| 2006年9月28日(木) |
| 「エイズはもはや死因とはならない」、米国の研究 谷口 恭 |
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「ニューヨークに住むHIV陽性者の4分の1以上がエイズ以外の病で死亡している」、こんな発表を米国の研究者が9月18日におこない、同日のロイター通信で報道されています。
この研究によりますと、ニューヨーク在住のHIV陽性者68,669人のうち、1999年から2004年の間に亡くなった人の26.3%がエイズ以外の原因で死亡しています。
1999年の時点では20%以下でしたから32%の増加となります。
この研究は医学誌「Annals of Internal Medicine」に発表される予定で、エイズ以外の死因は、31%が違法薬物の乱用、24%が心疾患、20%がHIVに関係のない悪性腫瘍だったそうです。
「HIV陽性者の多くがHIVに関係のない病で死亡している(要するにHIVは生命予後に関係がない)、ということをすべての医師は認識しなければならない」、とこの研究の執筆者であるニューヨーク大学のJudith
Aberg医師は述べています。
ただし、この事象はもちろん抗HIV薬を適切に内服した場合の話であって、抗HIV薬が入手できない地域では依然エイズは「死に至る病」であることは忘れてはなりません。
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| 2006年9月28日(木) |
| 男性と性交渉する男性の7割は既婚者 谷口 恭 |
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医学誌「Annals of Internal Medicine」に最近掲載された興味深い研究が9月18日のロイター通信に報告されています。
「自分は異性愛者」と申告するニューヨーク在住の男性のおよそ10%が、実際は過去一年間の間に少なくとも一度は男性と性交渉をしていることが分かったそうです。
身体精神衛生局ニューヨーク支部(New York City Department of Health and
Mental Hygiene)が、ニューヨーク在住の男性と性交渉をもつ男性4193人を調査したところ、そのうち70%が結婚していたそうです。
そしてそのなかの大勢がコンドームを用いない性交渉をしておりHIV検査も受けていないことが分かりました。
この調査をおこなった研究者は言います。
「医師は患者の証言に惑わされることなく適切な質問をおこなって患者の性行動を聞きださなければならない。HIVの予防啓発は、ゲイであることを申告した人に対してではなく、アナルセックスのような危険な性行為をしている人に対しておこなわれなければならない」
これは日本の医者も経験していることであって、患者さんはときに自分の性行動についてなかなか本音で話してくれません。この研究では、患者さんから聞き出さなければならない(need
to ask patients about specific sexual practices)と述べていますが、それ以前に大切なのは、患者さんとの信頼関係の構築であることは言うまでもないでしょう。 |
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| 2006年9月28日(木) |
| 現代のミャンマーの問題点 谷口 恭 |
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相変わらず民主化の兆しが見えないミャンマーですが、9月22日のロイター通信が現代ミャンマーの問題点をまとめています。
現在、ミャンマーには数万人の遊牧生活(nomadic life)をしている人がいますが、この理由は、どこかに定住すれば軍に厳しく管理されることになり強制労働を強いられるからです。この最たる被害者が、以前から軍に厳しい抑圧を課せられているカレン族です。
国連安全保障理事会は同国の軍事政権を問題視しており、同国は国際的に注目を集めていますが、当の軍事政権は国際世論に一向に耳を貸そうとしません。
現在ミャンマー軍事政権は、電話を盗聴し、ウェブサイトの検閲をおこない、インターネットカフェにはインターネット利用者の写真を撮影するよう義務付けています。一台3千ドル(約35万円)もする携帯電話を持っているのは軍の関係者だけです。
そして現代ミャンマーの忘れてはならない問題が「医療危機」です。法律の欠如、公衆衛生の崩壊、長期にわたる政治腐敗が、無秩序な薬剤供給につながっています。薬が不適切に混ぜ合わせられることもあれば、服用方法が不適切であることも少なくないそうです。
こういうことを続けていれば、薬剤耐性の結核やマラリアが蔓延することが予想されます。実際、タイとミャンマーの国境付近ではすでに問題になっています。そして、同様の問題がHIVで起こることが懸念されています。
尚、UNAIDSのデータでは、現在ミャンマーのHIV陽性者は36万人で、これは成人のおよそ1.3%に相当します。 |
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| 2006年9月27日(水) |
| ケニアのエイズ孤児 谷口 恭 |
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9月20日の共同通信に、ケニアのエイズ孤児についてのレポートが掲載されています。
ケニアのある学校では児童260人のうち109人がエイズ孤児だそうです。この学校の副校長は、「貧困のため仕事を求めて学校に来なくなる子が多い」と話しているそうです。ケニアでは2003年から小学校の授業料が無料になっていますが、小学生もが仕事をしなければならないほどの貧困があるのでしょう。
ケニア当局は、「孤児の半数はHIV陽性の可能性がある」とコメントしているようです。政府はすべての孤児に月あたり1000ケニアシリング(約1500円)の援助をする計画を立てたものの、予算が捻出できずに断念したそうです。
当ウェブサイトでは、新規感染は減っているもののエイズ孤児は増え続けている北タイの実態をレポートしましたが(「増え続ける北タイのエイズ孤児」(谷口恭))、全世界でみるとエイズ孤児は2005年で1500万人を超え、2年間で2割も増加しています。エイズ孤児の8割はサハラ砂漠以南に集中しており、ケニアだけで120万人にもなります。サハラ砂漠以南では15歳未満の子供の9%が両親のどちらかをエイズで亡くしているとUNAIDSは試算しています。 |
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| 2006年9月27日(水) |
| 河南省のエイズ村告発小説が発禁命令 谷口 恭 |
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以前からこのコーナーでも度々とりあげている中国河南省のエイズ村について詳細を綴った小説が誕生しました。タイトルは「丁庄夢」といい、作者は中国人の閻連科(えん・れんか)さん(48歳)です。
9月20日の共同通信によりますと、この小説は魯迅賞という名の賞をとったらしいのですが、中国当局はこの小説を発売禁止にしたそうです。ただ、日本で近日出版される予定の翻訳本に対しては現時点では発売禁止の動きは出ていないようです。
さすがは言論の自由を認めない共産主義の中国という感じがしますが、私個人的にはこの小説が一時的にでも書店に並び賞をとったということは大きな進展だと思います。
以前は、この村での取材を試みたジャーナリストが次々と行方不明になっていたのですから。 |
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| 2006年9月27日(水) |
| 京都の病院内で8人がB型肝炎に院内感染 谷口 恭 |
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9月20日の共同通信によりますと、京都市山科区の音羽病院で透析を受けている8人の患者さんが院内でB型肝炎ウイルスに感染したことが分かったそうです。
B型肝炎ウイルスは、以前に比べると随分ましになっていますが、今から10年程前までは、いわれのない差別を受けていたキャリアの方が少なからずおられたのは事実です。こういう事件が起こると、再びキャリアの方に対するスティグマがはびこるのではないかと危惧します。同病院には、原因究明を急ぐとともに今後の対策を徹底してもらいたいものです。
尚、現在国内のB型肝炎ウイルスのキャリアは100万人から120万程度だと言われています。現在では母子感染対策を徹底していますから新たにキャリアになる人はほとんどいないと思われます。(B型肝炎ウイルスは成人してから血液や精液、膣分泌液を介して感染すればキャリアになることはほとんどありません) |
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| 2006年9月27日(水) |
| HIV陽性者が国際指名手配 谷口 恭 |
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47歳のイギリスのゲイが自分の恋人に故意にHIVを感染させたという理由で3年4ヶ月の禁固刑を言い渡された、というニュースを以前お伝えしました。(「US,UK,カンボジアでHIV陽性者が逮捕」2006年8月9日)
このゲイはこの裁判に現れず行方不明になっていましたが、どうやらフランスに逃亡したようです。
9月25日のBBC NEWSによりますと、ロンドン警視庁はこのゲイが現在フランスに滞在しているとみているそうです。
このゲイは38歳のパートナーに、自らがHIV陽性であることを知りながらコンドームを用いない性行為を強要し、ドメスティック・バイオレンスが日常化していたそうです。
自分の恋人にHIVを感染させたとき、罪になるのかどうか、罪になるとすればどの程度のものなのか、という問題は非常にむつかしく、専門家の間でも意見が別れています。相手に安全だと思い込ませておいて故意に感染させたとすれば罪になるでしょうが、自分が感染の確証がなくて相手がコンドームを用いない性行為を求めたような場合は必ずしも罪になるわけではないと思われます。
このゲイの場合、自分がHIV陽性であることを知っていて暴力で性行為を強要していたわけですから悪質であると言えます。したがって、国際指名手配となってもやむをえないでしょう。
しかしながら、「恋人にHIVを感染させたゲイが国際指名手配された」という言葉だけが独り歩きをすると、HIV陽性者に対するスティグマが助長される可能性があります。今回のBBCは適切な表現をしていると思われますが、今後のマスコミの報道には充分注意してもらいたいものです。 |
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| 2006年9月27日(水) |
| 喫煙はHIV感染のリスク(続編) 谷口 恭 |
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タバコがHIV感染のリスクを増加させることが分かった、というニュースをお伝えしましたが(「喫煙はHIV感染のリスク」2006年9月23日)、9月23日のBBC NEWSにさらに詳しく報道されていましたので報告いたします。
喫煙することにより身体の免疫システムに何らかの変化が起こるのではないか、という説を前回は紹介しましたが、この研究を発表した学者はもうひとつの可能性を考えているようです。
それは、「喫煙者は危険な性行為をおこないやすい」、ということです。この結果、喫煙者は非喫煙者に比べて、HIV感染のリスクが60-300%も増加する、と研究者は述べています。
BBCではもうひとつ、喫煙の重要な点を指摘しています。前回お伝えしましたように、「HIV陽性者の喫煙はAIDS発症に関連性がない」、という結果が出たそうですが、実はこれは抗HIV薬を服用していない場合の結果です。
2006年初期、アメリカでHIV陽性の女性を対象とした5年間の大規模研究で、喫煙者は非喫煙者に比べて36%もエイズを発症しやすいことが分かったそうです。この研究の対象となったHIV陽性者は抗HIV薬を服用しています。
抗HIV薬を服用していると高脂血症を起こしやすく、そのため虚血性心疾患に対するリスクが上昇します。またエイズの合併症には結核、カリニ肺炎など呼吸器疾患が少なくありません。こういったことを考えると、イギリスの研究ではエイズ発症と喫煙の相関関係はなかったとしていますが、やはりHIV陽性者は喫煙を控えるに越したことはないでしょう。 |
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| 2006年9月27日(水) |
| シンガポール、10代の間で性感染症急増 谷口 恭 |
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9月26日のStraits Times(シンガポールの新聞)によりますと、シンガポールの10代の間でHIVを含む性感染症が急増しているようです。Straits
Timesは、この原因を「性の乱れ(promiscuity)」と「危険な性行為(disregard
for safe-sex practice)」とみています。
シンガポールの公的なデータによると、性感染症の治療目的で受診した10歳から19歳の青少年は、2001年には256人だったところ、2005年には678人に増加しています。この世代の性感染症の罹患率でみると、2001年には3.8%だったところ、2005年では6.1%にもなっています。
1985年から2004年の間には、合計18人の10代のHIV陽性者が発見され、ほぼ1年に1人のペースとなっています。ところが2005年は、17歳から19歳のゲイ4人が新たにHIVに感染したことが分かりました。
今回の発表では、「性交渉は若年化しており、複数のパートナーと危険な性行為をおこなう頻度は増えている一方で、検査の必要性の認識は上がっている」、とコメントしています。
また、10代で性感染症関係のクリニックを受診する者は平均で4人の性パートナーを持っているそうです。
保健省ではHIVの増加に警告を発していますが、シンガポール政府自体はコンドーム使用の普及運動をおこなわない方針であり、ゲイコミュニティを批判しています。
シンガポールの人口はおよそ430万人、そのうち5人にひとりが外国人です。
今回の記事は10代に関するものでしたが、シンガポール全体のHIV陽性者は、2003年には4700人だったのに対し、2005年には5500人と2年で20%近くも増加しています。(データはUNAIDSのもの) |
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| 2006年9月27日(水) |
| またタイのせい? ジャージー島のHIV増加 谷口 恭 |
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フィンランド、オーストラリア、マレーシアなどでのHIV感染増加はタイのせいであるという公なコメントが発表されたというニュースをこのコーナーで度々お伝えしてきましたが、ジャージー島でも同様の発表がおこなわれました。
9月22日のBBC NEWSによりますと、ジャージー島の保健省が下記の発表をおこないました。
・ジャージー島ではHIV感染が10年間で2倍に増えており、現在のHIV陽性者はお よそ60人である。
・10年前は、HIV陽性者の62%が同性愛者、8%が異性愛者であったが、現在は 70%が異性愛者である。
・感染した場所は、50%がイギリス内、30%が西ヨーロッパ内、そして20%がタイである。
またまた、タイが名指しされています。
ジャージー島とは、イギリス海峡のチャネル諸島に位置するイギリス王室の属領で、一人当たりのGDPが4万ドルもある裕福な地域です。(ちなみに、日本の一人当たりのGDPはおよそ3万ドルです)
それだけ裕福な地域ですから世界に旅行する人は多いのでしょうが、性産業の盛んな地域は、中国、ロシア、フィリピン、韓国、・・・、など他にもいくらでもあるわけで、お金も知識もある彼らが、タイでのみ危険な性交渉をおこなっているということはやはり興味深いと言えるでしょう。 |
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| 2006年9月26日(火) |
| 都市部自治体は財政難のためエイズ対策予算を大幅に削減 浅居 雅彦 |
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9月17日の厚生労働省発表で、国内のHIV陽性者とエイズを発症した患者が増え続けるなか、陽性者らが集中する都市部の東京や大阪など5自治体のエイズ対策予算の総額が、今年度は約4億円と約10年で3分の1まで減少していることが、9月18日の日経新聞で報道されました。
各自治体は財政難で、効果の見えにくい普及啓発事業などが大幅削減されているとのことです。HIV陽性者らはHIV感染の拡大を指摘しています。
厚労省によると、2005年に新規報告されたHIV陽性者とAIDS患者の合計は1199人となり、過去最多を更新しました。先進各国が横ばいで推移するなか、日本は若い世代を中心に陽性者の増加傾向に歯止めがかかりません。
大阪には自治体からの委託で、土曜日にHIV抗体検査を行っているNPOもあり、そのサービスの質から年々受検者数も増えています。そういったNPOの活動が財政難で制限されないか懸念します。 |
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| 2006年9月24日(日) |
| パキスタンで薬物中毒となるアフガン難民 谷口 恭 |
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9月18日のIRIN Newsに、パキスタンに住む薬物中毒のアフガン難民についてのレポートが掲載されていますのでここにご紹介したいと思います。
その前に、まずはアフガニスタンの歴史について簡単にまとめておきましょう。
アフガニスタンは19世紀にイギリスと二度の戦争をおこない、二度目の戦争(第二次アフガン戦争)でイギリスに敗れ同国の保護国となります。しかし1919年の第三次アフガン戦争でイギリスに勝利し独立をはたしました。1978年、当時共産圏の拡大を図っていたソ連がアフガニスタンへの侵攻を開始し、翌年には社会主義国となります。この頃から自国で生活できなくなったアフガン人は難民として主に隣国のパキスタンに流れるようになります。1989年にソ連軍は撤退しますが、国は荒廃の一途をたどり続けます。ほぼ無政府の状態が続いていましたが、90年代半ばあたりからタリバン政権が国家を掌握し始めます。そしてタリバン政権が庇護していたアルカイーダが2001年9月11日アメリカで同時多発テロを起こしたことにより、アメリカ軍に侵攻され、タリバン政権は崩壊し、自国で生活できなくなったアフガン人は、難民として隣国に、特にパキスタンに流れるようになりました。
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パキスタンのペシャワルの路地にある小さな店の前で膝を抱えてしゃがんでいるひとりの青年がいます。彼の名はナジェーブ。雨が降っており彼の衣服はずぶぬれですが気に留める様子はありません。彼の視線はどこか遠いところにあり、あごひげは手入れされていません。左腕の静脈注射の跡が、彼が薬物中毒であることを物語っています。
「僕がドラッグに手を染め出したのは17歳の頃。家族は僕を見捨ててアフガニスタンに帰ったんだ」
仕事がなく貧困の極致にいるナジェーブが関心のあるのは、次はどこでヘロインを入手するか、ということだけです。
「こいつは悪いやつじゃないよ。単に貧乏なだけさ。けどこいつには治療が必要だ」
自分の店の前でしゃがみこんでいるナジェーブを指してこの店の主人は言います。
現在も増え続けている薬物中毒のアフガン難民のひとりであるナジェーブが服用するのはヘロインです。現在250万人もいると言われているアフガンからの難民に薬物中毒者がどれくらいいるのかということはパキスタン政府も把握できていません。
アフガニスタンの首都カブールで薬物中毒者の治療をおこなっている医師Tariq
Suleman氏は言います。
「2006年の国連のデータによると、アフガンニスタンの薬物中毒者は100万人近くにものぼる。多くはパキスタンやイランのキャンプで薬物を始めている」
薬物が違法であるということよりも問題なのは、治療とリハビリをどのようにするかということです。パキスタンでは、注射針の使いまわしが日常化しており、またHIV感染の知識は乏しく、薬物中毒者は脆弱(vulnerable)な存在となっています。
「エイズという病気は聞いたことがあるよ。けど、それって西洋諸国の病気だろ」
ナジェーブはそう言います。もちろん彼はHIVの検査を受けたことがありません。
パキスタンにいるおよそ150万人のアフガン難民は主に都心部で生活しており、極度の困窮に直面し、容易にドラッグに手を出しています。彼らのほとんどは無職か最低賃金の肉体労働をしているかのどちらかです。彼らが直面する差別は次第に厳しくなってきています。ソ連がアフガニスタンに侵攻しだした頃は、彼ら難民はパキスタンの社会からある程度受け入れられていましたが、最近は差別が増える一方です。
「アフガン難民は社会のなかで最下層の身分となっている。彼らは社会から卑下され、警察には犯罪者とみなされている」
ペシャワルの社会学者Ghani Ibrahim氏はそう述べています。また、パキスタン人権委員会(HRCP,
Human Right Commission of Pakistan)は、定期的にアフガン難民の集団逮捕をおこなっている警察を非難しています。
パキスタンではヘロイン中毒者が少なくありません。麻薬撲滅機構(Anti-Narcotic
Force)のAnwar Hafeez氏は、「パキスタンは世界で最も薬物中毒者が多い国だ」、と言います。そして、大勢のアフガン難民がパキスタンで中毒者になっているのです。
政府の統計では、パキスタンにはおよそ50万人もの薬物中毒者がいます。このなかで静脈注射をしているのはおよそ6万人です。
アフガニスタンは世界の90%以上のヘロインを精製しており、このうち3分の1はパキスタン経由で世界各国に輸出されています。ここ2年間は、パキスタンとアフガニスタンの国境付近でのヘロインの密輸や精製が増えてきています。
薬物の静脈注射をする人のHIVに対するリスクはここ数年間で次第に大きくなってきています。1999年に国連薬物犯罪オフィス(UNODC)が、パキスタン東部の都市ラホールでおこなった調査では、薬物摂取の方法を吸入から静脈注射に変えている中毒者が多いことが分かりました。UNODCはこれがHIV感染のリスクを高めていることを指摘しています。パキスタンでは注射針の使いまわしが日常化しているのです。
2005年、UNAIDSはシンド州ラルカナで、薬物の静脈注射をする人の間でHIVが蔓延していることを発表しました。薬物中毒者170人にHIVの検査をしたところ20人以上が陽性だったのです。
カラチでおこなわれた2004年の調査では、薬物を静脈注射している人の5人に1人以上がHIV陽性であることが分かりました。
パキスタン国民エイズプログラム(Pakistan's National AIDS Programme)は次のようにコメントしています。
「薬物の静脈注射をする人や売春婦の間ではHIVに関する知識が極めて低い。カラチは主要な交易都市であるが、4人に1人以上がエイズという病名を知らない。また、滅菌してない注射器でHIVに感染することを知っている者はほとんどいない」
UNAIDSは、現在のパキスタンのHIV陽性者を7万人から8万人としており、これは国民の0.1%程度ですが、実際はこれよりも遥かに多く、今後も感染者が増加していくものとみられています。
ナジェーブのようなアフガン難民は非常に危険な状態に直面しています。文字が読めない者が多く、知識が欠落しており、家族から離れてパキスタン全域に散らばっているアフガン難民はHIV感染に対する脆弱(vulnerable)な存在なのです。
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アフガンは19世紀よりイギリス、ソ連、アメリカといった大国に侵攻され続け、多くの難民を生み出しています。そしてその難民たちの間でHIVが蔓延しているのです。彼(女)らは誤った政治が生み出した犠牲者であると言えるのではないでしょうか・・・。 |
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| 2006年9月23日(土) |
| パキスタンの男娼 谷口 恭 |
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9月21日のIRIN Newsで、パキスタンの男娼についてのレポートが掲載されましたので簡単にまとめておきたいと思います。
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ラホールの露店でマッサージを生業としているPervaizという名の「男性」が言います。
「ときにはとてもラッキーな日があって、一晩で2人、もっと多いときは3人の「良客」がつくこともあるんだ。そんな日は幸せな気分で家に帰れるよ」
Pervaiz氏が言う「良客」とは、氏の身体を買う男性のことで、「良客」が数時間の買春行為で氏に支払う金額はせいぜい800円程度です。
「僕には”レギュラー”の良客がいて、彼らは月に何度か僕を買いに来てくれるんだ。僕の”サービス”をとても気に入ってくれてるのさ」
Pervaiz氏はラホールでは珍しくない男娼(male sex workers)のひとりです。ラホールはカラチに次ぐパキスタン第2の都市で、およそ800万人の人口を有しています。
ラホールの正確な男娼の数は分かりませんが、パキスタン国民エイズプログラム(Pakistan
National AIDS Programme)の2002年の調査では、およそ3万8千人とされています。
この人数には、この地域で「hijras」と呼ばれている去勢した男性も含まれます。Pervaiz氏もそのひとりで、ラホールやその他の都市では、夕暮れになるといくつかのスポットに彼(彼女?)らがやって来ます。ラホールで最も大勢集まる場所が、Pervaiz氏も営業をおこなっているMinar-e-Pakistanと呼ばれる回教寺院の周辺、もしくは運河の川沿いです。
イスラム教に基づいたパキスタンの法律では、男性間の性交渉は厳しく禁じられており、逮捕されれば、むちうち、投獄、あるいは死刑が宣告されることになっていますが、実際にはほとんど黙認されています。しかしながら、公衆の面前で男性間の性行為について語るのはタブーであり、これがHIV感染に対する彼らの意識が極めて低い理由のひとつです。
「hijras」のコミュニティは社会から疎外され、保健所やHIV関連機関にアクセスできる男娼はほとんどいません。その結果、彼らはより脆弱(vulnerable)な存在となっています。
「なかには(女性の)売春婦と一緒に活動しているグループもあるけど、誰も我々を支援しようとなどは考えない。我々は社会から見捨てられているんだ」
とParviz氏の友人Hanif氏は言います。
UNAIDSによると、2005年の時点でパキスタンには7万人から8万人のHIV陽性者がいるということになっています。パキスタンの人口は1億5千万人ですから、陽性率は0.1%と極めて低くなっています。
しかしながら、UNAIDSも含めて多くの国際機関は、「ハイリスクな行為、感染に対する意識の低さ、人口の50%が文盲であることなどを考慮すると、実際にはHIVが国民全体に広く蔓延している可能性がある」、とも指摘しています。
UNAIDSによると、2005年の時点で男娼のHIV感染率は4%、「hijras」では2%となっています。また、HIV以外の性感染症が広く蔓延していることも指摘されています。
国内のエイズ関連機関であるAPAP(The AIDS Prevention Association of Pakistan)は、男娼に対する啓発活動もおこなっています。APAPのスタッフであるHamid
Bhatti医師は言います。
「現在我々が注目しているのは神学校に通う若い人々です。学校内で男性間の性行為がおこなわれているのは周知の事実です」
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男性間の性交渉が、法的に禁止されていながら事実上黙認されているなら、いっそのこと合法化すれば、彼らが地下に潜らなくなり、脆弱な状態から社会に認められる存在となり、その結果、HIV感染に対する意識が高まると思われますが、それができない最大の理由は、同性間の性交渉を厳しく禁じているイスラム教の存在なのでしょう。 |
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| 2006年9月23日(土) |
| モザンビーク、刑務所内でHIVが蔓延 谷口 恭 |
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カリフォルニアの刑務所でコンドームを配布する案が州議会を通過したというニュースを以前お伝えしましたが(2006年8月27日「カリフォルニアの刑務所でコンドーム配布の法案」)、このような現実的な政策をとれる地域はそれほど多くありません。
9月21日のIRIN Newsに、モザンビークの刑務所内の実情が報告されています。
モザンビークで最大の規模をほこるマチャバ中央刑務所(Machavva Central Prison)では、囚人間の性交渉が避けられない現実となっていますが、HIVをはじめとする性感染症の予防はほとんどおこなわれていません。
「若い囚人は食べ物と安全を確保する代わりに年配の囚人と性交渉をもつことを強制されている」と、ある囚人が述べています。この囚人もまた、刑務所に入ってからHIVに感染したひとりです。
刑務所内での男性間の性交渉は、少なくとも3つの観点からHIV感染のリスクを増加させます。ひとつはアナルセックスをおこなうということ、ふたつめはレイプがおこなわれているということ、そして3つめが他の性感染症に罹患するということです(他の性感染症に罹患していればHIVに感染しやすくなることはよく知られています)。
UNAIDSはこの事態に対してコメントを発表しています。
「刑務所内で男性間の性交渉が日常化しており、現実的に回避できないということを認めなければならない。そして、コンドームを潤滑油と一緒に使えるような措置をとるべきだ」
この刑務所に収容されているHIV陽性者の治療をおこなっているMachava General
Hospitalの医師Noorjehan Abdul Magid氏は言います。
「たしかに収容される前からHIVに感染していた者もいるが、大半は収容後に刑務所内で感染している」
過剰な収容人数、暴力、注射針の使いまわしやコンドームを用いない性行為といった危険な行為が刑務所内でのHIV感染に結びついています。HIVに関する知識が乏しいことや刑務所内の保健室が不充分であることも原因となってHIVが蔓延していると専門家はみているようです。
モザンビーク全体で、刑務所内にHIVがどれだけ蔓延しているのかは不明だそうです。 |
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| 2006年9月23日(土) |
| ストリートチルドレンにオープンハウスを! 谷口 恭 |
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「隣国から不法に入国してくる子供たちのためにオープンハウスをつくるべきだ」
チュラロンコーン大学の講師Sompong Chitadub氏がこのようなコメントを発表し、9月16日のBangkok
Postが取り上げています。
