者がいるとみています。

 地元警察は、逮捕された容疑者たちについて次のようにコメントしています。

 「HIV陽性者が増えれば増えるほど、コンドームを用いない性交渉(unprotected sex)の機会が増えると彼らは考えていたようだ。彼らにとって、コンドームを用いない性交渉こそが”純粋な関係”だそうだ」

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 私が以前診察した患者さん(日本人男性)は、カナダの乱交パーティに参加してHIVに感染したと話していました。その男性はゲイではなく、女性と男性が参加する乱交パーティに参加したそうです。

 乱交パーティの良し悪しは別にして(もちろん良いことではないでしょうが)、薬物やレイプといったリスクがあることは覚悟しておくべきでしょう。さらに、この事件のように「意識が朦朧とした状態でHIVを注射される」という危険性にも注意を払わなければなりません。

注 GHBとは、γヒドロキシ酪酸(γ hydroxybutyric acid)のことで、日本でもかつては合法ドラッグとして比較的簡単に入手できていました。2000年9月には、インターネットで手に入れたGHBを大量摂取した女子高生が死亡するという事件があり、翌年から麻薬取締法の指定薬物に加えられ現在では違法となっています。オランダでも、現在では違法薬物に指定されていると思われます。90年代にはいわゆるレイブ・パーティ(ダンスパーティの一種)に世界中で頻繁に使用されており、「リキッド・エクスタシー」「リキッド・E」「イージー・レイ(Easy Lay)」「ゲイ・ホーム・ボーイ」などの通称名で呼ばれていました。

2007年6月4日(月)
過少報告されているインドの感染者数   谷口 恭

 現在、世界で最もHIV感染者の多い国はインドで、国連のデータでは570万人となっています。570万人というこの数字の信憑性についてしばしば話題になりますが、インドの財務大臣が「570万人という数字は過少報告されている」と発言し議論を呼んでいます。(報道は5月23日のロイター通信)

 インドの財務大臣パラニアパーン・チダムバラム(Palaniappan Chidambaram)氏は、公式な場で次のようなコメントを発表しました。

 「HIV感染者の人数はどの調査のものも少なく発表されており、この国では感染に気付いていない者が大勢いる。これが大変深刻な問題であることを我々は受け止めなければならない時期にきている」

 インドでは、エイズに関する正しい知識が普及しておらず差別やスティグマが蔓延しています。そのため容易に検査をおこなうことができませんし、感染が分かればその事実を隠そうとする人が絶えないのです。病院でさえも、患者さんのHIV感染が分かってもそれを届け出ないところが少なくないそうです。

 また、一般の人々の知識はかなり低く、政治家でさえも、「感染者と握手をしただけでHIVに感染する」、と考えている人が大勢いることがいくつもの調査で明らかとなっています。

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 日本はインドに比べると、ある程度正しい知識が普及していると思われますが、それでも社会的偏見のために、HIV検査をためらっている人が少なくありません。

 HIVが差別される理由など何もないのです!! 

 少なくとも日本では、(報道にあるようなインドの病院とは異なり)、医療関係者は偏見をもっていませんし、感染者の力になりたいと考えています。

 もしもあなたが検査を躊躇しているなら、悩む前に医療機関を受診しましょう。

2007年6月4日(月)
インドの悪徳クリニック   谷口 恭

 インドには、「エイズを治せる」と言って、HIV感染者の弱みにつけこむような悪徳クリニックが数千件もあると言われています。

 インドでは、まともな医療をおこなっているクリニックでは治療費が高額となるため、効果のないハーブ療法、ホメオパシー、薬物治療などを供給する悪徳クリニックに訪れる感染者が少なくないのです。

 また、感染者に対する病院内での差別や社会的スティグマがはびこるなかでは、陽性者はまともな医療機関に行きづらいという現状があり、そのため新聞広告やポスターで宣伝されている悪徳クリニックを訪れることになります。

 5月29日のロイター通信によりますと、こういった悪徳クリニックに対抗するキャンペーンがHIV陽性者のネットワークによって立ち上げられました。

 このネットワークの代表者であるシャバナ・パテル(Shabana Patel)氏は言います。

 「悪徳クリニックはエイズ撲滅への道を妨げているだけではなく、貧しくて教育を受けていない患者をだましているのです」

 悪徳クリニックが、偽りの治療で感染者にどれくらいの支払いを強いているのかはクリニックによって様々だそうですが、ある関係者は、「1年間の費用が3千ドル(約36万円)以上するケースが多い」、と言います。

 この関係者はさらに続けます。

 「悪徳クリニックでは血液検査すらしない。偽りの診断方法で”奇跡の治療薬”を売りつけているのです」

 上記のネットワークのもとには、悪徳クリニックの被害に会った感染者からの問い合わせが今年の4月だけで100件以上もあったそうです。

 インドでは今後5年間で約28億ドル(約3,400億円)の予算がエイズ予防に費やされ、抗HIV薬を享受できる感染者を増やすことになっています。

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 ”悪徳クリニック”の医者が本物の医者かニセ医者かは報道からは分かりませんが、本物の医者なら民間のネットワークではなく行政が対策をとるでしょうから、おそらく民間療法の類のクリニックだと思われます。

 いかがわしい民間療法のクリニックは日本も含めて世界のどこにいっても存在するでしょうが、貧困で教育を受けていないHIV陽性者をだましている、ということに強い憤りを感じます。

2007年5月22日(火)
モンコル保健大臣がUNAIDS議長に就任   谷口 恭

 5月20日のバンコクポストによりますと、タイのモンコル保健大臣がUNAIDS(国連エイズ計画)の議長に就任することが決定しました。就任式は6月25日におこなわれ、任期は1年間です。

 現在の同機関の議長はスゥエーデンのピオット議長で、同議長がモンコル保健大臣に議長を継承するよう申し入れをおこなったようです。

 タイでは、昨年、米国製の抗HIV薬に対して強制実施権を行使しましたが、この点がモンコル保健大臣が高く評価された理由であるようです。

2007年5月14日(月)
風邪薬から覚醒剤を製造し逮捕   谷口 恭

 韓国の水原地検麻薬組織捜査部は5月4日までに、市販の風邪薬から覚醒剤を製造した疑いで在米韓国人ら2人を逮捕、起訴したと発表しました。(報道は5月7日の共同通信)

 検察当局は、覚醒剤製造過程を紹介したインターネット上のサイトを閉鎖するよう米当局に要請しています。

 韓国メディアによりますと、起訴された在米韓国人は米国でインターネットを通じて覚醒剤の製造方法を知り、今年初めにソウル市内の4カ所の薬局で100万ウォン(約13万円)相当の風邪薬を購入したそうです。

 容疑者らは、トラックに機材を積み込み、山間部などを移動しながら覚醒剤を製造していたようです。

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 覚醒剤(アンフェタミンやメタンフェタミン)は、実は、小さな研究室程度の設備があれば誰でも簡単に製造することができます。そのため、日本国内でも密造されているのではないかという噂が多々あります。

 これを防ぐには、実際に製造した者だけでなく、製造方法を教えた者に対しても重罪を課すのが現実的でしょう。

2007年5月9日(水)
米国、ゲイとバイセクシュアルの間で梅毒が急増   谷口 恭

 米国では21世紀に入ってから梅毒がゲイとバイセクシュアルの間で急増していることがCDC(疾病予防管理局)の調査で明らかとなりました。現在のアメリカでは(ゲイを含む)男性の梅毒感染者は女性感染者の6倍近くになります。(報道は5月4日のロイター通信)

 1949年の調査以来、米国で梅毒がピークとなったのは1990年で、この年の罹患者は約5万人、人口10万人あたり20.3人です。その後徐々に罹患率が低下し、2000年には人口10万人あたり2.1人を記録しています。

 ところが、その後再び罹患率は上昇に転じ、2005年には人口10万人あたり3人、実数にして8,724人が梅毒に感染しています。

 ジョン・ホプキンス大学バルチモア校のカリル・ガネム(Khalil Ghanem)医師は次のように述べています。

 「梅毒の増加がHIVの新たな感染率の増加につながっている。梅毒はHIVと非常に近い関係にある」

 米国では、梅毒はHIV感染のリスクを2から5倍高くすると考えられています。

 梅毒はコンドームを使用していれば感染のリスクを大きく減少させることができ、たとえ感染しても初期の段階で抗生物質を投与すれば治癒する疾患です。ただ、治療せずに放置しておくと深刻な症状が出現し、そのまま無治療でいると死に至ることもあります。

 サンフランシスコを拠点とする「ゲイ・レズビアン医療委員会(Gay and Lesbian Medical Association)」のスタッフであるジョエル・ギンスバーグ(Joel Ginsberg)氏は次のようにコメントしています。

 「ゲイの間で梅毒の感染が増えているが、複数のパートナーがいるゲイは少なくない。梅毒の感染が判ったときに、HIVにも感染していることが初めて判った者があまりにも多いことは問題である」

 ギンスバーグ氏は続けます。

 「ゲイの間でコンドームの使用率が減少している。”すでにHIVに感染しているんだからいいだろ”というような態度をとる者も少なくない。この背景に、すぐれた抗HIV薬の登場でHIV感染がもはや死に至る病ではないという認識がある」

 この点については前出のガネム医師は次のように述べています。

 「HIV感染が”死に至る病”ではなく単なる慢性病と考える人が増えてきているが、医師の側にも問題がある。予防の重要性を話さない医師があまりにも多いのである」

 またガネム医師は覚醒剤との関連も指摘しています。

 「通称”アイス”と呼ばれているメタンフェタミンを吸入して摂取する(アブる)ケースが急増しているが、これがコンドームを用いない性交渉につながり、結果として梅毒感染も増えているのである」

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 ”アイス”は日本を代表とするアジアの違法薬物として有名ですが、米国でも問題になっているようです。この記事にある、梅毒感染がゲイの間で多い、梅毒に感染している者は同時にHIVに感染している場合が少なくない、”アイス”の使用が性感染症に関連している、などは日本の状況とまったく同じであることはもっと注目されるべきでしょう。

2007年5月9日(水)
インド初の”コンドーム・ディスコ”   谷口 恭

 インドのチャンディガールに、インド初となるコンドームを無料配布するディスコが誕生しました。(報道は5月2日のBBC NEWS)

 このディスコは、HIV陽性者に対するカウンセリングをおこなっている民間のグループによって設立されていますが、構想には政府が運営するベンチャー組織のCitco(Chandigarh Industrial & Tourism Corporation)も関与しています。ただし、難色を示している地域住民も少なくないようです。

 店内にはコンドームでつくられた装飾品がおかれ、客に出されるタンブラーやスタッフの制服、さらに土産用のマグカップ、Tシャツなどにもオリジナルのコンドームのロゴがデザインされているそうです。

 客はおつりをコンドームでもらうこともできますし、店内には無料のコンドームや、女性用の新しいコンドームも置かれています。

 また、店のイベントとして、HIV陽性の男女だけが参加できるような企画もあるそうです。

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 店でコンドームを配布、と聞くと1990年代初頭に誕生した、タイのCabbage & Condomを思い出します。タイの自由な文化で、そのような店が誕生したことは理解できますが、性に保守的なインドでコンドーム・ディスコがオープンしたということに驚かされます。しかも、民間の組織単独でではなく、行政も関与しているわけですから、インドの文化史からみると画期的な出来事だと思われます。

 ただ、裏を返せばそれだけインドのエイズ事情が深刻であるということなのでしょう・・・

2007年5月8日(火)
タイ、患者会が米国大使館前で抗議   谷口 恭

 強制実施権(製薬会社の特許に従わず独自に薬剤を製造・輸入する権利)を撤回しないタイに対し、米国通商代表は、タイを貿易国として格下げすることを発表しました。

 これに対し、HIV陽性者のネットワーク(Thai Network of People Living with HIV/AIDS)が、バンコクの米国大使館の前で抗議デモをおこなうことを計画しています。(報道は5月2日のThe Nation)。

 このネットワークの議長であるウイラット・プラホン(Wirat Phurahong)氏は次のようにコメントしています。

 「我々はタイ政府に強制実施権の行使を続けてもらいたいと考えている」

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 患者サイドからみれば、薬が高すぎて買えない・・・。製薬会社サイドからみれば、薬が安すぎて損をする・・・。ならば、世界のODAなどの一部をその差額に充てることはできないのでしょうか・・・。

2007年5月8日(火)
タイ、違法薬物流入が減少せず   谷口 恭

 違法薬物の海外からの流入、及び国内での流通が一向に減少しないタイでは、頻繁にこの手のニュースが報道されています。ここでは、最近起こった2つの典型的な事件を紹介したいと思います。

 4月16日、チェンマイで2人の薬物所持者が軍に射殺されました。殺された2人はリス族の者で、押収されたのはヘロイン4.55キログラムです。薬物を押収した軍関係者によると、殺害された2人以外にも5人の薬物所持者がいたようですが、薬物を持ったまま国境付近に逃亡し、現在も逮捕されていないそうです。(報道は4月17日のバンコクポスト)

 タイ北部国境付近の高地に住む山岳民族(少数民族)では、かつては産業がほとんどなく麻薬の栽培及び販売に頼らざるを得ませんでした。ところがタイ愛国党(TRT)が政権をとってからは徹底的な薬物撲滅対策が遂行されたため、山岳民族のほとんどが麻薬から手を切ったのは事実です。

 ここにきてこのような事件が起こっているということは、再び山岳民族が麻薬の栽培(あるいはミャンマー産の麻薬の密輸)に携わるようになってきたのかもしれません。

 ちなみに、スラユット暫定政権の支持率はバンコクでさえ低くなる一方ですが、タイ北部ではもともとあまり支持されていません。

 もうひとつのニュースは、昨年完成したばかりのスワナプーム空港からです。

 4月28日、空港の税関で2人のペルー人が薬物所持の容疑で逮捕されました。税関で不審に思われた2人は腹部のレントゲンを撮影され、胃のなかにコカイン2キログラムを隠し持っていたことが判明しました。

 便から取り出されたコカインは約250カプセルで、末端価格にして223,000ドル(約2,700万円)だそうです。

 かつて、タイがドラッグ天国と言われていた頃は、「タイでは入手できない薬物はない」と言われていました。タイ愛国党の政策でいったんクリーンな国になりかけたものの、こういう事件をみていると、すでにタイはドラッグ天国に舞い戻ってしまったのかもしれません。

2007年5月8日(火)
HIV陽性ゲイの3分の1がコンドーム使用せず   谷口 恭

 マンチェスター、ブライトン、ロンドンの2,640人のゲイを対象とした調査がおこなわれ、結果が医学誌「Sexually Transmitted Infection」で発表されています。(報道は4月30日のBBC NEWS)

 HIV陽性のゲイの37%が過去1年間にコンドームを用いない性交渉をおこなっています。一方、HIV陰性のゲイでは18%という結果がでています。

 この結果から、HIV陽性者はHIV陽性者とコンドームを用いない性交渉をおこなっていることが考えられます。これは、HIV陽性者が新たなHIV株に再感染することにつながり、こうなると薬が効きにくくなる可能性もあります。

 HIV陽性率が最も高いのはブライトンで14%、最も低いのがマンチェスターで8.6%となっています(ロンドンは中間)。

 HIV陽性の3人に1人が、自身がHIVに感染していることを知りませんでした。しかし、全体の3人に2人以上が過去1年以内に性感染症クリニックを受診していると回答しています。

 HIV陰性の5人に1人、HIV陽性の10人に4人が、過去1年間に何らかの性感染症に罹患していました。

 この研究の代表者であるダニエル・メルシー(Danielle Mercey)医師は、「HIVの検査を促し危険な性交渉をやめるように訴えかけなければならない」と述べています。

 同医師は続けます。

 「危険な性行為は特に若い男性が注意しなければならない。スピードオーバーの運転や違法薬物摂取と同様、危険な性行為も若い世代に多いのである」

 イギリス全域でみると、2005年のHIV新規感染者7,450人のうち、およそ3分の1がゲイです。

2007年5月8日(火)
北京のNGOがゲイに無料の性感染症検査   谷口 恭

 朝陽(Chaoyang)のエイズ関連のNGOが、ゲイを対象とした無料の性感染症(HIVを含む)の検査を北京北部の病院で4月15日におこないました。

 この情報は検査日の1週間前からゲイのためのウェブサイト(www.hivolunt.net)で提供され、当日は200人以上のゲイが検査を受けるために病院に集まりました。

 検査が実施された病院は公表されていませんが、NGOの代表者は私立の病院であることを発表しました。この代表者によりますと、「本当は公立病院でおこないたかったけれど、どこの病院も忙しさを理由に断ってきた」、そうです。

 検査を受けた人には番号とパスワードが渡され、検査結果はウェブサイト上で確認できるそうです。また、ウェブサイト上でカウンセリングを受けることもできるようです。

 2004年の時点で、中国全土のゲイ人口は5百万人から1千万人と言われています。青島大学医学部のZhang Beichuan教授によれば、中国のゲイのHIV陽性率はおよそ1.5%だそうです。

2007年5月8日(火)
抗HIV薬、依然大勢に行き渡らず   谷口 恭

 抗HIV薬を必要とするアジア人で、実際に治療を受けているのはわずか19%・・・

 4月17日にWHO(世界保健機構)が発表した報告にはこのように述べられています。(報道は同日のロイター通信)

 南アジア、東南アジア、東アジアのいずれの地域も、サハラ以南のアフリカ諸国よりも低い数字を示しています。サハラ以南の諸国では2006年の時点で28%の人々が抗HIV薬の恩恵に預かっています。また、中南米では72%の人々が抗HIV薬を入手しています。

 昨年(2006年)、国連は、2010年までに「包括的なエイズの予防と治療、ケアとサポート」をおこなうことを発表しています。

 南アジア、東南アジア、東アジアでは、2006年の時点で抗HIV薬を受給できているのは28万人だけですが、これでも2003年から比べれば4倍となっています。

 アジアのHIV陽性者はおよそ780万人です。世界全体では約4千万人で、サハラ以南で全体の3分の2を占めます。

 インドが570万人で世界最大ですが、このうち抗HIV薬を受給しているのはわずか10万人です。一方、南アフリカ共和国(HIV陽性者がインドに次いで世界2位)では32万5千人の人が薬剤を入手しています。現在インドで抗HIV薬を必要としている人は約52万人です。

 子供に限ってみてみると、アジアの方が成績がいいようです。サハラ以南で抗HIV薬を必要としている15歳以下の子供は68万人いますが、受給しているのはわずか13%です。一方、アジアでは6万4千人の子供たちが薬剤を必要としており受給者は21%となっています。

 インドの2005年のデータでは、抗HIV薬を必要とする妊婦で、実際に薬剤を受給できたのは3%以下だそうです。これは、モザンビークやジンバブエなどの国よりも低い数字となっています。

 WHOは中国の薬物中毒者への対策を評価しています。2005年には注射器と注射針の無償供給をしたのが130人だったのに対し、2006年には392人と一年間で3倍にも増えています。

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 アジアでは子供のケアが手厚く妊婦に対しては冷たいのでしょうか。いずれにせよ、アジアでもアフリカでも、まだまだ薬が行き渡っていないということに異議を唱える人はいないでしょう。

