GINAと共に
第18回 第21回日本エイズ学会とGINAの今後(2007年12月)
昨年東京でおこなわれた第20回日本エイズ学会は、「HIV陽性者によるHIV陽性者の支援」というタイトルで、タイ国パヤオ県のある地域のピア・エデュケーションの実情を紹介、第21回となる広島で開催された今年の日本エイズ学会では、「タイ国のIndependent Sex Workersの意識と行動」というタイトルで、このウェブサイトにも紹介したタイのフリーのセックスワーカーに対する調査結果を報告しました。
昨年の東京では、私自身は学会にはフル参加しましたが、GINAの展示はおこないませんでした。(というよりNPOの展示ブースはなかったと思います)
今年はNPO法人のブースを出展できたので、私自身はクリニックの仕事の関係で半日しか参加できませんでしたが、GINAの活動内容を紹介する目的でブース展示をおこないました。
さて、今後のGINAの活動ですが、私自身がすてらめいとクリニックを始めてからというもの、タイに渡航できる時間がほとんどなくなった為に、現在のタイでの活動は、タイのGINAスタッフ、もしくは何人かのタイ在住のGINAに関連する日本人とタイ人にまかせるようにしています。こちらからは、支援金や薬剤の送付や情報提供などが今後のタイでの活動の中心になると思います。
そして最近、GINAは新たな活動を開始しました。
ひとつは「陽性遍歴」のライターである、ちょふ氏が学校や他の組織でおこなう講演です。
HIV陽性でゲイであるちょふ氏に対する講演依頼は多く、メディアやウェブサイトからは伝わってこない、いわば"生の声"を聞きたいという要望は少なくありません。
先日は、ある関西の中学校で講演したことが毎日新聞に写真入りで大きく取り上げられ話題を呼びました。
ちょふ氏の講演は大変好評で、講演後には受講者から様々な感想や質問が寄せられています。
学校や他の団体に講演をしているHIV陽性者は他にもおられるでしょうが、日本ではまだまだ少数でしょうから、今後もちょふ氏の活躍は期待されることになるでしょう。
もうひとつは、「風俗嬢ダイアリー」に執筆をおこなった田宮涼子氏のセックスワーカーと風俗店利用客に対する啓蒙活動です。
彼女は現役のセックスワーカー(風俗嬢)でありながら、社会的な活動にも大変熱心で、すでに風俗店利用者に対するパンフレットを作成しています。このパンフレットは、単に性感染症に関する情報を掲載しているだけでなく、風俗嬢の生の声を紹介したり、上手く風俗店を利用する方法、あるいは風俗嬢と上手く付き合う方法なども紹介したりしています。
このパンフレットは、上に述べたエイズ学会でのGINAの展示ブースでも紹介しましたし、いくつかの(優良)風俗店にも置いています。(また、GINAにお問い合わせいただければお送りすることも可能ですので必要な方はGINA事務局までお問い合わせください)
さて、日本のHIV陽性者は年々増え続けており、すてらめいとクリニックで新たに判ることも少なくありません。キケンな行為(性行為や薬物摂取)があって心配になり検査を受けて陽性が判る人もいますが、リンパ節が腫れている、熱が下がらないといった症状で受診して、それがHIV感染によるものだった、というケースもあります。
すでに行政や多くのNPOによってHIVに関する情報が提供されていますが、現時点ではまだまだそういった情報や正しい知識が世間一般には届いていないように思われます。今後、GINAとしても正しい知識の啓蒙活動に力を入れていきたいと考えています。
もうひとつ、GINAが(私が)日本のHIVの実情で憂いているのは、陽性者に対する世間の偏見・スティグマです。
HIV感染を職場に報告して差別的な扱いを受けたと感じている陽性者は今でも決して少なくありません。ですから、我々としては、新たに感染が判った人から「感染したことを職場に報告した方がいいですか」と聞かれたときに、「しない方がいいですよ」と答えざるを得ないことが多いのです。
実は、こう答えるのは我々にしても(少なくとも私にとっては)大変心苦しいのです。なぜなら、HIVが世間から偏見の目で見られていることを認めることになるからです。
本来、HIV感染は他人から偏見の目でみられる理由はないはずです。ですから、「HIV陽性であることを隠す必要なんかないですよ」と言いたい気持ちがあるのです。しかしながら、「他人には言わない方がいい」と助言しなければならないのが現状なのです。
「HIV/AIDSに関連した差別・スティグマなどを失くすために社会に対し正しい知識を啓発する」というのは、GINAのミッション・ステイトメントのひとつですが、HIV感染が判った人に「他人には言わないように・・・」とアドバイスしなければならない現実があるのです。
HIV陽性者がまったく偏見をもたれない社会の実現化・・・。これに向けてGINAは今後力を入れていくつもりです。
その際、ちょふ氏のような人物が積極的に講演活動をおこなうのは大変効果的でしょう。
これを読まれている方で、「ちょふ氏を講演に招きたい」という方がおられましたらGINA事務局までお問い合わせを!!