Sompong氏は、タイ国境付近のいわゆる「ストリートチルドレン」の調査をおこないました。氏によると、ストリートチルドレンの数は急増しており、ミャンマー、カンボジア、ラオスといった隣国から不法に国境を越えてタイに入国する子供たちの数は2万人にもなるそうです。子供たちは、強制的に働かされたり物乞いをさせられたりすることによって生活をしており、なかには3歳の子供までいるそうです。
氏の研究は、こういった子供たちがいかに貧しく、いかに不当な扱いを受けているかを調べたもので、マヒドン大学の「人口及び社会問題研究所(Institute
for Population and Social Research)」の協力のもとでおこなわれました。
「ストリートチルドレンを救済するのに必要なのは、国境付近にオープンハウスを設立し子供たちが新しい生活を始められるように支援することだ。オープンハウスで教育を受けられるようにすることも必要である」、と氏は言います。オープンハウスの設立が早急に必要なのは、チェンライ県(タイ北部)とサケーオ県(タイ東部)で、この2県は子供たちが不法入国する最もメジャーな地域となっています。
この研究によれば、カレン族とアカ族の一部の子供たちは、チェンライ県のメーサイ郡からチェンマイ県経由でバンコクにやって来ることがわかりました。子供たちは、バンコク、あるいはパタヤで不当な労働を強いられることになります。
Sompong氏は言います。
「子供たちはパタヤのピンプ(売春斡旋業者)に囲われて共同アパートに住まわされている。こういった子供たちを定期的に買いに来る外国人は200人から300人にものぼる」
ストリートチルドレンを救済するのに必要なコストは、ひとりにつき年間およそ3万バーツ(約9万円)だそうです。
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こういったストリートチルドレンは、最近のタイでは減ってきているのではないかとの見方もありますが、今回の調査は科学的に実施されたものであり信憑性は高いと言えるでしょう。
GINAはタイ北部のいくつかの施設と交流がありますから、そういった施設からの助言を求め、今後できることがないかを検討していきたいと考えています。 |
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| 2006年9月23日(土) |
| 喫煙はHIV感染のリスク 谷口 恭 |
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「喫煙は心筋梗塞や癌や肺気腫をもたらすだけでなくHIV感染のリスクも高める」
ロンドンでこのような発表がおこなわれ話題を呼んでいます。
9月20日のロイター通信によりますと、イギリスの研究者がこの発表をおこない、医学誌「Sexually
Transmitted Infections」にも掲載されるようです。
この研究によれば、喫煙とHIV感染の関係を調べた6つの調査のうち5つで、喫煙者はHIVに感染するリスクが高い、という結果が出たそうです。
South East Sheffield Primary Care Trustの成員でもあるこの研究の代表者Andrew
Furber医師は言います。
「喫煙することにより身体の免疫システムに何らかの変化が起こり、その結果HIVに感染しやすくなるのではないかと考えられる」
同時にこの研究では、HIV陽性者がタバコを吸うことによってエイズを発症しやすいかどうかを調べています。結果は、「喫煙とエイズ発症には相関関係がない」とのことでした。 |
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| 2006年9月23日(土) |
| 河南省の最新情報 谷口 恭 |
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売血で大勢の被害者を生み出した中国の河南省ですが(「中国政府、保証を求めたエイズ患者を逮捕(2006年7月28日)」「依然真相不明―河南省のエイズ村―
(2006年8月19日)」参照)、最近になって明るい兆しが見えてきたようです。
9月20日のCHINA dailyによりますと、北京清華大学でデビッド・ホー博士が、「河南省のエイズの蔓延はようやくおさまりつつある」、とコメントしました。
デビッド・ホー博士は、1996年に抗HIV薬のカクテル療法(複数の抗HIV薬を組み合わせる方法)を考案した博士で、現在は米国ロックフェラー大学教授及びニューヨークに本部があるAaron
Diamond AIDS Reserch Centerの理事長をつとめています。
ホー博士によりますと、河南省は現在では売血でHIVに感染する人が減少してきており、最近新たに感染した人の大半が性行為によるものだそうです。
またホー博士は同大学での講演のなかで、雲南省や広西壮族自治区では薬物の静脈注射によるHIV感染が依然高いことを危惧しているとコメントしたそうです。 |
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| 2006年9月22日(金) |
| まるで”おもちゃ”、タンザニアの少女たち 谷口 恭 |
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9月19日のIRINの情報によりますと、タンザニアのTAMWA(Tanzania Media Women
Association)という機関が、「学校中退、10代の結婚、妊娠とHIV感染が強い相関関係にある」、という発表をおこないました。
タンザニアの法律では、親の許可が得られれば15歳で結婚することができます。生殖医療や人口に関する発表をおこなっているUNPF(United
Nations Population Fund)によりますと、タンザニアでは20-40%が成人になる前に結婚しています。
TAMWAは、人口の多いタンザニアの東南海岸と中央部のモロゴロ県で今回の調査をおこないました。そして次のことが分かったとコメントしています。
「少女たちの夫は複数の性パートナーを持っていることが多く、少女たちはHIV感染の危険にさらされている。成熟しておらず経済的に依存せざるをえない彼女たちは安全なセックスを求めることができない」
また、タンザニアのAIDS Business Coalition of Tanzania(ABCT)の代表者Upendo
Mwinchande氏は、IRINの取材に対し次にように述べています。
「少女たちはあまりにも若すぎるためにHIVやエイズに関する知識を持っていない。そして夫の血液検査について理解する知識もない」
TANWAの調査では、少女たちの76.6%がHIVの危険性についてある程度知っていましたが、ほとんどの少女はすでに結婚しており、カウンセリングをおこなった後でさえも検査を受けようとしなかったそうです。そして、検査を受けた少女たちのうちHIV陽性は6%を超えたそうです。これは全国民の感染率よりわずか1%低いだけです。(UNAIDSのデータでは、タンザニアのHIV陽性者は約140万人で国民の6.5%が相当します)
前述のMwinchande氏は言います。
「教育の環境も少女たちを不幸にしている。小学校まで距離があることが多く、彼女たちは通学の途中でレイプされたり、あるいは誘拐され結婚させられたりするということも少なくない。また、この地域の女性の文盲率は依然高いままである。なかには11歳になれば学校を退学させられ強制的に結婚させられる少女もいる。医学的にみて危険なのは、少女たちの性器は未発達であり、性行為をおこなうことによって傷がつきやすくHIVが侵入しやすくなるということだ」
TANWAの報告書では次のように述べられています。
「少女たちの性生活は完全に支配されている。結婚した彼女たちはまるで単なる”おもちゃ”である」
TANWAの報告を受けたからなのか、タンザニア政府は教育改革をおこなうことを発表しました。現状を打開するために、学校の数を増やして中学に進学できる少女を増やす計画が来年から実行されるそうです。 |
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| 2006年9月22日(金) |
| アンジェリーナ・ジョリー、2百万ドルを寄附 谷口 恭 |
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9月20日のAP通信によりますと、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーとその夫で同じくハリウッドスターのブラッド・ピットが、それぞれ百万ドルの合計2百万ドル(約2億3千2百万円)を非政府組織に寄附したことが話題を呼んでいます。
寄附金を受け取るのは、Global Action for Childrenと、国境なき医師団(Medecins sans
Frontieres / Doctors Without Borders)です。
アンジェリーナ・ジョリーはUNHCR(国連難民問題高等弁務官)の親善大使を務めていることでも有名です。そういった関係もあってなのか、2002年3月にはカンボジア人の男児を、2005年7月にはエチオピア人の女児をそれぞれ養子として引き取っています。また今年の5月にブラッド・ピットとの間の実娘を出産したのはナミビアで、これも大きな話題になりました。
Global Action for Childrenアメリカ本部長のJennifer Delaney氏は言います。
「アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの素晴らしいところは、単に寄附をするだけでなく、2010年までにエイズ孤児が2千万人にもなり、結核、マラリア、紛争などが原因の孤児も世界中に大勢いるという事実を訴える具体的な活動をしているということです」
アンジェリーナ・ジョリーがカンボジア人の男児を引き取ったことがきっかけとなり、途上国の養子がより一般的になったと言われています。(日本ではほとんど聞きませんが・・・) ちなみに、私はアンジェリーナ・ジョリーがUNHCRの親善大使になったことがきっかけとなり、同機関への寄附を始めるようになりました。(ハリウッド女優のパワーが大きいからなのか、私がミーハーだからなのか分かりませんが・・・) |
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| 2006年9月22日(金) |
| HPV感染が妊娠を妨げる可能性 谷口 恭 |
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いわゆる”イボ”の原因ウイルスと子宮頚癌をきたすウイルスは同じ仲間でHPV(ヒトパピローマウイルス)と呼ばれています。性感染症のひとつである尖圭コンジローマもHPVが原因です。(HPVワクチンの記事については2006年8月30日「オーストラリア、子宮頚癌のワクチン無料接種」参照)
「HPVが妊娠を妨げる可能性がある」
そんな発表をアメリカの研究者が9月19日におこないました。
同日のロイター通信にこのニュースが報道されていますのでお伝えします。
研究者によりますと、体外受精で妊娠を試みた女性のうち、HPVに感染していない場合の妊娠成功率が57%だったのに対し、HPV陽性者の成功率はわずか23%しかなかったそうです。このデータは「Fertility
and Sterility」という医学誌に発表される予定です。
研究者のひとりでもある、アメリカ生殖医療学会(American Society for Reproductive
Medicine)会長のJoseph Sanfilippo医師は、「HPVは妊娠を希望する世代の女性の多くが有している。今後、人工授精を希望する女性全員に対してHPVの検査をおこない、妊娠の可能性について医師が話をすることになるだろう」、とコメントしています。すでに現在も施設によっては人工授精の希望者全員に、HIV、クラミジア、淋病に加え、HPVの検査をおこなっているそうです。
米国CDC(疾病対策局)によれば、アメリカだけでおよそ2千万人がHPVに感染しています。性行為をおこなうすべての人の少なくとも50%は生涯どこかで感染しているとみられています。これは毎年新たに620万人が感染しているということになります。
HPVは子宮頚癌の原因ウイルスです。世界中で毎年およそ30万人がこの癌で命を失っています。アメリカだけでみても毎年4千人が亡くなっています。
現在の日本では人工授精希望の女性がおこなう検査は、HIV、クラミジア、淋病といったものだけであり、HPVまで全員におこなっている施設は(私の知る限り)ありません。今後日本も同じような動きになるかもしれません。 |
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| 2006年9月22日(金) |
| カザフスタンの新しいプロジェクトに期待 谷口 恭 |
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2006年9月9日の「カザフスタンの子供たちが輸血でHIVに感染」で、大勢の子供たちが院内でHIVに感染した事件をお伝えしましたが、この原因が、病院側が輸血に伴う適切な処置を怠ったことであることが判明いたしました。HIVが混在している可能性のある血液を検査しないまま輸血に用いたということです。9月18日の時点では、少なくとも55人の子供とひとりの成人がこの汚染された血液によりHIVに感染したことが分かっています。
9月20日のIRINの情報によりますと、現在カザフスタン警察は、HIVに汚染された血液を献血した可能性のある17人の行方を追っています。検察はこれら容疑者を起訴できるかどうかを検討しているようです。
尚、この病院の不手際でHIVに感染した可能性のある3歳以下の子供はおよそ1万人にものぼり、現在のところその半数にHIV検査がおこなわれています。
この事件の責任をとるため、厚生大臣のErbolat Dosavev氏と地域の保健所職員が解雇されるもようです。
また、この事件がきっかけとなり、カザフスタン政府は5千万ドル(約58億円)の予算をとって、新たにHIV/AIDS問題に取り組むプログラムを開始することになりました。このプラグラムは4年でおこなわれる予定で、約2千2百億ドル(約26億円)を政府が拠出し、残りについては、「エイズ・結核・マラリア世界基金(Global
Fund to Fight AIDS, Tuberculosis, Malaria))や「中央アジアプロジェクト(Central
Asian projects)」といった団体に協力を要請するようです。
このプログラムの目標は、15歳から49歳の全国民のHIV罹患率を0.5%以下にするというものです。またカザフスタンでは、現在HIV陽性者1000人のうちエイズ関連の死亡が約50人ですが、これを2010年までに半分の25人にすることも目標としています。
UNAIDSによれば、現在カザフスタンでHIV陽性と登録されているのは約5,500人です。しかし2005年におこなわれた調査では、実際のHIV陽性者は10,500人から12,000人にのぼるものとみられています。 |
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| 2006年9月22日(金) |
| 全米でHIV検査が義務付けられる可能性 谷口 恭 |
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一度も”デート”したことのない10代、30年間夫にだけ貞操を守ってきた女性、性交渉を持たない聖職者、などに該当しない13歳から64歳のアメリカに居住する人は、HIV検査を定期的に受けなければならない・・・。
9月21日に米国CDC(疾病対策局)が発表したこの通達が、世界中のメディアで報道されています。
CDCによると、HIVに感染していることに気付いていない人は全米でおよそ25万人もいるそうです。
現在米国では、薬物常用者や売春婦といった「ハイリスク・グループ」に属する人のみにHIV検査をすすめています。自身の感染に気付いていない人があまりにも大勢いる現状を考慮して今回の通達が決定されたというわけです。
現在米国にはおよそ100万人のHIV陽性者がいて、毎年4万人の新規感染が報告されています。
9月21日のロイター通信に、モンテフィオーリ医療センター(Montefiore Medical
Center)の青少年エイズプログラム(Adolescent AIDS Program)の幹部であるDonna
Futterman医師のコメントが載せられています。
「男性と性交渉を持つ若い男性のおよそ80%が、いつHIVに感染したのかわかっていない、というデータがある」
同日のAP通信では、この通達に対する問題点が指摘されています。問題点は主に3つあります。ひとつはお金がかかるということ、ふたつめは検査の前に必要なカウンセリングをどのようにおこなうかという問題です。時間がかかりますし、人材の問題もあるでしょう。
そして3つめが、すべての医師がこの通達に従うわけではない、ということです。実際、ハイリスク・グループ以外にまでHIV検査をすることの効果を疑問視する医師もいるそうです。
この通達は米国医師会の承認を得ていますが、どれくらいの医師がこの通達に従うかは予想できない、とCDCはコメントしています。
日本にはこのような動きはありませんが、今後の動向に注目したいところです。
最後に、ロイター通信に掲載された、CDC幹部のBernard Branson医師のコメントを紹介しておきましょう。
「どの患者さんがHIVに感染している可能性があるかを医師が察するのは必ずしも容易ではない。ときに患者さんは、自分の薬物使用やアナルセックスなどを医師に話すのに躊躇する。そして若者が若者から感染しているケースが増えている」
私は日本の医師としてまったく同じことを感じています。 |
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| 2006年9月22日(金) |
| リビアの院内感染、真実の行方は・・・(続編) 谷口 恭 |
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2006年8月10日の「リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・」でお伝えしましたように、現在リビアでは、故意にHIVを大勢の子供たちに感染させたとして、ひとりのパレスチナ人の医師と5人のブルガリアの看護婦が投獄されています。いったん死刑判決が出たものの、最高裁で判決がくつがえったことから審理が再度おこなわれています。
裁判は何度も延期されていますが、今回被告側の弁護士が体調不良で裁判に出席できないとの理由で、次回の裁判は10月31日まで再延期となりました。
法廷で真実が明らかとなることを期待したいと思います。GINAは今後もこの事件を追っていきたいと考えています。 |
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| 2006年9月21日(木) |
| 不良外国人追い出し作戦の弊害 谷口 恭 |
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タイでは10月1日より入国条件が大きく改正され長期滞在が厳しくなります。この情報はタイ関連のメディアが先週あたりから一斉に報じていますが、9月18日のバンコク週報にイミグレーションの局長の興味深いコメントが掲載されています。
イミグレーションのスワット局長は「観光は30日で十分」と述べ、次のようなコメントを発しているそうです。
「本当の旅行者に(タイに)来てほしい。30日毎に出入国を繰り返し、安上がりな生活を送っている外国人はいらない」
現在ビザのない入国は30日以内とされているため、30日毎にいったんカンボジアやマレーシアといった隣国に出国し、1日か2日(ひどい場合は数時間、もっとひどい場合は数分)のみ隣国に滞在して、再びタイに戻るという方法をとる外国人がかなり大勢います。バンコク週報によりますと、パタヤに住みながら、30日の滞在許可更新のため、国境に向かう外国人は1日300人ほどいるそうです。
スワット局長は次のようにも述べているそうです。
「タイにいたいがためだけに、タイ人と結婚している外国人へのビザ発給も見直す。外国人とタイ人のカップルが1月4万バーツ以下で暮らすのは現実的ではない」
後半の「月4万バーツ(約12万円)以下で暮らすのは現実的ではない」、というのがよく分かりませんが(私は充分に暮らせると思うのですが・・・)、実際、タイにいたいがためにタイ人と結婚している外国人は少なくないそうです。
ここで、改正後のルールについてまとめておきましょう。
まず30日以内の観光であれば従来となんら変わりありません。いったん隣国に出て再びタイに戻る方法が、今後どの程度まで許されるのかは分かりませんが、「6ヶ月以内の合計滞在日数が90日以内」というルールが厳格に適用されるようです。
もっとも、これはビザなしの場合で、観光ビザを取得すれば何の問題もありません。ただ、タイに長期滞在している者のなかには、定職についておらず(長期滞在しているのですから当たり前ですが・・・)、また、タイ滞在にきちんとした目的がないことが多いため、在職証明書などのビザ取得に必要な書類が取れないことも多く、観光ビザの取得は困難な人も多いと思われます。
日本人も含めて、タイに特にあてもなく長期滞在している外国人のなかには、素行のよくないいわゆる「不良外国人」が少なくありません。そして、薬物や買春といった犯罪に手をそめていく者もなかにはいます。
今回の法改正がそういった「不良外国人」の排斥につながるならそれは歓迎されるべきことでしょう。
しかしながら弊害があることは否めません。その弊害は少なくとも2つあります。
ひとつは、「安上がりな生活を送っている外国人はいらない」、とイミグレーションの局長はコメントしているようですが、品行方正に安く暮らしている外国人だって大勢いるということです。外国人の入国についてはタイ政府が決めることですから、外国人が意見を言う権利がないのは分かりますし、大量のドルや円を落としていくからこそ旅行者を積極的に受け入れるという国の政策は理解できますが、素晴らしい自然と絶品の料理が味わえるタイという国の魅力を外国人にも分け与えてほしい・・・と私は感じています。
世界にも類を見ないほどの閉鎖的な入国システムをとっている日本の国籍を持つ私がこのようなことを言っても説得力がないでしょうが、日本の厳しい社会に疲れ、タイで人間らしさを取り戻した日本人を私は何人か知っています。彼らがタイから追い出されることになれば、いったいどこに行けばいいのでしょうか・・・。
もうひとつの問題は、タイで働いている大勢の外国人ボランティアの行方です。彼(女)らの大半はビザなしで入国し、パタヤの不良外国人と同じように30日ごとに国境越えをしています。彼(女)らが、タイに滞在できなくなると、彼(女)らがケアしている困窮している人々はどうなるのでしょうか。
今回の法改正は、あまりにも目立つ不良外国人を排斥するためにはいいことだと思うのですが、タイ政府には、善良な外国人もいるということを分かってもらいたいと思います。 |
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| 2006年9月20日(水) |
| バンコクでクーデター 谷口 恭 |
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CHARMのミッションとは関係ありませんし、それほど重要な事件ではないと思うのですが、昨晩から世界中のメディアが一斉に報道し、今朝は日本のメジャーな新聞の一面にも載せられていることと、先日ハジャイの爆弾テロもご紹介したという経緯もあるので、一応バンコクのクーデターについてお知らせしておきます。
現在、タクシン首相はニューヨークに外遊中であり、そのタイミングを見計らってなのか、陸軍主導のクーデターが発生し、タクシン政権から非常事態宣言が発表されましたが、クーデターは止められませんでした。
市内ラジャダムノン通りに数百人の軍人と戦車が出動したため、そのシーンだけを見ると、大変な状態に見えないこともありませんが、タイではクーデターはよくあることで、実際、一般市民はそれほど気にとめていないようです。タイ・バーツもほとんど下がっていません。
今回のクーデターは反首相派がおこしたもので、リーダーは先日、タクシン首相に軍のトップの地位を降格させられたソンティ司令官とみられています。軍のスポークスマンはタクシン首相の汚職の横行と国王への不敬に対してのクーデターで、タクシン政権を排除した後は、速やかに権力を国民に戻すことを表明しています。
現在のところ、発砲はされておらず、死者・怪我人は報告されていないようです。
バンコクでクーデターが起こっても、それほど国民が慌てずに静観していられるのは、プミポン国王に対する絶対的な信頼感があるからです。
そういう意味では、先日のハジャイでのテロ(ショッピングセンターなど繁華街で合計6つの爆破があり少なくとも4人の死亡と80人以上の負傷者が確認されています)の方が事件性は大きいと思われます。(なぜか日本のメディアはほとんど報道していませんが・・・)
なぜなら、タイ南部はプミポン国王に対する忠誠心がそれほど高くなく、以前から独立運動がさかんな、南部3県(ナラティワート、ヤラー、パッタニ)での緊張状態は高くなる一方だからです。 |
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| 2006年9月18日(月) |
| ハジャイで連続爆弾テロ 谷口 恭 |
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GINAのミッションとはあまり関係がないのですが、タイで非常に重要な事件が起こりましたので報告しておきます。
9月18日のBangkok Postによりますと、南部ソンクラー県のハジャイ(ゆっくり発音するとハートヤイ)で16日午後9時ごろから、ショッピング街を中心に、合計6回の爆発事件が起き、カナダ人観光客を含む4人が死亡、82人が重軽傷を負いました。
16日は、最南部3県(ナラティワート、ヤラー、パッタニ)の独立を求めるイスラム過激派組織「ムジャヒディン・パッタニ同盟」の創立記念日であるため、大規模テロがハジャイで発生する可能性があり、空港や政府施設などの警備を強化していたそうです。ところが、繁華街のショッピングセンターは警備がそれほど手厚くなかったために狙われたとみられています。
ハジャイでは来月二つのフェスティバルが開催されることもあって、現在は観光客が多いシーズンです。その時期に、観光客が最も集まるショッピング街での爆破テロだったというわけです。ハジャイは、特にマレーシアからの観光客が多く、年間およそ130万人ものマレーシア人が観光に訪れます。
タイ南部では2004年の1月よりテロが相次いでいました。しかし、今回のように大勢の被害者が出たのは初めてで、あるツアーガイドは、「自分がハジャイに来てからの7年間でもっともひどいテロだ」、と言います。また、別のツアーガイドは、「これでハジャイでは仕事ができなくなった。これからはプーケットに渡ってガイドを続けるよ」、とコメントしているそうです。
この爆破テロ事件報道とほぼ同じ時間に、もうひとつのニュースがBangkok Postで取り上げられています。
タイの最南部ヤラー県の刑務所で17日、受刑者およそ100人が施設の一部に火をつける暴動を起こしました。これはイスラム教徒の受刑者に対し、イスラムの断食の儀式をさせなかったことが原因だそうです。当局は、看守3人を担当から外し、宗教的行為を行うことを許可し、ようやく暴動はおさまったそうです。
Bangkok Postによれば、今後同様のテロが、バンコクやプーケットなど他の地域にも及ぶ可能性があるとの見方もあるそうです。
ちなみに、今回爆破テロ事件が起きたソンクラー県は、当ウェブサイトに掲載したレポート「南タイの売春事情」の取材地域です。 |
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| 2006年9月18日(月) |
| 栃木県のエイズ発症者増加の理由 谷口 恭 |
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9月15日の毎日新聞によりますと、栃木県は、7月2日までの3ヶ月間の県内でのエイズの発生が10人であったと発表したそうです(エイズを発症していないHIV陽性者は報道されていません)。
報道によりますと、最近は20代から50代の男性の報告が多く、そのなかでも40代以上は海外渡航歴のある人が多いそうです。この問題に対し、栃木県は、海外渡航者へパンフレットを配り注意を呼びかけているそうです。
栃木県だけでは規模が小さいですが、これは、このコーナーで紹介した、フィンランド、イングランド北西部、オーストラリア北部などと同じ状況です。
「コンドームを使用していない」、あるいはそれ以前の問題として、「売春目的で海外渡航する」、ということに驚かされますが、そういった人たちを非難するだけでは何も解決しないでしょう。
大事なのは、「リスクを分かっていながら危険な性行為をしてしまう理由」を解明していくことだと思われます。 |
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| 2006年9月18日(月) |
| タイ、セックス回数が少ないのは性産業のせい? 谷口 恭 |
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9月13日号のバンコク週報によりますと、タイ人男性の70%、女性の75%がセックスに不満を抱いており、月間セックス回数は27か国中最下位との調査結果が9月12日に発表されました。
この調査は、オーストラリアのセント・ルークス病院で性交渉関連分野の顧問をつとめるロシー・キング医師が、タイを含む27カ国で25歳から74歳までの男女12,563人を対象にして、昨年10月から今年3月にかけ行ったものです。
(この調査を詳しく確認するために、世界中の著名なメディアや同病院のウェブサイトを調べましたが掲載されていませんでした。バンコク週報の取材力に”脱帽”です)
この調査によれば、月間セックス回数の平均が6.48回。最多はブラジルの7.9回で、フランス、トルコと続きます。
逆に、少ない国は、最下位がタイの4.2回で、台湾、韓国と続きます。
セックスの満足度でみると、高い順に、メキシコ(男性78%、女性71%が満足と回答)、ブラジル、スペインで、最も低い国は韓国で(男性9%、女性7%が満足と回答)、イタリア、台湾と続きます。
バンコク週報によれば、セックス回数の少ない3国、すなわち、タイ、台湾、韓国は、いずれも性産業の盛んな国で、男性側の実際のセックス回数がこの統計を上回っている可能性が高いとみています。
この記事で気になるのは、日本が調査国に含まれていないということです。これら3国と同様、性産業の盛んな日本のデータをみてみたいものです。
ところで、このような調査は他にもときどき目にします。例えば、2005年にコンドームの大手メーカーDurex社がおこなった国際比較調査によると、セックス回数が多い国は、ギリシャ(年間138回)、クロアチア、セルビア・モンテネグロと続きます。
逆に回数の少ない国は、日本(年間わずか45回)、シンガポール、インドと続きます。タイは下から11番目で年間97回、台湾は下から8番目で年間83回、韓国はこの調査の対象国に含まれていません。
セント・ルークス病院のデータではタイが最下位となっていますが、Durex社のデータを参照すると、日本はタイよりもセックス回数が少ないどころか、タイの半分以下ということになります。
もうひとつ、今度はJournal of Sex and Marital Therapyという医学誌に今年の6月に掲載された調査結果をみてみましょう。
この調査は、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド5カ国の40歳から80歳の6000人に対するセックスに関する調査です。