 薬は技術的に製造可能なのにもかかわらず入手できない人がいる・・・。このジレンマに対して誰が何をすればいいのでしょうか・・・

2007年5月7日(月)
上海、HIV感染者が急上昇   谷口 恭

 昨年(2006年)の上海の新規HIV感染者が過去最高となったことが、上海当局の調査で明らかとなりました。(報道は4月14日のCHINA DAILY)

 昨年、上海では新たにHIV感染が判った者が718人で、53人がエイズを発症していました。これは前年から54%の増加となります。

 これだけ高い増加率を示しているのにもかかわらず、上海でのHIV感染は、依然中国全土の平均よりも低い数字を示しています。

 上海で初めてHIV感染が報告されたのは1987年で、その後2006年末までに合計2,313人の感染者が報告されています。このうち100人はすでに死亡しています。

 関係者によりますと、上海では様々な感染ルートがありますが、なかでも売買春と薬物中毒者が多いそうです。当局はHIV撲滅に力を入れていますが、裏社会の売春産業は正確なデータが把握できていないそうです。

 今後は上海の保健当局は警察と協力して売春産業の摘発に力を注ぐそうです。また、薬物中毒者に対してはメタドン療法(麻薬の代替物を中毒者に内服させることにより麻薬を断ち切る治療法)を普及させるようです。

 関係者は次のようにコメントしています。

 「上海では、中国東部の他の地域と同じように性交渉でのHIV感染が増加している。すべての関係当局がHIV減少に取り組まなければならない。HIV感染は単なる感染症ではない。法律や教育、女性の生殖や税関などとも関連がある問題である」

 上海ではHIV以外の性感染症も問題となっています。今年の3月だけで935件の梅毒が報告され、これは深刻な感染症全体の4分の1以上を占めています。

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 私が勤務するクリニックにも、中国帰りの性感染症の患者さんがたくさん受診されます。患者さんのなかには、「中国でビジネスをしようと思えば売買春は避けて通れない道だ・・・」と言う人もいます。

 百歩譲って、売買春が避けられないのだとしても、予防することはできるはずです。

2007年5月7日(月)
HIV陽性のレイプ犯が懲役刑に   谷口 恭

 イギリスで21歳の女性をレイプした38歳の男性が11年の実刑判決を受けました。(報道は4月17日のBBC NEWS)

 この男性はブルンジ共和国(アフリカ中部の小国)出身で、2005年の4月、ブライトンの市街地で被害者の女性をレイプしました。

 この男性は2006年3月に一度有罪判決を受けていますが、その後判決が無効となり再審議がおこなわれることとなり、今回あらためて有罪が確定したというわけです。

 判決がいったん無効となったのは、被告がHIV陽性であることが陪審員に伝えられているのは公正でない、との議論があったからです。

 尚、被害者の女性はHIVに感染しなかったようです。

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 レイプとHIV陽性であることは分けて考えるべきだとの理由で、いったん出された判決が無効となり再審議がおこなわれたケースです。

 たしかに、HIV陽性であることが陪審員に伝えられていれば、先入観が入り被告が不利となる可能性があるということは理解できます。

 しかしながら、被害者の立場に立てば、レイプ犯がHIV陽性であるか陰性であるかで心の傷の度合いが変わるかもしれません・・・。

 本当にむつかしい問題です・・・

2007年5月7日(月)
男性との情事を認めるくらいなら自殺・・・   谷口 恭

 男性と性交渉をもっているものの、結婚しているか女性の恋人がいる男性は、男性との情事を認めるよりも”死”を選ぶ・・・

 オーストラリアでこのような調査結果が発表され話題をよんでいます。(報道は4月18日のNEWS.COM.AU)

 この調査はシドニー大学の研究者ハドソン(Hudson)氏によっておこなわれたもので、結婚しているか女性の恋人がいて、かつ男性とも性交渉をもっている240人の男性を対象としています。協力者はインターネットで募集した他、サウナなどゲイが集まるスポットで聞き取り調査をおこなっています。

 調査結果によりますと、彼らの半数以上が、「妻や(女性の)恋人が、自分が男性とも性交渉をもっていることを知らない」、と答えています。

 また、彼らのほとんどが、「家族が欲しい」「異性愛者のノーマルさが欲しい」と答え、「いずれは男性への愛情がなくなるだろう」、と答えています。

 そして、ほとんどが、「妻を傷つけたり結婚生活を台無しにしたりするくらいなら自ら死を選ぶ」、と答えています。

 さらに、「妻を傷つけたくないし、妻を守っていきたいからこそ、真実を語ることはできない」、と考えているそうです。

 この結果に対し、研究者のハドソン氏は次のように述べています。

 「彼らは少なくとも医師に対しては真実を語るべきである。彼らは真実を隠すことが妻にとっていいことと考えているが、それ以上に医師に真実を隠すことは悪いことなのである。結婚していれば、医師はその男性をゲイとみなさない。その結果、必要な性感染症やHIVの検査をおこなわなくなる」

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 この研究者のコメントに納得できないのは私だけでしょうか?

 ゲイだからHIVを含む性感染症のリスクが高いのではなく、危険な性行為(unprotected sex)をおこなうことがリスクであるはずです。

 日本にも男性と性交渉をもつ男性はたくさんいます。もちろん結婚している人も少なくありません。私は、ゲイの人たちを診察するときは、性感染症の検査を薦めるのではなく、まずはunprotected sexの有無を尋ねるようにしています。

2007年5月7日(月)
タイのエイズワクチン最新情報   谷口 恭

 現在タイの保健省は、エイズワクチン(HIVワクチン)の臨床試験(治験)を16,000人のボランティアを対象におこなっていますが、試験は最終段階(last phase)に入っており、この結果は7月にも公表されるようです。(報道は5月1日のバンコクポスト)

 このワクチン臨床試験は、タイ保健省の他、いくつかの米国政府の関係筋や会社も関与しています。およそ16,000人のボランティアは、試験開始時にHIVに感染していなかった18歳から30歳のラヨン県もしくはチョンブリー県(いずれもタイ東部)在住の人たちです。

 この臨床試験の結果により、次の3つの対策がとられる見込みです。

 まず80%以上の成功率が得られれば、本格的なワクチンとして市場に流通します。次に成功率が50-79%であれば今後二年間の追加試験がおこなわれます。成功率が50%以下であれば今回試験されているワクチンは失敗とみなされます。

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 新聞記事からは、“成功率”がどのように定められるのかが分かりません。「このワクチンを打てばHIVに感染しない確率が80%以上です」、と言われて安心できるのか、という気がします。

2007年5月7日(月)
北京のエイズ事情   谷口 恭

 現在の北京のHIV陽性者はおよそ12,000人と言われています。北京当局によりますと、この地域のHIV事情は新たな局面に入り、今後急速に感染が蔓延することが予想されます。(報道は4月20日のCHINA DAILY)

 北京当局のデータでは、北京内で正式に登録されているHIV陽性者は3,462人ですが、その3倍にあたる人数が、自身の感染に気付いていないか、あるいは気付いてはいるものの病院を受診していないそうです。

 4月19日に北京当局が発表したデータでは、登録されている3,462人のうち、686人が北京出身者、2,634人が他の省からの移住者、142人が外国人となっています。

 また、3,462人のうち1,357人が薬物の静脈注射による感染、924人が性感染、535人が輸血、46人が母子感染で、600人が不明となっています。

 北京当局は、今年中にHIVモニタリングネットワークを設立し、すべてのグループの同行を詳しく調査する予定です。

 さらに、北京内の18の地域すべてにエイズ予防クリニックを2008年までに設立する予定です。

 中国は2006年の時点で183,733人のHIV陽性者が正式に登録されていますが、保健省の担当者は65万人とみています。

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 保健省の担当者は65万人とみているそうですが、実際はその数倍になるとみている専門家は少なくありません。雲南省だけで軽く100万人を超えるとする関係者もいます。

2007年4月30日(月)
リビアのHIV院内感染、真実の行方は(第6報)   谷口 恭

 過去5回にわたりお伝えしてきましたリビアのHIV院内感染の事件ですが、ここにきて状況が変わりつつあります。

 まずはこれまでの経緯をまとめておきましょう。

・1990年代、リビア内の病院で426人の子供たちがHIVに院内感染するという事件が起こった。
・5人のブルガリア人の看護師と1人のパレスチナ人の医師が、故意にHIVを院内感染させたとして逮捕され1999年から拘留されている。
・しかし、その根拠はまったくデタラメなもので、世界各地の政治家、科学者や科学誌などが、リビア政府の不当な拘留に抗議をおこなっている。
・リビア政府はこれを聞き入れず、感染した子供の家庭への補償金として、1家族あたり約15億円の補償金をブルガリア政府に求めている。
・ブルガリア政府は、補償金には応じられないが感染した子供たちを救済する基金の設立をすることを提案している。また、今年に入りEUの各国が感染者の養育や基金の援助を申し出ている。(ブルガリアは今年からEUのメンバーとなった)
・しかしリビア政府はこれを受け入れず、あくまでも1家族あたり15億円の補償、もしくは拘留者の死刑を求めている。

 その他では、政治的な背景として、リビアは長年の孤立から欧米に歩みよろうとしていたところ、この事件が起こり友好関係の構築が滞っている、という問題があります。

 4月26日のロイターヘルスによりますと、拘留されている5人のブルガリア人看護師と1人のパレスチナ人医師が、早ければ6月中に釈放される可能性がでてきました。

 これはブルガリア在住のドイツ大使が地元のマスコミに伝えたもので、EUとトリポリ(院内感染のあった病院のあるリビアの都市)との話し合いでその可能性が濃厚になってきているようです。

 しかし手放しで喜ぶわけにもいかないようです。ドイツの関係者は次のように話しています。

 「彼女たちが釈放される可能性が大きくなったが、釈放の条件については現在も話し合いがおこなわれている」

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 感染した子供をもつ両親の立場に立てば院内感染に対して許しがたい憤りを感じます。しかし、明らかに不当逮捕されている外国人の母国の政府に15億円もの大金を要求するのは筋が通りません。

 まずは真実を明らかにすることが先決です。その上で被害者に対してみんなが支援をするのが最善の方法です。感染した子供たちの支援を申し出ているのはEU諸国だけではありません。アメリカも名乗りを上げています。

 日本政府は何のコメントも発していませんが・・・

2007年4月30日(月)
リチャード・ギアの”キス”が大ヒンシュク   谷口 恭

 リチャード・ギアがインドの女優シルパ・シェティ(Shilpa Shetty)を公衆の面前で抱擁しキスしたことが各方面からヒンシュクをかい、逮捕状まで出る騒ぎになっています。(報道は4月27日のAP通信)

 この事件はおよそ4000人のトラック運転手が集まったエイズ撲滅のためのイベント会場で起こりました。リチャード・ギアとしては、映画「Shall We Dance?」の一場面を再現するパロディのつもりで抱擁とキスをおこなったようですが、これがヒンドゥー教徒たちからは「インド文化を侮辱するものだ」とみなされました。

 北部ジャイプルの裁判官らは、リチャード・ギアのこの行為がインドの法律に触れるものであると判断し逮捕命令を出しています。

 リチャード・ギアは、現在インドを離れていますが、再入国したときに拘束される可能性があるようです。

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 欧米の文化からみると抱擁やキスは侮辱にならないのでしょうが、敬虔なヒンドゥー教徒の前でおこなうということにリチャード・ギアは何も考えていなかったのでしょうか。まして会場は、エイズ撲滅運動のイベントの場だったのです。これでは、エイズ撲滅を訴えたところでまったく説得力はありません。

2007年4月30日(月)
2人の小児愛者が少年を性奴隷にし殺人未遂   谷口 恭

 2人の小児愛者が14歳の少年を誘拐し、性奴隷とし、あげくのはてに林に捨てて酸をかけて殺そうとした、というおぞましい事件がオーストラリアで起こりました。(4月19日のNEWS.COM.AUが報道)

 容疑者は43歳と46歳のゲイどうしのカップルで、このうちひとりはHIV陽性です。ふたりは2005年の8月30日、街でみかけた少年にマリファナとテレビゲームがあるからと言って自宅に連れ込み、9月19日まで20日間にわたり監禁しました。少年に手錠をかけ、口をテープでふさぎ、そしてコンドームを用いずにレイプを繰り返しました。

 また、容疑者のふたりは少年にポルノビデオを見せ、少年の前でふたりの性行為を見せ、少年にはバケツに排便させ、監禁していた20日間の間、シャワーはわずか2回しかあびさせませんでした。

 現在裁判が西オーストラリア地方裁判所でおこなわれていますが、容疑者のふたりは、「監禁はとても丁寧におこなったし、少年自身も楽しんでいた。セックスを求めたのは少年の方であって我々ではない」、と証言しているそうです。

 容疑者の自宅には、少年を監禁レイプ、そして殺害を企てていたことを証明する証拠品が多数押収されています。なかには、「酸をかけて骨にしてしまえ」と書かれたメモも見つかっているようです。

 不動産関係の人間がたまたま容疑者宅を訪ねたとき、容疑者らが少年と話をしている現場を目的し、不審に思い警察に通報したことによりこの事件は終焉を迎えることになりました。

 警察に発見されたとき、少年は、「やってきた人たちが自分たちは警察だと言ったのを聞いた瞬間、神に感謝した」と話しているそうです。

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 少年は無事に保護されたようですが、身体に酸をかけられている以上、なんらかの障害が残ることになるでしょう。無垢な14歳の少年が追った傷は障害消えることがないでしょうし、少年が容疑者からHIVに感染したのかどうかも気になるところです。

2007年4月25日(水)
中国、地方の子供たちが人身売買の危機   谷口 恭

 4月4日のAP通信が、中国の地方に住む子供たちが人身売買の危機にさらされている現状を報告しています。

 中国の地方では農家の親たちが仕事を求めて都心部に出稼ぎに行くことが多く、両親不在の間に子供たちが売られていくという現状があります。もちろん、中国政府はこのような事態を深刻に受け止め厳重な処罰を課していますから、全体的には減少傾向にはあります。

 ここ数年間では1億5千万人から2億人もの人々が地方から都心部に出稼ぎに出向き、工場や建築現場で働いています。今後15年から20年の間に数億人もの人たちが都心部に向かうことが予想されています。

 障害を持っていたり、HIVに感染したりしている子供たちも人身売買がおこなわれることがあり、こういった子供たちは物乞いをさせられます。

 中国西部に位置する新疆(しんきょう)では、数万人の子供たちがギャングやマフィアに誘拐されているという試算もあります。誘拐された子供たちは、ギャングたちに「すり」として育てられ、中国東部で働かされているとの情報もあります。

 中国南部に位置する雲南省や広西の子供たちは、中国都市部や、さらにタイやマレーシアなどで買春産業に従事させられているとも言われています。

 親が都心に出稼ぎに行き、残された地方の子供たちはたいへん脆弱な存在です。子供たちの面倒をみる祖父母たちは必ずしも健康ではなく、しっかりした施設はそれほど多くないからです。

 しかしながら、両親が子供たちを都心に連れて行くことにも問題があります。地方からいきなり都心に連れてこられた子供たちはそれまでとはまったく異なる新しい環境になじめないことも多く、両親は仕事で多忙となるため子供と過ごす時間がないからです。

2007年4月23日(月)
中国、広東州のエイズ事情   谷口 恭

 中国広東省の広州及び深川の当局が本腰を入れてHIV/AIDS対策に取り組むことを公表し、4月5日のCHINA DAILYが報道しています。

 広州というのは広東省の首都ですが、広州疾病管理局によりますと、昨年は1,585人の新たな感染者が報告され、過去20年間では総計4,806人となります。

 一方、深川では昨年一年間で新たに判った感染者は622人です。深川疾病管理局によりますと、1992年から2006年までに合計2,016人の人が新たにHIVに感染したことが判っており、年間58.3%の上昇率となります。

 この地域で多い感染ルートは売買春と薬物の静脈注射です。HIV感染の疑いがあっても検査を受けに行く人は少ないようです。その最たる原因は、感染が判れば家族や同僚から差別されるかもしれないという社会的差別が存在するからです。

 当局は、教育の重要性を認識しており、今後は学校教育のなかでHIV/AIDSに関する啓蒙をおこなうことを検討しているようです。

2007年4月17日(火)
パキスタンのエイズ事情   谷口 

 4月9日のBBC NEWSがパキスタンのエイズ事情について報道しています。

 パキスタン政府とWHO(世界保健機構)の共同調査によりますと、およそ4千人のHIV陽性者がパキスタン全域の治療センターに報告されています。しかし、この人数は事実を反映しておらず、報告されたのは感染者のごくわずかであるとみられています。しかも4千人の陽性者のうち、氏名などがきちんと登録されている者はわずか618人だそうです。

 UNAIDSの報告では、同国のHIV陽性者は8万人から14万人で、この数字さえも過小評価しているとみる向きもあります。

 WHOは過去3年間で、450万ドル(約5億4千万円)をかけた治療プログラムで感染者を支援してきました。抗HIV薬はインドで製造されたものを用いて、医者や看護師はインドとイタリアで訓練を受けています。

 パキスタン政府は、HIV陽性者の低い検知率とエイズに伴うスティグマがHIV陽性者の治療の妨げになっているとみています。

 パキスタンで活動するWHOの医療スタッフQuaid Saeed氏は次のようにコメントしています。

 「検査を受ける人が少ないことでパキスタンでのHIV感染が急速に広まっている。この国のハイリスクグループは、薬物常用者、売春婦、相手を疑わない配偶者(unsuspecting spouses)である」

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 「相手を疑わない配偶者(unsuspecting spouses)」とは、要するに、”自分の夫は誠実であると考えている主婦”(あるいはその逆)ということでしょう。このような問題は、日本も含めて世界中に存在します。しかし、自分の夫(妻)さえも疑わなければならないというのはなんとも悲しいものです・・・

2007年4月17日(火)
ハワード首相がHIV陽性者の入国を拒否   谷口 

 HIV陽性者は移住者としても難民としてもオーストラリアへの入国を拒否する!