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昨年の東京では、私自身は学会にはフル参加しましたが、GINAの展示はおこないませんでした。(というよりNPOの展示ブースはなかったと思います)
今年はNPO法人のブースを出展できたので、私自身はクリニックの仕事の関係で半日しか参加できませんでしたが、GINAの活動内容を紹介する目的でブース展示をおこないました。
さて、今後のGINAの活動ですが、私自身がすてらめいとクリニックを始めてからというもの、タイに渡航できる時間がほとんどなくなった為に、現在のタイでの活動は、タイのGINAスタッフ、もしくは何人かのタイ在住のGINAに関連する日本人とタイ人にまかせるようにしています。こちらからは、支援金や薬剤の送付や情報提供などが今後のタイでの活動の中心になると思います。
そして最近、GINAは新たな活動を開始しました。
ひとつは「陽性遍歴」のライターである、ちょふ氏が学校や他の組織でおこなう講演です。
HIV陽性でゲイであるちょふ氏に対する講演依頼は多く、メディアやウェブサイトからは伝わってこない、いわば"生の声"を聞きたいという要望は少なくありません。
先日は、ある関西の中学校で講演したことが毎日新聞に写真入りで大きく取り上げられ話題を呼びました。
ちょふ氏の講演は大変好評で、講演後には受講者から様々な感想や質問が寄せられています。
学校や他の団体に講演をしているHIV陽性者は他にもおられるでしょうが、日本ではまだまだ少数でしょうから、今後もちょふ氏の活躍は期待されることになるでしょう。
もうひとつは、「風俗嬢ダイアリー」に執筆をおこなった田宮涼子氏のセックスワーカーと風俗店利用客に対する啓蒙活動です。
彼女は現役のセックスワーカー(風俗嬢)でありながら、社会的な活動にも大変熱心で、すでに風俗店利用者に対するパンフレットを作成しています。このパンフレットは、単に性感染症に関する情報を掲載しているだけでなく、風俗嬢の生の声を紹介したり、上手く風俗店を利用する方法、あるいは風俗嬢と上手く付き合う方法なども紹介したりしています。
このパンフレットは、上に述べたエイズ学会でのGINAの展示ブースでも紹介しましたし、いくつかの(優良)風俗店にも置いています。(また、GINAにお問い合わせいただければお送りすることも可能ですので必要な方はGINA事務局までお問い合わせください)
さて、日本のHIV陽性者は年々増え続けており、すてらめいとクリニックで新たに判ることも少なくありません。キケンな行為(性行為や薬物摂取)があって心配になり検査を受けて陽性が判る人もいますが、リンパ節が腫れている、熱が下がらないといった症状で受診して、それがHIV感染によるものだった、というケースもあります。
すでに行政や多くのNPOによってHIVに関する情報が提供されていますが、現時点ではまだまだそういった情報や正しい知識が世間一般には届いていないように思われます。今後、GINAとしても正しい知識の啓蒙活動に力を入れていきたいと考えています。
もうひとつ、GINAが(私が)日本のHIVの実情で憂いているのは、陽性者に対する世間の偏見・スティグマです。
HIV感染を職場に報告して差別的な扱いを受けたと感じている陽性者は今でも決して少なくありません。ですから、我々としては、新たに感染が判った人から「感染したことを職場に報告した方がいいですか」と聞かれたときに、「しない方がいいですよ」と答えざるを得ないことが多いのです。
実は、こう答えるのは我々にしても(少なくとも私にとっては)大変心苦しいのです。なぜなら、HIVが世間から偏見の目で見られていることを認めることになるからです。
本来、HIV感染は他人から偏見の目でみられる理由はないはずです。ですから、「HIV陽性であることを隠す必要なんかないですよ」と言いたい気持ちがあるのです。しかしながら、「他人には言わない方がいい」と助言しなければならないのが現状なのです。
「HIV/AIDSに関連した差別・スティグマなどを失くすために社会に対し正しい知識を啓発する」というのは、GINAのミッション・ステイトメントのひとつですが、HIV感染が判った人に「他人には言わないように・・・」とアドバイスしなければならない現実があるのです。
HIV陽性者がまったく偏見をもたれない社会の実現化・・・。これに向けてGINAは今後力を入れていくつもりです。
その際、ちょふ氏のような人物が積極的に講演活動をおこなうのは大変効果的でしょう。
これを読まれている方で、「ちょふ氏を講演に招きたい」という方がおられましたらGINA事務局までお問い合わせを!!
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