この調査では、イギリス人男性の30%が過去12ヶ月に一度もセックスをしていないことが分かり調査国5カ国のなかで最低です。
過去7日間に一度以上のセックスをしたかどうかを尋ねている項目では、イギリス人男性の41%、女性の33%のみがイエスと答えており、やはり調査5カ国のなかで最低だそうです。
こういった調査は、回答者がどれだけ正確に答えているかどうか分かりませんし、夫婦間あるいは恋人間のセックスについては、他人からとやかく言われる筋合いはないと思うのですが、バンコク週報の指摘するように、性産業のせいで夫婦間のセックス回数が少なくなるのは問題でしょう。 |
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| 2006年9月18日(月) |
| イサーン地方、貧困でも幸せ?! 谷口 恭 |
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現在GINAが調査・解析をおこなっている、タイのフリーの売春婦(Independent
Sex Workers)に関する調査で、バンコク、パタヤ、プーケットで働く売春婦のおよそ6割が東北地方(イサーン)の出身であることが分かりました。
イサーンは、タイで最も貧しい地域として知られています。実際、2005年のバンコク及びその周辺県の1人あたりのGDPが276,027バーツ(約83万円)なのに対し、イサーンでは33,903バーツ(約10万円)と、実に8倍以上の差があります。(データはThailand's
state economic-planning agencyのNESDB National Economic and Social Development
Boardによる)
GINAの調査では、売春の原因は必ずしも貧困ではない、という意外な結果がでましたが(この結果は近日中に改めてご報告いたします)、少なからず貧困が売春のきっかけとなっているのは事実です。
タイは地域によって貧富の差が激しく、最も貧困なイサーン地方に同情したくなりますが、先日アサンプション大学の世論調査センターが意外な調査結果を発表しました。
バンコク週報9月14日号によりますと、同センターは、8月25日から9月12日に25県在住(タイは全部で76県)の4864人を対象にして「幸福度」を調査しました。その結果、10点満点で表される幸福度は、バンコクが5.54と最低であり、なんとイサーン地方が6.69と最高だったのです。
この結果は我々先進国に住む人間に対するひとつの問題提起といえるかもしれません・・・。 |
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| 2006年9月17日(日) |
| 韓国でHIV差別禁止法制定の見込み 谷口 恭 |
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9月5日のNation(タイの英字新聞)によりますと、韓国内閣は、HIV陽性者に対する差別を禁止する法案を採択しました。国会で承認されれば、来年前半には施行され、企業がHIV陽性者を不当に解雇することが禁じられるようになります。
この法案自体には企業側に対する罰則はもうけられていませんが、違反者には既存の差別を禁止する法律が適用されることになるようです。この既存の法律では最高一年間の禁固刑が定められています。
Nationが報じている韓国政府のデータによりますと、韓国は今年の6月までで累積4,227人のHIV感染が確認されており、73人が死亡しています。1日あたり平均2.2人の韓国人が新たにHIV感染しているそうです。
尚、UNAIDSは、韓国の2005年の「生存しているHIV陽性者(PLWH, People Living
with HIV/AIDS) 」を1万3千人としており、韓国政府の見解と大きな差があります。
韓国では年々HIV感染が増加しており歯止めが利いていません。UNAIDSのデータをみても2003年は9400人ですから、2年で38%も増加していることになります。
少し古いですが、2004年10月25日のKorea Heraldで報道された韓国のHIV事情について述べておきます。
2004年の新規発見者でみるとおよそ7割が性感染で、異性愛者が51%、同性愛者が49%となっています。韓国全体でのコンドームの使用率はわずか12%です。このため政府はコンドーム普及のキャンペーンをおこなっているようです。
韓国では外国人はHIV感染が分かると国外追放されてしまうので、検査を受けたがらない傾向にあるようです。 |
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| 2006年9月17日(日) |
| 日本の76%の施設がHIV陽性者受け入れず 浅居 雅彦 |
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9月14日の中国新聞ニュース によりますと、HIVに感染した人が障害や慢性症状を抱え、療養病床や介護施設などで長期療養を希望しても、そういった施設の76%が「受け入れを考えていない」と門を閉ざしていることが14日、国立病院機構東京病院の永井英明・呼吸器科医長らの全国調査で分かりました。
感染者が安心して医療や介護を受けられる社会とは程遠い現状です。
調査は昨年9月から今年1月、療養病床のある病院と介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、重度障害者や難病患者らが入る「障害者施設等入院基本料」の基準取得病院(障害者病棟)を対象に実施。全国すべての対象施設に質問票を送り、全体の32%の約3700施設が回答しました。
それによると、HIV陽性者の受け入れ基準を決めている施設は全体の2%と少なく、特別養護老人ホームと障害者病床の68%、介護老人保健施設の77%、療養病床の84%が「受け入れを考えていない」としました。
受け入れない理由は「診療できる医師がいない」(68%)が最も多く「受け入れ経験がない」「エイズ知識が乏しい」「職員への感染リスク」などが続きました。医療保険を使う療養病床などでは、診療報酬上、検査料や治療費が定額となっており、高額なHIVの治療薬を使うと施設側の負担となるため「経営上受け入れ困難」との声もありました。
実際にHIV陽性者から問い合わせを受けた施設は65カ所(2%)で、そのうち半数は「受け入れ経験がない」などの理由で断ったとのことです。
HIV脳症などを発症した患者の中には、治療で免疫機能が安定しても脳障害などが残り、長期療養の必要な人が増えているといいます。
永井医長は「HIV陽性者が高齢化すれば受け皿はもっと必要になります。施設職員の研修や治療費の支援、エイズ専門医との連携など、受け入れ体制を全国的に整える必要がある」と話しています。
HIVと同じような感染経路をもつB型及びC型肝炎ウイルスについては、日本には数百万人の陽性者(キャリア)がいますが、こういったウイルスのキャリアはほとんどの施設で入所を拒否されていないはずです(ただし以前にはこういった疾患に対する差別があったのは事実です)。
今回の調査で回答された「受け入れない理由」には上がっていませんが、「HIV陽性者を入所させれば施設のイメージが悪くなる」、というのも本音のひとつかもしれません。だとするならば、施設だけではなく、社会全体にスティグマがはびこっていることが問題といえるでしょう。 |
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| 2006年9月16日(土) |
| インターネットがタイの若者の性行動を加速 谷口 恭 |
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全体では新規感染者が減っているものの、最近は若い世代(特に10代)のHIV感染が問題になっているタイですが、インターネットがこの原因のひとつになっている可能性があります。
9月15日のBangkok Postに、Thai Health Promotion Foundation's safe Internet
projectという機関によって、最近タイでおこなわれたインターネットに関する調査結果が報道されています。インターネットを利用する10代の70%がチャットを通して見知らぬ人間と話したことがあり、約13%がチャットなどで知り合った者と性的関係を結んだ経験があることが判明しました。
また、ネットを通じてセックスパーティーに参加し、犯罪に巻き込まれる女性も増えているようです。こういったパーティでは、違法薬物を強制され、レイプがおこなわれ、それがカメラを通してインターネットで配信されることもあるそうです。そして、レイプシーンのビデオはVCD(タイの画像メディアはDVDよりもVCDが一般的です)となり販売されているといいます。
このため、タイ教育省は、父兄や教員に子供達のインターネット利用について監視を強化するよう呼びかけています。また、学校内のコンピュータには、わいせつサイトにアクセスできないようにするソフトをインストールする案も浮上しています。さらに、Pla
Wan Projectと呼ばれるプロジェクトが立ち上げられ、このプロジェクトのウェブサイト(www.plawan.com)からは、教育や娯楽関係の有用なサイトだけにアクセスできるようになっているようです。
メンタルヘルスの専門家で教育省のアドイザーでもあるYongyut Wongpiromsan氏は、子供部屋にコンピュータとテレビを置かないように父兄に求めることを提案しています。
しかし、タイでは、インターネットカフェなどは日本よりもはるかに普及していますし、誰もが低料金でインターネットを利用できる環境にあります。
このウェブサイトの完全タイ語版をつくってみれば多少の効果はあるでしょうか・・・。 |
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| 2006年9月16日(土) |
| 薬物取締警察官がカラオケ客を射殺 谷口 恭 |
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以前からこのコーナーで何度もお伝えしているように、最近タイでは再び薬物の流通が増えてきています。タイが再び「ドラッグ天国」とならないように、タイ薬物取締警察の活躍に期待したいところですが、その期待を裏切るかのような事件が発生しました。
バンコク週報9月15日号によりますと、13日の夜、バンコク都内ラクシー地区のカラオケ店で、バイクタクシーのドライバーが警察官に射殺されるという事件が起こりました。
タクシン首相の違法薬物に対する政策は「疑わしきは殺せ」ですから(実際、これまでに2500人から5000人が違法薬物所持の疑いで射殺されており、そのなかには冤罪も少なくないと言われています)、このバイクタクシーのドライバーも薬物所持疑いで射殺されたのかと思いきや、なんと、カラオケでのマイクの奪い合いが原因だというのです。
この警官が、カラオケに興じている客に、「もうマイクを置け。他の客にも歌わせろ」、と言ったことが原因で殴り合いになり、ついに警官は拳銃を取り出し至近距離で発砲したそうです。
この警察官は被害者を射殺した後逃走し、現在も行方は分からないそうです。
高い倫理観をもって仕事に望まなければならない薬物取締の警察官がこんな痴態を見せるようでは、この国が再び「ドラッグ天国」に舞い戻るのも時間の問題かもしれません・・・ |
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| 2006年9月16日(土) |
| 借金あり76%、世帯平均負債は11.7万バーツ 浅居 雅彦 |
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9月3日のnewsclip.be(http://www.newsclip.be)によりますと、タイ商業会議所が8月下旬、タイ全国の1187人を対象に実施した調査にて、借金がある世帯は全体の76%、世帯当たりの平均負債は11万6840バーツだったということがわかったと、伝えています。
借金がある世帯は月収1万バーツ以下で53%、9万バーツ以上で50%だったが、1万1~5万バーツ以下では80%を超えた。平均負債は月収1万バーツ以下の層が11万7400バーツ、月収9万バーツ以上の層が22万バーツでした。
しかも、「返済に問題がある」世帯は全体の55%で、特にバンコクと北部で高くなっています。
私の実感では、タイは経済発展が目覚しく、サイアムスクエアには高級品を扱うデパートが立ち並び、観光客や海外の駐在員よりも地元のタイ人で賑わっています。
その反面、屋台では20~30バーツで焼飯や麺類が食べられますので、貧富の差はありますが、タイでは借金をせず、収入に見合った暮らしが可能ではないかと思います。
それでも、返済に問題があるほど借りてしまう人が多いのは、タイの社会全体が過剰な消費、つまり「バブル」に向かっていると言うことなのかもしれません。ジム・ロジャーズ風に言えば、「タイは売り」と言うことです。
事実、欧米系企業の多くは今後のタイ経済に弱気で、強気なのは日本企業のみです。 |
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| 2006年9月16日(土) |
| ピーピー島でベルギー人男性射殺 浅居 雅彦 |
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9月13日の newsclip.be(http://www.newsclip.be)によりますと、9月10日未明に南部クラビ県のピーピー島でベルギー人男性(24)が射殺された事件があり、地元警察は11日、オープンバー従業員の男2人と物売りの男2人を殺人などの容疑で逮捕しました。
4人は21~25歳の遊び仲間で、酒に酔ったベルギー人男性が4人と一緒にいたタイ人女性を侮辱したため乱闘になり、従業員の男が拳銃で男性の頭を撃ったと報道しています。
恐ろしいですね。タイ人。リゾートで酒に酔った観光客なんか本気で相手にしなくてもいいのに、「侮辱」と受取ってしまうなんて。
実は、タイではこういった他愛も無いトラブルが昂じて、殺人にまで発展するという事件が後を絶ちません。
タイは東南アジアで唯一、一度も欧米の植民地になったことが無い国で、非常に誇り高い民族です。よく「微笑みの国」などと言われますが、その微笑が無くなったとき(プライドを傷つけられたとき)には、双方いずれかが死ぬまで争うとまで言われています。
また、銃の所持は法律で禁止されていますが、簡単に手に入るようです。私自身、カオサンロードの屋台で、たまたま向かい合せになった地元チンピラのジャケットの内側ポケットに、拳銃が入っていたのを見たことがあります。
例えて言うならば、サッカーでもホームとアウェイで戦い方に違いがあるように、アウェイでは、極力トラブルを起こさないようにするのが旅の要諦です。 |
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| 2006年9月16日(土) |
| オーラルセックスにもコンドーム 浅居 雅彦 |
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9月12日のnewsclip.be(http://www.newsclip.be)によりますと、梅毒などの性感染症やエイズの拡大を防ぐため、タイ保健省は口腔性交(オーラルセックス)の際にもコンドームやデンタルダム(女性器にあてる薄いシート)を使うよう呼びかけています。
都内バンラック地区の病院の報告によると、HIVに感染した男性のうち10人に1人が口腔性交が原因という事実が明らかになりました。
同省が1991年から取り組んでいるエイズ対策では、風俗店のコンドーム使用率100%をめざし、今年の新たな感染者を1万6000人以下に抑えるという目標があります。
しかし、店に勤務せず、いわゆる「フリー」の売春婦や街娼も多いタイでは、こういった政府の指導では、解決は難しいのではないかと懸念する向きもあります。
また、日本の風俗店の場合、コンドームなしの口腔性交は当たり前で、たいていの場合口内に射精しますが、顧客、セックスワーカー双方ともに「日本だから安全」と言い切れるでしょうか? |
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| 2006年9月14日(木) |
| アングラ化する日本に来るタイ女性 谷口 恭 |
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以前から、不法入国でタイから日本に渡り(trafficking)、不当な労働条件で売春をさせられているタイ女性が問題になっていましたが、最近その傾向が変わってきているようです。
8月13日のNation(タイの英字新聞)に、東京でこういった女性たちを保護する施設HELPのコメントが紹介されています。HELPによれば、「1991年には270人のタイ女性を保護したが、タイ人の数は次第に減ってきており、2005年には10人以下に、そして今年はまだひとりもHELPに助けを求めてきたタイ女性はいない」、ということです。
しかしながら、数字だけを見て手放しに喜ぶわけにはいきません。タイ人権委員会(National
Human Rights Commission of Thailand)のメンバーNaiyana Supa-pung氏は言います。
「HELPにかけこむタイ女性の数が減ったことは、だまされて日本に渡ったタイ人が減ったことを意味するわけではない」
日本に連れてこられたタイ女性は不当な借金を背負わされて働くことになります。10年ほど前は、その額がおよそ300万円だったのが、現在ではその倍の600万円になっているそうです。
こういった女性を擁護する日本の団体Network Against Trafficking In Persons
(JNATIP)の幹部は言います。
「タイが通貨危機に直面してから、以前には見られなかった高い教育を受けている女性も、タイ国内で仕事がないため売春目的で日本に来るようになっている」
2004年に日本が不法入国に対する法律を制定してから、世間ではこういった売春目的で入国する女性は減ってきていると思われているようですが、実際は異なるようです。
JNATIPによれば、「最近は、数年間売春婦として各地で働かされた後、日本人男性と強制的に結婚させられるケースが増えており、こういった男性は失業者か違法行為をしている者であり、彼女らは家庭内暴力を受けていることが多い」、そうです。
また、不法入国したタイ女性が出産した場合、その子供の国籍や権利が問題になることも多いという実情があります。
タイでは最近、こういった女性を保護する公的な機関が1億バーツ(約3億円)の予算でつくられました。これまで8人の女性がこの機関によって補償を受けることができたようです。 |
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| 2006年9月14日(木) |
| オーストラリアのHIV増加もタイのせい? 谷口 恭 |
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フィンランド政府が、自国のHIV感染増加をタイの売春産業のせいにするコメントを発表し物議を醸しているというニュースをお伝えしたばかりですが(2006年9月8日「フィンランドのHIV増加はタイのせい?」)、オーストラリアでも同じようなニュースが報道されています。
9月3日のNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア北部で最近HIV感染が分かった9人のうち8人が異性愛者で、ほとんどが中年から60歳程度の男性だったそうです。オーストラリアは、国全体でみれば異性との性交渉によるHIV感染の割合は15%程度ですが、北部だけでみればおよそ60%となります。
NEWS.COM.AUによれば、これら感染者の大半は、東南アジアで売春行為をおこなった結果によるもので、具体的な国名としては、タイを筆頭にしてベトナムとフィリピンを挙げています。
オーストラリアの公的機関 Health and Community Services Sexual Health
and Blood Borne Viruses Unitの北部局局長のWendy Armstrong氏は言います。
「東南アジアへの旅行で、HIV感染が増えているだけでなく、抗生物質の効かない性感染症も問題となっている。今後、海外渡航者に対してはコンドームの持参を含めて感染予防の啓発につとめる」
また、Armstrong氏は、海外でHIVに感染しその後国内のパートナーに感染させている問題も指摘しています。
フィンランドに対しては公的に反論したタイですが、ほぼ同時期に同じような発表をしたオーストラリアに対しては公的なコメントは発信していないようです。オーストラリアの発表では、ベトナムとフィリピンも挙げタイ一国に限定していないからでしょうか。あるいはタイではなく渡航者に責任があるというような表現をしたからでしょうか。
タイの見解はともかく、タイに渡航するすべての男性は(タイの若い男性を買いにいく女性も)、危険な性行為を慎むべきでしょう。
ここで、9月13日のバンコク週報に掲載された三面記事をご紹介しておきましょう。
9月10日、48歳のドイツ人観光客が、パタヤのホテルのベッドの上で仰向けになり、コンドームを装着したまま死体で発見されたそうです。警察の調べによると、この男性は26歳の売春婦を自分のホテルに連れて帰り「腹上死」した可能性が強いそうです。冷蔵庫の上には精力増強剤が置かれていたそうです。
警察によればこの売春婦は逃走中のようです。適切な取調べがおこなわれればこの女性に罪はないことが実証されると思われますが、様々なリスクのある仕事をしているとはいえ、このようなことで殺人犯に疑われることのないよう慎重に捜査をすすめてもらいたいものです。 |
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| 2006年9月13日(水) |
| 浮気相手にもコンドームを使わない米国の若者 谷口 恭 |
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米国ロードアイランド州のブラウン医科大学で実施された「米国の若者に対する性行動の調査」が9月5日のCHINA
dailyに掲載されていますのでここに報告します。この研究は「Journal of Adolescent-Health」という医学専門誌に掲載される予定です。(CHINA
dailyによりますと、この記事はロイター通信配信となっていますが、ロイターのwebsiteにはなぜか掲載されていませんでした)
この調査は、米国の3つの大きな都市に住む15歳から21歳の1316人を対象としたもので、コンドームの使用率は、性交渉の相手が浮気相手(casual
relationship)であっても、特定の相手(serious relationship)のときとほとんど変わらないということが分かりました。浮気相手との性行為の回数は3ヶ月で平均20回にも及ぶそうです。
回答者の65%が、過去3ヶ月の間に特定の相手とだけ性交渉をもっており、35%が特定の相手以外に少なくともひとりの浮気相手と性交渉をおこなっていました。特定の相手とだけ性交渉をもった者、浮気相手とも性行為をもった者のコンドーム使用率は、それぞれ37%、及び47%で、この数字に大きな差異はないとこの研究では結論付けています。
浮気の場合、ある時期まではコンドームを用いるのですが、関係を重ねるうちに次第に使用頻度が減り、特定の相手のときと同じようになることが分かったそうです。
この研究の責任者Celia Lescano医師は次のことも指摘しています。
「10代の若者は、浮気相手との性行為の際コンドームを過大評価している。そして特定の相手との関係では、危険な性行為(コンドームを用いない性行為)を過小評価している。若者は常にコンドームを使うことの重要性を学ばなくてはならない。それはどのような相手に対しても、そしてその相手とどれだけ長期間の付き合いをしていても、である」
この研究では、コンドームを使わなかった理由として、それが本当かどうかは別にして、パートナーがコンドームの使用を嫌がったと、回答した者が多かったそうです。
Lescano医師は言います。
「コンドームを用いることによって相手が去っていくのではないかと考えている若い人が多いが、コンドームの必要性はほとんどの人が認めており、両者にとって性感染症のリスクが軽減することを思い出さなくてはならない」
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3ヶ月で20回もの浮気を、コンドームを使用せずにおこなうのはかなり危険な行為と言えるでしょう。しかしながら、この研究が主張するように、特定の相手に対してもコンドームを義務付けるのは理想論にすぎないのではないかと私には感じられます。
信頼関係があれば、一緒に検査をしてからはコンドームなしの性行為をおこなってもいいのではないかと私は思うのですが、この私の意見もまた理想論なのでしょうか・・・。 |
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| 2006年9月13日(水) |
| 現在の中国の問題点 谷口 恭 |
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9月11日のロイター通信に、UNAIDSの事務局長Piot氏の中国に対するコメントが紹介されています。Piot氏は、HIV/AIDS問題に対する政策を180度転換させた中国当局を評価しながら、その政策を国全域に広げる必要があることを強調しました。
Piot氏は現在の中国の問題点を指摘しています。
東南アジアとの国境に位置する雲南省は、ヘロイン密売の中心地となっており、2010年までに同省のHIV陽性者は倍増し16万人にものぼるとみられています。中国は現在でも麻薬中毒者が多く、麻薬中毒者用のクリニックは現在300近くもあるそうです。Piot氏は、「インド、タイ、ベトナム、ロシアといった国々ではもはや麻薬に手をだしている人はほとんどいない」、とコメントしています。
国民の意識にも問題があるようです。最近の調査で、国民の20%がエイズという病気について聞いたことがないという結果がでました。特に深刻なのがおよそ1億4千万人の出稼ぎ労働者で、彼らは貧困地域に育ちまともな教育を受けていません。
Piot氏は警察が不適切であることも指摘しています。今年の初め、エイズ活動家のHu
Jia氏が41日間の不当な抑留を強制されています。売春問題については、「財布のなかにコンドームが入っているという理由でその女性を売春婦とみなして逮捕するようなことはすぐにやめなければならない」、とコメントしています。 |
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| 2006年9月13日 |
| 重慶の娯楽施設でコンドームを配布 谷口 恭 |
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9月7日のChina Dailyによりますと、中国の重慶(Chongqing)内の売春がおこなわれている娯楽ビルに対し、コンドームの供給を義務付ける公的プロジェクトが開始されることになりました。
このプロジェクトは、重慶のCDCと呼ばれる疾病管理局(Disease Control and
Prevention Centre)によって施行されます。重慶内の5つの区域にある、ホテル、マッサージセンター、カラオケなどすべての娯楽施設でコンドームが供給されることになります。
今年の6月までに重慶では2,222人のHIV患者が発見され、そのうち12.7%は性行為による感染です。重慶のJiulongpo
地区には少なくとも1000以上の娯楽施設がありますが、地方当局がこれらの施設を調査したところ、441の施設で売春行為がおこなわれていたそうです。
このプロジェクトでは当局が施設の管理者に対する指導をおこないます。指導の後、管理者はコンドーム配布に関する規約に調印します。この規約では、コンドームを無料で、もしくは低価格で売春がおこなわれる各部屋に置かなければなりません。そして、当局はこの規約が守られているかどうかを調査し、もしも違反が見つかれば、警告、罰金、または営業停止にします。
中国全土でみれば、2005年にHIV感染が新たに確認された7万人のうち、その半分が危険な性行為によるものでした。2004年に厚生省や公安省を含む6つの省が協同で国全体にコンドームを普及させるプログラムを実施しましたが、それが施行される前は、コンドームの使用を奨励するようなプログラムはほとんどありませんでした。
尚、中国では売春は違法行為です。現在、警察はホテルや娯楽施設でコンドームを見つければ売春がおこなわれているとみなし逮捕しています。逮捕された売春婦と顧客は、平均15日間の抑留をされるか罰金刑が科せられることになります。施設の管理者も罰せられます。しかし、これまで警察がいくら捜査を強力にしても性産業の抑制に効果はありませんでした。実際、危険な性行為を通してのHIV感染は増加の一途をたどっています。
今回の重慶のプロジェクトでは、コンドーム発見を逮捕の理由にしないようにCDCが警察に協力を求めています。今後このプログラムは国全域に広がるとみられています。
ベトナムや中国など共産圏の国では、売春に対して厳しい刑が科せられるのが普通です。中国に売春ツアーに行く日本人もいるようですが、もしも警察に見つかれば逮捕は確実です。実際には売春のない国など存在しませんが、共産圏の国では売春の疑いがもたれれば、いかなる言い訳も通用しません。ダメなものはダメなのです。
その中国で、今回のような現実的なプロジェクトが遂行されるようになったことに驚かされます。売春が非合法であることには変わりがありませんが、いくら法律を厳しくしてもなくならないという事実を見据えて、HIV蔓延の予防という目前にせまった問題に現実的に対処する姿勢は評価されるべきでしょう。 |
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| 2006年9月12日(火) |
| 中国西部の女性にB型肝炎の教育 谷口 恭 |
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9月10日のCHINA dailyによりますと、中国西部に位置する陝西省(Shaanxi)と甘粛省(Gansu)内の4つの地区で、女性を対象としたB型肝炎ウイルスの母子感染に関する教育プログラムが始まりました。このプログラムでは、およそ34万人の女性と600人の地域の医師に対してどのようにB型肝炎ウイルスの母子感染を防ぐかが教育されます。
甘粛省内の鎮遠(Zhenyuan)と巫山(Wushan)で実施された調査によりますと、出産適齢期の女性でB型肝炎ウイルスがどのように感染するかを知っていたのは25%にすぎず、さらに驚くことに、母子感染の予防をどのようにするかを知っていた医師はわずか10.7%しかいなかったそうです。
中国では、B型肝炎は、HIV、結核、住血吸虫症などと同様にもっとも深刻な感染症のひとつです。現在中国ではおよそ1億2千万人のB型肝炎ウイルスのキャリア(ウイルスを保有している人)がいて、2千万人以上がB型肝炎を発症しています。この治療に年間およそ1千億元(約125億米ドル、または約1兆5千億円)が使われています。
現在日本では母子感染の予防が徹底されており、少なくともここ15年くらいは、母子感染はほとんどないはずです。B型肝炎は母子感染すると慢性化しますが、成人になってから感染すると慢性化することはあまりありません。無自覚のまま抗体ができて自然に治癒するか、急性肝炎を発症するかのどちらかになるのです。急性肝炎を発症すればそのうちの何パーセントかは劇症肝炎へと移行し、こうなればかなりの確率で死に至ります。そして、成人してからの感染ルートは、ほとんどが注射針の回し打ちか性感染です。