 同国のハワード首相が4月13日、このような発言をおこない議論を呼んでいます(報道は同日のNEWS.COM.AU)

 ハワード首相は続けます。

 「なかには人道的な観点から受け入れを考慮すべき事例もあるかもしれないが、原則としてHIV陽性者の受け入れは認めない」

 ハワード首相は、オーストラリアでは結核患者の移民としての受け入れを拒否していることを引き合いに出し、これをHIV陽性者の移住拒否の理由のひとつとしています。

 ハワード首相がこのような見解を発表した背景として、ヴィクトリア州でのHIV陽性者の急増があります。過去2年間で同州に移住したHIV陽性者は4倍に増えています。

 同首相は、HIV陽性者の入国を禁止するような法改正についても言及しています。

 ハワード首相の発言に対して、オーストラリア連邦エイズ機構は反論しています。同機構によれば、ヴィクトリア州に移住してきて昨年感染が判ったHIV陽性者70名のうち、外国で生まれた者はわずか9名であり、残りはオーストラリア、もしくはニュージーランドの生まれです。

 また他のエイズ関連機関は、結核とHIVを同じように扱うのは明らかに不適切であると反論しています。空気感染する結核と性的接触がなければ感染しないHIVを同じようにみなすのは法的にも医学的にも合理的でないというのが理由です。

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 この記事からは、ハワード首相がHIV陽性の移住者及び難民のみを拒否しているのか、観光客の入国さえも拒否しているのかが分かりませんが、もしもすべての入国者がHIV陰性であることを証明しなければならなくなるとすれば、非難の声が大きくなるのは必至でしょう。

2007年4月17日(火)
タイ政府、アボット社と折り合えず   谷口 恭

 広く使われている抗HIV薬にカレトラというものがあり、これを製造しているのが米国のアボット社です。以前からタイ政府は、カレトラの値下げをアボット社と交渉してきました。4月12日のロイター通信によりますと、アボット社はカレトラの値下げに同意したものの、値下げ幅はわずかであり政府が満足できるものではない、とタイのモンコル保健大臣が発表しました。

 「強制実施権の行使だけが、我々がアボット社の者と座って話ができる唯一の方法である。我々はタイ国民がカレトラを容易に入手できるようになるまでアボット社と話をおこなうつもりだ」、モンコル保健大臣はロイター通信の取材にそのように答えています。

 2月にはメルク社がEfavirenzという抗HIV薬を46%値下げすることを発展途上国に対して発表しました。

 メルク社、アボット社の値下げ申し入れを受けましたが、結局タイ政府は昨年11月に発表した強制実施権の撤回をおこなう予定はないようです。

 タイ保健省の幹部であるヴィーチャイ・チョケヴィヴァット(Vichai Chokevivat)氏は次のように話しています。

 「製薬会社が薬剤費の研究開発費を理由に高い値段を設定するのは間違っている。薬はインスタントラーメンとは違い、利益を上げればいいというものではない。我々は大勢の人々に薬がいきわたるように製薬会社に利益の幅を下げてほしいのだ」

 あるタイのエイズ活動家は、アボット社は患者ひとりがカレトラを購入する価格が年間千ドル程度にすべきと主張しています。

 カレトラが高いと主張するのはタイだけではありません。北京のエイズ活動家Meng Lin氏は、次のようにコメントしています。

 「アボット社はカレトラの値下げをおこなったが、依然として中国人が買えるような価格ではない。中国人の月収は、せいぜい月に300から400元(約5千円~6千円)だ。人々は食べなければならない。現時点のカレトラの価格であれば購入できる中国人はほとんどいない」

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 せっかく作った薬剤が、価格が高いという理由で必要な人々に行き渡らなければ、製薬会社の社員もやりがいをなくしてしまうと思うのですが、一方で、あまり値下げをしすぎると会社の存続が不安定になるのかもしれません。

 誰がお金を出すかは別にして、結局のところ、世界中でHIV/AIDSの問題に取り組むための資金が不足しすぎていることが問題です。この問題を解決するには、エイズの実態を多くの方に知ってもらうのもひとつの方法でしょう。苦しんでいる人たちの力になりたいと考える人がたくさん登場することに期待したいものです。

2007年4月6日(金)
タイ人のドラッグ密売人が中国で逮捕   谷口 恭

 タイの刑事裁判所は、薬物密輸の罪で29歳の男性(タイ人)に死刑宣告を言い渡しました。(報道は4月2日のThe Nation)

 この男性は、タイから中国に薬物を持ち込み、中国で逮捕され先月タイに強制送還されています。タイの薬物取締り局によりますと、この男性はタイとラオスで活動する密売ネットワークに所属しているそうです。

 この男性は60個のヘロインのかたまりと137,800錠の覚醒剤を所有していた罪で2年前にも逮捕されているようです。

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 タイからドラッグを中国へ持ち込み逮捕、と聞くと、ハリウッド映画「ブロークダウン・パレス」を思い出します。「ブロークダウン・パレス」では、アメリカ人の女子大生2人がカバンの中にヘロインを入れられ香港の空港で逮捕される、という設定だったと思いますが、2人はタイの刑務所に収容されることになりました。

 タイでは殺人などでは死刑判決がよく宣告されますが、マレーシアやシンガポールといった近隣諸国に比べると薬物に対する罪は重くないという印象があります。今回は、薬物密売で死刑が宣告されていますから、罪を重くするような傾向に変わってきているのかもしれません。

2007年4月5日(木)
パバナプ寺はヌード写真で集めた寄附金を受けとりません   谷口 恭

 GINA発足のきっかけのひとつとなったパバナプ寺(ワッ・プラバーナンプー、Wat Phrabhatnamphu)は、現在でも世界最大のエイズホスピスとして機能しており、行き場をなくした数百人のエイズ患者さんたちが暮らしています。

 そのパバナプ寺に寄附金の申し入れがあったのですが、同寺はこれを受け取らないことを発表しました。

 この寄附金は、ある有名な雑誌が企画したもので、その雑誌に有名人男女32人のヌード写真を載せることによって多額の寄附金を集めようとしました。

 パバナプ寺の中心的人物アランコット氏は、マスコミの取材に対し、「そのような雑誌の企画について何も聞かされていなかった」、と答えています(報道は3月31日のバンコクポスト)。

 雑誌の主催者はパバナプ寺に対して、ファックスでこの寄附金の申し入れをおこなったそうです。

 タイ文化省もこの雑誌のイベントに対して不快感を表明しています。文化大臣のクニング・カイスリ・スリアローン(Khunying Khaisri Sri-aroon)氏は、次のようにコメントしています。

 「掲載されるヌードは確かに芸術的なものもありますが、なかには性的に挑発的なものも含まれています。チャリティで寄附金を集めるのは立派なことですが、方法が不適切と言わざるを得ません」

 また、国民文化委員会の事務局長プリサナ・ポンタシリクル(Prisana Pongtatsirikul)氏は、「裸になることは美しいことではないし、上品な女性のすることではありません」、とコメントしています。プリサナ氏は続けます。

 「すべてのチャリティは社会的に責任がありタイ国の文化の許容範囲内でおこなわなければなりません。特に服装については若い人々に与える影響も考慮すべきです。エイズに苦しむ人たちは、反社会的な寄附金をもらっても喜びません」

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 現在GINAが寄附している施設のなかにパバナプ寺も含まれていますが、同施設ではまだまだ寄付金が不足しています。

 パバナプ寺に寄附したい方がおられましたら、GINAが責任をもってお届けいたしますのでお気軽にお問い合わせください。(尚、GINAのポリシーとして、いただいた寄附金は経費などを差し引くことなく全額を寄附しております)

 また、パバナプ寺を訪問したい人がおられましたらお気軽にご相談ください。直接行かれてもいいかと思いますが、GINAから事前に連絡を入れておくとスタッフが時間をとってくれることになっています。

2007年4月3日(火)
小児愛者の恐るべきネットワーク   谷口 恭

 毎日、世界中でおよそ15,000人もの小児愛者がインターネットを使って、子供のヌードを集めたり、少女(少年)買春を求めたり、子供がどこで安く買えるかといった情報を集めたりしている、などといったことが、3月26日にバンコクで開かれたワークショップで発表されました。(報道は3月27日のバンコクポスト)

 このワークショップは、マイクロソフト社がタイのイギリス領事館と共同で企画したもので、2週間にわたり開催されています。

 参加者のひとりであるマイクロソフト社のスタッフは次のようにコメントしています。

 「小児愛者のネットワークは世界規模であり、彼らは幼い子供の純真さを破壊し続けている。彼らのおこなうすべてのクリックが小児虐待へと通じている」

 このワークショップで発表された内容は、あまりにも刺激が強いためマスコミにも部分的にしか公開されないことになっています。参加者は小児愛や幼児虐待が問題になっている東南アジアの国々から集まった合計54人です。参加者の多くは、警察官、裁判官、弁護士、小児愛反対活動をおこなっている活動家たちです。

 参加者のひとりは次のようにコメントしています。

 「昔は、小児愛者たちは学校や公園、プールの周りをうろうろし、ターゲットの子供を探していた。今は、子供になりすまして子供が集まるチャットルームに入り、そこで子供と仲良くなるといったケースが増えてきている」

 最近の傾向として、被害に合う子供の年齢がどんどん低年齢化してきているそうです。

 昨年、英国のある機関が報告したデータによりますと、小児愛や幼児虐待に関したウェブサイトは約5,000あり、これを国別でみると、1位が米国で約半数、2位がロシアで14.9%、3位が日本の11.7%と続きます。

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 うまく日本語に訳せませんでしたが、上記で「小児愛者」としているのは、原文では、”predators”となっています。predatorには、捕食者、略奪者などの意味があります。

2007年4月2日(月)
南ア、ワールドカップ開催中は売買春が合法に?   谷口 恭

 「2010年のワールドカップ開催中は、売買春と路上での飲酒を合法とすべきだ!」

 3月31日のNEWS.COM.AUによりますと、このような主張を南アフリカ共和国の警察庁が国会で議員に訴え議論を呼んでいます。

 現在の南アフリカ共和国の法律では、売買春と路上での飲酒は共に違法です。しかし、ワールドカップ開催中は世界中から多数のサポーターが同国を訪れ、チケットを持たないサポーターは公園などに設置された大型スクリーンで(お酒を飲みながら)試合を観戦することが予想されます。試合観戦のために同国を訪れる外国人は50万人になるとの試算もあります。

 「もしも外国人がビールを片手に町を歩いていたら、私はその外国人を逮捕すべきなのでしょうか・・・」

 警察庁のある幹部はマスコミの取材にそのようにコメントしています。ワールドカップ開催中は買春と飲酒に耽溺する外国人が大量にやってくるため、同国の法律を厳密に規定すれば、大量の逮捕者が出ることとなり現実的でない、というのが警察の考え方です。ワールドカップ開催中には売春婦の数も急増すると考えられています。

 前回のワールドカップ主催国であるドイツでは、「買春を望む外国人は希望どおり置屋まで連れて行くように」との指令が行政からタクシー会社に通達されていたそうです。

 南アの警察関係者は言います。

 「ワールドカップはもうすぐやって来る。誰もが知っているように売買春は社会に存在するのだ。ドイツはその状況を上手く管理した。好ましいとかそうでないとかいう問題ではなく売買春があることは事実なんだ・・・」

 南アでは、以前から売買春を合法化すべきだとの声がときおりあがっています。違法にして取り締まることにお金がかかるという問題もありますし、売買春が違法であることがかえってHIV蔓延を加速させているという考えもあるからです。

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 ワールドカップ開催地では売買春もさかんになるというのは事実なのでしょうか・・・。2002年に日本で開催されたときも売買春は増えていたのでしょうか・・・。私の知る限りそのような報道はありませんでしたが・・・。

2007年4月2日(月)
オーストラリアの役人がクビになる理由とは…   谷口 恭

 新たなHIV感染の増加が止まらないオーストラリアで、日本では考えられないような理由で保健局の役人がクビになりそうです。

 3月31日のNEWS.COM.AUによりますと、前保健大臣のWooldridge氏は、「HIV陽性の男性がHIVを社会に蔓延させたのはヴィクトリア州の保健局の責任である」、とし、ヴィクトリア保健局局長をクビにするよう求めています。

 HIV陽性のこの男性は、HIVを故意に感染させようとしたなど合計106の性に関連する罪で来年から審議がおこなわれる予定です。前保健大臣は、「市民をHIV感染から守るためにこの男性をヴィクトリア州で監視の下に置くべきだった」、と述べています。

 この男性は、ヴィクトリア州から、オーストラリア州特別地域(ACT)やクイーンズランドに渡り、HIVを社会に蔓延させたとされています。

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 前保健大臣は、「ヴィクトリア州は国のエイズ政策に従わなかった」、としていますが、HIV陽性という理由だけで行政の監視の下に置くことが果たして適切な対策なのでしょうか・・・。

 故意にHIVを感染させたのは罪という考え方には同意できますが、性行為に同意した以上は相手にもある程度の責任はあるでしょう。今回の事件をきっかけにオーストラリアでHIV陽性者に対する差別が加速されないかが気になります。

2007年4月2日(月)
パタヤ、4人の初老外国人が少女買春で逮捕   谷口 恭

 GINAでは以前から、タイのなかでもとりわけパタヤの少女買春が深刻化していることをお伝えしてきましたが、3月19日、少女買春をおこなっていた4人の初老外国人がタイ警察に逮捕されました。

 3月26日のバンコク週報によりますと、逮捕されたのは63歳のフィンランド人、55歳と76歳の英国人、60歳の米国人です。それぞれ、証拠品として、コンピュータ、ビデオカメラ、わいせつVCDなどが多数押収されているようです。

 4人の容疑者は1回500バーツから3,000バーツ(約1,500円から9,000円)で買春を繰り返しており、幼すぎて性交渉ができない少女に対しては、自慰行為を命じてビデオ撮影していたことが警察の調べでわかっているそうです。

 容疑者のひとりである55歳の英国人は、自国で少女買春の実刑判決を受けており、出所後に訪タイし、パタヤで再び少女買春を繰り返していたそうです。

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 小児愛(pedophilia)というのは、もちろん病気ですが、残念ながら優れた治療法はありません。病識がないから同じことを繰り返すのでしょうが、被害にあった少女たちの身になることができないという意味でも深刻な病といえるでしょう。

 治療の見込みがなく更生できないなら、塀の中で生涯をまっとうしてもらうのが最善ではないでしょうか。初老と呼ばれる年齢になっても同じことを繰り返す者には更生の可能性はないでしょう。

2007年3月26日(月)
タイ、中高生の退学率が深刻に   谷口 恭

 タイでは毎年10万人を超える中高生が退学しており、その原因は”勉強嫌い””薬物依存””妊娠”などである・・・。

 このような発表をタイ基礎教育委員会(Basic Education Commission, BEC)がおこない話題を呼んでいます(報道は3月24日のバンコクポスト)。

 同委員会は次のようにコメントしています。

 「生徒が学校を辞めるとき、両親の引越しが原因ではないかと我々は考えがちだが、実際にはそのような原因で退学している生徒はほとんどいない」

 小学校から高校までの12年間の間に退学する者は毎年10万人以上いて、多くは男子生徒です。

 同委員会の調査によれば、退学者のおよそ3分の1は「勉強がきらい、勉強に飽きた」などを退学の理由にしています。残りの生徒は、「他の生徒からのイジメ」「薬物依存」「妊娠」などが退学理由です。

 同委員会は、生徒が利用できるカウンセリングルームを各学校が設立することを提唱し、今後各学校を評価することも検討しているようです。

 若者の更生施設の関係者は次にようにコメントしています。

 「10代でレイプや強盗をおこなう若者は、退学後まともなことをしておらず、仲間たちと成人映画を見たり、新聞の犯罪記事を読んだりしている。そしてそれが実際の犯罪につながっている。教育者には、単に勉強を教えるだけでなく、判断力や責任感ということについても教えてもらいたい」

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 「学校の教師に判断力や責任感の教育を求めるのは非現実的であり、そのようなことがらは家庭で教えるべきだ」という意見が日本にもありますが、タイでも似たような状況なのかもしれません。

2007年3月26日(月)
HIV陽性のカナダ人女性がバーで出会った男性と・・・   谷口 恭

 3月23日のロイター通信によりますと、カナダのトロント警察は、23日、自分がHIV陽性であることを隠して、バーで出会った複数の男性とコンドームを使わない性交渉をおこなったとして、HIV陽性の女性を性的暴行(sexual assault)の罪で逮捕しました。

 この女性と性交渉をもったことが判っているのは現在3人の男性のみですが、トロント警察は、実際に性交渉をもった男性はかなりの人数になるとみています。トロント警察の担当刑事は次のようにコメントしています。

 「この事件は彼女が故意にHIVを蔓延させようとたくらんだものだ。実際にどれくらいの男性が被害にあっているのかは想像するのも恐ろしい・・・」

 この女性(年齢は報道されていません)は、2003年にHIVに感染しており、2004年には保健省が、「今後性交渉をおこなうときには相手に自分がHIV陽性であることを告げるように」と警告しています。

 トロント警察によりますと、この女性はバーのなかで、”極めて性に積極的”(quite sexually active)で、さらにインターネットの出会い系サイトでも積極的に男性を探していたそうです。

 この事件に関してトロント警察は異例の行動に出ています。この女性の写真を公開し、この女性と性的関係をもった男性を探し出したのです。写真公開数時間後に早くも2人の男性が警察を訪れたそうです。しかし、トロント警察は言います。

 「実際に彼女と性的関係をもった男性はかなりの人数にのぼるはずだ。この事件が複雑なのは、たとえ彼女と性的関係を持ったことが分かっていてもそれを話すことに恐怖や羞恥心を感じている男性も少なくないと思われるからだ」

 カナダでは、HIVを性交渉で故意にうつそうとした女性が逮捕された事件はこれまでもありましたが、今回のように写真を公開して関係をもった男性を探すというのは初めてのことです。

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 このような事件は今後世界中で相次ぐでしょう。誰もが性交渉を持つ前にHIVの話をすべきであるというのが私の考えなのですが、これは非現実的なのでしょうか・・・

2007年3月26日(月)
ゲイの退職者が集う町   谷口 恭

3月23日のロイター通信によりますと、ハリウッドの一角に、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーなどの退職者が住めるような住宅街がつくられ話題を呼んでいます。

 この住宅街は、Triangle Squareと名づけられ、合計104の家が建てられ、低価格でゲイたちに供給されるようです。周囲にはプールやゴルフ場、またアミューズメントセンターや身体障害者用の施設まであり、関係者は米国にとってもロサンジェルスにとっても歴史的な出来事であると述べています。この住宅街建設の費用2,080万ドル(約25億円)は、カリフォルニア州とロサンジェルス市が負担しています。

 また、104の住居のおよそ3分の1がHIVに感染している低所得者のために準備されています。

 カリフォルニア大学の最近の調査によりますと、現在ロサンジェルス在住のゲイはおよそ442,000人で、ニューヨークに次いで二番目の多さです。特にハリウッド西部では、人口の40%がゲイもしくはレズビアンで、これは世界最大の人口比であると言われています。

 同性愛者を支援するあるNPOによると、米国の老人施設では、ほとんどが同性の居住を禁止しており、そのため同性愛者たちは老後、寂しい生活を余儀なくされているという現状があります。そのため、自分が同性愛者であることを偽って施設を探している人もいるそうです。

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 さすがは、人種差別や同性愛差別が世界で最も少ないと言われているロサンジェルスという感じがします。世界中の行政がこの政策を見習ってもらいたいものです。

2007年3月23日(金)
オーストラリアのゲイが乱交パーティを主催し・・・   谷口 恭

 3月20日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリアの48歳のゲイが、故意にHIVを感染させたとして現在法廷で審議がおこなわれています。

 この被告人は性に関する122の罪で起訴されており、2000年から2006年の間に16人にHIVを故意に感染させようとしたとされています。そして、このうち2人は実際にHIVに感染しています。

 さらに、この被告は、自ら乱交パーティ(orgies)を主催し、パーティに参加した人たちに故意にHIVを感染させようとした罪にも問われています。

 これからも審議は継続しておこなわれるようです。

2007年3月23日(金)
香港と広東省が共同でエイズ予防活動   谷口 恭

 3月21日のチャイナ・デイリーによりますと、香港と広東省がエイズ予防活動を共同でおこなうことに同意しました。これは両地域でHIV感染者が増加していることを受けてのものです。

