HIV/AIDS関連情報

2006年10月29日(日) オーストラリア男性が女性観光客にHIVを感染

 故意に自分のHIVを二人の女性に感染させたシドニーの42歳の男性に懲役12年の判決が下され、この男性はこれを不服として異議申し立てをおこないました。10月24日のNEWS.COM.AUがこの事件を取り上げていますのでご紹介いたします。

 この男性は、2003年にオーストラリアに観光に来ていたアイルランドとドイツの女性と、自身がHIV陽性であることを黙って性交渉をおこない、ふたりにHIVを感染させたとされています。オーストラリアでは故意にHIVを感染させた場合、最長で7年の懲役刑が科せられることになっていますが、この男性はそれぞれの判決で6年間の実刑が言い渡され、これらをあわせると合計12年間の懲役刑ということになります。オーストラリアの法律では12年間の実刑を受けた場合、短くても9年間は刑務所に拘留されることになります。

 この男性の弁護士は、この判決は重すぎるとして、ニューサウスウェールズ州の刑事控訴裁に対し異議申し立てをおこないました。弁護士は、これらふたつの6年間の実刑を単純に足すのは不適切だとしています。

 しかし、裁判官は「これほど悪質な犯罪は他に考えられない」、「恐ろしいほど残虐な犯罪だ」、「被害者が受けたダメージは大きい」、などとコメントしています。

 検察官は、「被害者の健康を省みない残虐非道な行為」、「人間の生命に対する冒涜」などと延べ、被告は自身がHIV陽性であることをパートナーに告知しコンドームを用いた性行為をおこなう義務があったことを強調しています。また、「被害者は単に健康上の被害を負っただけでなく、精神的負担も計り知れないものがある」と述べています。

 裁判所は、被告の異議申し立てに対して現時点では回答を保留しています。

 売買春ではなく、オーストラリアで現地の男性と性交渉をもつ外国人女性は日本人を含めて少なくありません。このウェブサイトでは、主にタイで買春をおこなう男性に対する警告を発していますが、女性たちも海外でのひとときのアバンチュールには充分に注意すべきでしょう。

(谷口 恭)