実際、中国やタイで危険な性行為をおこない、B型肝炎を発症し激症化し、命をなくす日本人は珍しくありません。 |
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| 2006年9月12日(火) |
| 米政府、赤十字に420万ドルの罰金を命令 谷口 恭 |
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9月8日のロイター通信によりますと、アメリカ政府は、アメリカ赤十字に対して420万ドル(約4億9千万円)の罰金を命じました。これは、アメリカ赤十字が、献血の際に献血者に対し適切な質問を怠ったという理由です。
FDAによりますと、現時点では赤十字から供給された血液が輸血を受けた人に危害を及ぼしたという報告はありません。しかしながら、適切なセーフガードを怠たれば汚染されている輸血用血液が流通するリスクがあるために、FDAは赤十字に対して重い罰を与えたというわけです。アメリカ赤十字は全米の輸血用血液のおよそ45%を供給しています。
FDAによりますと、2003年から2005年に集められた輸血用血液のいくつかは、献血者がHIVや他の感染症に陰性であることを確信するための手続きを適切におこなっていれば、献血されなかった可能性があるとのことです。およそ12,000個の輸血用血液及び血液製剤が不十分な手続きで献血された血液によるものだそうです。
具体的には、献血者に対してマラリアや狂牛病が流行した地域への旅行についての質問をしていないことが問題のひとつだそうです。
これまでもFDAは赤十字に対して血液の安全性に関する問題で合計570万ドル(約6億6千万円)の罰金を命じています。今回の罰金は、FDA(アメリカ食品医薬品局)が血液汚染の疑いで科した罰金で最高額になるそうです。
アメリカ赤十字は、FDAのこの命令を検討し20日以内にコメントを表明するそうです。
実際に血液汚染が発覚したわけではないばかりか、献血者に対する質問が不十分であったという理由だけで、このような巨額の罰金を命じるところにこの国の徹底した安全対策が実感できます。危険性を分かっていながら、汚染の可能性がある血液製剤を使い続け、HIVやC型肝炎ウイルスに感染した大勢の被害者をつくりだしたわが国とは、天と地ほどの差があると言えるでしょう。 |
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| 2006年9月12日(火) |
| 南ア厚生大臣、ついに降格 谷口 恭 |
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以前このコーナーでお伝えしたように、南アフリカの厚生大臣は、抗HIV薬が必要な患者さんに薬剤を供給するのではなくニンニクやビートの根などを食べるように指導しており、それが世界中の科学者から非難されていました(2006年9月8日「科学者たちが南アのエイズ政策を激しく非難」)。
9月9日のThe Independent (online edition)によりますと、この非難を受けて、Mbeki大統領は、ようやくこの厚生大臣Tshabalala-Msimang氏を降格させることを決めました。(依然、厚生大臣という役職は維持されるものの、エイズ対策の責任者から外されることになったようです。)
厚生大臣は降格されたとしても、Mbeki大統領自身が、かつて、「エイズの原因はHIVではなく貧困である」、と発言したのは事実です。今後、南アフリカが適切なエイズ対策をとるのかどうか注目したいところです。
尚、この記事によりますと、南アフリカでは、一日に2000人がエイズで死亡しているそうです。(The
Independentの9月8日の報道では、900人となっています。) |
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| 2006年9月11日(月) |
| タイの主婦へのHIV対策 谷口 恭 |
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9月9日のBangkok Postによりますと、タイの公的機関「エイズ・結核・性感染症局」が、「主婦のHIV感染が増加している」と発表しました。
タイ厚生省の最新の発表によりますと、昨年新たにHIV感染がわかったおよそ1万7千人のうち主婦が30%以上を占めます。20%がMSM(男性と性交渉を持つ男性)、10%が薬物の静脈注射をする人、残りが10代の少年少女、及び売春行為で感染する人です。
「エイズ・結核・性感染症局」は、全国の病院に「パートナー告知プロジェクト(Partner
Notification Project)」と呼ばれる対策を徹底するように通達しました。これは、夫婦に対し定期的な血液検査をおこなうよう促すというものです。
このプロジェクトでは、夫婦間で「ABC原則」と呼ばれるHIV感染対策をおこなうことも促しています。「ABC原則」とは、「禁欲(Abstinence)」、「忠誠(Faithfulness)」、「コンドーム(Condom)」を徹底するというものです。(「忠誠」は理解できるとして、夫婦間に「禁欲」が求められるべきなのでしょうか・・・。それから、なぜ"faithfulness" が
"B"なのでしょうか・・・)
他のところでも述べましたが、最近タイではエイズ対策が「予防」から「治療」にシフトしています。そのため、ここ7年間は「コンドーム・キャンペーン」が下火になっています。
エイズアクセス財団(Aids Access Foundation)の代表者、Nimit Tien-udom氏は、「単に抗HIV薬を支給するだけでは、この慢性的な問題を解決することはできない」、とコメントしています。
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この記事では、主婦の感染に注目すべきである、といったような報道となっていますが、タイでは以前から主婦の感染が問題になっていたはずです。拙書『今そこに・・・』でも述べていますが、タイでは、売春婦を除けば、女性の感染者は大半が主婦です。治療と同様に予防が重要なのは言うまでもありませんが、「コンドームだけでは限界がある」ということは以前から分かっていたことです。
主婦のHIV感染に関して、最近GINAでおこなった調査で興味深いことが分かりましたバンコク、パタヤ、プーケットで活動するフリーの売春婦(Independent
Sex Worker)200人のうち、なんと67人(33.5%)が主婦だったのです(離婚者が16.5%、独身は50.0%)。
(この調査では意外な結果が次々と出ました。現在分析中ですので公開までもう少しお待ちください。)→公開しています(2006/10/12)
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ところで、主婦の感染は日本でも問題になりつつあります。東京都立駒込病院の看護師、堀成美氏の昨年の日本エイズ学会での報告によりますと、「初診時に50歳以上だった女性のHIV感染症例を調べたところ、14例中8例(57%)もが、夫やパートナーの感染・発症をきっかけに感染が発覚していることが分かった」、そうです。
主婦が自分の夫から感染するというケースは、数は多くないものの関西でも報告があります。また、HIVは現時点ではそれほど頻度が高くありませんが、クラミジアや淋病といった性感染症に自分の夫からうつされた、という症例は珍しくありません。なかには、それが原因で離婚にいたったケースもあります。
夫婦間の感染は非常にむつかしい一面を孕んでいます。タイの「ABC原則」が提唱している「禁欲」や「コンドーム」は効果が乏しいと思われるからです。唯一、期待できるのが「忠誠」でしょう。
夫婦もしくはカップルで、HIVを含めた性感染症について話し合い、ふたりで検査を受け、その後は忠誠を誓い合う、というのが最善の方法であると私は思うのですが、これは非現実的な「キレイ事」なのでしょうか・・・。 |
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| 2006年9月11日(月) |
| 「治療不能」の結核が急増 谷口 恭 |
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エイズの定義は、「HIV陽性かつ特定23疾患のいずれかを発症している」というものです。この23疾患のうち、比較的よく遭遇するのが「結核」です。
結核は、昔は「不治の病」でしたが、複数のすぐれた抗結核薬が登場したことにより、今では治癒する病気となっています。しかし他の細菌感染症とは異なる点があります。それは、複数の薬剤を比較的長期間(最低半年間)は内服し続けなければならないということです。このため、一部の地域では、実際に患者さんが薬を服用するところを医療者が確認する治療対策(これをDOT(Direct
Observed Treatment)と呼びます)をとり、たとえばニューヨークが結核減少に成功したのはこの対策を徹底したからだと言われています。
適切な服薬を怠ると、結核菌が抗結核薬に耐性をもち、通常の治療では治癒しなくなります。要するに、きちんと薬を飲まないと薬が効かなくなってしまうということです。薬が効かなくなった結核のことを「MDR結核(薬剤耐性結核)」と呼びます。WHOのデータでは、現在世界中でMDR結核は一年間におよそ42万5千症例発症しています。特に多いのが旧ソ連、中国、インドです。MDR結核に対する治療には、別のタイプの抗結核薬を用いますが、これらは高価で、なおかつ副作用が多いという欠点があります。ただし、この時点からでも、がんばって薬を飲み続ければ治癒が期待できます。
しかし、最近、どんな薬を飲んでも治らない結核が増加しており、これが世界的に問題になっています。どんな薬を飲んでも効かない結核は「XDR結核」と呼ばれ、最近南アフリカで開催された国際会議で議論を呼びました。
9月6日付けのBBC NEWS(website版)に、XDR結核についての情報が掲載されています。
米国CDC(米国疾病予防管理センター)とWHOが2004年と2005年の二年間でおこなった調査によりますと、1万8千の結核のうち、20%がMDR結核で、2%がXDR結核でした。他のいくつかの国で同様の調査をおこなったところ、これよりもさらに深刻な結果がでています。米国ではMDR結核のうち4%がXDR結核であったのに対し、韓国では15%にものぼっています。
WHOの結核担当者によると、XDR結核には複数のタイプがあることは分かっていますが、どのような経路で感染するのかといったことや、限られた地域に限定しているのかどうかといった点は現在も不明だそうです。
しかし、ひとつだけはっきりしていることがあります。それは、HIV陽性の人はXDR結核のリスクが高いということです。南アフリカの53例のXDR結核の調査では、そのうち52例が25日以内に死亡し、44例にHIV抗体検査を実施したところ、なんと全員が陽性だったのです。
XDR結核は、すでにHIV陽性率の高いアフリカ諸国で蔓延している可能性が強いとみられています。
しかしながら、HIV陽性者も含めて、XDR結核の発症を防ぐ方法はあります。それは、結核の診断がついた時点できちんと服薬をするということです。
このBBCのニュースでは、日本の結核については触れられていませんが、実は日本は、韓国と並んで先進国のなかで結核が蔓延している稀な国です。私は以前タイで、アメリカ人の医師に「日本は結核の罹患率が低くない」という話をしたところ、「日本は先進国ではなかったのか」と言われました。結核は発展途上国の病気という見方が一般的なのです。
日本のなかで、もっとも結核発生率が高いのが大阪市西成区です。9月4日の毎日新聞で「世界最悪の結核感染地」という見出しで、西成区の実態が報道されています。
その記事によりますと、西成区の罹患率(人口10万人あたりの患者数)は、2004年で750にものぼります。日本全国では23.3ですから、西成区は全国平均のおよそ32倍ということになります。
では、なぜ西成区でこれほど結核が蔓延しているのでしょうか。それは、この地域は全国でもトップクラスの日雇い労働者の居住地域だからです。日雇い労働者は生活が不安定ですから、栄養状態が悪くなり、結核に罹患しやすいのです。(最近、若い女性の間でも結核感染が増えていますが、これは無理なダイエットをして抵抗力が落ちているからだと言われています。)
さらに、日雇い労働者は相部屋の簡易宿舎や建設作業員の共同宿舎で生活していることが多いという背景があります。このため共同生活者に結核感染者が出ると、一気に蔓延する可能性があるのです。
日雇い労働者に結核が蔓延しやすい理由はまだあります。彼らは日雇いですから、もしも結核に感染している可能性があると仕事がなくなり収入が途絶えます。そこで少々無理をしてでも病院に行かずに仕事を続け、その結果他人に感染させているのです。また、少しでも早く職場復帰したい彼らは、咳や熱などの症状がなくなれば、勝手に薬を飲むのをやめて働き出すことが少なくありません。これが、耐性菌の出現を招くのです。
現時点では、日本はまだXDR結核の問題が深刻化していないようですが、HIV陽性者の増加と相まって、近いうちに社会問題となるかもしれません。 |
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| 2006年9月9日(土) |
| ウガンダの同性愛差別 谷口 恭 |
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ニューヨークに本部を置くHuman Rights WatchというNGOが、同組織の情報配信媒体であるHuman
Rights News(9月8日号)を通して、ウガンダの同性愛差別に関する詳しい情報を発表しましたのでここに報告します。
イギリスの統治にあった頃に制定され現在も継続している同性愛禁止法により、ウガンダでは同性愛行為は犯罪とされています。刑法140条では、同性愛行為をおこなった場合、「自然摂理に反した交接」として最低でも終身刑が科せられます。141条では同性愛行為を試みようとしただけで最低7年間の禁固刑となっています。
Yoweri Museveni大統領の統治下で、ウガンダの同性愛者たちは長年の間不当な扱いを受けてきました。
今年の8月8日、Red Pepperという名のウガンダのタブロイド紙が、45人の男性同性愛者の個人情報を公開しました。同紙は、「不道徳な同性愛が社会にいかに急速に広まっているかを示すために公開した」と述べ、レズビアンについても同様の発表をおこなう予定をしています。
レズビアンの公開に対し、ウガンダのある活動家は指摘します。
「国連の2000年のデータでは、ウガンダの女性の41%が家庭内暴力を受けていると報告されている。家長制度がはびこるこんな国では、レズビアンであることが分かると、家庭内や社会で暴力を受けることになるのは明らかだ」
同タブロイド紙は、2002年に女性どうしで(非合法的に)結婚したカップルを写真入りで報道しました。警察は直ちにそのふたりの女性の尋問をおこないました。弁護士が介入しふたりは開放されましたが、再び逮捕され数日間抑留されることになりました。このふたりから相談を受けた牧師は逮捕され国外に追放されました。
もう少しウガンダの同性愛差別についてみてみましょう。
2004年10月には、情報大臣が警察に対し、Makerere大学で結成されたゲイの団体を取り締まるよう命じています。
2005年6月6日、政府管轄のNew Visionという新聞は、「警察は同性愛者の家宅捜査をおこない逮捕すべきだ」、とコメントしました。同時に、政府関連の別の機関は、不道徳なウェブサイト、雑誌、新聞、テレビ局を追放すべきだと主張し、その対象にポルノと共に同性愛をあげています。その後、地方当局は、Sexual
Minorities Ugandaという機関の代表をつとめるレズビアンの活動家を家宅捜査し、書類などを差し押さえ逮捕しました。また、別のレズビアンの活動家も逮捕し抑留しました。
政府は同性愛者の権利や生活について話をすることを禁止しています。政府管轄の放送委員会は、レズビアンとゲイが出演したトークショーを放送したラジオ局に対して、約12万円の罰金を言い渡しました。
2005年2月に、アメリカ人のEve Ensler原作の「腟の独白(The Vagina Monologues)」というタイトルの演劇が政府の検閲により禁止されました。同性愛や売春といった非合法で自然に反する行為を助長する恐れがある、という理由です。
ところで、ウガンダがとっているエイズ対策は「結婚まで貞操を守る」というものです。
2005年3月のHuman Right Watchのレポートは、「この対策は、若い世代に正確な情報を知らせないことにつながり、本質的な性差別をもたらしている」、と指摘しています。結婚までの禁欲は、法的に結婚できない同性愛者の存在を否定することになるからです。
2002年3月は、国家のHIV/AIDS対策は評価されましたが、そのとき大統領は、「ウガンダでは同性愛を認めない」、とコメントしています。
Human Rights Watchのスタッフは言います。
「ウガンダのいったん成功したかにみえるエイズ予防対策はすでに破綻しつつある。なぜなら脆弱な人々が地下に潜ることになっているからだ」
Human Right Watchは、政府に対し次のことを要求しています。
・同性愛者を差別する政策を直ちに中止する
・同性愛禁止法を撤廃する
・同性愛者を擁護している人権擁護者に対する暴力や不当な扱いをやめる
尚、UNAIDSのデータでは、ウガンダのHIV陽性者はおよそ100万人で、国民のおよそ6.7%に相当します。 |
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| 2006年9月9日(土) |
| カザフスタンの子供たちが輸血でHIVに感染 谷口 恭 |
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9月8日のロイター通信によりますと、旧ソ連のカザフスタンで、最近2,3ヶ月の間で生後2ヶ月から10歳までの子供49人が輸血でHIVに感染し、そのうち4人が死亡したそうです。亡くなった4人の子供たちは全員2歳以下と報道されています。同国の厚生省と司法当局は、ウイルスに汚染した血液を供給したと思われる13人の調査をおこなっているようです。
HIVに感染してもエイズを発症するまでに通常数年の期間がありますから、おそらく亡くなった子供たちは、急性HIV感染症の症状が重症化したためではないかと思われます。
カザフスタンを含む中央アジアでは、ソビエト連邦崩壊以降HIV感染が急増しています。この地域はアフガニスタンからヨーロッパへのヘロイン輸送の中継地点となっており、感染者の多くは薬物中毒者です。
尚、UNAIDSのデータでは、カザフスタンのHIV陽性者は現在およそ12,000人で、国民の0.1%に相当します。 |
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| 2006年9月9日(土) |
| タイの携帯電話普及がもたらす悪影響 谷口 恭 |
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9月8日のバンコク週報によりますと、タイ国文化委員会(文化省管轄)のアモンラット広報局長は、携帯電話がタイの文化、およびタイ人の日常生活に少なからぬ悪影響を与えていると指摘しているそうです。
特に若者の間では携帯電話が必要不可欠なものとなっており、新機種が発表される度に話題になるなど、物欲主義の強まりの一因ともなっていると同局長はコメントしています。部屋に閉じこもって携帯電話で話す時間が増えており、このため家族の絆が弱くなっていることが危惧されています。また、携帯電話欲しさに売春をおこなう女子高生が急増しているそうです。
「家族との絆を大切にする」というタイの善き伝統が、携帯電話のために失われるのなら、何のための文明か分かりません。
「タイの若い世代の85%がHIVに無関心である」とUNAIDSは2006年の報告書で述べており、HIVの新規感染者では若い女性が増えてきています。携帯電話の新機種購入と引き換えにHIVに感染したら・・・。これほど大きな代償もないでしょう。
参考までに、昨年文化省がタイの小学生から高校生を対象におこなった調査によりますと、小学生の約24%、中学生・高校生の約53%が携帯電話を所有しているそうです。ただしこれは全国調査ですから、バンコク内だけでみればこの数字は大きく跳ね上がるものと思われます。
タイでは通話料金は比較的安価な一方で、携帯電話本体はかなり高価です。新機種のなかには2万バーツ(約6万円)を超えるものもあり、これは一般的なタイ人の月給の2倍程度になります。バンコクの街を歩けば、高校生や大学生の多くがこのような高価な機種を持っていることに驚かされます。 |
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| 2006年9月9日(土) |
| タイの自殺者、1日平均13人 浅居 雅彦 |
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9月6日のnewsclip.be発のニュースです。タイ保健省によると、2005年のタイ人の自殺者は10万人当たり6.9人で、04年の同7.7人から減少しました。総数は約5000人としています。
同省は「10万人当たりの自殺者は、日本24.1人、スリランカ21.6人、米国10.5人、スウェーデン13.5人。タイはこれらの国に比べ問題が少ないといえるが、タイ北部では自殺率が高くなっていて、原因としてはHIV感染による自殺が多いようだ」と指摘しました。
日本の自殺者数は、警察庁発表で、04年3万2325人、05年3万2552人。1日平均の自殺者は05年で、平均89人です。
尚、WHOの2004年の資料によりますと、自殺率の高い国はリトアニア、ロシア、ベラルーシと続き日本は第10位ですが、1位から9位はすべて旧ソ連や東ヨーロッパの国で、いわゆる先進国では日本が世界1位となります。タイは71位で、フィリピン(83位)とともに、アジアで最も自殺率の低い国のひとつとなっています。 |
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| 2006年9月8日(金) |
| 科学者たちが南アのエイズ政策を激しく非難 谷口 恭 |
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日本を含めた先進国では、「エイズの原因はHIV感染であり治療には抗HIV薬を用いる」というのが常識になっています。ところが、これを認めない国家も存在します。
最近、80人以上の科学者が協力し、南アフリカ共和国大統領Thabo Mbeki氏に、ある「通達」をおこないました。協力した科学者のなかには、RNAウイルスの逆転写酵素を発見し1975年にノーベル医学生理学賞を受賞したアメリカの生物学者David
Baltimore氏や、エイズの原因がHIVであることを発見したRobert Gallo氏も含まれています。
9月8日のThe Independent (online edition)によりますと、大統領に宛てられたその通達には次のように述べられています。
「厚生大臣のTshabalala-Msimang医師をただちに解雇し、南アフリカがとっている恐ろしくて非科学的なエイズ対策を撤廃すべきだ。エイズの原因がHIVでない、などという馬鹿げた主張をおこない、科学を尊重せずに効果のない不道徳な政策で国民を危険に陥れている人間を厚生大臣に就任させているのは、南アフリカの恥である」
Tshabalala-Msimang医師は、HIV陽性者に対し、抗HIV薬を支給するのではなく、ビートの根、ニンニク、レモン、芋などを摂取するように指導をおこなっています。
この通達に対し、Mbeki大統領は返答をしていませんが、この厚生大臣を擁護し、「南アフリカのエイズ対策に対する誤った情報が世界中で流布している」、との発表をおこないました。また、大統領は、「エイズの原因がHIVであるという説は疑わしく、抗HIV薬の効果は定かではない」、とのコメントもおこなっています。
南アフリカは、2003年に38万人の患者に対し抗HIV薬を支給すると発表しましたが、現在支給を受けているのはわずか14万人です。科学者たちは、実際に必要なのは50万人にのぼるとしています。
この通達は、先月トロントで開かれたエイズ学会で、「狂信的分派集団(lunatic
fringe)」と言う言葉を用い、南アフリカのこの政策を激しく非難した国連大使Stephen
Lewis氏に承認されています。
尚、南アフリカのHIV陽性者は550万人(インドに次いで世界二位)で、一日におよそ900人がエイズで死亡しています。 |
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| 2006年9月8日(金) |
| フィンランドのHIV増加はタイのせい? 谷口 恭 |
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フィンランドで最大の発行部数をほこる新聞Helsingin SanomatのInternational
edition9月7日号によりますと、フィンランドでは今年のHIV新規感染者が現時点で117人を記録し、同国の厚生省は最終的に170人にのぼるとみているようです。2001年の感染者は53人ですから、急激に感染者が増加していることになります。(UNAIDSのデータによりますと、フィンランドのHIV感染者は現在およそ1900人で、国民全体の0.1%に相当します。)
フィンランドの新規感染者のうち4人に3人は性交渉によるもので、最も多いのが40歳前後の異性愛者だそうです。そしてその多くが海外での売春行為による感染で、なかでも「タイでの売春行為が問題だ」、とフィンランド政府が公式に発表しました(発表したのは厚生省幹部のMerja
Saarinen氏)。
国名をあげて公式に非難をされたタイ国は反論をおこないました。
9月7日のBangkok Postにタイ厚生省のコメントが紹介されています。
「感染者が増加しているのは、タイに旅行に来るフィンランド人が危険な性行為をするからであって、旅行者はどこに行ってもHIVの感染予防をしなければならない」
疾病管理局の局長であるタワット医師(Dr.Thawat)は言います。
「我々は、すべての渡航者に対して、タイ渡航の目的が売春かどうかを調べることはできない」
タイのHIV/AIDS問題に関心のある者なら知らない者はいないと言われているミスター・コンドームことミーチャイ・ウィラワタイヤ(Mechai
Veravaidya)氏も、今回のフィンランドの公式発表に対してコメントを出しています。ミーチャイ氏は、タイを非難したフィンランド政府を批判し、「フィンランド政府はタイで感染したという具体的証拠を提出すべきだ」、と述べています。
しかしミーチャイ氏は、同時に、「外国人は売春目的でタイに来ないように」とのコメントも発表しています。「ここ3年でエイズ予防の関心が薄れ、売春婦のコンドーム使用率は90%にまで低下してきている」、と警告を発しています。
9月6日のBangkok Postによりますと、タイ国のHIV感染者はおよそ80万人で(UNAIDSのデータでは約58万人です)、新規感染者は減少してきているものの(昨年は約17,000人)、感染者総数は増加し続けています。(これは抗HIV薬の普及により死亡数が減少したことが主要因です)
タイでは、エイズ対策が予防から治療にシフトしてきており、疾病管理局によれば、昨年のエイズ予防対策費が300-400万バーツ(約900-1,200万円)だったのに対し、今年は180万バーツ(約540万円)に低下しています。
フィンランドが科学的証拠を提出せずに、公式にタイを非難したことには問題があると言えます。しかしながら、フィンランド人にとってタイは最も人気のある観光地であり、売春目的でのタイ渡航(sex
tourism)をおこなうフィンランド人が多いのは事実でしょう。そして、これはフィンランドだけではありません。イギリスにも同様のデータがありますし(当website「なぜ日本人や西洋人はタイでHIVに感染するのか」参照)、日本にはきちんとしたデータはないものの、私は日々の臨床で同じことを感じています。 |
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| 2006年9月7日(木) |
| フレディ・マーキュリー記念フェスティバル 谷口 恭 |
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1991年に45歳という短い生命をエイズで終えたクイーンのヴォーカリスト、フレディ・マーキュリーの誕生日は9月5日です。
フレディ・マーキュリーにとって、生きていれば60歳の誕生日になるこの日を記念してロンドンでイベントがおこなわれたようです。
9月4日のThe Independent (Online Edition)によりますと、世界中のファンから集まった誕生日プレゼントは、The
Mercury Phoenix Trustという名のクイーンの他のメンバーとマネージャーが設立したエイズ基金のもとでオークションに出されるそうです。
同じようなイベントは、ロンドンだけでなく、ケープタウン、ケルン、ウィーン、そして東京でも実施されたようです。
フレディ・マーキュリーは、タンザニアのザンジバル島出身で、クイーンのヒット曲「We
Will Rock You」「Bohemian Rhapsody」「We Are the Champion」などは、世代を超えて世界中の人々から愛されていると言えるでしょう。
1991年当時、フレディ・マーキュリーのエイズでの死亡は、世界中で大きな衝撃となり、彼の死がその後のエイズ関係の基金設立につながったと言われています。
ちなみに、他にエイズで死亡した有名人には、私の知る限りでは、ロック・ハドソン(俳優)、クラウス・ノミ(歌手)、シルヴェスター(歌手)などがいます。 |
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| 2006年9月6日(水) |
| ミャンマー難民はタイで治療を受けられるか 谷口 恭 |
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9月4日のRelief Webによりますと、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が、タクシン首相に、「ミャンマーからの難民を国のエイズプログラムの対象に加えるべきだ」と勧告したようです。(Relief
Webのwebsiteでは、この情報はIRINからとなっているのですが、なぜかIRINのwebsiteには掲載されていません。IRINとは国連関連の情報配信機関です)
ミャンマーでは、ビルマ族と少数民族の紛争が1949年以来現在も続いていますが、1984年頃からミャンマー難民として主にカレン族(Karen)と赤カレン族(Karennis)の人々がタイに流入してきたという経緯があります。UNHCRの報告では、現在タイとミャンマーの国境近くに9つの難民キャンプがあり、約14万人の人々が生活をしています。
UNHCRが2つの難民キャンプで妊婦のHIV抗体検査を実施したところ、陽性率は0.3%以下だったそうです。タイ全体でのHIV陽性率が1.4%ですから、難民キャンプ内ではHIVがそれほど蔓延していないということになります。
しかしながら、ミャンマー難民のなかで現在抗HIV薬の支給をNPOなどから受けているのは63人だけであり、実際に必要な人々は100から175人にのぼる、とUNHCRは試算しています。これらの人々が、NPOからではなく政府によって治療を受けられるようにすべきだ、とUNHCRは首相に勧告したようです。
タクシン首相は、本年1月に一族がオーナーを務めるシンコーポレーションの保有株式をシンガポール政府系の投資会社に売却し課税逃れをしようとしたことから支持率が急落し、最近では暗殺計画まで報道されています。しかし、現在でもタイ北部や東北部では絶大な人気をほこっています。その理由のひとつに、貧富の差を軽減させたことが挙げられます。そういう意味では、今回のUNHCRの勧告を聞き入れて、タイ国籍のないミャンマー難民もタイ国民と同様の治療が受けられるようになるかもしれません。