 香港の保健省は、2006年の新規感染者が373人になったことを発表しました。これは前年313人から比べて19%の上昇です。香港の新規感染者は、2001年は213人、2004年は268人でしたから着実に新規感染者が増加していることになります。

 一方、広東省では、昨年10月から今年1月にかけての4ヶ月間で新たに4,823人がHIVに感染しており、前年同期と比べて8.4%の上昇となっています。

 これらの地域の新規感染者はほとんどが性交渉によるものです。

 広東省では現在145の病院がHIVの検査と治療をおこなっており、対象者は広東省のみならず香港からの渡航者も含まれています。また、両地域では、「太陽の下の愛」というタイトルのエイズ啓発映画が公開されています。

 香港の分子生物学者Lo氏は、香港の売春婦と男性たちが無料検査を受けられるようにすべきであると提唱しています。香港では以前は中国本土の人たちでも無料で検査を受けることができたのですが、香港政府は政策を転換し、現在では本土の人が検査を受けるにはおよそ1,000香港ドル(約15,000円)の費用がかかります。

 「これが売春婦たちが検査を受けることの障壁となっており、この結果が香港の公衆衛生を危険な状態にしている」、Lo氏はそのようにコメントしています。

2007年3月23日(金)
アンジェリーナ・ジョリーが3人目の養子   谷口 恭

 カンボジアではマドックス君(現在5歳)を、エチオピアではザラちゃん(現在2歳)を養子に迎え入れたアンジェリーナ・ジョリーが、今度はベトナムの孤児院で暮らす3歳の男の子を養子にすることを発表しました(報道は3月15日のバンコクポスト)。

 3月12日、アンジェリーナはすでに養子となっているマドックス君とともにホーチミンの孤児院を訪れ、その後法的な手続きを取るために法務省に出向きました。

 アンジェリーナは、昨年11月に夫のブラッド・ピットと共にその孤児院を訪問していたそうです。

 アンジェリーナは昨年5月にはナミビアでブラッド・ピットとの子供シローちゃん(女児)を出産していますから、今後は子供4人の6人家族ということになります。

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 このニュースは世界中のマスコミで一斉に発表されましたが、マドンナがマラウイの子供を養子にしたときのような批判はまったく報道されていません。3人の養子を迎え入れたアンジェリーナには一切の批判はなく、ただひとりの養子をとったことで世界中から非難されたマドンナは、いったいどこに違いがあるのでしょうか・・・

2007年3月23日(金)
中国のエイズ活動家の憂い   谷口 恭

 Gao Yaojieという80代の女性医師であるエイズ活動家が、バイタル・ボイス(Vital Voices)という団体から賞を受け取るために渡米しようとしたところ中国政府に妨害されたというニュースを以前お伝えしました。この活動家は最終的には渡米をおこない、無事に受賞することができたのですが、授賞式の後、ワシントンでマスコミの取材に答え、中国の現状を嘆いています。詳細を3月13日のロイター通信が報道しています。

 Gao氏は過去10年をエイズ活動に費やし、河南省のエイズ蔓延は行政に責任があることを指摘してきました。河南省の数千人もの農民たちは、貧困から売血せざるを得ず、不衛生な環境で自分たちの血液をお金に換えていましたが、献血がおこなわれた診療所は河南省が運営しているものも少なくなかったのです。

 Gao氏は数千部ものエイズ啓蒙のパンフレットを作成し、バスの乗客、ナイトクラブで働く売春婦、農民などに配布してきました。しかしGao氏は充分な効果がなかった、と取材に答えています。

 「私の行動は失敗だったんじゃないかって思います。10年以上もかけて活動をしてきたけどエイズの蔓延は防げなかったんだから・・・」

 Gao氏の渡米は、当初中国当局は認めていませんでしたが、国際的なプレッシャーのおかげで最終的に渡米が許可されたという経緯があります。ヒラリー・クリントン氏が抗議をしたことも大きな要因だったようです。

 「なぜ中国政府はあなたに渡米を認めようとしなかったのか」という質問に対して、Gao氏は困惑しながらも次のように答えています。

 「それは私の口からは言いにくいんだけど・・・、結局のところ、役人たちは一般人の死や生命に無関心なのよ。彼らが興味をもっているのは、自分たちの権力、地位、報酬、そして省の評判だけなの・・・」

 中国では売血行為は法的に禁止されています。にもかかわらず、Gao氏が省運営の診療所で売血行為がおこなわれていたことを告発した後も、罪に問われた役人はいません。

 Gao氏は、エイズ蔓延に便乗したペテン師たちについても述べています。河南省には「エイズが治る」と嘘をついて効果のない薬を売りまわる人たちが大勢いるそうなのです。

 Gao氏は中国の悪しき伝統である纏足(てんそく)をさせられており小さな足をしていますが、会見で黒いエスパドリーユを履いていたそうです。Gao氏は中国の混乱の歴史を80年以上に渡り見てきた人物です。文化大革命の頃は当局から追われた身となり自殺まで試みています。

 Gao氏は2冊の本を出版することを検討しています。ひとつは、1996年から取り組んできたエイズとの闘いについて、もうひとつはエイズを罹患した人々への贈る言葉です。

 「エイズになった人たちのことを多くの人に知ってもらいたいの。彼(女)らは、何も悪いことをしていないのに悲惨な生活を強いられているわ。子供たちは生命とは何かを知る前に死んでいくのよ・・・」

 Gao氏は売血でエイズを発症したある家族のことを述べました。

 「その家族の父親はすでに亡くなっていて、母親は父親を追うように首吊り自殺をしたの。その夫婦には小さなひとりの子供がいて、首をつっている母親を見つけたの。「降りてきてお母さん、おりてきてお母さん」と何度も叫びながらすでに死んでいる母親の足を引っ張ろうとするのよ・・・」

参考:「中国のエイズ活動家が軟禁状態に」2007年2月13日

2007年3月17日(土)
ドイツ人留学生が殺害された理由は・・・

 3月15日、バンコクのラムカムヘン通り30のアパートに住む25歳の男性ドイツ人が殺害されているのが発見されました。

 男性は全裸で出血した状態で倒れており、遺体の近くには血液の付着したダンベルが置かれていたことから、このダンベルが凶器とみられています。

 男性は、2004年にラムカムヘン大学に入学するためにタイに来ていたようです。ラムカムヘン大学は、タイの国立大学で、希望すれば誰でも無試験で入学することができます。

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 さて、この事件は、Bangkok Post, The Nationといったタイの英字新聞の情報ではここまでなのですが、バンコク週報はもう少し踏み込んだ報道をしています。

 3月16日のバンコク週報によりますと、この男性は同性愛者で、部屋からはHIV陽性を示す診断書が見つかっています。その診断書の日付は昨年12月となっているそうです。

 このため、警察では、被害者にエイズをうつされた者が恨みを晴らそうと部屋に押しかけたという線でも捜査をすすめるそうです。

2007年3月16日(金)
世界銀行がタイの若者を危惧
 タイの将来を担うべき若者が多くの危険にさらされている・・・

 こんな発表を世界銀行がおこない、3月14日のバンコクポストが報道しています。世界銀行は、昨年(2006年)、新たにHIVに感染した15,000人のうち40%が若者であることも重要視しています。(注1)

 世界銀行は、「知識が欠落しているために若者は脆弱な存在である」と述べ、過去にはそれなりに成功したエイズへの予防啓発はここ数年で後退していることを指摘しました。

 タイでは、12歳から24歳の喫煙と飲酒が数年間に急増していることも問題となっています。世界銀行は、若者の不健康な生活を改めるにはアルコールとタバコの税率を上げるべきだと主張し、これらの税金が20%上がれば少なくとも10%の若者が飲酒と喫煙をやめるとする研究を引き合いに出しています。

 また、タイでは充分な教育を受けていないことが原因で、いい仕事に就けていない若者が多いことも指摘されました。1994年から2002年にかけての中学校への入学率は、女性は9%上昇し71%となりましたが、男子はわずか3%上昇したのみで64%にすぎません。中学に進学できない理由は金銭上の問題であることが多いようです。(注2)

 「タイ政府は教育予算を増額し、教師は教育の技術の向上に努めるべきで、タイの学校の教育レベルを上げなければならない。タイの最も質の高い学校は先進国の最も質の低い学校以下であることがわかった」、と世界銀行はコメントしています。

 大学を卒業していても就職が見つからない理由として、コンピュータースキルや英語力に乏しいことがあげられています。また、およそ10万人の障害をもった子供たちや移民者は公的な教育システムを享受できない現状があることも問題視されています。

注1 バンコクポストは、「15,000人の若者がHIVに感染し、これが新規感染者の40%に相当する」としていますが、上に述べたように「新規感染者15,000のうち40%が若者」が正しいと思われます。原文は、more than 15,000 Thai youths
were infected with Aids in 2006, accounting for 40% of new patientsです。


注2 現在のタイは中学(secondary school)は一応義務教育です。
2007年3月5日(月)
メキシコ、軍のHIV陽性者の除隊は違憲   谷口 恭

 2月28日のBBCニュースによりますと、メキシコの最高裁の判決で、軍のHIV陽性者が除隊されないことが決まりました。HIV陽性という理由で除隊にするのは違憲との判断を最高裁が下したというわけです。

 この裁判はHIV陽性の11人の軍人がおこしたもので、メキシコ軍ではこれまでにおよそ300人のHIV陽性者が軍を除隊させられています。

 メキシコ軍は、HIV陽性者は”役立たず(useless)”と主張し、軍の規約にはHIV陽性の者は除隊されることになっているそうです。今回の判決により、医学的に任務が遂行できない場合やエイズを発症しているといった場合を除けば、HIV陽性という理由で軍を除隊させることができなくなります。

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 当然の判決だと思われますし、他国ではHIV陽性の軍人というのも珍しくないでしょう。ところで、日本の自衛隊ではどうなのでしょうか。HIV陽性という理由で除隊された自衛官というのは聞いたことがありませんが、不当な解雇はおこなわれていないと考えていいのでしょうか・・・。

2007年3月5日(月)
タイ・ラオス国境付近で薬物関連犯罪が急増   谷口 恭

 現在、ミャンマーからタイへの違法薬物の流入は減少していると言われていますが、その一方でラオスから東北地方(イサーン)への密輸が増えています。さらに、ドラッグにまつわる犯罪が急増していることを軍部最高司令官のブーンサン・ニエムプラディト(Boonsang Niempradis)氏が3月2日に発表しました。(報道は同日のバンコクポスト)

 イサーン地方のウボンラチャタニ県にチョンメク(Chong Mek)というラオスとの国境の町があります。ブーンサン氏は、そのチョンメックで開催されたタイ・ラオス合同の薬物委員会に出席した後、犯罪の急増について公式な発表をおこないました。

 ブーンサン氏によりますと、ミャンマーから北タイへの密輸がかなり厳しくなったことから、密売人たちはタイへの輸出ルートをラオス経由に転換しているそうです。氏は言います。

 「次第に多くの密売人たちがラオスやカンボジア経由でドラッグをタイに持ち込んでいる。3人から10人程度の規模のグループが合計1,000から1,500錠のメタンフェタミンを持ち込むことが多い」

 ミャンマーからのルートに比べると、ラオスやカンボジアとの国境は距離が大変長いために、取り締まるのは簡単ではありません。(地図でみるとミャンマーとタイの国境も長い距離がありますが、大半は人が簡単に入れない山ですから、実質ミャンマーからの密輸ルートは北タイの一部だけとなっています。それに対し、ラオスやカンボジアとの国境はほとんど平地ですから簡単に密輸ができてしまいます)

 現在の薬物対策に従事している警察官の人数では不充分で、両国の地方警察の協力が求められています。

 最も薬物犯罪が問題となっているチョンメクではHIVを含む性感染症の蔓延も指摘されています。

参考:「タイ・ラオス国境で性感染症予防活動」 2007年2月3日

2007年3月1日(木)
インド女性の半数は”エイズ”を知らない   谷口 恭

 2月23日のロイター通信によりますと、インド政府の調査でインドの全女性の40%以上がエイズという病を知らないということが分かりました。

 この調査はユニセフと英・米国の二国が協力し、インドのNFHS(国民家族保健調査)がおこなったもので、インド全域で国民の健康と栄養状態が調べられました。その結果、インド全域でエイズという病を知っていた者はわずか57%という結果がでました。

 地方だけでみてみると、エイズという病を知っている女性は46%にとどまります。なかでも、約8,500万人の人口を抱える北東部のビハール州では、エイズを知っている女性はわずか35%のみで、さらにこの州の村によっては30%にまで下がります。

 これだけ低くしか認知されていない理由のひとつに、これまでインド政府がとってきたエイズ対策があげられます。政府は、ドラッグユーザーや売春婦といったハイリスクグループのみに予防活動をおこなっており、広く国民に対する活動はこれまでおこなってきませんでした。

 次に、インドの地方のインフラの遅れがあります。インドの多くの地方では、家にテレビがなく、電気自体が通っていない地域も少なくありません。国民に広く予防活動を訴えるにはインフラの整備が必要であると言えるでしょう。

 さらに、インド女性の識字率の低さも原因のひとつです。インドでは、男性の76%が文字を読めるのに対して、女性では54%のみです。実際、エイズを知っていると答えた男性はインド全域でおよそ8割という結果がでており、男女間の識字率の違いが今回の結果につながっているとみられています。

 インドでは過去数年間で女性の感染者が増えており、現在全感染者の約4割が女性で、このなかには主婦も少なくありません。主婦の感染源は自身の夫であり、夫たちは、都会に出稼ぎに行き、都会での売春行為でHIVに感染しているのです。

 ロイター通信のこの報道では、スティグマがあるためにHIVに感染しているということを夫が妻に言えない状況があるとしています。

2007年3月1日(木)
インドネシアでエイズ急増、パプアニューギニアも   谷口 恭


 HIV感染が急増しているインドネシアとパプアニューギニアの状況について、2月17日WHO(世界保健機構)が報告をおこない、19日のロイター通信が報道しています。

 報告によりますと、インドネシアでHIV感染が急増しているのは主にドラッグユーザーと売春婦の間です。

 インドネシアは世界でもっとも多くのイスラム教徒を抱える国ですが、国民の大半は自由な性生活をしており、実際、売春は同国の多くの地域で主要産業となっています。インドネシア警察によりますと、現在ドラッグユーザーも急増しており、新たなHIV感染者を生み出しています。

 WHOによりますと、パプアニューギニアでは国民の2%がすでにHIV陽性です。同国は約300の先住民からなる国家で、言語も文化もバラバラです。なかには石器時代からなんら変わっていない生活を営んでいる部族もあります。

 WHOの報告ではインドネシアのHIV陽性者の見通しを明らかにしませんでしたが、インドネシアのスパリ保健大臣は、昨年11月、今後適切な予防政策が取られなければ、2010年までに50万人がHIV陽性となるとの見解を発表しています。

参考:パプアニューギニアのHIV蔓延 2006年10月1日
    インドネシアのHIV感染、2010年に倍増 2006年12月21日

2007年2月28日(水)
インドの女性がエイズを疑われ親戚に殺害される   谷口 恭

 インド東部に位置するオリッサ州でとんでもない事件が起こりました。エイズを発症していると誤解された30歳の女性が、なんと同じ家に住む親戚に殴り殺されたというのです。

 2月26日のロイター・ヘルスによりますと、数年前に未亡人となったこの女性は数日間高熱に苦しんでおり、それをみた親戚数人が根拠もなく「エイズに違いない」と思い、この女性を殺しました。

 この未亡人の元夫は数年前に肝疾患で死亡しており、親戚たちはこの元夫もエイズを発症していたと思い込んでいたようです。地元の新聞報道によりますと、元夫も未亡人のこの女性もHIVに感染していたという証拠は何ひとつないそうです。

 この未亡人を殺害した親戚連中のふたりはすでに警察に逮捕されています。

 現在570万人と世界一のHIV感染者を有するインドでは、依然スティグマや差別が広く蔓延しており、感染者は感染を隠し、社会から身を潜めてなくてはならないという現状があるのです。

2007年2月28日(水)
タイ、「クラブ・ドラッグ」が氾濫   谷口 恭


 タイで薬物が再び蔓延しているというニュースが最近頻繁に報じられていますが、スラユット首相が議長をつとめる麻薬撲滅委員会が23日に開催され、ONCB(麻薬管理委員会)の幹部キティ(Kitti)氏が同日にコメントを発表しています。(報道は2月24日のバンコクポスト)

 キティ氏は、ヤングアダルトと呼ばれる世代の特定のグループの間で、違法薬物が広く蔓延していることを指摘しました。現在、タイで氾濫しているのは、通称”アイス”と呼ばれる結晶のメタンフェタミン、コカイン、ケタミン、エクスタシー(MDMA)などで、これらはこういったグループが集うクラブで取引されることが多いため、「クラブ・ドラッグ」と呼ばれています。

 これら薬物のなかでも、特に近隣諸国で密造されている”アイス”が最も大量に流通しています。以前のタイでは、ヤーバー(直訳すると”馬鹿の薬”。アンフェタミンの錠剤)が広く流通していましたが、若い世代の間でこのヤーバーを使用する者は減少傾向にあります。これは、前政権(タクシン政権)が徹底的にこの覚醒剤を撲滅する対策を取ったことによるものとみられています。

 キティ氏は委員会で他の国の情勢についても述べました。

 アフガニスタンの麻薬の製造が爆発的に増加しており、これはタリバン一派の資金源になると考えられています。昨年、アフガニスタンは670トンのヘロインを精製しましたが、この量は世界中のヘロイン中毒者が必要とする年間消費量を凌ぐものです。

 一方、近年減少傾向にあったタイ国内のアヘン産生量も、昨年は前年より10%増えたと考えられています。以前は大量に栽培されていたチェンライ県ではもはやアヘン畑はほとんどなく、現在流通しているタイ産のアヘンはほとんどが北部のターク県で栽培されたものです。 

 タイでは元薬物中毒者の8-10%が再びドラッグの使用を始めていることも分かりました。また、過去1年間で薬物の容疑で逮捕された者の70%は10代だったそうです。ミャンマーなど北部からの密輸は減っているものの、カンボジアとの国境付近での密輸が増加しているという問題も指摘されました。
 
 さらに、タイ南部の薬物問題も過去最悪の事態となっています。当局は現在、イスラム過激派のテロを警戒するあまり薬物問題に力を注げておらず、南部ではすべての違法薬物が大変簡単に入手できる状態にあるそうです。

2007年2月28日(水)
イギリスのゲイたちがHPVワクチンを希望するが・・・   谷口 恭

 HPV(ヒトパピローマウイルス)のワクチンが開発され、オーストラリアや米国の一部で使用が開始されることになったというニュースはこれまで何度かお伝えしてきましたが、このワクチンが現在、イギリスで議論を呼んでいます。

 このワクチンは商品名をガーダシル(Gardasil)といい、4種類のHPVを予防することが分かっています。このうち2種類は子宮けい癌の、あとの2つは性器にできるイボ(尖圭コンジローマ)の原因ウイルスです。また、HPVは肛門癌や陰茎癌の原因ウイルスであることも分かっています。

 イギリスで話題を呼んでいるのは、このワクチンの接種を希望するゲイが急増しているからです。イギリスでは昨年末にこのワクチンが発売となり、9歳から15歳の男子と16歳から26歳の女性がこのワクチンの適用となっています。

