HIV/AIDS関連情報

2006年9月27日(水) HIV陽性者が国際指名手配

 47歳のイギリスのゲイが自分の恋人に故意にHIVを感染させたという理由で3年4ヶ月の禁固刑を言い渡された、というニュースを以前お伝えしました。(「US,UK,カンボジアでHIV陽性者が逮捕」2006年8月9日

 このゲイはこの裁判に現れず行方不明になっていましたが、どうやらフランスに逃亡したようです。

 9月25日のBBC NEWSによりますと、ロンドン警視庁はこのゲイが現在フランスに滞在しているとみているそうです。

 このゲイは38歳のパートナーに、自らがHIV陽性であることを知りながらコンドームを用いない性行為を強要し、ドメスティック・バイオレンスが日常化していたそうです。

 自分の恋人にHIVを感染させたとき、罪になるのかどうか、罪になるとすればどの程度のものなのか、という問題は非常にむつかしく、専門家の間でも意見が別れています。相手に安全だと思い込ませておいて故意に感染させたとすれば罪になるでしょうが、自分が感染の確証がなくて相手がコンドームを用いない性行為を求めたような場合は必ずしも罪になるわけではないと思われます。

 このゲイの場合、自分がHIV陽性であることを知っていて暴力で性行為を強要していたわけですから悪質であると言えます。したがって、国際指名手配となってもやむをえないでしょう。

 しかしながら、「恋人にHIVを感染させたゲイが国際指名手配された」という言葉だけが独り歩きをすると、HIV陽性者に対するスティグマが助長される可能性があります。今回のBBCは適切な表現をしていると思われますが、今後のマスコミの報道には充分注意してもらいたいものです。

(谷口 恭)