国連内の一組織であるUNHCRは、難民を救うことを目的として設立された組織ですが、同じく国連内の組織であるUNAIDSは、2006年の報告で、「タイの若い世代の85%がHIVに無関心である」という自体に警告を発しています。
タクシン首相には、難民の支援と同時に、HIVの予防啓発にも力を注いでもらいたいものです。 |
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| 2006年9月6日(水) |
| ザンビアの選挙でHIV/AIDS問題が争点になるか 谷口 恭 |
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ザンビアでは9月28日に総選挙がおこなわれます。この日の選挙で、大統領だけでなく、国会議員、さらに地方議員も選出されるようですから、国民にとって非常に重要な一日になりそうです。
9月4日のロイター通信によりますと、いくつかのHIV/AIDSに関連した市民団体が、この日の選挙でHIV/AIDS問題を重要な争点にするよう求めています。ザンビアの市民団体である「治療と教育の推進運動委員会」(上手く訳せません。原文は「Treatment
Advocacy and Literacy Campaign」です)の幹部は言います。
「すべての立候補者は、この国の最重要課題であるHIV/AIDSの問題に対して何をすべきかを公表すべきである。有権者はそれに基づいて誰に投票するかを決めるべきだ」
この市民団体は立候補者全員に対してアンケートを実施するようです。アンケートには、「立候補する地域のHIV陽性者は何人いるか」「当選したらHIV/AIDS問題にどのように取り組むか」などといった項目も含まれているようです。
ただ、そのアンケートの回答が、そのまま公約になるわけでも法的な強制力があるわけでもなく、実際の選挙戦の争点にはならないのではないか、と、この運動を批判的に見る向きもあるようです。
ザンビアでは成人の5人に1人がHIV陽性であると言われています。全体でみると、およそ1千万人の人口に対して約160万人がHIV陽性です。このうち、抗HIV薬による治療を受けているのはわずか6万人だけです。
ザンビアは日本人にとっては馴染みのない国かもしれませんが、イギリスの女優タンディ・ニュートン(Thandie
Newton)の生まれた国と言えばお分かりになるでしょうか。彼女は5歳のときに政局不安から逃れるためイギリスに移住しています。ちなみに彼女の母親はジンバブエの王女です。 |
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| 2006年9月6日(水) |
| 中絶を自分でおこなわされたインド人妊婦 谷口 恭 |
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以前このコーナーで、インドの国会議員のHIV/AIDSに対する驚くべき無知を紹介しましたが(2006年8月27日「インド国会議員の驚くべき無知」)、どうやら無知なのは政治家だけではないようです。
9月4日のロイター通信によりますと、インド東部のカルカッタ州立病院に、23歳のHIV陽性の妊婦が中絶希望で受診したところ、自分たちが妊婦からHIVに感染するかもしれないという馬鹿げた理由で医療従事者から処置を拒否され、その妊婦はひとりで中絶手術をさせられたそうです。
2歳の子供の母親でもあるその女性は言います。
「病院は私の気持ちをまったく理解しようとせず、私は自分の胎児を自分の手で取り出さなければならなかったわ。医療スタッフは遠くからそんな私をみて指示をするだけなの。そして必要な薬を手渡すこともせずに投げつけてくるのよ」
現在彼女はあるエイズ活動家の保護を受けています。その活動家は言います。
「この国では多くの医療従事者が患者に触れるだけでHIVが感染すると考えている」
この記事にはもうひとつ信じられない事件が報道されています。オリッサ州のHIV陽性のある男性が、複数の人間に石をぶつけられ死亡したのです。しかも、この事件は病院の敷地内での出来事というから驚きます。この男性は2年前にHIV陽性であることが分かり、それが原因で村を追い出されていたそうです。
インドでは、2003年にも同じ様な事件が起こっています。アンドラプラデシ州のある女性が、HIV感染が原因で親戚と隣人に石をぶつけられ亡くなったのです。 |
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| 2006年9月6日(水) |
| イングランド北西部でHIV新規感染が増加 谷口 恭 |
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以前からこのwebsiteで指摘しているように、日本のマスコミが報じている「先進国でHIV感染が増えているのは日本だけ」というのはまったくの誤りで、先進国のHIV増加は日本だけの問題ではありません。
9月5日付けのBBC(Website版)によりますと、イングランドの北西部では2005年にHIV/AIDSの新規発見者が14%も増加していたことが分かりました。北西部全体でみれば、陽性者が最も多いのは大マンチェスター州ですが、マージーサイド州では5年間で190%も増加しているそうです。
感染ルート別でみると、異性間の性交渉によるものが急激に増加しています。女性の新規感染は23%の増加です。
UKの急激に増加している異性間性交渉によるHIV感染にはひとつの特徴があります。それは、およそ3分の2が海外で感染しているということです。
これは、拙書『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』で、または、当website上のレポート「なぜ西洋人や日本人はタイでHIVに感染するのか」のなかで引き合いに出した、「British
Medical Journal」という医学専門誌の2004年3月号に掲載された「Sex, Sun, Sea,
and STIs」というタイトルの論文の内容と合致します。
この論文によりますと、2000年から2002年の間で、UKの国籍を持つ異性愛者でHIVに感染した男性の69%は海外で感染しています。そして、国別でみると最も多いのはタイで、全体の22%に相当するそうです。
この論文では、ドイツ人男性がタイの売春婦と性交渉を持つ際にコンドームを使用するのはわずか3-4割という調査報告を掲載していますが、私が日々の臨床で接する日本人男性も、海外で(特にタイで)コンドームを用いない性交渉をしている人がかなり多いという印象があります。 |
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| 2006年9月5日(火) |
| またもやバンコクで売春婦が殺害される 谷口 恭 |
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8月24日のこのコーナーで、バンコクのホテルで29歳の売春婦が顧客に殺害されたという事件をお伝えしましたが、またもや同じような事件が起こりました。
9月4日号のバンコク週報によりますと、9月2日、売春を生業としている20代後半の女性が、バンコクのホテル内の一室で、全裸死体で発見されました。報道によりますと、女性の局部にはビール瓶のようなものが押し込められており、ひどい裂傷を負い、出血多量によるショック死と推定されているもようです。このほか、首と胸部には強く噛まれた跡も認められたそうです。
殺害された女性のことは分かりませんが、タイには貧困から売春をせざるを得ない女性が数十万人もいると言われています。そしてそれはもちろんタイだけではありません。こういうリスクを抱えながら働いている女性は世界に数百万人もいるのです。売春がすぐになくならないのは事実だとしても、少しでも安全を補償できるようにはならないものでしょうか・・・。 |
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| 2006年9月4日(月) |
| HIV2型、日本人初感染 浅居 雅彦 |
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9月4日の各メディアが報道しているように、世界での感染の主流を占めるHIV1型とは遺伝子タイプが異なる2型に日本人が感染したことを、厚生労働省のエイズ研究班が確認しました。同省によると、過去には、日本滞在中の外国籍の感染者は報告があるが、日本人感染者の確認は今回初めてとのことです。
同省によると HIV2型の感染が確認されたのは、過去に西アフリカで輸血を受けた経験がある男性です。同省は「滞在していた地域では2型が流行しており、現地での輸血が感染原因とみられる」としています。
HIV2型は、1型に比べ感染力が弱く、発症までの潜伏期間が長いのが特徴。
厚労省は、医療機関や保健所などが実施しているHIV検査で2型の感染を見逃さないよう、検査の徹底を求める通知を出しました。 |
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| 2006年9月3日(日) |
| インド最高裁、エイズ対策の遅れで政府を尋問 谷口 恭 |
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8月31日のロイター通信によりますと、インド最高裁は、エイズ治療政策の遅れに対する説明をインド政府に求めました。
インド政府は2005年までに10万人のHIV/AIDS患者に無料で抗HIV薬を支給することを決めていたのですが、現在投薬を受けているのは5万人のみです。インド政府はこの現状をいくつかのNGOから指摘され非難を受けていました。
インド国民エイズ管理機構(India's National AIDS Control Organization)によりますと、インドの田舎では、標準的な医療が供給されておらず、これが抗HIV薬を適切に配布できない原因となっているそうです。
インドで抗HIV薬が支給されていないということに強い違和感を覚えます。なぜなら、インドは世界最大のHIV陽性者(UNAIDSのデータでは約570万人)を有していながら、同時に抗HIV薬のジェネリック薬品の世界最大の供給国であるからです。 |
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| 2006年9月3日(日) |
| UNESCOがアフガニスタンの教師にエイズ教育 谷口 恭 |
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8月30日付けのIRIN NEWSによりますと、アフガニスタンの首都カブールで、UNESCOがHIV/AIDSに関する二日間のワークショップを開きました。
ワークショップには、アフガニスタン教育省やカブール教育大学の幹部や教師20人以上が参加したそうです。
アフガニスタンでは、公的にHIV感染が認められたのは58人だけとなっていますが、実際の感染者はそれよりも遥かに多いと多くの関係者はみています。厚生省のある役人は、「アフガニスタンではHIVに関する国全域の調査がおこなわれたことがなく、国民の乏しい意識を考えるとHIVはかなり蔓延していると思われる」、とコメントしています。
ある医療関係者は言います。
「この国は戦争の後遺症で苦しんでいる。その結果、違法薬物の回し打ち、パキスタンやイランから戻ってきた難民、高い文盲率と無知、女性の地位の低さ、危険な性行為、脆弱な保健制度、HIVに対する低い意識などが原因となって、HIV/AIDSがかなり蔓延していると思われる」
薬物、難民、文盲、女性差別、保健制度、・・・。HIV/AIDSは、狭い意味の医療だけではけっして解決しない、ということを改めて考えさせられます。 |
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| 2006年8月31日(木) |
| スワジランドの女性は性的に奔放? 谷口 恭 |
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8月29日付けのIRIN NEWSによりますと、World Visionという機関がスワジランドの人々を対象にした調査で、女性の方が男性よりもセックス・パートナーが多いという結果が出て物議をかもしています。
同調査では、過去3ヶ月以内に2人以上のセックス・パートナーがいた、と答えた女性は60%にも及び、男性よりも18%高かったそうです。調査結果から、彼女らは11歳頃からデート(原文では"date"だけですが、文脈から「性行為をおこなう」という意味だと思われます)を重ね、同時に4人の男性を相手にすることもある、ということが分かりました。
この結果に対して、「(HIVの蔓延に対して)女性に責任があるわけではない」と主張する活動家は少なくありません。女性が貧しさから体を売らざるを得ない現状があるからです。女性たちは、愛や結婚のためではなく、お金のために性的関係を持っているのです。
この調査をおこなったWorld Visionは言います。
「金持ちの年上の男性が若い女性たちの恋人(愛人)になっていることが多い。女性たちは何も言えない。男性がこの(悪しき)文化を変えなければならない。」
スワジランドの社会では、性についての話題を簡単に口にできないそうです。HIVの話をすることもむつかしいそうです。
UNAIDSのデータでは、スワジランドの成人のおよそ33%がHIV陽性です。
尚、スワジランドは南アフリカとモザンビークに挟まれた、人口110万人の小国で、最大部族であるスワジ族の王国です。1968年にイギリスから独立しています。 |
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| 2006年8月31日(木) |
| バンコク、デモの勝利! 谷口 恭 |
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以前このコーナーで、UKの製薬会社グラクソ・スミスクライン(以下、グラクソ)が抗HIV薬のCombidの特許出願を取り下げるよう抗議デモがバンコクでおこなわれている、というニュースを報告しましたが(2006年8月14日「バンコクで英製薬会社に対する抗議デモ」)、その結果、グラクソはデモ抗議を受け入れて特許出願を取り消しました。
これは、タイ国のHIV/AIDS患者のみならず、世界的に大きな意味があるのではないか、と、タイの英字新聞Nationが報じています。
8月17日のNationによりますと、グラクソがタイでの特許出願を取り下げたことにより、インドが同じジェネリック薬品を作ることができるようになり、世界中に販売を開始する可能性があるそうです。
それにしても、今回のグラクソの決断は評価されるべきだと思われます。同社は、WHOと協力して象皮病の撲滅にも力を注いでいますし、先進国のみならず発展途上国の医療にも力を注いでいる企業です。(私が日々処方している薬品にも同社のすぐれた製品が多数あります。) |
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| 2006年8月30日(水) |
| オーストラリア、子宮頚癌のワクチン無料接種 谷口 恭 |
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8月28日付けのNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリアでは、子宮頚癌の原因ウイルスと考えられているヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン接種が無料でおこなえるようになりました。
ワクチン無料接種の対象は、オーストラリアの12歳から26歳の全女性です。TGAと呼ばれる薬品管理委員会(The
Therapeutic Goods Administration)は、9歳から15歳の男性への適応も承認していますが、現段階では、無料でワクチン接種をおこなえるのは女性のみとなっています。
また、27歳以降の女性の適応については今後検討していくそうです。
HPVのワクチンについては、日本も現在治験中であり、近いうちに実用化される見通しです。ただし、オーストラリアのように無料で接種できるようになるかどうかは未定です。 |
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| 2006年8月30日(水) |
| オーストラリアでHIV陽性の歯科医 谷口 恭 |
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8月24日付けのNEWS.COM.AUによりますと、オーストラリア、クイーンズランド州の公立病院で働く歯科医(報道では「若い女性」となってます)が、8月22日にHIV陽性であることが分かりました。
この歯科医がHIVに感染したのは昨年12月の可能性が強いそうです。そのため、クイーンズランド州では、この間にこの歯科医の診察を受けたおよそ600人の患者に対して、HIVの抗体検査を受けるよう呼びかけています。
州政府は、「600人の患者全員がHIVの検査を受けるのが望ましい」、としながらも、「治療行為でHIVに感染する可能性は極めて低い」、というコメントをしています。
また州政府は、この若い歯科医が正直にHIV陽性であることを告白したことを高く評価しています。この歯科医は、今後歯科診療をおこなうことはできなくなりますが、保健関係の仕事が州から与えられるそうです。
正直に感染を告白した歯科医を「評価」した州政府も「評価」されるべきだとは思いますが、同じような感染経路のHBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HTLV-1(成人T細胞白血病ウイルス)などが陽性の歯科医には、同じ対応をしていないと思われます。
なぜHIVだけがこんなにも特別な対応をされなければならないのでしょうか・・・。 |
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| 2006年8月28日(月) |
| 台湾、バレンタインデイにHIV予防キャンペーン 谷口 恭 |
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台湾を含めて中国のバレンタインデイは8月30日(旧暦の七夕)です。
8月24日付けのOnline The China Postによりますと、台湾エイズ基金と台北北星ロータリークラブ(訳に自信がありません・・・。原文はRotary
Club of Taipei North Starです)は共同で、このロマンティックな記念日にエイズ予防キャンペーンを実施することを決めました。
キャンペーンでは寄附を募り、寄附をした人にはコンドームをプレゼントする企画もあるそうです。
台湾ではHIV/AIDSに関する人々の意識が低く、性行為で常にコンドームを使用する人は20-30%しかない、というデータもあります。
Online The China Postによりますと、台湾では、2006年7月までにHIVに感染した人は、累計で12,012人に昇ります。このうち、エイズを発症していない段階で発見されたのはわずか10%以下だそうです。台湾エイズ基金は、こういった実情を踏まえ、「早期発見の重要性を訴えたい」、とコメントしています。
よく日本のマスコミは、「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」という言い方をしますが、これはまったくの誤りで、UNAIDSのデータを見ても、韓国、シンガポールのHIV陽性者の伸び率は日本よりも深刻であり、公的には中国の一部となっているためUNAIDSのデータはありませんが、台湾と香港も感染者が増えていると言われています。また、アジアに入るかどうかは分かりませんが、オーストラリアでも感染者は増加しています。
アジアの先進国どうし、今後協力して感染予防に取り組んでいくことはできないものでしょうか。 |
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| 2006年8月28日(月) |
| チェンマイで密売人と警官が真昼の銃撃 谷口 恭 |
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バンコク週報1233号(2006年8月28日)によりますと、8月16日の昼過ぎ、タイ国チェンマイ県の市場で、数人の私服警官と覚醒剤密売人が銃撃戦を繰り広げる事件がありました。昼過ぎの市場ですから、買い物客も多く、逃げ惑う人々で現場は一時大混乱になったそうです。
おとり捜査中の私服警官が、覚醒剤200錠の引渡し場所として密売組織が指定した市場に出向き、密売人の身柄を拘束しようとしたところ、銃撃戦が始まったとのことです。この密売人はチェンライ県出身の34歳の男性で、銃撃戦で足に被弾しましたが命に別状はないようです。
この銃撃戦で、クァイッティァオ(米麺)屋台の店主に流れ弾が当たり怪我を負ったそうです。
覚醒剤については、HIV感染のみならず、こういった危険性についても認識しておくべきでしょう。
チェンマイは、タイのなかで最も外国人に人気のある県のひとつです。タイ国を再びドラッグ天国にしてはなりません。需要があるから供給があるのです。ならば、GINAとしては、覚醒剤の危険性を草の根レベルで訴えていきたく思います。 |
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| 2006年8月27日(日) |
| カリフォルニアの刑務所でコンドーム配布の法案 谷口 恭 |
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8月24日付けのロイター通信によりますと、カリフォルニア州議会で、「州刑務所内でコンドームを配布する」という法案が可決されました。この法案は今後、州知事であるアーノルド・シュワルツネッガー氏に送られ、同氏が承認すれば施行されることになります。
カリフォルニア州刑務所は全米で最大の規模をほこり、およそ16万2千人が収容されており、その大半は男性です。刑務所内でのHIV感染率は、ロサンゼルス全般の感染率のおよそ8倍にもなるそうです。
刑務所内での性交渉など、もちろん公的には禁止されているでしょうが、実際にはおこなわれているという現実があるのでしょう。しかし、だからと言ってコンドームを配布するようなことをおこなえば、刑務所自体が施設内での性交渉を認めてしまうことになってしまいます。にもかかわらず、現実的な観点からコンドームを配布することを決断したのは、さすがアメリカ合衆国という感じがします。
米国では、90年代前半、静脈注射で違法薬物を摂取する人たちの間でHIV感染の増加が止まらないという現実がありました。そこで米国のとった方策は、薬物中毒者たちに対する無料での注射針配布だったのです。
薬物中毒者への注射針にしても、刑務所内でのコンドームにしても、当然反対意見はあるでしょうが、現実を適切に認識し、効果的な対策をとることのできるこの国は評価されるべきだと思います。
注射針やコンドームどころか、学校での適切な性教育ですらおこなえないわが国とは大きな違いがあると言えるでしょう。 |
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| 2006年8月27日(日) |
| インド国会議員の驚くべき無知 谷口 恭 |
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8月24日付けのロイター通信に、インドで最近おこなわれた、国会議員を対象としたHIVに関する調査結果が報道されています。この調査は、インドの下院及び上院議員のおよそ3分の2に相当する250人の議員が対象となっています。
・HIV陽性者が一度着た衣服を着ることによって感染する、と答えた者 ― およそ3分の2
・HIV陽性者と食事を共にしたり食器を共用したりすることによって感染する、と答えた者 ― 56%
・HIV陽性者と仕事を一緒にすると感染する、と答えた者 ― 40%
・HIV陽性者が使ったトイレを使うことによって感染する、と答えた者 - 22.8%
先進国の仲間入りを考えているインドの国会議員がこれほど無知であるということに愕然としてしまいます。国会議員の仕事は法律を制定することです。その議員がこれだけ無知であれば、HIV/AIDSに関するまともな法律ができるはずもなく、またスティグマや差別がなくならないのは自明です。
UNAIDSのデータでは、現在のインドのHIV陽性者は世界一の570万人となっていますが、この数字は実際よりも少ないであろうと見積もっている専門家は少なくありません。インドの田舎の方では、死因が正確に把握できておらず、例えばエイズが原因の結核で死亡したとしてもエイズと統計されないことが多いそうです。(結核はエイズの特定23疾患のうちのひとつです。日本でも、結核を発症してはじめてHIV感染が分かったという患者さんがときどきおられます。) |
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| 2006年8月27日(日) |
| 米国、処方箋なしで緊急避妊薬が購入可能に 谷口 恭 |
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8月24日付けのロイター通信によりますと、FDA (米食品医薬品局)が、18歳以上の女性であれば、性交後に服用して妊娠を防ぐ緊急避妊薬を医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにする、と発表しました。
この緊急避妊薬は、女性ホルモンの一種が主成分で排卵を抑制する効果があり、「プランB」と呼ばれています。(ちなみに、「プランA」とは、コンドームや通常のピルなど、従来の避妊法のことを指します。)
FDAは、処方箋なしで購入できるのは、現時点では18歳以上に限定しており、17歳以下については従来どおり医師の処方箋を必要とするようです。
実は、「プランB」を処方箋なしで購入できるようにしようという動きは数年前からありました。ところが、安易な「プランB」の購入は、性感染症の拡大を招くという意見などもあり、論争が続いていたというわけです。
この「プランB」を日本でも処方箋なしで購入できるようにしようという動きは、現時点ではないようです。
日本では、「モーニングアフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬がありますが、院内の処方、もしくは処方箋での薬局購入というかたちになります。それに、モーニングアフターピルは、通常「中用量ピル」を使いますから、副作用で吐き気をもよおされる人もいます。(そのため吐き気止めと一緒に処方することもあります。) |
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| 2006年8月25日(金) |
| "NO"と言えない子供たち 谷口 恭 |
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世界中の子供に対する支援活動をおこなっているイギリスの国際組織Planが、先日「Circle
of Hope」というタイトルのレポートを発表しました。
このレポートでは、世界中の大勢の子供たちが劣悪な環境で生活しており、HIV感染のリスクにさらされている現状も報告しています。
例えば、アフリカ西部に位置するベナン人民共和国では、少女たちが学校の行き帰り、さらには学校内でも、大人たちから性的暴行を受けることが日常化しているそうです。大勢の子供たちが、飢えをしのぐために一日の食事代ほどの金額で大人に身体を売っているというのです。
Planの代表責任者Tom Miller氏の言葉が印象的です。
「エイズになって数年以内に死ぬか、飢えのために数週以内に死ぬか、子供たちにはどちらかの選択肢しかないのです」
このレポートは次のようにも言っています。
「世界中には性的搾取を受けている数百万人の子供たちがいる。少女たちの年老いた夫はすでにHIVに感染していることが多く、少年たちは社会的なプレッシャーから危険な性行為をおこなっている。」
(少年たちについて述べているこの意味が私にはよく分かりません。買春やコンドームを用いない性行為を強要される社会的圧力がある、という意味なのでしょうか・・・。だとするならば、それは貧困でコンドームが手に入らないからなのでしょうか。あるいは、宗教的、社会的慣習が彼らにそのような行動を強いるのでしょうか。また、少女についてもよく分からないところがあります。十代の少女が老人に嫁いでいるという社会背景があるのでしょうか。いずれにせよ、このレポートの原文(英語)にはそのように書かれています。)
Planは、このレポートで子供たちの困窮した現実を述べるのと同時に、子供たちに対する希望も述べています。
「子供たちは同世代の者に対する大きな影響力を持っている。だから、社会を改善するのに必要なリーダーは子供たちなのである。それが、我々がHIV感染予防のプロジェクトには子供たちが大切な役割を担っていると考える理由なのである。」
実際にPlanは、世界中の若い世代と共にエイズ予防に関する事業を展開しています。Planが考えるように、HIV/AIDSの問題のリーダーは若い世代が担うべきなのかもしれません。 |
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| 2006年8月25日(金) |
| 厚生労働省のエイズ動向委員会の第2四半期報告 浅居 雅彦 |
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8月22日に当Websiteにてお伝えしましたニュース「HIV/AIDS新規報告23人 昨年の倍増 兵庫県上半期
」を裏付ける報告が、厚生労働省のエイズ動向委員会より発表されました。
平成18 年3 月27 日から7 月2 日までの約3か月に、新規HIV感染者報告数は248
件(うち男性226 件、女性22 件。前回報告198 件)で過去最高となりました。また、前年同時期の新規HIV感染者報告数は171
件でした。
新規AIDS患者報告数は106 件(うち男性97 件、女性9 件。前回報告92 件)であり、過去二位となりました。前年同時期の新規AIDS患者報告数は89
件です。
感染経路別に見ると、新規HIV感染者では同性間性的接触によるものが160 件(全HIV感染者報告数の約65%)と最も多く、そのうち152
件が日本国籍男性でした。異性間性的接触による新規感染者報告数は53 件(全HIV感染者報告数の約21%、うち男性37
件、女性16 件)です。
感染経路別の新規AIDS患者では、同性間性的接触によるものが40 件(全AIDS患者報告数の約38%)、異性間性的接触によるものが40
件(全AIDS患者報告数の約38%、うち男性36 件、女性4 件)となっています。
年齢別では、新規HIV感染者は20~30 代が多数(約66%)を占めますが(前回約77%)、40
代~50 代以上が占める割合が増えています(約31%)(前回約22%)。
年齢別の新規AIDS患者は30~50 代以上に広く分布しています。 |
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| 2006年8月24日(木) |
| 中国が性感染症の実態把握へ 谷口 恭 |
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8月14日の共同通信によりますと、中国衛生省は、中国における性感染症が1980年代以降急増していることを懸念し、感染実態をより正確に把握するため、モニター地区を定めて定点調査を実施することを決定しました。