 BBCの報告によれば、現在イギリスの多くのクリニックでこのワクチンを男性に接種しているようです。ロンドンのあるクリニックでは過去6週間に数十人の男性にワクチン接種をおこなったそうです。このワクチンは3回接種する必要があり、費用は合計で450ポンド(約13万円)です。(報道は2月23日のNEWS.COM.AU)

 イギリス政府は、現在このワクチンの対象を、性交渉を始める前の男女に限って接種をすすめています。将来的には、すべての少年少女が11歳か12歳頃に学校で接種できるようにすることを検討しています。こうすることによって子宮けい癌の罹患率が劇的に減少することが期待されています。

 ガーダシルの製造元であるメルク社は、現在4,000人の男性を対象に臨床試験をおこなっており、このうち500人はゲイです。

 一方、ガーダシルの開発者であるオーストラリアのフレイツァー(Freizer)博士は、男性の接種に否定的です。博士は言います。

 「成人のゲイがガーダシルを接種するのは"金の無駄”だ。たしかにガーダシルは尖圭コンジローマや性器の癌を予防することはあるだろう。しかし一夫一婦制に従わない者がこのワクチンの恩恵を享受できるかどうかは分からない。彼らは自分のお金を自由に使えばいい。しかし、効果がどれだけ得られるかは疑問だ」

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 ガーダシルの開発者のフレイツァー博士は、成人男性の接種に否定的な見解をもっているようですが、この理由が報道からはよく分かりません。性交渉を始める前に接種すべき、というのは確かでしょうが、わざわざ一夫一婦(monogamous)という言葉を引用しているのは、同性愛に賛同していないからではないかとも感じられます。

 製造元のメルク社がゲイをも含めた男性に臨床試験を実施しているのは事実ですし、イギリスのゲイたちも違法に入手しているのではなくクリニックで接種をおこなっており、クリニックの医師たちも成人男性への接種を推薦しているようですから、それだけに「金の無駄(waste of money)」という表現まで使って、ゲイたちを非難することに違和感を覚えます。

参考:オーストラリア、子宮けい癌のワクチン無料接種 2006年8月30日
    テキサス州、子宮けい癌のワクチンが義務化 2007年2月9日

2007年2月23日(金)
ミャンマーのヘロインがタイに大量に流入   谷口 恭

 クーデターで政治生命を絶たれたタクシン元首相がおこなった政策に「違法薬物撲滅政策」があります。当時「ドラッグ天国」と呼ばれていたタイ国をクリーンな国家にするため、「疑わしきは殺せ」という方針で、少しでも違法薬物に関与していることが疑われた者は容赦なく殺されていました。その総数は公式発表では約2,500人ですが、一説には5,000人を超える者が射殺されたのではないかとも言われています。

 実際、明らかな冤罪が次々と明るみになり、現在薬物容疑で射殺された事件の捜査をやり直すような方向で議論がおこなわれています。このため、ONCB(麻薬管理委員会)は、完全な証拠がなければ容疑者を逮捕できなくなり、その結果、麻薬取締りに大変難航しています。

 一方、中国では急増するHIV感染を防ぐために、自国に流入する違法薬物を徹底して排除する対策をとっています。

 タイでは麻薬対策が軟化せざるを得ず、中国では対策が強化されたことにより、ミャンマー産の高品質な薬物は、大量にタイに流入しつつあります。

 2月10日のバンコクポストによりますと、シャン族(ミャンマーの反体制派)のリーダーが、タイ政府に対して、ミャンマーの薬物密売人たちが国際マーケットに密売するためにタイに集中して密輸をおこなっているということをタイ政府に警告しました。

 シャン族によりますと、昨年は阿片の栽培に適した気候となったこともあり、栽培面積は減ったものの高品質なヘロインがつくられ価格は過去10年で最高値をつけているそうです。阿片10キログラムからヘロイン1キログラムが精製され、ヘロイン1.6キログラムが23万から25万バーツ(70万から75万円)で取引されているそうです。

 また、最近の特徴として、麻薬精製工場のほとんどで、麻薬と共にメタンフェタミンの結晶(通称”アイス”)をも精製しているようです。

 現在ONCBはタイ軍と協力してミャンマーからの薬物流入を防ごうとしていますが、それと同時に台湾や日本からの買い付け人の動向にも目を光らせているそうです。

 シャン族の軍隊もタイ政府をサポートし、密売人を逮捕するとタイ軍に身柄を引き渡しているようです。

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 タイでは覚醒剤はヤーバー(馬鹿の薬)と呼ばれ、簡単に入手できる違法薬物の代表でした。それが、最近ではより純度の高い”アイス”へと入れ替わり、さらにヘロインの流通量も増えています。

 最近は北朝鮮からの密輸が減少し、”アイス”の流通量が減るのではないかと日本では言われていましたが、それに代わってミャンマー→タイ→日本というルートが確立されようとしているのかもしれません。タクシン政権のように冤罪を出すのは避けなければなりませんが、密売の捜査は徹底的におこなってもらいたいものです。

2007年2月21日(水)
タイのコンドームは14%が不良品

 2月20日のバンコク週報によりますと、保健省医療科学局のパイジット局長は2月19日、タイで市販されているコンドームの不良品率が14%だったと発表しました。

 今回、検査で不良品となった製品には、地元メーカーのものだけではなく、外資系メーカーのものも含まれていました。しかし、食品・医薬品委員会の承認したブランド製品については問題がなかったようです。

 14%という数字には驚かされますが、これでも昨年の17%からは改善しているそうです。

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 「コンドームを使いましょう」の一点張りではやはり限界があると考えるべきなのかもしれません。

2007年2月20日(火)
バンコクのシャブ中が警官を刺す   谷口 恭

 タイで覚醒剤を含む違法薬物に関する事件が相次いでいますが、覚醒剤のリスクには、HIVやC型肝炎ウイルスなどの感染症、薬物そのものの作用による心身の破壊の他に”被害妄想”があります。

 2月19日のバンコク週報によりますと、覚醒剤中毒の25歳の男性がパトロール中の警官の顔面をナイフで刺しました。

 この中毒者は、事件前夜より母親に暴力をふるうなど半狂乱の状態になり、誰も手がつけられなくなっていたそうです。そして夜明けに家を飛び出し、駐車中のタクシーや自家用車をこん棒でメッタ打ちにしているところをパトロール中の45歳の警官が通りかかりました。

 この警官がこの中毒者の身柄を拘束しようとしたところ、中毒者は刃渡りの長いナイフで警官の顔面を刺し、そのまま近くの長屋に逃げ込みました。

 その後、応援に駆けつけた警官が長屋から出てくるように呼びかけましたが、中毒者が無視したために警察は催涙弾を長屋に打ち込み、たまりかねて長屋を飛び出した中毒者を逮捕したそうです。

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 おそらく覚醒剤の作用が切れたために強烈な被害妄想がこのシャブ中を襲ったのでしょう。夜間の救急外来をしていると、警察やKGBに襲われる~、と言って病院に飛び込んでくる患者さんがいますが、そういう人はかなりの確率で覚醒剤が切れたときの被害妄想が出ています。

 こういう話をもっと普及させて覚醒剤の恐ろしさを訴えれば、少しくらいは興味本位で薬物に手を出す人が減るでしょうか・・・

2007年2月20日(火)
大阪の麻酔科医が麻薬取締法で逮捕の見込み   谷口 恭

 2月16日の共同通信によりますと、大阪の36歳の麻酔科医が、自分の勤める病院から麻薬を窃盗した罪で逮捕されました。この医師は窃盗の容疑を認め、自ら使用したことを供述しているため、近いうちに麻薬取締法でも逮捕される見込みです。

 日本の医師が薬物で逮捕されるのは覚醒剤取締法の方が圧倒的に多いと思われますが、麻薬取締法での逮捕もときどき報道されています。

 麻薬取締法で逮捕される医師の特徴は、ほぼ全員が「麻酔科医」であるということです。そしてもうひとつ、覚醒剤で逮捕される医師との違いは、”死亡”につながる事件が多いということです。

 90年代には、関東のある大学病院の麻酔科医3人が吸入麻酔薬の過剰摂取で立て続けに死亡していますし、2005年の12月にも北陸のある大学病院で麻酔科の女医がやはり麻薬の過剰摂取で死亡しています。

 一般の人はもちろん、他科の医師よりも麻薬の危険性をはるかに熟知しているはずの麻酔科医が、自ら麻薬におぼれていくのは興味深い事象といえるかもしれません。

 それだけ麻薬とは恐ろしいものなのです。医師であれば注射針の回し打ちのような危険な行為はしないでしょうが、感染のリスクは避ける術を知っていても、麻薬そのもののリスクが見えてなかったということなのでしょう・・・。

参考:覚醒剤中毒の女医
    「クスリ」を上手く断ち切るには①
    「クスリ」を上手く断ち切るには②
    「クスリ」を上手く断ち切るには③
    「クスリ」を上手く断ち切るには④

2007年2月19日(月)
ウドンタニの刑務所で小児愛者が自殺   谷口 恭 

 2月15日のバンコクポストによりますと タイで12歳の少女をレイプして逮捕された64歳のドイツ人男性がウドンタニ県(イサーン北部の大きな県)の刑務所内で2月13日に自殺をしていたことをタイ警察が発表しました。

 死体にはリストカットをした形跡があり、喉にはまるめたソックスが詰められていたそうです。検察は、手首の傷がそれほど深くないことから、失血ではなく窒息による死亡とみています。 

 このドイツ人男性は、ウドンタニ県のレンタルハウスに滞在していたところを2月10日に逮捕されていますが、押収されたデジタルビデオカメラには、この少女をレイプするシーンがおさめられていたそうです。有罪が確定すれば10年から20年の実刑が下されることになったようです。

 この男は、以前は母国でコンピュータ関係の技術職に従事しており、過去15年のあいだ定期的に訪タイを繰り返しており、タイ語も堪能だったといいます。

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 このウェブサイトでは何度も述べていますが、タイには世界中から小児愛者が集まってくるという傾向があります。この男は自ら命を絶ちましたが、被害にあった12歳の少女の今後の人生を考えると激しい憤りを感じます。10年から20年の実刑などというのが甘すぎるわけで、適切な罪を課し、被害者を救済するのと同時に新たな被害者を出さないような対策を講じてもらいたいと思います。

参考:「タイ、海外の指名手配中の小児愛者を調査」2007年2月2日
    「イギリスのロリコン教師がバンコクで逮捕」2007年1月30日

2007年2月19日(月)
危険なタイのティーンエージャー   谷口 恭

 タイの思春期医療の専門医である小児科医スリヤデオ・トリパチ医師(Dr.Suriyadeo Tripathi)が、現在のタイのティーンエージャーの危険性について発表をおこない、2月15日のバンコクポストが報道しています。

 「コンドームを用いない性行為(unprotected sex)は、望まない妊娠だけでなく、子宮けい癌などの危険な性感染症にもつながることを10代の若者は認識しなければならない。10代の少女がボーイフレンドから愛を確かめるためにセックスをしようと誘われたときに”ノー”と言うべき理由はいくつもある」、とスリヤデオ医師は警告しています。

 スリヤデオ医師は、ユニセフの報告を引き合いに出し、タイの15歳から24歳の60%が処女を失ってから1年以内になんらかの性感染症に罹患している可能性があることを述べました。

 この医師の研究によりますと、初めての性行為をおこなってから1年以内に避妊ピルやコンドームを使い始める10代の少女もいますが、コンドームを常に使う少女は20%に過ぎないそうです。

 ユニセフの報告では、タイでは約6万人のティーンエイジャー(15歳から19歳)がHIVに感染しており、HIV関連の死亡は、今や事故についで10代の死因の第2位です。(参考までに、若者の人数が700から800万人と、タイと同規模のカリフォルニア州ではティーンエイジャーのHIV陽性者は約4千人です。カリフォルニアの死因第2位は他殺です)

 現在のタイの10代の少女のあいだで最も流行っている性感染症が淋病とクラミジアです。これらは骨盤内感染症を引き起こし、正常な妊娠ができなくなることもあります。また、子宮けい癌の原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)も広く蔓延しています。HPVは感染しても80%は数年以内の間に陰性化しますが、20%は慢性化し子宮けい癌のリスクとなります。

 「少女のなかには、自分が性感染症に罹患していることを恥ずかしいことと感じており、パートナーに言えない者もいる。そして、これが問題をさらに悪化させている」、とスリヤデオ医師は言います。そして、まずはマスコミが刺激的な映像を流していることが問題であることを指摘し、少女たちには4つの”ノー”を言うように提言しています。

 4つの”ノー”とは、「オープンな誘い(open invitation)に対する”ノー”」、「誘惑的な振る舞い(seductive behavior)に対する”ノー”」、「遠くに行くことに対する”ノー”」、そして「アルコールに対する”ノー”」、です。

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 タイに比べるとHIVの罹患率は現時点では少ないものの、日本でも10代の少女の淋病、クラミジア、HPV感染は広く蔓延しています。日本の少女たちも”ノー”と言えるようになるでしょうか・・・

2007年2月15日(木)
オーストラリアの病院でHIV院内感染の疑い?   谷口 恭

 2月9日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア首都特別地域保健局は97人の子供がB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVなどに感染している可能性があることを発表しました。

 これらのウイルスに感染している可能性があるのは、1987年の2月から2006年の10月中旬までに、キャンベラ市内のある病院で大腸の生検(大腸の組織を一部取る検査)がおこなわれた子供であると発表されています。昨年10月に院内のスタッフが、生検で使用する鉗子が適切に滅菌されていないことに気づき、ウイルス感染の可能性が否定できないために保健局が公表するにいたりました。

 現在、保健局は、この大腸の検査を受けて感染の可能性があると考えられている97人のうち70人に連絡を取り、これら感染症の検査を受けるように促しました。残りの27人は現時点で連絡がついていないそうです。

 保健局は、「感染している可能性は小さいが倫理的な観点からもこれら患者さんに連絡すべきと考えた」、とコメントしています。

 一方、シドニー大学の法医学に詳しいロガー・マグヌソン(Roger Magnusson)教授は、今回の保健局のとった措置に対して、「リスクが極めて小さいのにもかかわらず保健局は患者と家族に過剰な心配を与えている」、と指摘しました。同教授は続けます。

 「たとえ感染していないことが判っても、不安な気持ちに支配されることがある。感染してなくてもそのような病原体に接触した可能性のあることを心配しすぎて、精神的な障害が出現する可能性もある。また、子供から親に家庭内感染したのではないかと心配させることにもつながる。保健局は詳細をどのように公開するかについて充分に注意しなければならない」

 保健局が今回の対応に踏み切ったのは、この病院の感染予防対策が、1994年に制定された規約に基づいていなかったからです。現在、保健局はホットラインをつくりまだ連絡が取れていない患者さんを探しています。

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 今回対象となっている感染したかもしれない(元)患者さんはいずれも子供です。マグヌソン教授が懸念しているように、子供に過剰な不安を与えないか、異国のことながら心配になります・・・。

2007年2月15日(木)
オーストラリア、C型肝炎ウイルスも急増   谷口 恭

 2月12日のNEWS.COM.AUによりますと、シドニーの若い世代のドラッグユーザーの間でC型肝炎ウイルスの感染が急増しています。ドラッグユーザーの感染率はロンドンを抜いて世界一となったようです。最近では、実に毎年ドラッグユーザーの2人に1人がこのウイルスに感染していることになります。

 もう少し詳しくみてみると、新たに薬物を開始して1年以内にC型肝炎ウイルスに罹患するのは100人あたり46人で、ロンドンの42人を凌いでいます。
 
 これまで世界一と言われていたロンドンの感染率を上回ったことがわかり、ニューサウスウエールズ州の研究チームは「緊急の対策を要する」と警告しています。

 ドラッグユーザーの間でも特にリスクが高いのが、女性、20歳以下、東南アジア出身、コカイン使用者、だそうです。

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 オーストラリアでは、囚人の間でのC型肝炎ウイルスの高い感染率も以前から問題になっています。同日のNEW.COM.AUの別の記事には、囚人の3人に1人がC型肝炎ウイルスを保持していることが述べられています。

 地域ごとにみると、ニューサウスウエールズ州の囚人で最も感染率が高いようです。

 さらに、囚人の5人に1人がB型肝炎ウイルスに罹患していることも分かりました。ただHIVは1%とそれほど高くないという結果がでました。

2007年2月15日(木)
今、オーストトラリアが危ない   谷口 恭

 オーストラリアは、一時はHIV減少に成功した国だと言われていましたが、最近の状態は"最悪”と言っても過言ではないと思われます。

 2月9日のBBC NEWSによりますと、同国ではHIVの感染率が2000年から2005年で41%も上昇しています。

 2005年、オーストラリアでは950人のHIV陽性者が新たに発見されました。そのうちおよそ8割が男性同性愛者で、異性愛者は18%です。以前は感染者の占める割合が多かったIDU(薬物を静脈注射する人)は、針の無料交換制度が功を奏したため1%にまで減少しています。

 この数字から分かるように、オーストラリアで最もハイリスクなグループはゲイ(男性同性愛者)です。90年代後半にはゲイの間での感染率はいったん減少傾向となりましたが、2000年以降は再び上昇に転じています。

 1984年にHIV陽性が判明し、現在最も長生きしている陽性者のひとりである男性(ゲイ)は言います。

 「新しい世代のゲイはHIVに無関心なんだよ。HIVは死なない病気になったからね」

 たしかに、HIVは以前のように”死に至る病”ではなくなり、慢性的な疾患のひとつとなっています。しかし、”死なない病気”になったが故に、人々の関心が薄くなったというのはなんとも皮肉な結果です。

 ところで、オーストラリアのゲイコミュニティのHIV感染には興味深い特徴があります。ヴィクトリア州、クイーンズランド州では新たにHIVに感染するゲイが急増しているのにもかかわらず、ニューサウスウエールズ州では減少しているのです。メルボルン(ヴィクトリア州の州都)では急増し、シドニー(ニューサウスウエールズ州の州都)では減少しているというのです。この現象が不思議なのは、シドニーはオーストラリアでゲイが最も多い都市と言われているからです。

 この理由については正確なことは分かりませんが、あるエイズ関係者は、「シドニーのチャリティ団体や州の取り組みの成果ではないか」とみているようです。

2007年2月15日(木)
レイフ・ファインズの痴態   谷口 恭

 イギリスの俳優レイフ・ファインズは、現在ユニセフの大使をしており、最近インドでおこなわれたイベントに出席しHIV陽性者に対して講演をおこないました。

 ユニセフは1946年に設立された国連の下部機関で、世界の困窮した子供たちを救援することを主目的としています。黒柳徹子さんが親善大使をしていることでも有名です。

 そのユニセフで大使をしているレイフ・ファインズがとんでもない"痴態”をさらしました。

 レイフ・ファインズはシドニーでのイベントに参加した後、カンタス航空でシドニーからインドに向かいました。2月12日のNEWS.COM.AUによりますと、レイフは、その機内でカンタス航空の38歳のフライトアテンダントをトイレに連れ込んだそうです。