同省によりますと、2005年の梅毒の報告例は前年比約35%増の12万6400件、淋病は18万300件。淋病が中国の(全)感染症の4位、梅毒が5位となっています。
この調査では、初めて性感染症の治療を受ける患者には経緯を記した書類の提出、医療機関には24時間以内の関係機関などへの報告なども義務付けています。
中国の報道によりますと、性感染症の重点調査対象者として、売春婦、男性の同性愛者、長距離トラックの運転手を挙げているようです。
ちなみに、中国では長距離トラックの運転手のために売春施設が各地に存在し、1回の売春価格が100円以下との報道もあります。 |
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| 2006年8月24日(木) |
| ナナのホテルで売春婦が殺害される 谷口 恭 |
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バンコク週報1232号(2006年8月21日)によりますと、8月11日、バンコクのスクンビッド通りの繁華街ナナのホテルの一室で、サムットプラカン県出身の29歳の女性が殺害されているのが発見されました。
警察の調べから、この女性は中東系とみられる男性とふたりでホテルを訪れ、2時間のショートタイムで部屋を借りたそうです。調べから、殺された女性はBTS(スカイトレイン)のナナ駅周辺にたむろする売春婦と断定。客の外国人男性と金銭交渉でトラブルになり殺害されたとみて、ナナ駅周辺を中心に聞き込み捜査を進めている、とのことです。
ナナ駅周辺は、外国人を相手にした売春婦がたくさんいるところです。GINAがおこなった調査でも、ナナ駅周辺にたむろする女性たちも対象としました。(この調査結果は近日発表する予定です。) |
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| 2006年8月24日(木) |
| バンコクで薬物一斉取締り 谷口 恭 |
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バンコク週報1232号(2006年8月21日)によりますと、バンコク首都圏警察は、8月13日から14日未明にかけ、バンコクで薬物の一斉摘発を実施し、容疑者26人を逮捕しました。約100人の警察官を投入し、都内のクロントイ区、クロンタン区などの民家を家宅捜索したそうです。
押収された薬物は、メタンフェタミン約20万錠、ヘロイン1キロ、アイス(クリスタル・アンフェタミン)5.5キロなど、であると報道されています。
首都圏警察ウォンコット副長官によると、バンコクではプラカノン区、トンブリ地区の一部で薬物密売が拡大しており、取り締まりの強化が検討されているそうです。
タイが再び薬物天国と言われることのないよう、警察に期待したいものです。 |
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| 2006年8月23日(水) |
| まるで犬?! ナイジェリアのHIV陽性者 谷口 恭 |
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8月18日付けのBBCニュース(Website版)に、「まるで犬のような扱い」というタイトルで、ナイジェリアのHIV陽性者の実情が報告されていますので、ここにご紹介します。
この記事では、HIV陽性の二児の母親が取材されています。
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私がHIVに感染しているのが分かったのは妊娠4ヶ月のときでした。ナイジェリアでは、感染者に対する差別がひどく、私は自殺を考えました。
自分の家族に感染を告げたとき、母親は理解を示してくれましたが、夫は私を家から追い出そうとしました。
しかし、自分の息子に、「もうすぐ生まれてくる子供はどうなるの?」、と言われ出産することを決意しました。
ナイジェリアでは、HIVに感染していると仕事を得るのはほぼ絶望的で、家族から家を追い出されることも珍しくありません。
出産のために病院に入院したとき、私のベッドにとりつけられたカードには「WXYZ」と書かれていました。後に、これがHIV陽性であることを示す病院内の暗号であることが分かりました。
母子感染を防ぐためには帝王切開をおこなうべきです。しかし、この病院では医療従事者が私から感染するのを防ぐために帝王切開はしてもらえませんでした。看護師は私のそばに来ることすらもせず、私は痛みを感じてもどうすることもできませんでした。ひとりの医師がやってきてようやく出産、そして痛みを取り除いてもらうことができました。幸運なことに、私のふたりめのその子供はHIV陰性でした。
最近、私の友人がエイズで亡くなりました。
この友人の夫はHIV陽性で、以前から病院で薬を処方されていましたが、自分の妻である私の友人にはそれを告げてなかったのです。やがて彼女はエイズを発症し、4歳になる娘を残して亡くなりました。
私たちの社会では、女性がコンドームを求めることはむつかしいのです。もしも女性がコンドームの話をすれば、その女性は売春婦と思われてしまうのです。そして、自分の夫にコンドームを使うように言えば、きっとこう言われるでしょう。
「オレはお前に命令されるために結婚したのか?」
この国ではエイズを発症してしまったという「恥」から抜け出すためには「死」しかありません。
私はNGOのおかげで薬を入手することができましたが、私のように治療を受けることができる幸せな人は、この国ではまだほんのわずかしかいません。
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「HIV陽性者は帝王切開をしてもらえずに看護師からも無視される」
「女性がコンドームの話をすれば売春婦とみなされる」
にわかには信じられないような話です。いったいいつになれば、こういった馬鹿げたスティグマがなくなるのでしょうか・・・。 |
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| 2006年8月23日(水) |
| 300人に1人のエイズを発症しないHIV陽性者 谷口 恭 |
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先日トロントで開催された第16回国際エイズ会議で、エイズを発症しないHIV陽性者に関する報告がありましたのでご紹介します。
8月16日のCNN.comによりますと、この報告はハーバード大学のウォーカー教授によっておこなわれました。
ウォーカー教授の研究では、HIVに感染してもエイズを発症しない人は、およそ300人に1人の割合で存在し、この幸運な陽性者たちを「エリート」と呼んでいるそうです。
同教授は、すでに200人の「エリート」の調査をおこなっており、北アメリカや他国の研究者と協力して、今後1000人の調査をおこなうことを目標としています。同教授の試算では、全米にはおよそ2000人のこの「エリート」が存在するそうです。
この研究が進んで遺伝子レベルでの解析がおこなわれれば、エイズを発症しないメカニズムが解明され、将来的にはワクチンや治療薬に応用できるのではないかと期待されています。
日本にはこのような「エリート」の報告はまだないようですが、今後の研究に注目したいところです。ただ、「エリート」は、自分自身はエイズを発症しないとしても、他人に感染させることには変わりありません。 |
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| 2006年8月23日(水) |
| 小規模支援がHIV/AIDS患者の生活を向上 谷口 恭 |
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第16回国際エイズ会議で、World Vision CanadaというカナダのNGOが、小規模支援(Microfinance
Projects)の効果について報告をおこない、それをカナダのメディアGlobe and
Mailが8月15日に報道しましたのでここにご紹介します。
World Vision Canadaは、昨年一年間で合計47個の小規模支援をおこない、国際エイズ会議では、ケニアやホンデュラスなどでの例が報告されたようです。
小規模支援をおこなった結果、感染者が仕事をおこなえるようになり、健康状態や栄養状態が改善し、薬剤を入手しやすくなり、さらに、HIVに関連したスティグマが減少したそうです。また、教育にも力を入れ、若い世代のリーダー育成もおこなっているようです。
Globe and Mailは、HIV/AIDSの問題が深刻な地域で小規模支援が「非常に重要な役割を果たしている」と述べています。
GINAが現在おこなっているのも、まさに「小規模支援」で、感染者の仕事の応援や、患者さんひとりひとりの立場からみた支援をおこなっています。逆に、大病院や地域の行政に多額の寄附をおこなう、といったようなことはしていません(現在のGINAの規模では不可能です・・・)。
GINAは今後も、「草の根レベルの支援」にこだわりをもっていきたいと考えています。 |
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| 2006年8月22日(火) |
| HIV/AIDS新規報告23人 昨年の倍増 兵庫県上半期 浅居 雅彦 |
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8月19日の神戸新聞によりますと、兵庫県内で今年上半期のHIV陽性者とエイズ患者が昨年一年間の報告数に迫る23人になっていることが、県のまとめで分かったとのことです。このうち、半数近い10人がエイズ患者として報告されています。
県内の新規報告数(HIV陽性+エイズ患者)は2001年に初めて20人を記録。2003年から4年連続で20人以上となっており、昨年は26人。今年は半年でこれに迫る倍増ペースとなっています。また、エイズ患者として報告された数は昨年初めて10人となり、今年はすでに6月までに10人を記録しています。新規報告数全体の半数近くを占め、割合も増加する傾向にあるといいます。
23人を感染原因別にみると、「同性間の性的接触」が12人、「両性間の性的接触」が1人、「異性間の性的接触」が4人。薬物注射と母子感染は、過去にそれぞれ1人および2人の報告がありますが、今回の23人には含まれていなかったようです。海外で感染したとみられるのは2人で、感染地域不明が2人でした。年齢別では30代が最多の12人、20代と50代が4人。女性は1人だけでした。
県は、「気付かないままエイズ患者になるのを防ぐには、発症まで10年程度といわれる感染段階での早期発見が重要」とし、県内の健康福祉事務所(保健所)でのHIV抗体受検を呼び掛けています。
HIV陽性者が急激に増加していることも問題ですが、エイズ患者として報告された人数が新規報告数の半数近くを占めていることに驚きます。8月20日付の当websiteのニュース、「『たかじんのそこまで言って委員会
』にてAIDSがテーマに」の中で、AIDSを発症して初めて、自分がHIVに感染していた事実を知る人も増えているということをお伝えしましたが、それを裏付けるようなデータです。 |
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| 2006年8月20日(日) |
| 「たかじんのそこまで言って委員会 」にてAIDSがテーマに 浅居 雅彦 |
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8月13日のよみうりテレビ「たかじんのそこまで言って委員会」でAIDSが討論のテーマとして、取り上げられていました。この番組は、司会のやしきたかじんさんがゲストを招いて旬の社会問題を本音、毒舌で討論するという関西では人気の番組です。
「AIDS(HIV)が発見されてから今年で25年たったが、先進国では唯一、日本はHIV陽性者が増え続けており、原因のひとつに若者の性の乱れがある」と題しての討論でした。
番組を観ていて、各ゲストのHIV/AIDSへの理解はオヤッと思うこともありましたが、最近放送メディアでは頻度の少なくなったHIV/AIDSが、バラエティ番組で取り上げられたことに関しては評価できると思いました。
この番組のHP(http://www.takajin.tv/)に、「あなたが、今後のエイズ対策で『忘れてはいけない』と思うことはなんですか?」と題して一般の方からアンケートを取っています。これを読んでみますと、意外なことに「風俗産業やAV業界を取り締まる」「HIV定期検査の義務付け」「性教育の強化で貞操観念を身につけさせる」などの保守的かつ、高圧的な意見が多く散見されました。
HIVはセックスが感染ルートのひとつです。性行為は誰もが行うものであり、法律や社会道徳で禁止や規制をすることはできません。トゥーランドットのアリアではありませんが、「誰も寝てはならない」というわけにはいかないのです。
GINAとしては、HIV/AIDSに対する正しい知識を、すべての人に理解して欲しいと願います。
現に、AIDSを発症して初めて、自分がHIVに感染していた事実を知る人も増えています。一般的に、HIVに感染してからAIDSを発症するまでには10年ほどの潜伏期間があることが多く、発症してからでは、どの性行為で感染したのか特定できず、さらに現在の配偶者にも感染させていたということが少なくないのです。
HIVは誰にでも感染する可能性があります。
もし、今までに、フェラチオ、クンリニングスも含めてコンドームなしの性行為の経験がある方はすべて、HIV検査をすべき十分な理由があると言えるのです。 |
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| 2006年8月19日(土) |
| 依然真相不明―河南省のエイズ村― 谷口 恭 |
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8月18日のロイター通信によりますと、中国河南省(Henan)の共産党幹部が、「エイズ対策に用意された金を横領した」罪で逮捕されました。その金額はおよそ150万円で、横領したという確かな証拠は見つかっていないそうです。
この事件の真相はともかく、この河南省というところは、依然から「エイズ村」が存在すると言われていました。
ロイターの報道にもあるように、この貧困地域では1990年代まで、いわゆる「売血」がおこなわれており、1回で50元(約730円)の現金収入が得られることから貧困にあえぐ村人は列をつくったと言われています。注射針の使いまわしにより、数千人の人がHIVに感染し、なかには、住民の過半数が売血でHIVに感染した地域がある、との噂もあります。
中国当局は否定し続けていますが、90年代後半あたりから、この噂は世界中を駆け巡りました。そして、この噂がさらに大きくなったのは、取材に行ったジャーナリストが次々と行方不明となったからです。私自身は、これを「噂」でしか聞いたことがなく、信頼できるメディアの報道は見たことがありませんでしたが、今回のロイターの記事では、この噂を裏付けるかのように、「拘束(detain)され脅し(harasses)をうけたジャーナリストがいる」、と報道されています。
現在、中国のHIV陽性者はおよそ65万人とされていますが、実際は、河南省だけで100万人を超えると見ている専門家は少なくありません。
ちなみに、河南省とは黄河の南に位置し、1億人近い人口を抱えています。7月28日付けの「中国政府、保証を求めたエイズ患者を逮捕」という記事も河南省での出来事です。 |
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| 2006年8月19日(土) |
| HIV予防に割礼はどこまで有効か 谷口 恭 |
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The Global Fund to AIDS(世界エイズ基金)が、「割礼でHIVに感染するリスクを60%減らすことができる」、という発表をおこない、先月末あたりから世界中のメディアが報道しています。
GINAとしては、この発表は設立趣旨にそれほど合致しないと判断したために、当websiteでの紹介を見合わせていましたが、先日世界で最も権威ある医学誌のひとつであるThe
Lancetもこの発表を掲載し、さらに、トロントでおこなわれた第16回国際エイズ会議でも議論を呼んだことから、このコーナーで報告することにしました。
同基金によりますと、「高い割礼率の西アフリカ及び中央アフリカではHIV陽性率が低く、その逆に、低い割礼率の南部アフリカ及び東アフリカでは陽性率が高い」、そうです。この理由は、「割礼をすることにより、陰茎亀頭が硬くなり、このためウイルスが浸透しにくくなるのではないか」、と考えられているそうです。もしも、アフリカに住むすべての男性が割礼をすれば、およそ600万人もの男性が新たにHIVに感染することが防げる、と同基金では試算しています。
UKの公的機関National Aids Trustの最高責任者であるDeborah Jackが発表したコメントが、8月9日のThe
Independent(Online Edition)で報道されています。「割礼がHIV感染を減少させることは事実だとしても、割礼した者のリスクがなくなるわけではない。割礼はコンドームに代わる予防法ではない」、と彼女は警告しています。
GINAとしては、このコメントを全面的に支持したいと思います。
第16回国際エイズ会議で話題を呼んだものに、性交前に女性の腟に塗布することによってHIVを死滅させることのできるマイクロビサイドと呼ばれるジェルがあります。このジェルの有用性は科学的に確かなもののようですが、100%確実なわけではありません。割礼と同様、過信は禁物です。それに、HIV以外の性感染症のリスクが減少するわけではありません。
よく、患者さんから聞かれる質問に、「HIV陽性者と性行為をして自分に感染する可能性は何パーセントくらいですか」、というのがあります。こういう数字はたしかに研究発表されていますが、公衆衛生学的に議論する際に有用であるに過ぎません。個人の行動という観点から考えたときには、ほとんど意味がないのです。
なぜなら、実際にHIVに感染した人に話を聞くと、ただ一度の性行為で感染したと思われる人がいくらでもいるからです。要するに、一個人でみたときには、HIVに感染する確率は、0%か100%のどちらかしかないのです。 |
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| 2006年8月19日(土) |
| エイズ対策での医療従事者不足、世界で400万人超 浅居 雅彦 |
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8月16日のnikkei netによりますと、エイズ対策で不足している医療・保健従事者は世界で400万人を超える――。世界保健機関(WHO)などは15日、カナダのトロントで開催中の国際エイズ会議でこんな試算結果を報告しました。
サハラ砂漠以南のアフリカや南アジアなど世界57カ国が深刻な人材不足に直面していると、WHOは指摘しています。これらの国々の人口は世界の1割強にすぎませんが、エイズ患者・HIV陽性者数では全世界の約3分の2を占めます。ところが医療・保健従事者は世界全体の3%しかいないと報告されています。
足りないのはエイズ治療にあたる医師や看護師だけでなく、感染予防の啓発や患者のカウンセリングにあたる保健関係者らも含めてです。WHOは人材確保には今後5年間で少なくとも72億ドル(約8350億円)が必要だと試算しており、国際機関や財団などに寄付を求めていく方針だそうです。
同会議に参加しているマイクロソフト社のビル・ゲイツ氏は世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)に対し5億ドル(約580億円)の寄附を自身のビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して行っており、先日著名投資家のウォーレン・バフェット氏から440億ドル(約5兆1千億円)もの寄附を受け取ったこともあり、WHOは同財団に対して、何らかの打診をおこなうのではないかと見る動きもあります。
しかし、エイズ対策に必要な人材を確保しようと思えば、8350億円ものお金が必要になるとWHOは試算しています。本当に気の滅入る話です。
WHOが報告するようにエイズに従事する人材が不足しているという現状がある一方で、金銭的にもスタッフの確保にも苦労しながらも、日々患者さんのために貢献されている方も少なくありません。例えば、私は、タイ国でHIV/AIDSの問題に草の根レベルで取り組んでいる人たちをみると、深い感銘を受けるのと同時に、自分に何ができるのか、ということをいつも考えます。寄附をよびかけるのも効果はありますが、実際に現地で活躍している人たちのことを知ってもらうことによって、世論の関心が高まり、さらに人材不足の解消にもつながることを私は期待したいと思います。 |
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| 2006年8月18日(金) |
| 香港で不当逮捕される売春婦たち 谷口 恭 |
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8月15日付けのロイター通信に香港の売春事情が報道されています。
現在、香港では、コンドームを所持しているという理由で、警察が売春婦を逮捕しているそうです。香港警察は、コンドームを所有していることが売春行為につながるとみているそうですが、もちろん明らかな不当逮捕です。
逮捕を恐れる売春婦たちは、コンドームを所持しなくなり、その結果HIVを含めた性感染症に罹患する者が後を絶たないそうです。
ところで、この記事によりますと、香港にはおよそ30万人の売春婦が存在し、その半分は本土中国から渡航してきた女性だそうです。1991年の売春婦の人数は約20万人との報告がありますから、15年で5割も増えたことになります。
ロイター通信が報道しているこの数字には驚いてしまいます。香港の人口は約680万人で、香港の平均寿命を80歳と仮定し(ちなみに香港は平均寿命世界一位です)、どの世代も均等な人数とすると(実際は高齢化が問題になっている国ですが)、20歳から40歳の女性は、およそ85万人となります。売春婦の年齢もだいたいこの枠に入るでしょうから、ロイターの報道の30万人の半数を香港人とすれば、この世代のおよそ18%が売春婦ということになってしまいます。まさか、先進国でそんなことはないでしょうから、実際は、およそ15万人の中国本土から渡航している女性に加え、タイやフィリピンなど他国から売春目的で香港に渡る女性も多いのでしょう。
話を戻しましょう。現在香港では、持っているだけで逮捕されることからコンドームを使用しない売春行為が相次いでいると言われていますが、実は彼女らがコンドームを用いないのにはもうひとつの理由があります。
中国から香港に渡航するビザを取得するのにおよそ7万5千円の費用がかかります。しかも滞在できるのは7日間のみです。このため、高い金を払うからコンドームを使わない性行為をさせてくれ、と言う顧客の要望を聞き入れている女性が多いのです。(ちなみに、このような危険な行為を嘆願するのは日本人が最も多いと言われています。)
子宮頸癌や尖圭コンジローマの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)という病原体がありますが、58人の売春婦のうち7人が陽性で、その7人のうち6人が中国本土からの渡航者であったというデータが、この記事で紹介されています。
私は性感染症の患者さんを診察する機会が多いのですが、患者さんが感染した国では、中国がタイと並んで最も多いような印象があります。現在も、中国でコンドームを用いない売春行為をし、尖圭コンジローマがなかなか治癒しない患者さんをみています。 |
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| 2006年8月16日(水) |
| 大勢のネパール女性がインドでHIV感染の危機 谷口 恭 |
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8月15日付けのロイター通信の報道によりますと、国連大使の幹部スタッフが、現在大量にインドに流出(これを"trafficking"と呼びます)しているネパールの女性と子供が性産業に従事させられており、早急に二国間で対策を講じる必要がある、とのコメントをしています。
現在ネパールでは、売春斡旋業者(pimp)が、貧しくて文字の読み書きのできない女性に対し、インドで仕事を与えてあげると嘘の約束を持ちかけ、その結果、強制売春をさせられている者が数千人もいると言われています。
およそ1,750キロに渡り国境がインドと接しているネパールでは、インドに渡るのにパスポートも労働許可も不要です。これは、両国は、経済、外交、文化、宗教などで強い結びつきのあることが理由ですが、この結果、大量のtraffickingが起こり、不当な売春行為をさせられている女性や子供が後を絶たないという問題が起こっているというわけです。
専門家によると、1年間に最高7000人ものネパール女性がインドに渡っており、現在およそ20万人もの女性がインドで売春行為をさせられているそうです。
現在、インドは南アフリカ共和国を抜いて、HIV陽性者の人数が世界一位となっています。20万人ものネパールの女性たちが、HIV陽性者世界一位の国で、強制売春をさせられているわけですから、早急に対策を講じなければ大惨事になるのは自明です。
ちなみに90年代には、大勢のミャンマー女性がタイに不法入国をして、これと同様の事態に陥りました。タイでHIVに感染したミャンマー人は行き場をなくし、母国に強制送還された後、大量処刑がおこなわれたという報道もあります。 |
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| 2006年8月16日(水) |
| 北京でゲイ専用の公的チャットルーム誕生 谷口 恭 |
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8月14日のロイター通信の報道によりますと、北京の公的機関である疾病管理局は、国内初のゲイ専用チャットルームを設立しました。チャットルームは「comradesフォーラム」という名称で、"comrades"とは中国語のスラングでゲイを表すそうです。
ただ、設立されてから2ヶ月が経過した現在でも、利用者はほとんどおらず当局は頭を悩ませているそうです。この理由は、現在の中国では一応、公式に、ゲイは「精神疾患」ではないということになりましたが、実際はまだまだその誤解が解けていないことではないかと見られています。
疾病管理局のスタッフは、「そのような心配は無用だ。ウェブサイトには、売春やわいせつ画像、その他つまらない内容は一切なく、ゲイの人が自分の気持ちを述べる、あるいはカウンセリングを目的としたものである」、と述べています。
UNAIDSのデータによりますと、中国では、ゲイのうちHIV感染のリスクを理解できている者はわずか15%だけです。また、あるメディアは、およそ1千万人いる中国のゲイのなかでHIVが国内に広がっていることを知らない者が80%もいる、と報道しています。
中国では、昨年新たにHIV感染が分かったのは約7万5千人で、これまでの累計は約65万人とされていますが、多くの専門家は、実際はそれよりも遥かに多いのではないかとみています。 |
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| 2006年8月15日(火) |
| マレーシアでHIV検査が義務付けられた理由 谷口 恭 |
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現在、マレーシアのケランタン州では、結婚する前に夫婦のHIV抗体検査が義務付けられています。
マレーシアの北部に位置するこの州では1986年から2004年までの間に、合計5,639人がHIVに感染しており、性交渉による感染は少なくありません。
タイの英字新聞Nationの2006年1月30日号にケランタン州知事のコメントが載せられています。州知事によれば、ケランタンで感染者が多いのは、地理がタイに近いからだとし、タイに売春目的で渡航する男性がHIVに感染し、その後妻に感染させていることが問題である、と指摘しています。
当websiteに載せているレポート「なぜ西洋人や日本人はタイでHIVに感染するのか」のなかで、私は日本人や西洋人がタイでHIVに感染する理由を述べましたが、同じことがマレーシア人の間でも起こっているということです。
やはり、「タイの売春婦」というのは、特別な枠で考える必要があるのでしょうか・・・。 |
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| 2006年8月14日(月) |
| バンコクで英製薬会社に対する抗議デモ 谷口 恭 |
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タイの英字新聞Nationの8月8日の報道によりますと、8月7日、UKの製薬会社グラクソ・スミスクライン(以下、グラクソ)バンコク支店の前で、およそ500人の抗議デモがおこなわれたそうです。
グラクソは、Combidという名前の抗HIV薬を販売しており、ヨーロッパとアメリカではすでに特許をとっています。ところが、タイでは政府管轄の機構(GPO)が、Combidの、いわゆるジェネリック薬品をZilarvirという名前で販売しており、グラクソは、タイでも特許を認めるよう主張しているというわけです。現在、タイの知的所有権委員会は、グラクソの主張の妥当性を審議しています。1月分の価格は、Combidが8,300バーツ(約24,900円)、Zilarvirが1,500バーツ(約4,500円)です。
なぜ、この薬剤の特許で問題が起こるかというと、Combidは、既存の2種類の薬剤(lamivudineとzidovudine)を混ぜ合わせただけの薬だからです。
Zilarvirを製造しているGPOの幹部がコメントしています。
「我々は利益についてではなく、感染者の健康を心配している。いったい、どれだけの人が特許の認められた高価な薬剤を入手できるというのか・・・」
たしかに、グラクソに特許が認められれば、必要な薬剤を入手できないタイ人が続出するでしょう。
私が、パバナプ寺で医療ボランティアをしていた時もZilarvirをよく使用していました。これを使用することにより、必要な抗HIV薬はあと1種類だけとなるために、大変使いやすい便利な薬剤です。これが使えないとなると、患者さんたちは・・・。想像するのが恐ろしくなります。
ちなみに、グラクソのwebsiteのトップページには、「Positive Action」というタイトルのHIV/AIDSキャンペーンの案内があり、そのなかで、「(当社は)先進国だけでなく発展途上国のHIV/AIDS患者のために貢献する」、と書かれています。 |
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| 2006年8月14日(月) |
| ケニアのバーホステスの苦悩 谷口 恭 |
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8月11日付けのBBC News(website版)に、ケニアのバーで働くホステスの苦悩が紹介されていますので、ここに紹介したいと思います。
バーで働くホステスは、客から一晩過ごすことを誘われれば応じざるを得ず、もしも断れば店をクビになるそうです。そして、これは客だけではなく、バーの店長からの誘いも同様だそうです。また、ホステスとしての仕事を得るために、店長と性関係をもたなければならないことも多いそうです。
ある女性のコメントが紹介されています。現在25歳のこの女性は、幼い頃から看護師になるのが夢でしたが、両親の突然の交通事故により打ち砕かれました。現在は、ひとりの子供と三人の兄弟を養うためにやむをえずバーのホステスとして働き、客や店長から誘われれば性関係を断れない日々が続いているそうです。
この女性は言います。
「家にはお腹をすかして泣いている子供が待っているのよ。仕事を終えた朝にお金を持たずに帰ることなんてできないわ・・・」
現在GINAは、タイで働くセックスワーカーの調査をおこなっていますが、GINAタイスタッフの調査によりますと、バンコクのある有名なゴーゴーバーでは、ウエイトレスでさえも最低月に3回は客と性関係を持たなければならないそうです。(ダンサーの場合は、客からの誘いをほとんど断れないそうです。)
このケニアの記事の最後に、ある国会議員のコメントが紹介されています。
「バーのホステスにも他の職業と同じように自由と権利がある。だから尊厳に値するのである・・・・」
自信を持ってホステスをやっているのならまだしも、多くの女性はできれば売春などしたくないのです。こんなキレイ事、誰が真剣に聞くことができるでしょうか。
「職業に貴賎はない」、というのは事実ですが、それは各人がその仕事に誇りを持っている場合のみだと私は考えています。
尚、UNAIDSのデータによると、ケニアでは人口の6.1%、およそ130万人がHIV陽性です。 |
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| 2006年8月11日(金) |
| 性行動がおとなしくなってきた全米の高校生 谷口 恭 |
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8月13日からカナダのトロントで開かれる第16回国際エイズ学会で発表される予定の報告が、8月10日のロイター通信でいち早く報道されましたのでここに報告します。
この調査はCDC(米国厚生省疾病管理・予防センター)の主導のもと、全米50州及びコロンビア区の公立・私立の高校生(15歳から18歳)を対象に、匿名・自己回答方式のアンケート形式によっておこなわれました。
性的交渉をもったことがあると回答した高校生が、1991年には54.1%だったのに対し、2005年には46.8%まで減少しています。4人以上の経験があると答えたのは、1991年に18.7%だったのが、2005年には14.3%まで減少しています。一番最近の性行為でコンドームを用いたと答えたのが、1991年には46.2%だったのに対し、2005年には62.8%にまで上昇しています。
違法薬物の静脈注射の経験は2.1%で、1995年の調査時と変わらなかったそうです。
この報告では、「薬物の静脈注射経験者は依然少ない(4%未満)ものの、HIVのリスクのある(性)行動をしている高校生は依然として多い」、と述べられています。
2.1%という静脈注射の経験者数を重要視していないようなコメントですが、この数字は本当に少ないと捉えてよいのでしょうか。静脈注射が2.1%なら、吸入や内服で違法薬物を使用している高校生がどれくらいになるかを考えるとぞっとします。
また、きちんと統計をとったわけではありませんが、私が医師として若い患者さんと接していて思うのは、日本の高校生のコンドーム使用率がはたして62.8%まで届くだろうか、ということです。 |
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| 2006年8月11日(金) 谷口 恭 |
| イラクでHIV陽性の夫婦が共に殺害 |
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イラクで41歳の男性と38歳のその妻が相次いで射殺されたことが議論をよんでいます。
IRIN newsの8月9日の記事によりますと、「この男性は下品な病気を持っているため国家のために殺害されることになる」、という内容の電話が匿名で当局にかかってきたそうです。その2日後、この男性は路上で射殺されました。目撃者によると、この犯人は引き金を引く前に、「イスラムの教えに反する下品な行動で病気になったやつは死ななければならない!」と大声で叫んだとのことです。
悲劇はまだ続きます。数日後、この男性の妻が、11歳の子供を学校に迎えにいこうと家を出たところ、夫を殺したのとは別の男性によって射殺されました。そして、その犯人が残した声明文には、「悪魔の穢れを持っている男と寝たムスリムの女性に対する当然の報いである」、と書かれていたそうです。
この夫婦はHIV陽性でしたが、感染した理由は、ムスリムの教えに反するようなものではなく、汚染された血液製剤によるものでした。夫婦はともに血友病に罹患していたのです。(女性の血友病というのは非常に稀ですが、ないわけではありません。)
ムスリムの保守層の間では、HIVは、同性愛、婚外交渉、薬物の静脈注射など、いずれも教義に反する行動で感染するもの、と考えられています。そして、汚染された血液製剤で感染するといった事実は、イラクではほとんど知られていないそうです。
サダム・フセインが国家を統治していた頃は、HIV陽性であることが分かると特別な施設に収容されていました。この記事では「事実上の投獄」と表現されています。2003年にアメリカ軍がイラク領土を統治するようになって、ようやく開放されたという経緯があります。
イラクでは感染者に対する差別が尋常ではありません。
この射殺された夫婦は、血友病の治療中にHIVに感染していることが分かり、その後施設に収容されていましたが、それ以降、この夫婦の家族は、この夫婦が死んだものとみなし、一切の連絡をとろうとしなかったばかりか、この夫婦の名前を聞くことすら嫌がっていたそうです。射殺された男性は7人兄弟ですが、このなかで唯一ひとりの妹だけが、この夫婦のことを理解していたそうです。そして、この夫婦は施設から出た後、この妹の隣の家で生活していました。
イラクのNGOのIAACP(Iraqi Aid Association for Chronic Patients)のスタッフによると、イラクではHIVに対する無知が顕著であり、HIV陽性者は、「狂犬病ウイルスを保持している犬と同じように、ただちに社会から追い出されなければならないもの」、と認知されているそうです。
また、別のNGOのスタッフは、「イラクでは、キスやハグでHIVが感染すると思っている人が大多数で、ただ近づいただけでもリスクがあると考えている人も多い」、と話しているそうです。「ほとんどの感染者は家族からも見放され、自分の子供からも拒絶される場合が多い」、と述べる人もいます。
この記事には、ひとりのHIV陽性者の苦悩が紹介されています。40歳のその陽性者は、部屋に抗HIV薬を置いていることが偶然近所の人に発見されてから、生活が大きく変わりました。その日を境に、近所の人から挨拶をされることが一切なくなり、子供たちから石を投げられ、頭から大量に血を流していても誰も助けてくれなかったそうです。
イラクでは、現在およそ100人のHIV陽性者が抗HIV薬による治療を受けていますが、実際にどれくらいの人が感染しているのかは把握できていないようです。UNAIDSの国別データを見ても、イラクの感染者は不明となっています。 |
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| 2006年8月10日(木) |
| スワジランドでHIVが原因の自殺急増 谷口 恭 |
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8月8日付けのIRIN newsの報告によりますと、アフリカのスワジランドで、HIV感染を苦にした自殺が急増しており、そのため24時間フリーダイアルのホットラインの活用が呼びかけられているようです。
スワジランドは人口が120万人弱のアフリカの小国です。この小国にもエイズが猛威をふるうようになり、実に国民の40%以上がHIV陽性です。
スワジランドでは、問題が起これば家族内で解決する伝統があったが、HIVの問題は家族では対処できなくなっている、とこの記事では述べられています。
今週発行された現地の新聞の一面には、わずか9歳の少年の自殺未遂が報道されたようです。この少年は、HIVに感染していることが原因で実のおばさんから暴行を受け自殺を試みました。母親はすでにAIDSで死亡しており、父親もその母親を追うように自殺したそうです。少年がロープで首をつっているところをこの少年のいとこが発見しなんとか死は免れたようです。
2004年現在のWHO(世界保健機構)のデータによりますと、人口あたりの自殺率の国際比較では、スワジランドは上位99位に入っていません。(100位以降のデータは公表されておらず、要するにスワジランドではほとんど自殺がないということです。)
このWHOのデータによれば、日本は自殺率が世界第10位です。ただ、1位から9位は旧ソ連や東欧の小国ばかりで、いわゆる先進国のなかでは日本が第1位となります。スワジランドのようなもともと自殺のない国ですらHIV感染が原因で自殺が急増していることを考えると、今後日本でもHIV感染による自殺が大きな社会問題になるのではないかと懸念されます。 |
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| 2006年8月10日(木) |
| リビアのHIV院内感染、真実の行方は・・・ 谷口 恭 |
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リビアのトリポリタニアで起こった426人の子供へのHIV院内感染が、政治的な背景と相まって複雑な展開を見せています。
もともとこの事件は、トリポリタニアのBenghazi病院で、426人もの子供がHIVに感染したのは、パレスチナ人の医師とブルガリア人の5人の看護師の計6人が、故意にHIVを子供たちに感染させたからだとして、裁判がおこなわれたことから始まります。
この6人の被告は、一審で銃殺の判決が言い渡され、1999年から投獄されています。この判決の証拠になったのは、リビアの5人のHIVの専門家が作成した報告書で、このなかで、被告の6人が故意にHIVを子供たちに感染させたことが述べられています。
ところが、2005年12月に最高裁はこの有罪判決をくつがえしました。
8月8日のロイター通信によりますと、この6人は、暴行や拷問を受け、虚偽の告白をさせられ、実際は無実であることを主張しています。被告の弁護人は、「HIV感染は病院の過失によるものであり、リビアの専門家の主張は誤りである」、と述べているそうです。
感染した子供のうちおよそ50人はすでにAIDSで死亡しており、家族の代弁者は、「リビアの専門家の作成したレポートは科学的であり確固としたものだ。(だから6人の被告は有罪である)」、と述べているそうです。
リビア側はこの6人の有罪判決を支持しており、ブルガリア政府に対し、55億ドルの補償金を支払えば5人の看護師を釈放することを提案していますが、ブルガリア政府はこれを拒否しています。しかし、US、EU、リビアと共にエイズ基金を設立することには賛同しているそうです。
最高裁はいったん休廷となり、再審は8月29日におこなわれる予定です。
この事件が複雑なのは、リビアと西側諸国との政治的な問題があるからです。ブルガリアとEUは6人の被告の無罪を主張しており、USもこれに賛同しています。そしてブルガリアは補償金の支払いを拒否しています。「リビアとしては西側諸国の主張を全面的に認めるわけにはいかないが、エイズ基金の設立を受け入れて6人を釈放すれば面子が保てるのではないか」、と見る専門家もいるようです。
リビアは長年の間USと敵対していましたが、現在国交回復がおこなわれようとしているところです。この事件が国交回復の障害になる可能性が指摘されています。
しかしながら、医療事故の真実は政治的背景に左右されるものであってはいけません。私自身は一医師として、最高裁が公正な判決を下してくれることを切に願います。 |
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| 2006年8月9日(水) |
| US,UK,カンボジアでHIV陽性者が逮捕 谷口 恭 |
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以前このコーナーで、自分の恋人にHIVを感染させたUKの女性が禁固刑になったという事件をお伝えしましたが(「恋人にHIVをうつした女性が禁固刑に」2006年6月23日)、最近相次いで似たような事件が報道されています。
8月4日のCNN.comによりますと、アイオワ州の25歳の男性が、自身がHIV陽性で治療を受けているのにもかかわらず、複数のパートナーとコンドームを用いずに性的関係をもっていたことが分かったそうです。このうち、少なくともひとりの女性がHIVに感染し、アイオワ州最高裁判所は、この男性に対し50年の禁固刑の判決を下しています。アイオワ州の法律では、自身がHIVに感染している場合、パートナーに告知する義務があります。
8月4日のBBC NEWS(website版)によりますと、UKの47歳のゲイが自分のパートナーに故意にHIVを感染させたとして3年4ヶ月の禁固刑を言い渡されています。HIVをうつされたこのパートナーは、日頃から暴力をふるわれるなどして、この男性から逃げられなかったそうです。
8月4日のロイター通信(website版)によりますと、カンボジアの40歳の男性が、自分の妻に対してコンドームを用いない性交渉を強要し、妻が求めに応じなかったため、暴力をふるいレイプに及んだそうです。カンボジア裁判所は、この男性に対し、懲役10年の実刑を下しています。
アメリカのいくつかの州や他の先進国では、故意にHIVを感染させれば罪になりますが、「いわゆる発展途上国でこのような判決が下されたのは初めてである」、とこの記事では述べられています。
カンボジアは、政府やNPOによる対策が功を奏し、1998年には人口の3.3%がHIV陽性でしたが、2004年には1.9%まで減少しています。故意にHIVを感染させたことで罪になるというこの画期的な法律は、2003年に制定され、今回のケースで初めて適用されました。
こういった事例は、一般論として議論することはむつかしく、ひとつひとつのケースを個別に検討する必要があります。USの25歳の男性の場合、特定のパートナーがいたわけではなく事件の悪質さが伺えます。UKとカンボジアのケースでは、被害者は特別な関係のパートナーですが、いずれも暴力で支配されていたという背景があります。
一方で、以前ご紹介しましたUKの43歳の女性の場合は、自分の特定の恋人に告知できなかったという加害者の心理的背景をも考慮する必要があるでしょう。
いずれにしても、こういう事件では単に罪を重くすればいいというわけではなく、罪を重くすることによって、むしろ社会的なスティグマが助長される、というパラドックスが存在することに注目すべきです。
少なくとも自分のパートナーには、感染していることを告げやすい社会があるべき姿のはずです。そのためには、ひとりひとりが偏見を持たずにHIV感染について正しい知識をもって冷静に考えることが必要なのです。 |
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| 2006年8月9日(水) |
| 中国人の“無知”がインターネット調査で露呈 谷口 恭 |
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8月3日付のロイターの記事(website版)が、中国人を対象としたインターネットによる調査でAIDSに関する“無知”が露呈した、と報道しています。
この調査は、Zogby、MFCという名前の、それぞれ米国、中国の調査会社によって、インターネットを使って実施されたそうです。
調査結果は、「中国ではHIVを含めた性感染症のリスクが理解できていない」、と結論づけられており、具体的には、「男性の37%が売春行為をおこなっており、パートナーと性感染症の話をしているのはわずか3分の1だけである」、と報告されています。
この記事で気になる点が2つあります。
ひとつは、パートナーと性感染症の話をしているのが、“わずか”3分の1、という点です。3分の1は確かに少ない数字ですが、私が日頃診察している性感染症の検査目的で受診される患者さんのなかで、パートナーと性感染症の話をしていると言う人は、3分の1もいません。3分の1という数字を、この記事では“わずか”と形容し、中国人は“無知”としていますが、日本で同様の調査をおこなえば、中国よりも“無知”になってしまわないかということを危惧します。
もうひとつの気になる点は、この記事を書いた記者は、HIVの知識が欠落している中国人を“無知”と非難していますが、HIVの説明を“fatal”(致命的な)で、“
incurable”(治療不能な)”、としていることです。もちろん、HIVは適切な治療を受けることによって”fatal”でも”incurable”でもありません。
中国人とロイターのこの記者、“無知”なのはどちらでしょうか。 |
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| 2006年8月9日(水) |
| ナイジェリアの大学病院で赤ちゃんがHIV感染 谷口 恭 |
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8月3日付けのBBCニュース(website版)によりますと、ナイジェリアの大学病院で輸血により赤ちゃんがHIVに感染したそうです。
ナイジェリア政府は、大学病院の過失を認め、3人の病院幹部を解雇し、この赤ちゃんの医療費は全額国が負担することになりました。
この大学病院(Lagos University Teaching Hospital)は、ナイジェリアで最もすぐれた病院として知られています。
危険な性行為や薬物を避けることは本人の努力で可能でしょうし、母子感染は現在の医療技術をもってすればかなりの確率で防ぐことができます。しかしながら、このような輸血による感染は、本人や家族がいくら気をつけても防ぐことはできません。
BBCの情報では、感染の原因は、「病院の過失(managerial lapses)」としか報道されていません。なぜこのような事故が起こったかを、世界中の医療従事者に報告して、同じことが二度と起こらないように注意を促す義務がこの大学病院にあるのではないかと思われます。
ちなみに、ナイジェリアではおよそ570万人が HIV陽性で、これは国民の4.4%に相当します。 |
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| 2006年8月9日(水) |
| ルーマニアで差別を受ける少年少女たち 谷口 恭 |
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HIVが混入している血液製剤を使用されたことにより、血友病の患者さんがエイズを発症した、いわゆる「薬害エイズ事件」が日本にはありますが、ルーマニアにもこれに匹敵するようなとんでもない歴史があります。
1986年から1991年までの6年もの間、「輸血をすることにより免疫力が高まる」、というまったく誤った根拠に基づいて、ルーマニアの大勢の子供たちが輸血によりHIVに感染したのです。
The Independent (online edition)8月3日号の記事によりますと、現在15歳から19歳のルーマニアの少年少女のおよそ7200人が、この不必要な輸血によってHIVに感染しているそうです。
この調査はHuman Right Watch(HRW)という機関が調査したもので、HRWは、「政府が適切な対策をとっていないことが社会的な差別を助長している」と報告しています。
HIV陽性の少年少女たちの実に40%以上が教育を受ける機会を与えられていないばかりか、多くの医師がHIV陽性の患者さんの診察を拒否しているそうです。さらに、ほとんどの企業はHIV陽性という理由で採用を拒んでいるそうです。
理容師、美容師、ベビーシッター、医療従事者、清掃業者、食品会社やその他多くの業種の従業員となるには、HIV陰性であることがルーマニアでは義務付けられています。このような馬鹿げた規則がある限り、社会からの差別がなくならないのは自明です。
7200人の少年少女たちは今後どのように生きていけばいいのでしょうか。
ちなみに、ルーマニアは来年EUに加入する予定です。 |
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| 2006年8月1日(火) |
| ジンバブエでHIV陽性者の恋人紹介機関発足 谷口 恭 |
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7月26日のBBC NEWS(website版)によりますと、アフリカのジンバブエで、HIV陽性者に恋人を紹介する機関が発足し話題を呼んでいます。この機関は、HAPANAという名称で、自らの母をAIDSで亡くしたLuta
Shabaさんが2ヶ月前に設立しました。先日1組のカップルが誕生したそうです。
「HIVは早期発見をし、薬を飲むことによってAIDSを発症しなくなる。だから怖い病気じゃないんですよ。」
と言われることが増えてきました。
しかし、本当にそうでしょうか。
人間は死ななければそれでいいというものではありません。人間らしい生き方をするには自身を理解してくれる人が必要です。また生涯に渡り、性的接触や恋人との関係を持てなければ意味のない人生になってしまうでしょう。
HAPANAという機関の名称は、ジンバブエの流行歌である「Hapana Asina Wake」という曲からとったもので、このタイトルは、「人生において特別な人がいない人はいない」という意味だそうです。
適切な服薬と同様に、あるいはそれ以上に、HIV陽性の方に対する精神的なサポートはたいへん重要です。気持ちを理解してくれるパートナーほど安らぎを得られるものはないでしょう。
ちなみに、UNAIDSの統計によりますと、ジンバブエでは国民のHIV陽性率が21%(2004年)、コンドームの使用率は、男性で86%、女性で83%だそうです。政府やNPOの啓発が功を奏し、感染率、コンドーム使用率とも改善してきているようです。 |
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| 2006年7月31日(月) |
| インドでゲイの合法化認められず 谷口 恭 |
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7月20日のBBC NEWS(website版)によりますと、インド最高裁は、ゲイの合法化の要求訴訟事案を、デリー高等裁判所に差し戻したそうです。
ゲイの合法化を求める声があるのは、これを禁止している法律があるからです。その法律は、1861年に当時の英国によって制定されたもので、同性愛行為で起訴された場合、最高で懲役10年間の刑が科せられることになっています。
UNAIDS(国連合同エイズ計画)が5月に公表した報告書によりますと、現在インドのHIV感染者は570万人で世界一位です。そして、インドの国民エイズ管理機構(NACO)によりますと、インドでは国民全体のHIV感染率が1%以下なのに対し、ゲイでは8%以上が陽性です。
NACOは、インドではゲイが違法とされ、社会から疎外されており、公共の場にアクセスすることも困難な状況にあり、そのためコンドームや正しい知識の入手ができないことを指摘しています。これが、ゲイをvulnerable(脆弱)な状況に追い込むこととなり、その結果HIV感染が上昇していることを主張しています。
それにしても、なぜゲイであることが社会から疎外される対象になるのでしょうか。
私個人としては、ゲイと言えば、ジュリア・ロバーツ主演の映画「ベスト・フレンズ・ウエディング」に登場していたルパート・エベレット(彼は実生活でもゲイです)や、タイの国民的スーパースターであるBIRD(タクシン首相も彼の大ファンです)を思い出すために、ゲイに対しては少なくとも悪い印象はまったくなく、法律で禁じる理由が理解できません。
一度ロンドンで、ゲイの集まるカフェに知らずに入ってしまったことがあるのですが、その場にいる私以外の全員がゲイであるということよりもむしろ、私以外の全員が非常にかっこよくてセンスがいいことに驚きました。
その英国が、インドのゲイを禁止する法律を作ったということにアイロニーを感じずにはいられません。 |
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| 2006年7月29日(土) |
| 大阪ミナミでMDMA密売人が逮捕 谷口 恭 |
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7月28日付けの時事通信の記事によりますと、近畿厚生局麻薬取締部は、麻薬取締法違反の容疑で、MDMAを密売したとされる大阪市在住の20代のふたりを逮捕しました。ふたりは大阪ミナミにあるクラブなどで、若者らにMDMAを売りさばいていたそうです。
MDMAは別名「エクスタシー」とも呼ばれており、ここ十年ほどのあいだに押収量、逮捕者とも急増しています。MDMAは、3,4-メチレン・ジオキシ・メタンフェタミンという化学物質の略語であり、メタンフェタミンの類似物質です。効果はメタンフェタミン(覚醒剤)とは若干異なり、覚醒作用に加え恍惚感が伴うと言われています。これは、性行為の際に顕著になるとされており、MDMAが「エクスタシー(Ecstasy)」と呼ばれる所以です。取り締まる法律は、覚醒剤取締法ではなく麻薬取締法です。
MDMAは覚醒剤と同様、中毒症状を起こし死に至ることもあります。さらに、その耐性が問題になります。現在日本で流通しているMDMAは、ほとんどが錠剤(もしくはカプセル)ですが、坐薬や注射もあります。また、吸入(アブリ)で使用している人もいます。
MDMAは一時アメリカで社会問題となりましたが、最近はDEA(米国司法省麻薬取締局)が徹底的な対策を取ったことから、使用量が減少しつつあると言われています。
ところが、日本では歯止めが利かないほど流通量が増えています。
MDMAにしても覚醒剤にしても、現在の日本は世界でもっとも入手しやすい国のひとつだと言われています。一昔前まで「ドラッグ天国」と言われていたタイが、政府が徹底的な対策をとったことによりその汚名を返上したのとは対照的に、日本は着実にジャンキーが集う国になってきているのです。「日本に戻るとシャブに手を出してしまう」、という理由で海外から帰って来られない日本人もいるそうです。
別のところにも書きましたが、違法薬物に対しては徹底的に罪を重くするべきだと、私は考えています。
先日、朝鮮半島出身の男性が、1.6キロのコカインを(おそらくコンドームに入れて)飲み込んでいたことが分かり、ナイジェリアの空港で逮捕されたという事件が報道されましたが、ナイジェリアは違法薬物に対する規制が比較的緩いそうです。
この逆に、麻薬を所持しているだけで死刑となるような国には、違法薬物は流れにくくなっています。
違法薬物が、規制の緩い地域に流れていくのは自然の摂理のようなものです。日本から、そして世界中から違法薬物を撤廃するのに最も効果的なのは、罪を重くすることなのです。 |
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| 2006年7月28日(金) |
| 中国政府、補償を求めたエイズ患者を逮捕 浅居 雅彦 |
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7月19日のAFP通信によりますと、中国、河南省にて、病院で受けた輸血によりHIVに感染した女性が、同国衛生省に対し補償を要求したところ、逆に重罪で逮捕されました。
女性はは1995年に河南省のある病院で第一子を出産した時、輸血でHIVに感染しましたが、当時は感染したことを知りませんでした。出産した子供は母子感染で2004年に死亡しました。第二子も母子感染していました。
その後、女性は、同じ病院で、輸血の際にHIVに感染した女性が数人がいることを知り、ほかのエイズ患者ら8人とともに北京の衛生省を訪れ、手厚い補償を平和的に求めました。
これに対し、政府当局は彼女らを巧みに言いくるめ、翌日、河南省まで車で送り返しました。
ところがその次の日、彼女は政府を攻撃する集団を組織化した罪で逮捕されました。同罪に問われた場合、首謀者は懲役5年から10年を科されるとのことです。また、補償を求めたその他の患者らのうち2人が逮捕され、残りは警察の監視下にあるということです。
信じられないようなニュースです。
逮捕された彼女達のその後が気になります。
GINAではタイでの支援を行っておりますが、そのタイの北にはミャンマー、ラオスがあり、さらにその北には中国があります。
当然、そういった国々でもHIV/AIDSの問題はあるわけですが、タイとは違い、政治体制的に情報が非常に少ないことを感じております。
私達は今後もこれらの国々の情報収集を行い、皆様にお知らせできるようにしていくつもりです。
同時に、こういった地域への支援方法を検討していきます。 |
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| 2006年7月25日(火) |
| ギャル100人とギャル社長、渋谷でレッドリボンキャンペーン!! 浅居 雅彦 |
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7月24日付のオリコン芸能ニュースによりますと、
ギャル社長としてテレビや雑誌でもおなじみの藤田志穂さん(シホ有限会社G-Revo代表取締役社長)が、アーティスト、sifowとして、7月23日に渋谷のハチ公前スペースにてエイズ予防を呼びかけるキャンペーンを行いました。
財団法人エイズ予防財団と共同で開催された同キャンペーンには、ピンク色の「LOVE&PEACE」Tシャツを着たギャル100人がエイズ予防を呼びかけるチラシやグッズを配布。あまりのギャルたちの存在力と団結力に、週末の渋谷の駅前にはあっというまに大変な数の人だかりができ、配布物は瞬時になくなりました。
エイズ予防財団は、予想をはるかに上回る反響に「ギャルの元気さ、パワフルさ、行動力には圧倒されました。本当にすばらしい」とコメント。エイズ予防のレッドリボンキャンペーンを渋谷の街で大きくPRできたことに感謝の意を示しました。
その後、sifowは、自身が顧問として協力している渋谷発のファッションイベントに駆けつけ、こちらも1000人を超える若者が集まり大盛況でした。(このイベントにはsifowの他、インリン・オブ・ジョイトイ、DJ
KAORIらも参加)
sifowは、イベントのテーマ曲となる新曲を熱唱したほか、渋谷系ファッションショーとエイズ予防という斬新なコラボレーションで、熱いメッセージを来場した若者たちに送りました。
これもピア・エデュケーションのひとつとしたら、非常に効果的な試みでしょう。
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| 2006年7月24日(月) |
| タイで違法薬物が次々と摘発 谷口 恭 |
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最近タイで次々と違法薬物容疑の逮捕者が出ています。
7月12日、チョンブリー県のパタヤ署は、10代と20代の計4人の男性を覚醒剤密売容疑で逮捕しました。覚醒剤79錠が押収されたそうです。
また、7月14日には、ノンタブリー県のアパートで、13キロものヘロインが押収され、翌日には、さらに同アパートで、4キロのエクスタシー(MDMA)が見つかったそうです。
ここ1~2年は、「もはやタイは違法薬物が入手しやすい国ではなくなった」、という声を多くのタイ人から聞きますが、こういうニュースが次々と報道されると、再びタイが薬物天国に後戻りするのも時間の問題のように思えてきます。
違法薬物に関しては、私個人的には、徹底的に罪を重くするのが最善の方法だと考えています。例えば、タイの隣国であるマレーシア、さらにシンガポールは、麻薬を所持しているだけで死刑となることが少なくありません。