 このフライトアテンダントは同紙の取材に次にように答えています。

 「レイフはあたしがトイレに入ろうとしたとき一緒に入ってきたのよ。こんなことはよくないからすぐに出て行くように説得したわ・・・」

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 事の真相はよく分かりませんが、これが事実だとしたら、HIV陽性者に会いに行く前にこんな痴態をさらすような人物にユニセフの大使をつとめてもらいたくありません・・・。

2007年2月14日(水)
マレーシア、違法薬物のプッシャーが逮捕   谷口 恭

 2月6日のバンコクポストによりますと、2月2日、マレーシア北部のペナン州の警察が違法薬物のシンジケートのアジトを暴き、このシンジケートのメンバーである36歳の男を逮捕し、およそ100万リンギット(約3,400万円)に相当する違法薬物、及びそれらを精製したりパケットにしたりする器械を押収しました。

 押収された薬物は、1,288グラムのヘロイン、1,263グラムの粉末の覚醒剤(メタンフェタミン)、904グラムのケタミン、2,000錠以上のエクスタシー(MDMA)です。

 警察の調べで、このシンジケートは違法薬物を海外から大量に仕入れ、小さなパケットに詰め替えていたことが分かりました。現在マレーシア警察はこのシンジケートの他のメンバーの行方も追っています。 

 マレーシアは違法薬物に対する取締りが大変厳しく、麻薬を所持していれば絞首刑になります。押収された薬物のなかには麻薬(ヘロイン)が含まれていますから、この男が死刑になるのは間違いありません。

 これだけ厳しい法律が施行されている国で大量の薬物が押収されたわけですから、アジア全域でみたときの流通量を考えると恐ろしくなります・・・。

2007年2月14日(水)
タイ女性の”指名手配”に領事館が抗議   谷口 恭

 HIV陽性者の人権は何としてでも守らなければなりません。それは海を越えても同じことです。現在、バーレーンで、ひとりのタイ女性の人権が侵害されています。そして、タイ領事館はこれに抗議をおこなっています。

 2月4日のバンコクポストによりますと、バーレーン警察がひとりのタイ女性を指名手配しています。容疑は、この女性が故意に自分のHIVを他人に感染させようとしているというものです。この警察の動きに対し、バーレーンのタイ領事館が抗議をおこないました。

 現在36歳のこの女性(新聞には名前が報道されていますがここでは伏せておきます)は、以前バーレーンの会社で働いており、2005年の11月にタイに帰国しています。HIVにはどこで感染したのかは分かりませんが、彼女がHIV陽性であることは間違いないそうです。タイ帰国後の彼女の居場所は分かりませんが、バーレーンに再入国したという事実は確認されていません。

 この女性が以前勤務していた会社が、「彼女は故意にHIVをバーレーンで広めようとしている」と発言し、これを受けたバーレーン警察は、彼女をバーレーン全国で指名手配し、新聞には写真を含む彼女の個人情報を公開しました。警察は、彼女が偽名を使ってバーレーンに再入国しているとみています。

 これに対しバーレーンのタイ領事館は不快感を表明し、スポークスマンは次のようにコメントしています。

 「彼女はHIV陽性で、2005年にタイに帰国したことは判っているが、その後再入国した形跡はない。我々はこの件についてバーレーン政府と協力していくつもりで、我々の知りえた情報はすべて共有していく方針である。しかしながら、彼女の写真を含むプライベートな情報を公開するのは適切な方法ではない。これは彼女に対する人権侵害である。我々は彼女の人権を侵害するのではなく、彼女を助けることに努めるつもりである」

 そして、バーレーン政府に対し、彼女が再入国し故意にHIVを感染させようとしている証拠があるのかと尋問しました。

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 ひとりの国民の人権侵害に対し、堂々とバーレーン政府に抗議したタイ領事館は立派だと言えるでしょう。同じことが日本人で起こったときには、日本領事館が国民の人権を守ってくれることを信じたいものです。

2007年2月13日(火)
中国のエイズ活動家が軟禁状態に   谷口 恭

 以前に比べると慈善団体の活動に対する中国政府の対応は随分と軟化しているように感じますが、それでも、やはり共産党独裁政権なんだなぁ・・・と思わずにはいられない事件がときおり報道されます。昨年このコーナーでお伝えした事件「中国のNGOが強制解散させられた理由とは?」(2006年10月23日)はその一例です。

 中国河南省にGao Yaojieという80代の素晴らしい女性医師がいます。Gao医師は来月に米国でおこなわれるVital Voice Global Partnershipというチャリティ団体から表彰される予定ですが、中国政府がGao医師の渡米を阻止しようとしています。尚、このチャリティ団体はヒラリー・クリントン氏も支持しています。

 まずは、Gao氏の功績についてまとめておきましょう。Gao氏の住む河南省では90年代半ばから売血によってHIVが急速に広がり始めました。特に産業もないこの地域では住民のほとんどが貧困な状態にあり、生きていくためには自分の血を売って生活するしかなかったのです。しかし不衛生な状態で採血がおこなわれたため、使いまわしの針が原因でHIVが一気に蔓延しました。

 Gao医師はこの事実を訴え、エイズに関する基本的なことを書いたパンフレットを作成し、鄭州(河南省の省都)の長距離バスターミナルで配布しました。河南省の売血事情を本にもまとめました。そして、抗HIV薬を支給し、エイズに苦しむ人々やエイズ孤児たちを自分の質素なアパートに招きケアをおこないました。これらにかかった費用は、一部の寄附金以外はすべてGao医師個人が捻出したものです。

 現在Gao医師は引退していますが、売血によりHIVが蔓延したことを告発したことでこれまでにも多くの賞を受賞しています。2001年には、国連の賞を受け取るためワシントンに渡航する予定でしたが、中国政府にパスポートの申請を拒否され授賞式には参加できませんでした。

 2月4日のAP通信によりますと、Gao医師は現在自宅で軟禁されています。河南省の役人がGao医師に来月おこなわれる授賞式に出席しないように警告しましたが、Gao医師はこれを拒否したからです。そこで省の役人はGao氏を自宅に軟禁し渡米のためのビザ申請に北京に行けないようにしています。

 Gao医師の友人や家族もGao医師の自宅を訪問できないようにされ、Gao医師の娘は現在警察の事情聴取を受けています。1月末からGao氏の自宅の電話には誰もでないそうです。

 河南省はマスコミの電話取材に答えることを拒否しています。

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 中国政府と河南省に激しい憤りを感じる事件です。やはりこの国に民主主義はないのでしょうか。

参考:河南省のエイズ村告発小説が発禁命令」2006年9月27日
    「河南省の最新情報」2006年9月23日
    「依然真相不明―河南省のエイズ村―」2006年8月19日

2007年2月13日(火)
日本、錠剤型の覚醒剤押収量が戦後2番目に   谷口 恭

 2月1日の日本経済新聞によりますと、昨年(2006年)1年間に押収された錠剤型の覚醒剤が、前年比約2.2倍の56,886錠にのぼったことが警察庁の調べであきらかとなりました。この数字は1958年に次いで戦後2番目だそうです。

 一方、粉末の覚醒剤の押収量は125キログラムで、前年比5.1%の増加でしたが、400キログラムを超えていた2002年から2004年の3割程度だそうです。

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 最近はヨーロッパからの密輸で錠剤型覚醒剤が大量に入ってきているとの報道がありますが、日本では伝統的?に”結晶型”(通称”アイス”)の方が問題になっており、錠剤型の覚醒剤はそれほど流通量が多くないと言われていました。

 日経新聞の報道では、錠剤と粉末についてしか述べられておらず、結晶についてはなぜか記載がありませんが、おそらく最近のアジア全体での流行から考えて”アイス”の流通量はかなりのものになるでしょう。

 このウェブサイトで何度も述べているように、日本が”覚醒剤天国”の汚名を返上するためには、他国との協力を惜しまずに、製造・密輸・販売・使用のいずれの対策にも力を注がなければなりません。

参考:「関空で5,600錠の覚醒剤押収」2006年10月28日
    「オーストラリア、10人に1人が”アイス”を経験」2007年2月6日

2007年2月9日(金)
テキサス州、子宮けい癌のワクチンが義務化   谷口 恭

 子宮けい癌のワクチンが発売され、先進国の間では少しずつ普及しだしています。すでにオーストラリアでは12歳から26歳の全女性が無料でこのワクチンを接種できるようになっています。(詳細は「オーストラリア、子宮けい癌のワクチン無料接種」2006年8月30日)

 米国テキサス州では、11歳と12歳の女生徒全員にこのワクチンの接種が義務付けられることになります。

 2月5日のロイター通信によりますと、女子生徒へのこのワクチン接種を義務化するのは全米初で、同州のペリー知事は、州立の学校の生徒全員が接種すべきワクチンのリストにこの子宮けい癌のワクチンを加えました。

 しかし、同知事のこの決定は物議をかもしています。いくつかの宗教団体や保護者団体が、ワクチン接種を義務化することによって未成年の性行動を活発にする、という理由で同知事の決定に反対しています。

 ペリー知事は、「このワクチンは確実に子宮けい癌を防ぐことができる」と述べ、ワクチン接種義務化の正当性を主張していますが、同時に、「宗教的な理由などでワクチン接種を拒否することもできる」、と付記しています。

 テキサス州で接種がおこなわれるのは、メルク社のガーダシル(Gardasil)という昨年6月に米国で承認されたワクチンです。このワクチンは4種類のHPV(ヒトパピローマウイルス)を予防します。4種類のうち2種類は70%以上の子宮けい癌の原因となるHPVで、残りの2つは性器にできるイボ(尖圭コンジローマ)の原因のHPVです。

 現時点では、このワクチンの適用は9歳から26歳の女性となっています。臨床試験ではHPVが引き起こすこれらふたつの疾病(子宮頚癌と尖圭コンジローマ)を100%予防できたという結果が得られています。

 このワクチンは、テキサス州の9歳から18歳までの女子なら誰もが(おそらく無料か低料金で)接種可能です。また、19歳から21歳までの女性でメディケイド(アメリカの比較的低所得者を対象とした公的保険)に加入している者も保険を使って接種することが可能です。

 全米の35歳から54歳の女性のがんで5番目に多いのが子宮けい癌です。テキサス州によりますと、同州は、全米で2番目に子宮けい癌の罹患者が多いそうです。

 子宮けい癌は世界中で毎年30万人の女性の命を奪っています。最近は若い世代に蔓延していることもあり、このワクチンは性行動を開始する前に接種するのが最適であると言われています。

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 日本では子宮頚癌のワクチンはまだ承認されていません。子宮けい癌も尖圭コンジローマも若い世代に蔓延しているのは日本も同じなので、1日も早く実用化できる日を待ちたいと思います。

2007年2月7日(水)
日本のHIV感染が過去最高に   谷口 恭

 2月7日の共同通信によりますと、昨年(2006年)1年間に国内で新たに報告されたHIV感染者数は914人、エイズ発症数は390人で、計1,304人に上りました。厚労省のエイズ動向委員会が7日、速報値として発表しています。今後まとめる確定値で数が増減する可能性もありますが、新規感染者、エイズ発症者数とも過去最多は間違いないようです。合計が年間1,000人を超えたのは2004年から3年連続で、大半が性感染という結果がでています。

 日本では、まだまだ検査を受けている人が少ないようです。オーラルセックスも含めてunprotected sex(コンドームを用いない性行為)の経験のある人は検査を考えてみるべきでしょう。

2007年2月7日(水)
南アのHIV蔓延は富裕層に   谷口 恭

 南アフリカ共和国は世界第2位のHIV陽性者をかかえる国ですが、これまでは感染者の多くは貧困層であると考えられていました。しかし最近の傾向はそうではないようです。

 1月31日のロイター通信によりますと。南アフリカ大学と民間企業の共同研究で、専門職に従事する者やフルタイムで勤務する者など、同国の経済発展を担う立場の人たちの間でHIV感染が急速に広がっていることが明らかとなりました。

 従来、同国では、正しい知識を欠き、適切な治療や保健サービスを受けることのできない地方の貧困層の間でHIV感染が蔓延していると考えられてきました。現在も、30歳以下の若い世代が最たるハイリスクグループであることには変わりありませんが、従来はハイリスクと考えられていなかった高い教育を受けた富裕層の間でも急速にHIV感染が広がっていることが今回の研究で判ったのです。

 同国のHIV陽性者は2002年に6.2%だったのが2004年には8.3%にまで上昇しており、増加率は34%になります。

 同国ではフルタイムで勤務する者は国民の半分程度ですが、この層でみると、2002年の罹患率が14.4%なのに対し2005年には19.2%と36%も上昇しています。

 一方、失業者の間では、上昇率は2002年の11%から2005年の18.4%と、こちらも高い数字を示していますが、陽性率はフルタイム従業員よりも低くなっています。

 年齢別にみると30歳から34歳の間で最も急速に感染率が増加しています。これは彼(女)らから仕事を奪うことにつながりかねません。

 仕事別ではなく実際の収入ベースでみると、高収入上位3分の1は、貧困層3分の1よりも低い感染率(8.5%と23.4%)ですが、感染者の上昇率でみれば、2002年から2005年で、貧困層が14%の上昇なのに対し、高収入上位3分の1の層では39%も増加しています。

 研究者のひとりは次のように述べています。

 「この国のハイリスクグループは次第に上の世代に、そして次第に富裕層に移行してきている。今、急激にHIV感染が広がっているのは、非雇用者(従業員)よりもむしろ雇用者(経営者)たちである。銀行口座を持っていない人の間でHIVが蔓延しているわけではない。HIVが広がっているのは投資をおこなうような人たちの間である。HIVの蔓延がこの国の経済に大きな打撃を与えることになるだろう」

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 日本を含む先進国でも、HIVの新規感染はお金に余裕があり海外に頻繁に旅行できるような人たちの間で広がっています。なぜ、高い教育を受け、フルタイムの職業を持っている教養のある人たちがHIV感染予防をおこなえないのでしょうか・・・。

2007年2月6日(火)
初めての相手からHIVとC型肝炎ウイルスに感染  谷口 恭

 性行為によって男性から女性にHIVとC型肝炎ウイルスが感染することは珍しいことではありませんが、それまで処女だった女性が初めての男性から恣意的にこれらを感染させられたとなると想像を絶する悲しみがあるに違いありません。

 現在スコットランドのエディンバラで、ある裁判がおこなわれており、この模様を1月31日のBBC NEWSが報道しています。

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 HIV関連の施設ではたらく47歳の看護師サラ・クーパー(Sarah Cooper)氏は、法廷で次のように証言をおこないました。

 「私がXさんにHIVとC型肝炎ウイルスに感染していることを告げなければならなかったときは本当にショックでした。最初私たちは互いに微笑みあっていました。けれどもXさんは突然表情を変え、怒りを表し、私に、それ以上言わないで!と言って思考することをやめてしまいました。Xさんは私をつかんで私の身体を揺すりました。そして膝をついて私の前でしゃがみ込み、お願いだからそれが嘘だと言って、とつぶやき泣き崩れたのです。Xさんは心を閉ざし何もできなくなり、子供のようになってしまいました」

 Xさんはエディンバラ在住の女性(年齢・本名は報道されていません)で、38歳のシェフの恋人からHIVとC型肝炎ウイルスをうつされたのです。ふたりは2003年の9月から2004年の2月まで交際をしていました。XさんにHIVとC型肝炎ウイルスをうつした男性は、感染していることを隠しコンドームを用いない性行為を強要していました。

 報道によりますと、この男性はこれまでに200人の女性と性交渉をおこなっていたそうです。男性自身はコンドームを使用していたと証言していますが、Xさんが2つのウイルスに感染したことからも分かるように、自身がHIVとC型肝炎ウイルスが陽性であることを知りながらそれを偽り危険な性行為を強要していたのです。

 Xさんにとって、この男性が初めての相手だったそうです。Xさんはこの男性のことを「化け物(monster)」と言っているそうです。

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 200人の女性と性交渉をおこない、それまで処女だった女性に対しても嘘をつき、HIVとC型肝炎ウイルスを感染させた罪は決して小さくないでしょう。恋愛は100あるとすれば100通りの恋愛があるわけで他人がとやかく言う問題ではありませんが、このケースが明らかな「犯罪」であることは自明です。

2007年2月6日(火)
イギリス、外国人のビザ承認でHIV差別  谷口 恭

 2月1日のBBC NEWSによりますと、2月5日より、ケニアのイギリス大使館ではケニア人のイギリスへのビザ申請時に、結核に罹患していないことを示す証明書の提出が義務付けられます。
 
 これを受けて、ケニアのHIV関連のNPOが「この制度はHIV感染者に対する差別だ」と痛烈に抗議をおこなっています。このNPOの代表者は言います。

 「結核はHIV陽性者にとってよくある感染症で、この制度が施行されればHIV陽性者はイギリスに渡航できなくなる。これはイギリスのHIV陽性者に対する差別的な戦略であり、国際法に違反している」

 結核はHIV陽性者が発症する感染症の代表的なものです。ケニアでは毎年(HIV陰性者も含めて)およそ10万人が結核に罹患しています。毎年1万5千人以上がイギリス渡航のためのビザを申請しており、この大半が学生です。

 現在、ケニア中のエイズ関連の運動家たちは、イギリスに対し、直ちにこの制度を撤回するよう抗議をおこなっています。

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 イギリスはこの制度をすでにタンザニアとスーダンで施行しています。このウェブサイトでも何度かお伝えしましたが、イギリスはHIV陽性者にとって大変厳しい国です。いずれ、日本人に対しても同じ制度を通達するようになるかもしれません。

 尚、日本は先進国のなかでは韓国と並んで例外的に結核の罹患者が多い国です。

                  参考: 「治療不能」の結核が急増 2006年9月11日

2007年2月6日(火)
インドの出稼ぎ労働者に対するHIV対策  谷口 恭

 2月1日のロイター通信によりますと、インドのエイズ撲滅局は、国内の出稼ぎ労働者たちのためのHIVから身を守るための計画があることを1月30日に発表しました。

 現在世界一の約570万人のHIV陽性者を抱えるインドでは、地方からの出稼ぎ労働者がハイリスクグループのひとつとなっています。11億人の人口を有するインドは、4人に1人が地方からの出稼ぎ労働者で、彼らは仕事を求めて国中を移動しています。

 このうち約5%に相当する1,200万人から1,500万人が、HIVが広く蔓延している都市に赴き短期間の労働を終えた後、故郷に戻るそうです。現在、インドの国民エイズ管理局(NACO, National AIDS Control Organization)は、このグループに対するHIV感染予防を検討しています。

 NACOの代表者であるスジャータ・ラオ(Sujatha Rao)氏は言います。

 「こういった出稼ぎ労働者たちは集団で行動することが多いと言えます。彼らがHIVの蔓延している地域に住むのなら、我々は彼らをHIV感染から守らなければなりません。我々はこういった出稼ぎ労働者たちが国内のどこで生活しているかを調査し、ピア・エデュケーションを通して、HIVの検査を受けてもらうようにし、コンドームの使用を呼びかけたいのです」

 専門家によりますと、インドのHIVは地方で急速に広がっています。多くの男性出稼ぎ労働者たちは、売春婦からHIVに感染し、それを故郷に帰って自分の妻にうつしています。実際、インドのHIV陽性者の半分以上は地方に住んでいます。

 4月から始まるインドの第三次国民エイズ管理計画(NACP-Ⅲ)では、26億ドル(約3,120億円)の予算が5年間で投じられることになっています。

 ラオ氏は、出稼ぎ労働者がどのようなルートで、ある場所から次の場所に労働を求めて移動するのかを追跡し、HIVが広く蔓延している地域に移動する前に予防対策を講じたいとしています。

 NACP-Ⅲの予算の大半は予防活動に使われる予定で、売春婦や出稼ぎ労働者といったハイリスクグループへのコンドームの配布もおこなわれることになっています。NACOによりますと、インドにはおよそ2百万人の売春婦がいますが、そのうちコンドームを使用しているのは半数に過ぎません。NACOはこの数字を3年ないし4年のうちに80%にまでもっていきたいと考えています。

 ラオ氏は言います。

 「忠誠や禁欲を出稼ぎ労働者たちに話しても現実的ではありません。率直にコンドームの使用を訴えるべきなのです」

 インドは無料抗HIV薬を支給する政府管轄のHIV治療センターを増やすことも計画しています。現在101ある治療センターの数を3月までに121にする予定です。

 NACOによりますと、無料治療プログラムがうまく機能していない最大の理由は、インドでは感染者の86%が自身の感染に気付いていないということです。

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 インドでは86%が自身のHIV感染に気付いていない・・・。日本にも自身が感染していることに気付いていない人は少なくありません。

2007年2月6日(火)
フロリダ、黒人のHIV新規感染が減少  谷口 恭

 CDC(全米疾病管理局)が週毎に発行している「疾病率と死亡率に関する週報」の2月2日号によりますと、フロリダでは1999年から2004年の間に新たにHIVに感染した黒人が大幅に減少していることが分かりました。(2月1日のロイターヘルスが報道しています)

 この調査は、CDCとフロリダ保健局が共同でおこなったもので、黒人の年あたりのHIV新規感染は、1999年に人口10万人あたり224.4人だったのが、2004年には134.0人にまで減少しています。男女別に減少率をみると、それぞれ9.1ポイント、10.2ポイントの減少となっています。ハイリスクグループ毎にみたときには、男性同性愛者以外はすべてのグループで減少となっています。

 淋病についても黒人の男女で罹患率が減少しており、さらにHIVの検査を受ける者も増加しています。

 他の人種をみてみると、ヒスパニックと白人の女性もある程度は減少傾向が認められますが黒人ほどではありません。また、ヒスパニックと白人の男性ではこの期間の減少は認められなかったそうです。

 研究者は、黒人の間での新規感染の減少の理由として、ハイリスクの性行為が減ったからではないか、とみています。

 しかしながら、減少しているといっても、HIVや淋病の罹患率は他の人種と比較すれば黒人は最も多く、今後性感染症の予防をさらに徹底していく必要があります。

2007年2月6日(火)
オーストラリア、10人に1人が”アイス”を経験   谷口 恭

 最近、オーストラリアで国内初の違法薬物に関する大規模調査がおこなわれ、過去1年間に”アイス”(メタンフェタミン(覚醒剤)を結晶化させたもの)や他のかたちの覚醒剤を経験したことのある者は50万人にのぼることが明らかとなりました。(1月31日のNEWS.COM.AUが報道しています)

 これまでにメタンフェタミンを一度でも使用したことのある者は、オーストラリア全体で10人に1人という結果となり、国家自体が暴力犯罪やHIV蔓延の危機に曝されているということが報告書で述べられています。また、覚醒剤(メタンフェタミン)依存症は73,000人、ヘロイン(麻薬)依存症は28,000人にのぼることが明らかとなりました。

 この調査はオーストラリア国民薬物委員会(Australian National Council on Drugs)によって実施され、報告書では、東南アジア諸国のドラッグ供給者がオーストラリアで”ビジネス”を拡大させようとしていることが指摘されています。アジア諸国のドラッグ製造者からみれば、オーストラリアは莫大な利益の見込める輸出国であり、今後東南アジア内での需要をしのぐことも予想されるそうです。

 メタンフェタミンの流通量が増えることによって、殺人や凶悪暴力犯罪、さらにHIVの蔓延につながることが危惧されています。

 オーストラリア国民薬物委員会のジョン・ヘロン(John Herron)医師は次のように述べています。

 「メタンフェタミン常用者が体験する妄想が暴力行為につながることは珍しくない」

 ”アイス”は(日本市場も含めて)最もポピュラーな覚醒剤の形態で、常用者の4人に1人が精神症状をきたすと言われています。なかでも攻撃的になったり暴力行為をおこしたりすることはよくあり、同委員会はこういった攻撃性は使用を開始して12ヵ月以内に起こることを指摘しています。

 ヘロン医師は続けます。

 「オーストラリアは隣国と協力し、覚醒剤の製造、密輸、使用のいずれをも阻止していかなければならない。アジア太平洋諸国で、メタンフェタミン、とりわけ”アイス”を製造している秘密の工場の数と規模は拡大し続けている」

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 私がこの話をあるイギリス人にしたときに、彼は「10人に1人は多いと感じる」と言いました。それは、イギリスを含む欧米諸国では、覚醒剤よりもコカインやLSDの流通量の方が多いからでしょう。(MDMAは、欧米、アジアとも最も流通量の多い薬物です)

 覚醒剤に関して言うならば、私は日本もオーストラリアと同じような状態ではないかと感じています。「”アイス”は静脈注射ではなく吸入(”アブリ”)だから大丈夫」、と考えている日本人は少なくありませんが、彼(女)らは、吸入から静脈注射へ移行する依存者がどれだけ多いかを知っているのでしょうか・・・。

2007年2月5日(月)
マイクロビサイドはHIVを予防しない   谷口 恭
 マイクロビサイド(microbicide)というジェルをご存知でしょうか。これは性交渉の前に腟内にあらかじめ塗布しておくことによって、侵入してきたHIVを死滅させる薬剤で、コンドームの代用としてHIV予防に有効と考えられ、昨年の国際エイズ学会でも最も話題となったひとつです。マイクロビサイドの主成分はテノフォヴィル(Tenofovir)という抗HIV薬です。

 GINAではこのジェルに関するニュースをこれまでウェブサイトで取り上げていませんでしたが、それはこのジェルの使用に必ずしも賛成の立場にはないからです。理由は、有効性が科学的に確証されていないことと、他の性感染症を防ぐことができないというものです。

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 2月1日のAP通信によりますと、インドとアフリカ諸国でおこなわれていたマイクロビサイドの試験的使用が中止となりました。マイクロビサイドの使用で、HIV感染のリスクを減少させるどころか、かえって感染しやすくなることが判ったからです。

 この研究は、南アフリカ共和国、ベニン、ウガンダ、インドの1,500人の女性を対象としたもので、マイクロビサイドを使用していたグループが、偽薬を使用していたグループよりも大勢の女性がHIVに感染していたことが判りました。また、これらの国々でHIVに新たに感染した女性のうち、半数以上がマイクロビサイドを使用していたことも判りました。

 このマイクロビサイドは、カナダのポリデックス(Polydex)という会社が開発したもので、商品名をアッシャーセル(Ushercell)と言います。綿を基材とした化合物に硫酸セルロースを加えたジェルの形をとっています。

 この研究はバージニア州にあるCONRADという研究グループによっておこなわれ、この研究機関には国際開発米国局(The United States Agency for International Development)やビル&メリンダ・ゲイツ基金も資金協力をしていました。

 また、別の研究機関は、ナイジェリアの1,700人の女性を対象にアッシャーセルの試験的使用をおこなっていましたが、こちらも中止となりました。この研究スタッフのひとりは、「マイクロビサイドがHIV感染予防に有効という科学的確証は全く得ることができなかった」、とコメントしています。

 アッシャーセルは大規模使用を開始する前に11の事前研究を主に米国でおこなっていましたが、これらの研究ではいずれも有効性が示されていたそうです。

 アッシャーセル以外にもカラガード(Carraguard)という名前の別のマイクロビサイドがあり、こちらは現在も試験的調査が続けられています。3月に調査は終了し結果は今年中に発表される予定です。カラガードは、ニューヨークを拠点とする研究機関で開発され、南アフリカの6,000人の女性を対象におこなわれた事前の臨床試験では安全性に問題はなかったそうです。

 マイクロビサイドに巨額の資金を提供していたゲイツ基金のスポークスマンは、「我々は安全で有効性の高いマイクロビサイドが開発されることを信じている」とコメントしています。

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「コンドームを使いましょう」は理想論であって、実際は世の多くの男性がコンドームの使用を拒否するという現実があり、それならば男性側に知識がなくても女性をHIV感染から守る方法を模索する、という考え方は理解できるのですが、マイクロビサイドを使用してHIVに感染した女性のことを考えると、彼女たちは楽観的な期待の”被害者”であり、科学への信頼が損なわれたと言えるでしょう。

 また、マイクロビサイドに過度に期待する人たちに尋ねたいのは、他の性感染症についてはどのように考えているのかということです。HIV以外にも死に至る性感染症はいくつもあるのですから。
2007年2月3日(土)
バンコク、ナイジェリア男性が大量の”アイス”を所有   谷口 恭

 1月23日のバンコクポストによりますと、ナイジェリアの30歳の男性が覚醒剤所有で警察に逮捕されました。

 警察によりますと、押収されたのはメタンフェタミンの結晶(通称”アイス”)1キログラム、300万バーツ(約900万円)相当で、X線を遮断するためカーボンシートにくるまれた状態でバッグに入れられていたそうです。覚醒剤以外に偽物のレソト(アフリカ南部の国)のパスポートが押収されています。

 この男性が中年男性の顧客に覚醒剤を手渡すという内密の情報があったため、警察が捜査し、取引に行く路上で逮捕されたようです。この男性は、3つのエージェントから覚醒剤を仕入れており、いくつかのナイトクラブに出入りする者に販売していた他、複数のヨーロッパの国への輸出もおこなっていたそうです。この男性は覚醒剤を販売目的で所有していた容疑で逮捕されましたが、男性は容疑を否認しています。

 この男性が逮捕されたのはスクンビットのソイ64、プラカノンという地区です。プラカノンにはBTS(バンコクのモノレール)の駅もあり、日本人もたくさん住んでいます。 

2007年2月3日(土)
タイ・ラオス国境で性感染症予防活動   谷口 恭

 ミャンマー、ラオス、カンボジアといったタイと接している国では、国境を越えてタイに不法入国する人が多いという問題がありますが、国境付近では性感染症が蔓延しやすいという特徴もあります。

 ウボンラチャタニ県というイサーン地方にある大きな県をご存知でしょうか。この県には比較的大きな空港があり、外国人にも人気のあるきれいな観光地です。ウボンラチャタニ県はラオスと接しており、チョンメク(Chong Mek)という国境の町では、週末になると5千人ものラオス人とタイ人で賑わいます。(最近、タイとラオスは良好な関係にあり、タイ人がラオスに、ラオス人がタイに入国するのが容易になってきています)

 1月29日のバンコクポストによりますと、ウボンラチャタニの保健局は、この国境地点でのHIVを含む性感染症の予防プロジェクトを開始しました。このプロジェクトには、ラオスのチャンパサク県と一部のNPOも協力しています。

 このプロジェクトは国境付近のカラオケで働く女性を助けるために発足しています。カラオケで働く女性たち(おそらくほとんどはラオス人)は売春をしている(させられている)ことが多いからです。

 ウボンラチャタニ県保健局の関係者によりますと、現在ウボンラチャタニではHIV陽性者が3千人を超え増加傾向が続いています。

 このプロジェクトのひとつに性感染症センターの設立があります。このセンターは、「バーンカンエン」(「友情の家」という意味です)という名前で、HIVを含む性感染症に関するアドバイスをおこなっています。

 地元にはシリンドホーン(Sirindhorn)病院という病院があり、そこで働く医師と看護師が隔週の水曜日にこのセンターに赴きボランティアで治療にあたっているそうです。

2007年2月3日(土)
子宮けい癌にまつわる4つの俗説   谷口 恭

 全米では先月、子宮けい癌の月間キャンペーンがおこなわれたようです。この月間キャンペーンに合わせて、ミシガン大学の子宮けい癌の専門家たちが正しい知識の啓発活動をおこない、1月26日のロイターヘルスが報道しています。

 ロイターヘルスのこの記事では、子宮けい癌にまつわる俗説を4つ取り上げています。

 ひとつめの俗説は、「わたしは年をとっているから子宮けい癌の検査をしなくていい」というものです。しかしこれは完全な誤りであると、ミシガン大学の臨床助教授であるローレン・ゾシュニック(Lauren Zoschnick)博士は指摘しています。博士は言います。

 「たしかに、全米がん協会は4年前、子宮けい癌の検査は65歳まででよいとするようなコメントを発表した。しかし、我々の調査では、これくらいの年齢の女性が未亡人であったり離婚を経験したりしていて、性活動が再び活発になっている場合が多いことが分かった。子宮がある限りは子宮けい癌のリスクはある。そして、我々の調査で、この世代の子宮けい癌やHIV感染がわずかではあるが増加傾向にあることが分かった」

 ゾシュニック博士は、「高齢者は必ずしも毎年検査を受ける必要がなく、その人の性生活の状況に応じて2~3年に一度でよい」、としています。

 2つめの俗説は、「あたしはまだ若いから子宮けい癌を心配する必要はない」というものです。子宮けい癌の(全米の)平均年齢は48歳と若い年齢ではありませんが、がん自体は20代でできている可能性もあります。通常、子宮けい癌は、まずHPV(ヒトパピローマウイルス)が子宮けい部に感染して、子宮けい部が異形成と呼ばれる前がん状態(がんの一歩手前の状態)になります。検査で若い女性に異形成が見つかることはよくあることです。

 3つめの俗説は、「子宮けい癌は予防できない」というものです。ミシガン大学のキャロリン・ジョンストン(Carolyn Johnston)博士は言います。

「子宮けい癌はほぼ完全に予防することができる。2006年にFDA(全米食品医薬品局)はHPVのワクチン(Gardasil)を承認した。このワクチンは4種類のHPVを予防する効果があることが分かっている。4種のうち2つは子宮けい癌をひきおこすHPVに効果があり、残りの2つはイボ(尖圭コンジローマ)をひきおこすHPVを予防する」

 4つめの俗説は、「あたしは性交渉をしないからワクチンをうつ必要がない」というものです。ミシガン大学のゾシュニック博士によりますと、子宮けい癌を引き起こすHPVはオーラルセックス、アナルセックス、性器への接触などによっても感染します。博士は言います。 

 「(男性の)性器からの分泌液は活動性の高いウイルスを含んでいる。腟交渉をしなくてもHPVは感染する。どのようなかたちでウイルスと接触しても、ウイルスは容易に腟内に侵入し子宮けい部にたどり着き、がん細胞の増殖が始まるのである」

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 性行動が活発な女性であれば年に一度は子宮けい癌の検査を受けるべきであるというのは世界共通の認識です。しかしながら、日本人を含めて大勢の女性は年に一度も検査を受けていません。

 昨年から先進国諸国ではワクチンが市場に登場しています。以前お伝えしましたように、オーストラリアでは12歳から26歳の女性は全員無料でワクチン接種ができます。(「オーストラリア、子宮けい癌のワクチン無料接種」2006年8月30日) 日本ではもう少し先になりそうです。

 尚、子宮けい癌の検査は子宮の入り口を綿棒で軽くこすり(痛みはありません)、それを顕微鏡で観察することによっておこないます。産婦人科や性病科の外来ならどこでもできますし、オープンしたばかりの「すてらめいとクリニック」でも子宮けい癌検査目的の患者さんは少しずつ増えてきています。

2007年2月3日(土)
ニューヨークが無料コンドームの大量配布   谷口 恭

 1月25日のAP通信によりますと、ニューヨークのブルームバーグ市長はHIVを含む性感染症を減少させることを検討しており、その戦略のひとつにコンドームの無料配布の拡大があげられています。

 ニューヨークではこれまでも市から大量のコンドームが無料で配布されていますが、今後さらにその数を増やしていくそうです。関係者の話によれば、多くの人々に携帯してもらうためコンドームのパッケージをお洒落にすることが検討されているようです。現在浮上しているアイデアは、地下鉄をモチーフとしパッケージに地図を載せるというものです。ニューヨーク市健康局のトーマス・フリーデン(Thomas Frieden)長官は、「人々はノンブランドのものよりもブランドを好む。それはコーラや薬品といったものでも同じだ」、と述べています。

 現在ニューヨーク市は毎月150万個、年間では1,800万個の無料コンドームを配布しています。数百もの団体が無料コンドームを市から仕入れて、クリニック、バー、レストラン、ネイルサロン、クラブ、さらに牢獄といった場所でも無料配布がおこなわれています。

 無料配布されているコンドームは個人が直接ニューヨーク市に注文することはできませんが、組織であればどのような団体でも無制限に注文することができます。2005年にオンラインオーダーシステムを導入してから一気に注文数が増加しています。

 こういった無料コンドームの配布は、フリーデン長官が健康局長官に就任した2002年から急速に広まっています。フリーデン長官のオフィスの外には、無料コンドームを入れた箱が用意されているそうです。

 現在ニューヨークには10万人以上のHIV陽性者が住んでおり、65歳未満のニューヨーカーの死因第3位がエイズです。

2007年2月3日(土)
バイアグラがHIV感染を促進?   谷口 恭

 1月22日のAP通信によりますと、アメリカのエイズ関係のNPO「エイズヘルスケア財団」が22日、ファイザー製薬に対し訴訟を起こしました。ファイザー製薬の販売するED改善薬「バイアグラ」がHIVや他の性感染症の蔓延を助長しているというのが訴訟の理由です。

 このNPOは、「ファイザー製薬の広告がバイアグラの誤った使用を促している」としています。ある調査により、バイアグラは結晶のメタンフェタミン(覚醒剤ですがこれを特に”アイス”と呼びます)と同時にパーティで「カクテルドラッグ」として用いられていることが分かったそうです。

 ”アイス”に限らず覚醒剤は一般的に性的な興奮を呼び起こしますが、勃起力を損なうことがあります。そこで、勃起力を維持するためにバイアグラが使用されている、とこのNPOのスタッフは述べています。

 ファイザー製薬の広告には、「週末のMVPになろう(Be this Sunday's MVP)」とのコピーがあり、同NPOはこのコピーがパーティでの使用を促進していると考えています。裁判はロサンジェルス高等裁でおこなわれ 同社がニューイヤーパーティなどのパーティでの使用を促すような広告を流すことをやめさせることが目的のようです。

 また、このNPOはFDA(米国食品医薬品局)に対しても、バイアグラの広告をファイザー製薬が規制するように求めています。FDAは現在この件についてはコメントをしていませんが、2004年にはファイザー製薬のバイアグラの広告は、性行為の薬ということを強調し勃起不全の治療薬であることを明記していないことに対して警告をおこなったという経緯があります。また、広告に主要な副作用を記載していないことに対しても問題視しています。

 一方、ファイザー製薬は、自社の広告がバイアグラのパーティでの使用を促進しているということを否認しています。同社は、米国の9つの州で2003年に6百万ドルを寄附しエイズ予防につとめる活動をおこなっています。