覚醒剤で死刑になることは、これらの国でもさすがにないでしょうが、感染症の観点から考えるならば、薬物の種類にかかわらず、少なくとも静脈注射での使用を法律の力をもって止めさせるようにはできないものかと思います。
それも、販売目的でない個人使用の所有であろうが、初犯であろうが、ある程度重い罪を課すことが抑止力になるのではないかと私は考えています。
違法薬物は、一度でも手を出すと、理性の力だけではそう簡単にはやめられません。最も効果的な抑制法は、初めからやらないことなのです。 |
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| 2006年7月10日(月) |
| 「援交カフェ」の前で日本人がタイ人に刺される 谷口 恭 |
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GINAの現地スタッフ(タイ人女性)からの情報によりますと、6月22日の深夜、バンコクのスクンビット通り沿いにある「援交カフェ」として有名なコーヒーショップの前で、日本人男性がタイ人男性にナイフで刺されたそうです。
このGINAの現地スタッフは、GINAの調査活動のため知人と待ち合わせるために、たまたまこの「援交カフェ」の前の屋台にいたそうなのですが、そこで突然、30代と思われる日本人男性とタイ人女性との言い合いが始まったそうです。何を言っているのかはっきりと聞き取れなかったそうですが、おそらくこのタイ人女性はこのコーヒーショップを利用しているフリーの売春婦で、支払いやサービスなど売春に関することでもめていたのではないかとのことです。
言い合いは次第にエスカレートしていき、しばらくすると、この女性のボーイフレンドと思わしきタイ人男性がやってきて、日本人に殴りかかったそうです。そして、ナイフを取り出し、腹部を一撃したそうです。
あたりは血の海となり、近くにいたタイ人女性3人がこの男性をタクシーに乗せて病院に運んだそうです。(タイでは救急車は公共のものではなく病院のものが一般的です。そのため日本のように気軽に救急車を呼ぶ慣習がありません。)
GINAスタッフによれば、翌日及び翌々日の新聞にこの事件が掲載されていなかったことから、おそらく死亡にはいたらなかったのではないか、とのことです。
このコーヒーショップは、実は、拙書『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』に登場する店です。同書で述べているように、私はタイの暗黒面をよく知る男性に案内されてこの店に入ったのですが、男性客の大半が日本人であることに驚きました。
現在GINAがタイでおこなっている調査のなかで、このコーヒーショップを利用している売春婦に対しても意識調査をおこなっています。まだ統計処理はできていませんが、かなりの女性が性感染症に罹患した経験があり、さらに定期的な検査は受けていないようです。
売春が善くないことは自明であったとしても簡単になくすことはできません。しかし、HIVを含めた性感染症に罹患するリスクが小さくないことは強く訴えたいと思います。同時に、今回の事件のようなリスクがあるということも覚えておいた方がいいでしょう。 |
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| 2006年7月10日(月) |
| バンコクで売春婦が摘発 谷口 恭 |
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バンコク週報1226号(2006年7月10日~2006年7月16日)によりますと、7月5日に、バンコク首都警察が、バンコク内トンブリ地区の飲食店で、店に来た客に売春をもちかけていたフリーの売春婦5人を逮捕したそうです。逮捕のきっかけは客からの通報で、逮捕された売春婦5人の年齢は18歳から20歳だったそうです。
タイでは、一応は、売春は違法ということになっていますが、拙レポート「南タイの売春事情」でもご紹介しましたように、地域の保健師が置屋で健康管理しているという実情もあり、また、拙書『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも述べているように、フリーの売春婦も含めると、タイの売春婦の総数は最大で100万人にもなるとの試算もあり、どうも売春禁止法の適用は曖昧なようです。
しかしながら、今回のように客からの通報があった場合は、警察も動かざるを得ないようです。
また、GINA現地スタッフ(タイ人)の情報によりますと、売春目的の外国人とタイ売春婦との出会いの場として有名ないわゆる「援助交際スポット」には、定期的に警察の視察が入るそうです。
GINAとしては、警察による摘発と同時に、フリーの売春婦に対する性感染症の知識の啓発や定期的な検査受診を勧めることが重要だと考えていますが、我々の知る限り現時点ではそのような世論はありません。将来的なGINAの活動として考えていきたく思います。 |
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| 2006年6月27日(火) |
| 仏男性が腸の中にヘロイン 谷口 恭 |
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バンコク週報2006年6月26日号によりますと、サムイ島のラマイビーチでオープンバーを経営するフランス人の男性(53歳)が、消化管にヘロインを隠しもっていることが病院で明らかになったそうです。
腹部に激痛をうったえたその男性が病院を受診したため、レントゲンでお腹を撮影したところ、消化管内部にヘロインがあることが確認されたようです。
その男性は、スイスから戻ってきたばかりであることから、警察は薬物密輸の容疑で捜査を進めているとのことです。
以前は、タイで流通しているヘロイン(麻薬)は、タイ北部のゴールデントライアングル由来であると言われていました。北部の、主に高地民族が生活のために麻薬を製造していたのです。この地域の麻薬は良質で安価なため、ヘロイン目的でタイに渡航する人も大勢いました。さらに、高地民族のなかにも製造・販売だけでなく、自らが麻薬に手を出してしまう者が大勢いました。(詳しくは、『熱帯に生きる』谷口巳三郎著参照)
その後、タイ政府が徹底的な麻薬撲滅政策をとったために、現在ではゴールデントライアングルでの麻薬製造はほとんどなくなり、タイで麻薬を入手するのはむつかしいと言われています。
しかし、このフランス人のように海外からの仕入れがおこなわれるようになれば、タイが麻薬王国に逆戻りしてしまう可能性があります。
ヘロインは、覚醒剤などに比べても容易に耐性ができやすいために、最初はアブリで満足できていても、そのうちに静脈注射に移行することになります。そして、危険性は分かっていても、そのうちに注射の「回し打ち」をするようになり、HIVを含めた感染症に罹患するのです。
ちなみに、もしもこの男性が腹痛を我慢し、ヘロインを入れていた袋が破れれば数時間のうちに死亡した可能性が強いと思われます。
ときどき、大麻を入れたコンドームを飲みこんだ密売人が、機内でコンドームが破れたために、大量の大麻が体内に吸収され立てなくなることから、密輸が発覚し逮捕という事件が日本でも報道されていますが、大麻だからいいものの、覚醒剤や麻薬でこれをやると命を失うことになります。 |
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| 2006年6月27日(火) |
| WHO駐タイ代表が左遷された理由 谷口 恭 |
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「バンコク週報」第1224号(2006年6月26日~2006年7月2日)によりますと、世界保健機関(WHO)の駐タイ代表が、米政府の圧力で、インドに左遷されたことが話題を呼んでいるそうです。
これは、駐タイ代表が、「米政府の主張する知的所有権保護を受け入れてタイが自由貿易協定を締結すれば、医薬品を低価格で製造・販売できなくなり、タイのHIV感染者は割高な薬を買わされる羽目になる」、と指摘したために、米国の国連大使がWHO事務局長に抗議したことがきっかけとなったそうです。
知的所有権というのもたしかに大切なのでしょうが、こと医薬品、とりわけ抗HIV薬については「例外」を認めてもらうわけにはいかないのでしょうか。
この(元)駐タイ代表が指摘しているように、タイが米政府の主張する知的所有権保護を受け入れれば、現在のように抗HIV薬がタイの患者さんの元に届かなくなるのは明らかです。
米政府の言いなりとなれば、おそらく患者さんの毎月の医療費は最低でも数万円となるでしょう。これは、タイの多くのHIV陽性の方の月収以上の金額ですから、効果のある薬が存在するのにもかかわらず、合併症に苦しみながら命を失うことになってしまいます。
知的所有権の恩恵に預かれる人は、巨額な富を手にすることになるのでしょうが、そのせいで助かる命も助からなくなるのです。知的所有権の所有者たちは、いったいどんな気持ちで薬の開発に取り組んだのでしょうか・・・。 |
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| 2006年6月27日(火) |
| 「新型HIV」タイでも疑い例 谷口 恭 |
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「バンコク週報」第1224号(2006年6月26日~2006年7月2日)によりますと、6月20日にバンコクのシリラート病院で、女性患者がこれまでタイで見つかったことのないタイプのHIVに感染していることが確認されており、一部のマスコミが「新型HIVに感染」と報道しているそうです。
「新型HIV」というのは、2004年にニューヨークで初めて発見された新しいHIVで、通常のHIVがエイズを発症するまでにおよそ10年の期間があるのに対し、「新型HIV」は感染からわずか数ヶ月でエイズを発症するのが特徴です。さらに、既存の抗HIV薬のほとんどが効かないと言われています。
今回のバンコクの女性から見つかったHIVは、たしかにこれまでにないHIVですが、「新型HIV」とは断定されていません。シリラート病院のプラサート教授は、「ウイルスの変異は一般的なこと」として、過剰反応を控えるよう呼びかけているそうです。
また、複数のタイ人女性がアフリカで売春を強要され、「新型HIV」に感染した後タイに帰国した、との報道が一部のマスコミでなされたようですが、その真偽はまだ確認されていません。
「新型HIV」がアフリカで流行しつつあるとの報道があるため、タワット保健省伝染病予防局長は、「タイではまだ確認されていない」とコメントしています。
タイでもようやく、HIVが「死に至る病」ではないことが認識されつつあります。そのため、感染者がいわれのない差別を受けることが以前に比べると少しは減ってきています。
ここで、現在のところ、なす術のない「新型HIV」が蔓延すると、再び悪夢の到来となってしまいます。できる限りの対策をとり、「新型HIV」の蔓延を阻止しなければならないのと同時に、過剰な報道によってスティグマが世間に流布することを防がなければなりません。 |
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| 2006年6月26日(月) |
| 厚生労働省がエイズ急増自治体を支援 谷口 恭 |
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2005年に新規報告されたHIV感染者とエイズ発症者の合計は1199人となり、過去最高を記録しました。累計では1万1千人を超え、日本は感染者総数は少ないもの、韓国とともに感染者が増え続けている先進国として注目されています。
このため厚生労働省は26日に、エイズの状況悪化が著しい16の自治体の担当者を集め、連絡協議会を開きました。
問題の16の自治体とは、10個の都道府県(茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、愛知、大阪、沖縄)と、6つの政令都市(さいたま、千葉、横浜、川崎、名古屋、大阪)です。
連絡協議会では、特に感染が増加している若い世代が行きやすい夜間・休日検査や、すぐに結果が分かる迅速検査の導入、若い世代や同性愛者向けの予防啓発イベントの実施、などを検討するそうです。
GINAでも、抗体検査の受診を訴えていきたいと考えています。近いうちに、当websiteで案内をしていく予定です。 |
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| 2006年6月23日(金) |
| 恋人にHIVをうつした女性が禁固刑に 谷口 恭 |
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The Independent(online edition) 6月22日号によりますと、UKの43歳の女性が、自分の恋人(31歳)に故意にHIVを感染させた罪で、32ヶ月間の禁固刑を科せられました。
ヘアーサロンの受付をしているこの女性は、これまでに4人の男性に対して自分がHIV陽性であることを隠して、コンドームを用いない性交渉(unprotected
sex)をおこなったそうです。
そのうちのひとりの31歳の男性がHIVに感染したわけですが、これが発覚したのは、その4人の男性のうちのひとりである36歳の別の男性が、コンドームを用いない性交渉をした後に、彼女がHIV陽性であることを告げたために、警察に事情を話したことがきっかけとなりました。
警察がこの女性の家宅捜査をおこない、そこから4人の男性と付き合いがあったことが発覚し、4人のうち1人の男性がHIVに感染していることが分かりました。この男性はこの女性と2001年から2年間の付き合いをしていたそうです。自身がHIVを彼女からうつされたことを知った直後は、精神的に不安定になり、自殺まで試みたそうです。
UKでは昨年(2005年)にも似たような事件がありました。15歳のときにHIVに感染した女性が、20歳のときに自分の恋人に故意にHIVをうつし、その結果2年間の禁固刑が科せられています。
この事件はいくつかの問題を孕んでいます。
まず、自分の恋人に、自身がHIV陽性であることを告知できない現状があるということです。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスを所有していることを恋人に告げるのも勇気のいることですが、それ以上にHIVに感染していることを恋人に告げるのは、社会的な差別やスティグマがあるが故に困難なのでしょう。
次に、自分の恋人からHIVをうつされたこの男性は、元恋人を「pure evil(真性の悪魔)」と呼び、自殺未遂にまで至ったということです。我々のように、日頃からたくさんのHIV陽性の方、あるいはエイズを発症している患者さんをみていると、HIV/AIDSが「悪魔」とか「自殺」とかいったものにつながることが理解しがたいのですが、まだまだ世間ではそのようなものとみられていることを示しています。
さらに、自分の恋人にHIVを感染させたことが2~3年の禁固刑に相当するのかという問題があります。HIV感染は死に至る病ではもちろんありません。このような重い(と私は感じます)刑を科すことによって、世間のHIVに対するスティグマが助長されないか、私は危惧しています。
HIV陽性であることを背負いながら生きている、その女性の苦悩を理解することができなかった4人の元恋人には、反省すべき点がないのでしょうか。
自分の恋人にHIVを感染させたことは罪であるかもしれませんが、名前を公表して(ここでは被告の名前はあえて伏せておきます)、禁固刑が当然であるかのような発表をおこなうことには違和感を覚えます。
HIV陽性者を「犯人」扱いするのではなく、HIV陽性であることを、少なくとも自分の恋人には告げられるような、差別・スティグマのない社会があるべき姿のはずです。
『今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ』でも述べましたが、HIV陽性であることの苦悩をもっとも受け止めることができるのはその恋人なのですから・・・。
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| 2006年6月21日(水) |
| 仕事も恋人もなくした日本人の自殺 谷口 恭 |
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タイの大衆新聞タイラット紙2006年6月5日号によりますと、バンコク在住の44歳の日本人男性が、6月4日にアパートで首をつって自殺しているのが、家賃の取立てのために部屋を訪れたアパート管理人によって発見されたそうです。
報道によりますと、この日本人男性(新聞には実名が報道されていますがここでは伏せておきます)は、数ヶ月前から失業しており、貯金が底をつき、付き合っていたタイ人の恋人にも逃げられた末の自殺だったとのことです。
現場には遺書とともに、その恋人の写真が置かれていたそうです。
私がこのニュースを知り合いのタイ人(女性)に話すと、この日本人から逃げたタイの女性というのは(元)売春婦であるに違いないと言います。
「どうしてそんなことが分かるの?」という私の質問に対し、「タイの女は情が厚いから、仕事をなくしてお金がないくらいのことで男から離れることはない。この女は初めから金目当てで付き合ってるから、金が尽きた男から去って行ったに違いない。」という答えが返ってきました。
タイラット紙には、日本人や西洋人の男性が自殺をしたという記事が頻繁に掲載されますが、その多くがタイ人の恋人に逃げられた挙句の自殺であると報道されています。
私の知り合いが言うように、男が自殺する直前に逃亡したタイ女性は(元)売春婦なのでしょうか。
事実はそうであったとしても、自殺した男性にとっては、売春婦ではなく「恋人」であったに違いありません。
逝く直前まで写真のなかのその女性を見つめていたのですから・・・。 |
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| 2006年6月19日(月) |
| タイの売春婦が観光客に睡眠薬強盗 谷口 恭 |
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「バンコク週報」2006年6月19日号によりますと、6月13日午後1時ごろ、タイのリゾート地パタヤにあるホテルの客室内で、インド人男性観光客3人(22歳、30歳、32歳)が意識不明になって倒れ、近くの病院の医師が手当てにあたったそうです。
警察の調べでは、被害者たちは、12日深夜に歓楽街近くの海岸通りでタイ人女性3人から、1人500バーツ(約1500円)で売春を持ちかけられ、ホテルの部屋に女性と一緒に戻った後、睡眠薬入りのビールを飲まされたとみられるそうです。
ホテルの従業員が、部屋から慌てて飛び出してくる女性たちを目撃して、不審に思ったことから発覚し、被害者たちは、合わせて、3万バーツ(約9万円)の現金、クレジットカード、携帯電話などを盗られたそうです。
パタヤの海岸通は私も歩いたことがありますが、数メートルおきに、派手な衣装を身にまとったセックスワーカーとみられる(美しい)女性が立っており、観光客に英語や日本語で声をかけてきます。
パタヤには、マッサージパーラー(ソープランド)、置屋、ゴーゴーバー、カラオケなど、ありとあらゆる種類の売春施設がありますが、海岸通りで客をとる、いわゆるストリートガールも少なくありません。
そして、日本を含めて世界各国から売春目的でパタヤを訪れる男性はかなりの数に昇ります。
この事件を聞いてヒヤっとした日本人男性は少なくないのではないでしょうか。 |
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| 2006年6月3日(土) |
| 「誰もが治療を」 国連エイズ総会閉幕 浅居 雅彦 |
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国連のエイズ総会がニューヨークで閉幕しました。
産経新聞によりますと、「2010年までに、だれもが必要な予防・治療・ケアとサポートを受けられるように目指す」(ユニバーサル・アクセス)との目標を盛り込んだ新たな政治宣言を採択して閉幕しました。今後、この精神に基づいてエイズ対策が進められていきますが、資金や専門家らの人員確保など課題は山積みです。
HIV感染者に対する治療や支援体制は先進国と途上国、国内でも都市と地方で大きな差があり、この差を解消し、必要な人が必要な各種支援を住んでいる地域にかかわらず受けられるようにすることがユニバーサル・アクセスの目標です。
ユニバーサル・アクセスの実現については、10年までに「最大限努力する」との表現で合意に達しましたが、とりわけ資金面で難問が残っています。
今回の宣言では、HIV感染者の増大で昨年の2倍以上にあたる年間200億ドル以上のエイズ対策が必要になるとしましたが、具体的な拠出方法や目標時期は示されておらず、「十分な資金がドナー国や国の予算から得られる措置をとる」との表現にとどまっており、ドナー国の具体的な拠出額などや期限には踏み込みませんでした。日米欧などのドナー国が負担の増加を懸念したためとみられます。
また、予防計画などの対象になる「社会的弱者」の定義についても意見の対立がみられました。先進国の一部やNGOは同性愛者、薬物中毒者なども対象に含むよう求めたのですが、イスラム諸国や保守的なカトリック諸国の反対で、直接の言及は避けられました。
NGO関係者らは「強い決意の感じられない漠然とした内容」「具体的な資金源への言及や目標達成に向けた締め切りもない」と失望感をあらわにし、宣言に盛られた対策の実効性に疑問符をつけました。
「01年の特別総会後、旧ソ連や東欧を中心に薬物中毒者のHIV感染が爆発的に増えた。宣言はこうした現実を反映していない」との指摘もありました。
エリアソン総会議長は閉幕の演説で「宣言を採択するのはやさしいが、これらを各国がすみやかに、目的意識をもって実行に移せるかどうかが問われている」と努力を促しました。 |
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| 2006年6月1日(木) |
| HIV感染、インドが最多に 谷口 恭 |
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UNAIDS(国連合同エイズ計画)が30日に公表した報告書によりますと、インドの感染者が2005年末に570万人に達し、南アフリカの550万人を抜いてトップになりました。
これを感染率でみると、南アフリカが成人の18.8%なのに対し、インドでは0.9%ですが、インドは10億人以上の人口を有するために人数では世界一位となったというわけです。
世界全体の感染者は3,860万人で、新規感染者は昨年よりも減少傾向にあるようです。主な国をみてみると、中国は65万人、米国が120万人、韓国は1万3千人、日本は1万7千人です。
タイは、58万人とインドのおよそ10分の1ですが、感染率は1.4%と、逆にインドを上回っています。
ちなみに、UNAIDSの国別データでは、性経験に関するデータも掲載されており、タイでは、男性の10.9%、女性の6.6%が15歳未満で性経験があるそうです。(日本のデータはなぜか掲載されていませんでした。) |
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| 2006年5月31日(水) |
| タイで薬物犯罪急増 谷口 恭 |
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結局無効となった2006年4月2日におこなわれた総選挙後、一時休養をとっていたタクシン首相が5月22日に復帰しましたが、首相不在のこの2ヶ月間で、薬物犯罪が急増しているそうです。
アサンプション大学が2006年5月に実施した、タイの青少年150万人以上を対象とした調査によりますと、「過去1ヶ月に覚醒剤を使用した」と回答した者が41,666人いたそうです。タクシン首相が2003年に「第1次薬物一掃運動」を開始してから3ヶ月後におこなわれた同規模の調査では、使用者はおよそ5,000人でしたから、当時と比較すると700%の増加ということになります。
薬物制圧事務局の報告によりますと、最近は、若い世代、特に大学生が密売人となるケースが急増しているそうです。
タクシン首相が(強引に)開始した「薬物一掃運動」は行き過ぎたきらいがあり、批判も多く、これまでに2500人から5000人以上が射殺されていると言われています。そのなかには冤罪もかなり含まれているのではないかという声もあります。
ただ、タクシン首相のこの政策の結果、タイがかつてのような「ドラッグ天国」でなくなったのは事実です。日本の方がよほど覚醒剤が簡単に入手できる、という人も少なくありません。
日本に比べるとタイでは、いわゆる「アブリ」ではなく、初めから静脈注射をする人が少なくありません。(これは日本で入手できる覚醒剤よりも純度が悪いからではないかと言われています。)
覚醒剤を静脈注射する人たちのなかには、「回し打ち」するようになる者も出てきますから、以前のように「静脈注射によるHIVの感染」の増加が懸念されます。 |
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| 2006年5月31日(水) |
| インドネシア・ジャワ地震について 第2回 谷口 恭 |
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ジャワ島中部のジョクジャカルタ特別州で発生した大地震は、インドネシア社会省によりますと、30日の夜の時点で、死者数は5732人にのぼりました。
インドネシア大統領府のまとめでは、30日までに34カ国から物資や人材の提供や意思表示があり、米軍はすでに300人以上もの隊員が現地入りしています。日本の自衛隊も現地入りする見込みだそうです。
ただ、一方では、略奪行為が横行し、行政の調整力不足も加わり、支援物資が被災者に十分に行き渡っておらず、政府の救援活動に不満の声も上がっているそうです。
阪神大震災やスマトラ沖大地震のときも、被災者に対する窃盗、強盗、レイプなどが相次ぎましたが、ジャワ地震でも同様の犯罪がすでに生じてしまっているようです。
こういった犯罪を阻止し、確実に被災者の方々の援助をおこなうには、直接現地に行くべきなのでしょうが、GINAでは現在そのような余裕がありませんし、本来の設立趣旨とは異なりますから、信頼できる組織に義援金を送るというかたちで協力していきたく考えています。
義援金での協力第2弾として、GINAからWFP(国連世界食糧計画)に寄附をいたしました。 |
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| 2006年5月30日(火) |
| エイズ検査参加を呼び掛け 普及週間で田中好子さん 浅居 雅彦 |
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今年から始まるHIV検査普及週間(6月1-7日)を前に、女優の田中好子(たなか・よしこ)さんが29日、東京のJR新宿駅前で街頭キャンペーンをし、パンフレットを配って検査への参加を呼び掛けたと共同通信社が報じています。
国内で新たに確認されたHIV感染者とエイズ患者の合計は2004、05年と2年連続で年間1000人を突破。発症してから感染が分かるケースが約3割を占め、早期発見・治療の必要性が指摘されています。
街頭キャンペーンに先立ち赤松正雄厚生労働副大臣とともに南新宿検査・相談室を訪れた田中さんは、HIV検査の流れについて説明を受け、その後記者会見し「エイズは怖い病気だが、キャリアの段階なら治療方法はある。(感染の)疑いがある人は1日も早く検査を受けてほしい」と訴えていました。 |
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| 2006年5月29日(月) |
| 通り魔被害者にHIV感染の疑い 谷口 恭 |
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2006年5月29日の日本経済新聞によりますと、ベルリンで16歳の少年が通行人を次々とナイフで刺し、28人が重軽傷を負った通り魔事件で、被害者のひとりがHIVに感染している可能性のあることが分かったそうです。この事件は、26日の深夜から27日未明にかけておこなわれた駅の完成パーティの直後に起こったとのことです。
報道からは、もともとこの被害者がHIVに感染していたのかどうかが分かりませんが、事件の加害者である16歳の少年がHIV陽性であり、他人に感染させる目的で犯行におよんだという噂もあります。
ドイツのような先進国で、16歳の少年がHIV陽性ということに驚きますが、ドイツでは若年者の性行動が活発であると言われることがあり、そのような背景が16歳のHIV陽性者を生み出したのかもしれません。またドイツでは、ビールやタバコが16歳から合法であることが、若い世代の性行動を加速しているのではないかとの声もあるようです。
ところで、HIV陽性者が自分の血液を注射器に吸い取って通行人に刺したり、あるいは、ナイフに自分の血液を付着させた上で通行人を刺したり、といった事件をときおり耳にします。
私の知る限り、まだ日本ではこのような事件はありませんが、中国やタイでは現地の日本人から聞くことがあります。
HIV感染者が増える一方の日本でも、やがてこのようなことに怯えながら生活しなければならない日が来るのでしょうか。
通り魔はいずれ逮捕されるのが自明ですから、それほど行動にうつす可能性が高くないかもしれませんが、例えばHIVに感染していることが分かっている人が、リスキーな性行為をおこなうということは充分にあり得るかもしれません。
今から15年ほど前、「エイズ王国へようこそ」という噂が流行しました。若くて大変美しい女性が通りすがりの男をホテルに誘い、コンドームなしの性行為をおこない、男性が目覚めたときには女性の姿はすでになく、ホテルの鏡に紅い口紅で「エイズ王国へようこそ」と書かれていた、というものです。
この話は、実際には確認されておらず、いわゆる「都市伝説」であると言われてきましたが、今後も「都市伝説」であり続けるという保障はないのです。 |
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| 2006年5月29日(月) |
| インドネシアの地震について 谷口 恭 |
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2006年5月27日の早朝、マグニチュード6.3を記録した大地震は、ジャワ島中部、インドネシアの芸術文化の中心地ジョクジャカルタ南部を直撃しました。この地震で主にジョクジャカルタ市とジャワ島南岸の間に位置するバントゥル地区で4,983人(29日朝の時点)の人々が亡くなりました。
3万人もの人々が負傷し、被災各地で家屋が深刻な被害を受け、10万人もの人々が避難民となりそうです。少なくとも犠牲者の3分の1は幼い子どもたちです。
各国の行政や民間の組織が救援活動を開始しています。
UNICEF、国境なき医師団、日本赤十字、AMDAでは、救援活動を開始したと同時に、website上で義援金の募集も開始しています。アジアアフリカ環境協力センター、被災地NGO恊働センターも救援活動を迅速におこなっています。(29日午後20時現在、website上での義援金呼びかけは始まっていないようです。)日本レスキュー協会は、現地に災害救助犬を派遣できるよう外務省と交渉中とのことです。
GINAは、設立趣旨とは異なりますが、同じ民間の奉仕団体として被災者の方々に協力していきたいと考え、第一弾として、これまでに集まった寄付金の一部をUNICEFと国境なき医師団に寄付いたしました。
賛助会員の方やそれ以外の方で、この地震の被災者に義援金を送りたいと思われる方がおられました | | |