 バイアグラの昨年の売り上げは米国だけで8億6千万ドル(約1,032億円)にのぼります。この訴訟はファイザー製薬が20億ドルのコスト削減をするために1万人をリストラした直後におこされています。

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 バイアグラは非常に人気のある医薬品で、私も日々の臨床で処方していますが、患者さんのなかには個人輸入や海外の薬局で購入している人がいます。海外で売られているバイアグラは100mgが一般的ですが、日本で認可が下りているのは25mgと50mgだけです。日本人が100mgを服用するのは大変危険なことですが、それに気づいている人があまりにも少ないことに驚かされます。

 バイアグラが原因でHIVを含む性感染症が蔓延するかどうかは分かりませんが、バイアグラを治療目的以外で使用することが危険なことはもっと注目されるべきでしょう。

2007年2月2日(金)
タイ、海外の指名手配中の小児愛者を調査   谷口 恭
 先日、イギリスの幼児性的虐待者がタイで逮捕されたという事件をお伝えしましたが(「イギリスのロリコン教師がバンコクで逮捕」2007年1月30日)、タイには世界中から小児愛者が集まってくると言われています。

 それを受けてなのか、現在タイの入国管理局は、母国で幼児虐待の容疑で指名手配を受けている外国人18人のブラックリストをもとにタイに入国していないかを調査しています。

 1月29日のバンコク週報などの情報によりますと、幼児への性犯罪で指名手配を受けている18人のうち、14人がアメリカ人、残りはカナダ人、コロンビア人、メキシコ人、そして日本人です。氏名も公開されています。

 指名手配を受けている日本人は、過去にバンコクでタイ雑貨店を経営しており、昨年実家のある熊本県に戻っていたときに、インターネットオークションで児童ポルノを販売していた容疑で指名手配を受けています。

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 以前別のところでも述べましたが、タイには世界中から小児愛者が集まり、パタヤの小児買春の常連客は200から300人にもなるという研究報告もあります。病的な小児愛の治療がむつかしいのは事実ですが、自分の国に外国人が小児買春目的でやって来られるタイ人の身にもなってもらいたいものです。
2007年2月2日(金)
アメリカの薬物常用者は中年に多い   谷口 恭
 アメリカでは、静脈注射をおこなう薬物常用者は若者よりも中年に多いことが研究により明らかとなりました。

 この研究は米国CDC(疾病管理局)のグレゴリー・アームストロング博士によっておこなわれ、博士は医学誌「Archives Internal Medicine」の1月22日号でこれを発表し、1月23日のロイターヘルスが報道しています。

 アームストロング博士は、1979年から2002年における薬物乱用に関する全国調査(National Household Survey)のデータを基に、アメリカの薬物使用の実態を調査しました。調査の結果、2000年から2002年でみると、薬物の静脈注射の経験者が全体では1.5%に相当する340万人で、そのうち44万人(全体の0.19%)が過去1年以内に経験があります。年齢別では、35歳から49歳が最も多く3.1%にのぼります。全体でみたとき、男性は女性より多く(男性2%、女性1%)、白人は黒人より多い(白人1.7%、黒人0.8%)ことが分かりました。

 人種別のデータでは、1955年以前に生まれた者の間では黒人が白人より多くなっていますが、それ以降に生まれた者でみれば白人の方が多くなっています。

 アームストロング博士は、医師たちに対し次のような警告をおこなっています。

「ドラッグユーザーはもはや若者ではないことを認識すべきだ。患者の年齢にかかわらず薬物の使用歴について尋ねなければならない。過去に一度でも薬物の静脈注射の経験のある者は、それがどれだけ古いことであろうとも、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの検査を受けるべきである」

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 日本の違法薬物に関する年齢別のデータというものを私は見たことがありませんが、若者にも中年にも多いような印象があります。日本にも違法薬物の静脈注射でこういった感染症に罹患した人が少なくありませんし、タトゥーが原因という人も決して稀ではありません。
2007年1月31日(水)
中国、出稼ぎ労働者にエイズ予防   谷口 恭

 1月26日のCHINA Dailyによりますと、中国政府は国中で2億人にもなる地方からの出稼ぎ労働者に対するエイズ予防教育を3年間のプランでおこなうことを発表しました。

 中国の出稼ぎ労働者たちはハイリスクグループのひとつと言われており、今回のプランでは出稼ぎ労働者とその家族に、エイズ予防についてのみならず、職場でのHIV陽性者に対する差別をなくすような教育もおこなわれます。

2007年1月31日(水)
イギリス、若い女性はHIVに無関心   谷口 恭

 若い女性の10人に7人は自分にはHIVのリスクがないと思っている・・・

 最近、イギリスのボディショップとMTVが共同でおこなった調査でこのようなことが分かり1月24日のBBC ニュースが報道しています。調査に協力したのは16歳から30歳の1,064人の女性です。

 この調査では、若い女性の無関心がイギリスでHIV蔓延を抑制できていない原因のひとつである、と結論されています。

 今回の調査で分かったことは他にもあります。

・3分の2がコンドームを使うとセックスを台無しにすると考えている
・92%が夜間外出するときにコンドームを不可欠な持ち物と考えていない
・14%がコンドームを用意するのは男の責任と考えている
・10人に1人がコンドームを携帯している女性は誰とでも寝る女だと考えている
・47%がセックスライフについて友達と語るときにコンドームを話題に出さない
・新しいパートナーができたとき過去の性体験を尋ねるのは32%のみ
・7割が女性トイレで自分のバッグからコンドームが落ちるところを他人に見られれ ば恥ずかしいと感じる

 ボディショップの幹部スタッフであるクリス・デイヴィス(Chris Davis)氏は言います。

 「若い女性たちは自分にHIVの危険性があると考えておらず、HIVとは発展途上国や同性愛者、ドラッグユーザーの問題だと思っている。実際は、先進国のなかでも若い女性の間でHIV感染が急激に広がっているというのに・・・」

 尚、昨年の世界での24歳以下のHIV新規感染者は430万人にものぼります。また、イギリスの健康予防局(Health Protection Agency)は、イギリス国内の63,500人の成人がHIV陽性であり、そのうち3分の1が自身の感染に気付いていないと試算しています。

 エイズ予防活動をおこなっているNPO「ナショナル・エイズ・トラスト」の代表者、ユセフ・アザド(Yusef Azad)氏は次のように述べています。

 「イギリスでは、HIVの予防教育に予算がかけられておらず、HIV感染の危険性に対する国民の意識が低いままである。たしかに若い女性は最たるハイリスクグループではないかもしれないが、コンドームを用いない性行為(unprotected sex)でHIVは感染する。彼女たちは予防方法を学ばなければならない」

 また、別のNPOのスタッフは言います。

 「もしもこのまま若い女性たちが、そして男性も、性行為に対し無知のままでいるならHIVを含む性感染症がイギリスで爆発的に増加するだろう。若い女性の誰もがコンドームを持ち歩き感染から身を守る自己責任がある。女性は男性よりもHIVに感染しやすいのだから・・・」

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 最後のこのコメントは女性に対して説得力があるかもしれません。一般的に性感染症は男性よりも女性の方が感染しやすいからです。

 それにしても、この記事は本当にイギリスのものなのか、と思えます。日本のことを言っているのではないかと感じたのは私だけでしょうか・・・。

2007年1月31日(水)
インドネシアの薬物問題が深刻化   谷口 恭

 インドネシアの薬物問題が深刻化しており、HIVの蔓延だけでなく、過激派や組織犯罪との関連性も懸念されることを、政府の薬物撲滅会議が1月23日に発表し、同日のロイターヘルスが報道しています。

 まずインドネシアの薬物事情についておさえておきたいと思います。2004年のデータでは、IDU(薬物を静脈注射する人)が57万2千人、そのうちの半数がHIV陽性、薬物に関連した原因で死亡した人は15,000人にものぼります。

 「我々は違法薬物の生産、密輸、濫用のいずれの問題にも直面している」

 同会議の議長であるパスティカ氏はそのようにコメントしています。パスティカ氏は現在32歳の警察官で、2002年のバリ島テロ事件の捜査官でもあります。氏は、イスラム過激派を非難し、次のように言います。

 「薬物の密輸とテロや国家間を超えた犯罪とは密接なつながりがある」

 パスティカ氏は、アチェ(スマトラ島の北端に位置する特別州)の独立を求める過激派の資金源がこの地域で大量に栽培されているマリファナであることを明らかにしました。

 アチェの過激派とインドネシア政府は2005年に平和協定を結び、政府は300ヘクタールのマリファナ畑を壊滅させ、代わりに農産物を栽培する計画が立てられています。しかし、アチェ内にはまだ500ヘクタールのマリファナ畑がある、と氏は言います。

 マリファナだけではありません。パスティカ氏によりますと、インドネシアではヘロインやエクスタシー(MDMA)、メタンフェタミン(覚醒剤)などの常用者が急増しているそうです。インドネシアは、以前は違法薬物の中継点に過ぎませんでしたが、最近では生産拠点にもなっています。そして、違法薬物の生産量が増えただけではなく、その質も向上してきており、なかでも最も深刻なのがメタンフェタミンであるそうです。

 2005年にはバンテン(ジャカルタの西に位置する州)の生産工場が警察に発見されました。この工場では、1週間に100万錠のエクスタシーを含む様々な違法薬物の生産能力があることが分かりました。これは年間6億ドル(720億円)に相当するそうです。

 インドネシアの特徴は面積が広いということよりもむしろ、1万以上もの島からなる国家ということです。そのため、密輸が比較的容易で、違法薬物の利益性を考えると今後も増加していくことが予想されます。

 インドネシアでは5000ルピア(約55セント、約66円)でエクスタシー1錠が産生でき、ジャカルタなど大都市のクラブでは、1錠10万ルピア(約11ドル、1,300円)で販売されているそうです。

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 このロイターヘルスの記事によりますと、インドネシアではメタンフェタミン(覚醒剤)のことを”シャブ”と呼ぶそうです。もしかすると日本人がこの国に覚醒剤を普及させたのでしょうか・・・

2007年1月31日(水)
リビアのHIV院内感染、真実の行方は(第5報)   谷口 恭

 過去4回にわたりお伝えしていますリビアのHIV院内感染の事件で、前回(「リビアのHIV院内感染、真実の行方は(第4報)」2007年1月22日)は、EUがリビアに対して抗議をおこなうことになるのではないかという私見を述べましたが、その後発展がありましたのでお伝えいたします。

 1月19日のロイター通信によりますと、1月18日、EU議会は、EU加盟国に対して「故意にHIVを子供たちに感染させたとして冤罪で囚われている6人の医療者(1人のパレスチナ人医師と5人のブルガリア看護師)が解放されないなら、EU加盟の各国がリビアとの関係を見直すことによってリビアに圧力をかけるべきだ」、との発表をおこないました。

 これに対しリビアのある団体が翌日、痛烈な抗議をおこないました。この団体はカダフィ大佐の息子が運営しているそうで、「(EUのその発表がおこなわれたことによって)囚われている6人の状況はさらに悪化するだろう。そして、リビアとEU諸国との関係も悪化することになるだろう」、とコメントしています。

 しかしながら、カダフィ大佐の息子は次のようにも述べています。

 「(先月下された)死刑判決は最終的な判決ではない。今後はリビアの最高裁で審議がおこなわれることになる」

 この団体の声明を受けたからなのか、1月22日、スペイン政府が、リビアでHIVに院内感染した当事者の子供たちを引き取って治療をおこなうことを提案しました。具体的に何人の子供の治療をおこなうかは公表されていません。(1月22日ロイター通信)

 また、EUの外交関係の幹部は、22日、院内感染した子供たちのために240万ユーロ(約311万ドル、約3億7千万円)の治療費を負担することをリビア政府に提案しました。しかし、同時にこの幹部は、リビアに対してHIV院内感染の科学的な検証結果を受け入れるように要請をおこないました。

 さらにEU議会は、リビア政府に対して、「6人を早く解放すれば、EUとリビアが友好的な関係を築くことができる」とのコメントを表明しました。

 この発表を受けて、AU(アフリカ連合)は、24日、EUに対して、リビアに圧力を加えることを止めるように勧告をおこないました。囚われている6人の行方についてはリビアの司法に委ねるべきであるとの声明を発表しています。(1月24日ロイター通信)

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 今回の一連の報道にはありませんが、リビア政府は以前、HIVに感染した子供ひとりあたり1,500万ドル(約18億円)の保障をEUに対して求めました。感染者が約430人ですから、合計で64億5千万ドル(約7740億円)にもなり、今回EUが提示した金額(約311万ドル)とは大きな開きがあります。

 先進国の感覚から言っても、ひとりあたり1,500万ドルというのは常識を逸脱した金額のように思えます。また、いくつもの科学的な検証結果によれば、囚われている6人が冤罪であるのは明らかです。

 リビア最高裁での審議は今後数週間以内におこなわれる見込みです。

2007年1月31日(水)
タイ、覚醒剤密売者の逮捕相次ぐ   谷口 恭

 現在来日中のタクシン元タイ首相は、昨年4月2日の総選挙(この選挙は結局無効となりました)の後、一線を退き、それ以降急速に覚醒剤が氾濫しています。

 最近のタイの報道をみていると、覚醒剤の使用者、密売人は共に大学生が多いとの情報が多いのですが、大学生だけではないようです。

 1月25日のバンコク週報によりますと、23日、中部プラチンブリ県警が、若い夫婦を覚醒剤密売容疑で逮捕しました。

 逮捕されたのは、25歳の男性と22歳のその妻で、BMWを運転して顧客に覚醒剤を届けるところだったそうです。証拠品として覚醒剤1900錠が押収され、車内には4歳と2歳の子供も同乗していたそうです。

 また、同日、バンコク都内スクムビット通りでも、35歳の女性が覚醒剤400錠を顧客にオートバイで届けるところを逮捕されています。この女性はオートバイの後部座席に3歳になる子供を乗せていたといいます。女性はパタヤのスラム地区にアジトを構える密売組織から、指示書に従い覚醒剤を届けるよう頼まれたと自白しているとのことです。

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 大学生のみならず、若い夫婦や30代の母親までもが密売人に・・・。9月18日のクーデター後、暫定政権の反対運動や年末のテロもあり、また南部の情勢は相変わらず緊迫したままのタイは、今後どうなっていくのでしょうか・・・。

2007年1月30日(火)
パタヤで売春婦が睡眠薬強盗   谷口 恭

 1月22日のバンコク週報によりますと、1月20日未明、タイのリゾート地パタヤのホテルで、インド人の観光客3人がタイ人の売春婦に多量の睡眠薬を飲まされ、現在は搬送先の病院で瀕死状態だそうです。

 警察の調べによりますと、3人のインド人観光客は他2名と合計5人でパタヤに観光に来ており、散歩をしていたところ、2人組のタイ女性に声をかけられ売春をもちかけられました。5人のインド人男性のうち3人と売春婦2人がホテルに入り、残りの2人のインド人男性は別の売春婦を探すためにそのまま散歩を続けたそうです。

 その後ホテルに戻った2人のインド人男性が、3人の部屋をノックしたところ応答がなかったため、レセプションで合鍵を借りて部屋に入り意識を失っている3人を発見したそうです。

 搬送先の医師によりますと、睡眠薬の量がかなり多かったために3人は危険な状態にあるとのことです。尚、睡眠薬強盗を図った2人の売春婦はホテルのレセプションにIDカードを預けたまま逃走しているようです。

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 似たような事件を過去にもお伝えしました。(「タイの売春婦が観光客に睡眠薬強盗」2006年6月19日) 睡眠薬強盗は許されるべきではありませんが、買春をおこなう方もこういったリスクを認識しておくべきであり、それなりの責任があると言えるかもしれません。

2007年1月30日(火)
トリコモナスと人間の遺伝子はほとんど同じ?!   谷口 恭

 女性器に痒みと悪臭をもたらす原虫のトリコモナスの遺伝子は人間のものとほとんど同じである・・・。

こんな研究がニューヨーク大学医学部によって報告され、1月11日のロイター通信が報道しています。

 研究者によりますと、トリコモナスは他の原虫と異なり例外的にたくさんの遺伝子を持っていることが判り、遺伝子の数がおよそ26,000にも及ぶとしています。これは人間の遺伝子の数とほぼ同じであると考えられています。

 研究者は、なぜトリコモナスと人間の遺伝子が似ているかについては分からないとしながら、遺伝子が似ていることと人間に感染しやすいことに何らかの関係があるかもしれないと考えているようです。

 この遺伝子の研究でいくつかのことが分かりました。まず、トリコモナスは自らアミノ酸のひとつであるシステインを合成することができるようです。これが原因のひとつとなり、腟内をアルカリ性にすると考えられています。正常の腟内は酸性ですから、アルカリに傾くと防御機能が弱められ、この結果(性)感染症に罹患しやすくなることが予想されます。

 また、トリコモナスが産生するいくつかの蛋白質が腟壁に損傷を与える可能性が示唆されています。さらに、トリコモナスが水素や他のガスを産生することも分かり、これが悪臭の原因になっていると考えられています。

 トリコモナスは世界全体でみれば、少なくとも1億7千万人の女性に感染していると推定されています。妊婦に感染すると早産や未熟児の原因となります。また、トリコモナスに感染すると腟内に炎症が生じるため、HIVや梅毒、淋病といった他の病原体にも感染しやすくなります。

 今回報告をおこなった研究者らによると、トリコモナスは感染してから数年間は無自覚のままで、ある日突然痒みや悪臭といった症状をもたらす、としています。また、トリコモナスは男性に感染しても無症状か、症状があったとしてもペニスに軽度の痒みを感じるのみです。

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 トリコモナスは女性に感染すれば数年間は無症状、男性に感染しても軽い痒みだけなら、積極的に検査をおこなうべきということになります。これまで、強い症状が出るまでは検査や治療の対象とならなかった性感染症ですが、今後対策が変わっていくかもしれません。

2007年1月30日(火)
カンボジアの売春婦が客を刺す   谷口 恭

 (少し古い話ですが)12月8日のAP通信によりますと、カンボジアのバタンバン県の置屋で、24歳の売春婦が25歳の男性客の腹部を二度ナイフで刺し、男性は病院に搬送されました。

 地元警察によりますと、この男性客は売春代として5千リエル(約1.2ドル、140円)を支払いましたが、コンドームの使用を執拗に拒否したため売春婦は部屋を出ました。男性客は売春婦を追いかけ、コンドームなしの性行為ができないならお金を返せと言い、女性を殴り、身の危険を感じた女性は男性客の腹部をナイフで刺しました。

 地元警察の幹部は次のようにコメントしています。

「彼女はHIVなどの性感染症を予防しようと努めたんだ。しかし、客をナイフで刺した結果がどうなるかは司法の判断に委ねることになる」

 現在のカンボジアの成人(15歳から49歳)のHIV陽性率は1.9%です。カンボジア政府によりますと、教育、置屋へのコンドーム配布などの効果がでて、1997年には3%あった陽性率は減少しています。

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 売春婦が危険な目にあうリスクは少なくなく、GINAがタイの売春婦におこなった調査でも、69%が客からコンドームを用いない性行為を強要されたことがあると答えています。

 日本の性風俗店で働く多くの女性は、コンドームが使えないという現状に不安を感じています。これを改善するためには、(男性)客の意識を変えていくしかないでしょう。